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 今日も朝早く目が覚めたので朝食前にホテルの周りを散策した。雲は少し出ているが雨の心配はなさそうなので一安心。せっかくフランツ・ヨーゼフスヘーエ展望台へ行くのに悪天候では台無しになってしまう。突然の積雪、あるいは路面凍結で通行止めになってはどうにもならない。今回のコースの様に自然を鑑賞するには何と言っても好天が必須条件

 ホテルから少し歩くと昨日とは異なるポイントからグロスグルックナー山がよく見える。山頂に朝日があたり輝いて見える。この位置からだとハイリゲンブルートがグーロスグルックナーの山麓にあるのがよくわかる。今日はここからあの山を目指して再びグロースグルックナー山岳道路を上がっていくのだ。既に今から期待が大きく広がっている。

 ザンクト・ヴィンツェンツ教会の裏手に回ると墓地があり、そこからの眺めもまた良い。墓地を抜けるとホテルの真下に出た。この位置から見上げると、ホテルが崖の上に建っているのがよくわかる。

 8時
半にホテルを出発し、昨日降りてきた山岳道路を逆に上って行く。昨日見た景色をもう一度見ることができることに幸せを感じながら・・・。ところで下の一番右側の写真を見て頂きたい。その時は気がつかなかったが、画面中央下側の黄色い看板のすぐ右側にマーモットが座っている。
 約30分で標高2369mのフランツ・ヨーゼフスヘーエ展望台へ到着する。よく晴れて暑いくらいだ。標高3797mのオーストリア最高峰グロースグルックナーが、周囲を3000m級の山々に囲まれて堂々とそびえ立っている。山頂に少し雲がかかっているが全く問題なし。山頂付近には9.4Kmに渡って続く、オーストリア最大のパステルツェ氷河が見える。眼前に広がる雄大な素晴らしい眺望に絶句・・・何と形容したらよいのだろうか?
 景色を見ながら歩いていると、体長50cm位の思わぬ小動物が出迎えてくれた。目の前に突然ふっと現われたのはマーモット(Marmot)、リス科の動物では最も大きい。マーモットとはフランス語で”山ねずみ”のこと。何やら雰囲気がプレーリードッグに似ている。マーモットは犬と同じ位足が速く、鋭い歯を持ち草木などを噛み切って食べる。また鋭い爪を持ち岩場や草原に穴を掘って巣穴にしている。

 マーモットがさっと体を翻して逃げたので近くを探すと、道路下の石積みの土留めに横たわっている。こちらに気がついて近くの横穴・・・おそらく巣穴・・・から顔を出して様子を窺っている。なかなか出て来ないのであきらめて歩いていると、別のマーモットが斜面にへばりついてこちらをじっと見ている。すると道路に出てきてちょっとの間だけじっとしていて写真のモデルになってくれた。またさっとどこかへ姿を隠してしまった。
 崖の上にオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフT世の大きな像がある。何故ここに皇帝の像があるのか?また何故「フランツ・ヨーゼフスヘーエ」と呼ばれているのか?1856年皇帝は皇后エリザベートを伴い、ハイリゲンブルートからここまで4時間かけて登りそして2時間滞在した。当時は今の様に道が整備されておらず、さぞや大変なこと想いをしたことだろう。それだけ今も昔もここがFantasticな場所と言うことか・・・。

 パステルツェ氷河へは徒歩でもケーブルカーでも行けるとのこと。ケーブルカーなら1分弱で行けるが、運転開始が10時からなので今回は断念した。機会があればどこかで本物の氷河を一度は体験してみたい。ところで観測結果によると、この氷河は毎年5mづつ薄くなり20mづつ短くなり続けている。国際機関の世界氷河モニタリングサービス(WGMS)の科学者の予測では、今後100年間にアルプスの氷河の95%が地球温暖化の為に消滅するそうだ。これがどの様な結果をもたらすのか、考えただけでも背筋が寒くなる。

 お土産屋に寄ったらマーモットの人形を売っている。本物を見たばかりなのであまりにも可愛いくて2匹買った。10時にバスは展望台を出発。グロースグルックナー山岳道路を下り、途中アルプスの山並みと渓谷の素晴らしさを堪能しながら一路ザルツブルクへ向かう。
 ザルツブルクに午後1時すぎに到着したが、何故かバスがあちらこちらとうろうろ走り回っている。どうも運転手がレストランの位置がわからず道に迷ったらしい。そしてとあるレストランに入ったが、どうも店を間違えたようだ。少し歩いてレストラン MUNDENHAMER で遅めの昼食をとった。

 
ザルツブルクとは”塩の城”のことで、その名の通りこの街は塩により繁栄した。798年ここに大司教座が初めて置かれてから1803年ナポレオン軍の襲来により廃止されるまで、実に1000年もの間大司教領として栄華を誇った。当時のヨーロッパの大司教は単なる聖職者ではなく、一国の領主にも匹敵する世俗権力と莫大な富を有するいわば国王の様な存在であった。あの天才音楽家Mozartは当時のコロレド大司教に逆らい、ザルツブルクに居ることができなくなり追われるようにしてこの地を去った。

 現地ガイドKさんの案内でザルツブルク市内を見て回った。ザルツブルクはザルツァッハ川を挟んで新市街と旧市街に分かれる。まずは新市街側のミラベル宮殿を訪れる。大司教ヴォルフ・ディードリッヒ・フォン・ライテナウは1606年”愛人”のサロメ・アルトの為にルネサンス様式のアルテナウ宮を建てた。当時聖職者は結婚を禁じられていたので表向き妻を持つことはできない。二人は実質的には夫婦で、15人の子供をもうけ幸せだったと言う。大司教・ディードリッヒの失脚後、宮殿は大司教の離宮として使われた。アルテナウ宮は18世紀初めに建築家ヒルデブラントにより改築され、ミラベル宮殿と呼ばれる様になった。しかしながら1818年火災に遭い、現在は建築当時の姿をとどめていない。

 ミラベル宮殿を囲む様にして
ミラベル庭園がある。左右対称にデザインされたこの庭園は、17世紀末フィッシャー・フォン・エアラッハの設計による。綺麗に植えられた色とりどりの花が美しい。庭園のあちらこちらにはギリシャ神話の彫像や噴水があり華やいだ雰囲気を演出している。宮殿の横を奥に向かって歩いて行くと、
映画「Sound of music」でマリアと子供達が”ドレミの歌”を歌いながら駆け上がって行く場面が撮影された階段がある。階段を上がると、そこは色とりどりのバラが満開だった。宮殿を背にして庭園の方を見ると、正面の小高い山の上にホーエンザルツブルク城がある。ここへは明日の自由行動の時に行く予定にしている。
 ミラベル庭園の近くに、1773年から1787年にかけてMozart一家が住んだモーツアルトの家がある。Mozart自身は1781年までここに住み、数多くの作品を生み出している。ここへは明日の自由行動時に行くつもりだったが結局行けなかった。

 マカルト小橋のたもとにロココ調の服装をした
辻音楽師がクラリネットを吹いている。Mozartの曲を吹いていたと思うが、どんな曲だったかは忘れてしまった。いったい1日でどの位稼げるのだろうか?他人事ながら気になってしまう。

 ザルツァッハ川にかかるマカルト小橋を渡り旧市街に入る。カフェ、レストランなどいろいろな店が立ち並び、道幅は狭いが観光客など大勢の人が歩っているにぎやかな通りがある。この東西に細長い通りは
ゲトライデガッセ(ゲトライデ通り)と言う。5、6階建ての建物が両側にびっしり建っているので余計狭く感じる。それぞれの店が鉄細工の突き出し看板を出しており、アイデアと美しさを競っている。各店はこのような看板を出すことが義務づけられており、あのおなじみのマグドナルドもご覧の通り

 ゲトライデガッセの中ほどにマカルト広場に面して
Mozart Geburtshaus(モーツアルトの生家)がある。建物に赤と白のオーストリアの国旗、また壁に大きく Mozart Geburtshaus と書いてある。それ以外に特に目立った表示がないのでうっかりすると見過ごしてしまいそう・・・。Mozartは1756年1月27日ここで生まれ7歳まで過ごした。館内にはMozartが幼い頃使用したヴァイオリンやピアノフォルテ、それに自筆譜、肖像画、多くの書簡などが展示されている。

 レジデンツ広場を通りかかるとフィアカー(観光馬車)が観光客を待っている。すぐ近くにドーム広場に面する初期バロックとローマ建築様式が混在した
大聖堂(Dom)がある。1598年火災により旧大聖堂の焼失したが、当時の大司教ヴォルフ・ディードリッヒが巨大な教会の建設を計画。その後1614年に2代後の大司教パリス・ロードローンの時代に再建された。高さ80mの左右対称の2つの塔がそびえ立つ堂々とした大聖堂の正面からの写真を撮ったつもり・・・だったがどうやら忘れてしまったようだ。ここのパイプオルガンはヨーロッパ最大級の規模を誇り、パイプは6000本も使われている。Mozartがここで洗礼を受け、1779年からオルガン奏者を務めている。と言うことはMozartはあのパイプオルガンを弾いたのだろうか?尚、ザルツブルク音楽祭に縁の深い名指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤンの葬儀は大聖堂で執り行われた。
 17時50分ザルツブルク中央駅前にあるホテル EUROPA へ到着。ホテルのドアを開けると正面に蝶の絵が飾ってある。初めは気がつかなかったが、よく見るとダリの署名があった。部屋の正面にホーエンザルツブルク城が見える。夕食後部屋に戻り窓から外を見ると、ホーエンザルツブルク城に虹がかかっている。ほんの一瞬の出来事で、あっという間に消えてしまった。西の空には綺麗な夕焼けが・・・ザルツブルク空港に着陸するのか、飛行機が飛んでいるのが見えた。
(注)画像をクリックすると、
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