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 今日は出発が9時半と少々遅く、朝食後もたっぷりと時間がある。そこでホテル周辺を散策することにした。ホテルのすぐ近くに教会があり、教会の前面には旗が2本掲げられている。6月10日はオーストリアでは聖体祭という休日にあたる。何かお祭りがあるらしく、お婆さんが可愛らしい民族衣装を着て歩いているのでお願いして写真を撮らせてもらった。もう1日ここに滞在すればおそらくお祭りの様子が見られたと思うといささか残念。

 9時半にホテルを出発、SL列車の小旅行を楽しむ為にイエンバッハへ向かう。約45分でイエンバッハに到着。SLの出発時間は10時47分としばらく間があり、駅の周りを眺めていた。イエンバッハ駅は質素な建物で、一見すると何かよくわからない。昨年のドイツもそうだったが、オーストリアも地方の駅はこの様な簡素な駅が多く見られる。

 
SLに接続した赤い車体の列車に乗り込み定刻の10時47分に出発。この観光SLは走る時間帯が限定されているので、個人旅行で行く場合にはあらかじめ運行状況を確認しておく必要がある。マイヤーホーフェンまでの約32Kmを約1時間半かけてのんびりと走る。 私達一行が載った車両は貸切?だったらしく、他の人達がおらずのんびりとすごすことができた。3000m級の連峰に挟まれたツィラタール渓谷を走るこの列車の車窓からの眺めは美しい。山裾に広がる牧草地や山の斜面に点在する地方色豊な家々などを見ていると心が癒される想いがする。ツィラタール渓谷はその美しさから『チロルの女王』とも言われる。

 途中の駅では聖体祭の為に民族衣装を着た人達を多く見かけた。このあたりは木工業が盛んで、線路近くに大量の木が積まれている。ブランコで遊んでいる女の子達にCameraを向けたら喜んで手を振ってくれた。また列車に自転車を積み込む様子も見受けられた。そう言えば車窓からも風を切って自転車を走らせている人を多く見かけた。後ほどグロスグルックナー山岳道路でも自転車ツアーを何人も見かけたが、おそらくオーストリアでは自転車旅行が盛んなのだろう。
 12時15分終点のマイヤホーフェン駅に到着。迎えのバスに乗り込み、15分ほど走りレストランで昼食をとる。このレストランにもやはり民族衣装を着た一団が食事をしていた。オーストリアはどこも今日は聖体祭一色のようだ。

 再びバスに乗り次第にアルプスの山深いところへ入って行く。山々にはまだ雪が残り、山腹を流れる水流が随所に見られる。約1時間ほど行くと「
クリムルの滝」が眼下に見下ろせる絶好の撮影ポイントでバスが停車した。バスや車が何台も停まっており、高台から大勢の人が滝に向かってCameraを向けている。 山々の奥深さ、山間を流れ落ちる長く急な滝、その壮大なスケールにはただただ圧倒された

 滝の最も低い所まで坂を下り、もう少し近くで滝を望める地点まで移動した。今度は低い所から滝を見上げるので、先ほどの高台とはまた違った感じに見える。Cameraのズーム倍率を上げて滝を見ていると、流れの激しさと膨大な水量が私を圧倒する。滝の近くまで行くことができるらしいが、時間の関係で間近かで見ることはできなかった。もしまた行く機会があれば今度はすぐ近くでそのその迫力を見たいものだ。

 「クリムルの滝」に未練を残しつつ、バスは更にアルプスの山深く進んで行く。
グロースグルックナー山岳道路に入るとますます山が険しくなっていく。谷は深く、険しい山々は雪を抱いている。谷の深さはどの位あるのだろうか?残雪の深さはどの位あるのだろうか?険しい山々の標高は何m位なのだろうか?こんな高い所の雪の合間にやぎか羊を見かけた。この様な所で放牧しているのだろうか、それとも野生なのだろうか?

 山岳地帯は天気次第で神にも悪魔にもなる。今日は絶好の天気で気温も高く、日差しがとても強く少々暑く感じる。ところがつい1週間ほど前には雪が降り、グロスグッルクナー山岳道路は通行止めになったとのこと。少し時期がずれただけでこんなにも異なるのだから山岳地域は怖い。
この好天は実にありがたい。八百万の神に感謝!感謝!明日再びここを訪れるので、明日の天気が今から気になっている。

 まるで日光のイロハ坂の様な、いやそれ以上の曲がりくねった急カーブの道を進むバスからの景色はただため息が出るばかり・・・車窓からの眺めに見入っていた。今日はフランツ・ヨーゼフヘーエ展望台へは行かず、そのまま山を下り宿泊地のハイリゲンブルートへ向かう。この様な山岳道路は上りも怖いが下りも相当怖い。大きなバスが右へ左へ旋回しながら走るのはなかなかスリルがある。特に谷が深い所をぎりぎりに走る時はなかなかなもの・・・谷底がよく見える所もある。でもそれがまた楽しい。
 ハイリゲンブルートはアルペン街道の南端に位置する標高約1300mの村。グロスグロックナーの山麓にあって、オーストリアで最も美しい村の一つに挙げられている。この様な素晴らしい自然に囲まれた所に宿泊できるのも嬉しい。

 バスは2時間ほど走り17時40分、ハイリゲンブルートのホテル 
GLOCKNERHOF へ到着。部屋には専用のテラスと長イスもあり、そこから見る眺めもよい。高台にあるので部屋から素晴らしい景色が一望に見渡せる。部屋のすぐ前には教会がある。

 夕食までまだ間があるのでホテル周辺を散策する。明日訪れるグロスグルックナー山の頂上が見える。明日もこのまま晴れて欲しい。ホテルの方へ戻ると、先ほど部屋から見えた教会がある。 15世紀に建てられたゴシック様式の
ザンクト・ヴィンツェンツ教会で、この地に伝わる伝説を基に建てられた。

 その伝説とは・・・10世紀、ビザンチン(東ローマ)帝国の官吏ブリキウスがイエス・キリストの”
聖なる血(ハイリゲンブルート)”を運ぶ途中、この地で雪崩にあって凍死した。

 この教会は”聖なる血”と聖ブリキウスを祀る為に建てられた。伝説の”聖なる血”が今に伝わるとのこと。今となっては真偽のほどは定かではないが、何かと詮索するのは野暮と言うもの。「
信じる者は救われる」からだ。

 ホテルのレストランで夕食をとる。そこには我々以外にもう1組の日本人ツアー客がいた。突然レストラン内に音楽が響き渡り、トロンボーン奏者とダンサーが入って来てショウが始まった。しばらくするとダンサーが客の方へ近づいてきて、「誰か一緒に踊りましょう」と誘っているが誰も出て行かない。そこで私の妻が一緒に踊り、客一同の喝采を浴びた。
(注)画像をクリックすると、
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オーストリア旅行記