10月1日(土)
阪神電鉄の株価は村上ファンドの参入により急激に上昇していたが流石に行くところまで行って下降線を辿っている。2000年頃から300円台、2005年初めからは400円前後をウロウロしていたが、9月半ばから突然動き出し29日には何と一時1245円をつけている。先週末の終値は867円と下げているが、恐らく当面400円前後までは下げ続けると見ている。3倍にも株価が跳ね上がる様な超ビッグなサプライズなどあるはずがなく、明らかに村上ファンドが仕掛けた仕手戦と看做せる。(株価の推移は こちら と こちら 参照)
村上氏は『純粋な投資目的であり経営権取得ではない』としている。それはそうかもしれない。まさか村上ファンドが阪神電鉄グループの経営に直接乗り出すとか、あるいは一部の”●●”がわめいている阪神ライブドアタイガース実現などとの幻想はあり得ない。”バリバリの大阪人”村上氏は阪神タイガースについて「球団名称、甲子園球場、縦縞のユニホーム全てに愛着を感じている。」とし、「経営陣にはブランド価値の一層の向上を期待する。」と球団売却などを要求する意図がないことを明言している。更に「株主として同社経営陣と緊密に協力し、企業価値・株主価値に向上のお手伝いをしたい。」としている。(詳細は こちら 参照)
今までに阪神電鉄と阪神百貨店の株式取得に少なく見積もっても1000億円費やしていると言われる。幾ら巨額の資金を動かせる村上氏と言えども半端な金額ではない。ある証券会社の専門家は「投資目的にしては買い過ぎ。株価が上昇したこの一週間で無理をして買っている。そう考えれば政策的な意図も浮かぶ。」とし、阪神タイガースという“超優良資産”の他沿線に不動産を多数保有しているグループに対して今後村上氏が資産の有効利用を求める可能性もあるとしている。しかしながら巨額の投資をしている村上氏は投資効率を考慮すると”長期的な視点”で悠然と構えていられるのだろうか?
阪神電鉄株式買占めの目的が真に経営参加でないとすれば,それはインカムゲイン?キャピタルゲイン?配当利子は年5円/株で利回りは0.48%に過ぎず、有利子負債2407億円、現金預金468億円では増配は考え難い。PBR(株価純資産率)3.2倍、PER(株価収益率)93倍と割高で、今後上昇するどころかむしろ元の400円前後に戻ると考えた方がよい。
加えて怪しいと思わせる材料として、10年前に発行された新株予約権付社債250億円の内かなりの残高が村上氏の手元にあることが挙げられる。阪神電鉄が開示したDocumentによると3601万7821株の転換社債を村上ファンドの子会社MACアセットマネジメントが所有している。ちなみに行使価格が505円なので残高は約181億8900万円・・・行使期限が今月末に迫っているとあれば非常に臭い。株価が400円台のままでは如何にも具合が悪い。値上がりが期待出来ないとすれば株価を吊り上げて高値の内に売り抜けた方がはるかにお得・・・。
もう一つ怪しいと思わせる材料として通常より早い大量保有報告書の開示がある。投資ファンドの場合5%ルールの特別ルールが適用される(こちら 参照)。わざわざこの時期に早めて村上ファンドが