2005.03.07

 今日午後4時フジテレビによるニッポン放送株式のTOBが締め切られた。明日にはTOBの結果が発表される。今までの報道ではフジテレビは目標の25%をクリアするのは確実・・・既に45%を超えるニッポン放送株式を保有するライブドアがニッポン放送への議決権を行使できなくなる見通しになっている。トヨタ自動車やアサヒビールなど一部の株主は「自社の株主に説明がつかない」などとしてTOBに応じていない。しかしながらフジテレビを支持する可能性が高い。

 
焦点はフジテレビの保有比率が1/3を超えたかどうかになる。既に述べている様に株主総会での重要事項の特別決議への拒否権が発動によりライブドアによるニッポン放送の経営を制限できる。一部報道によると同意した株主が議決権ベースで3分の1を超える公算が濃厚とのこと。それでもライブドアは着々とニッポン放送株式の買い増しを続け50%以上を目指している。市場に出回るニッポン放送株式数が少なく、今日現在ライブドアの保有比率は50%を超えていないと思われる。もし50%以上確保できれば当然の権利として取締役の派遣などで経営の実権を握れるとしている。その場合果たしてライブドアの狙いは成功したと言えるのだろうか?

 ますます今週中には出るであろう「新株予約権」発行差止めの仮処分の決定が注目される。東京地裁はどの様な決定を下すのだろうか?この訴訟の成り行き次第ではフジテレビvsライブドアの争いが一気に決着が着く可能性もある。

 ところで3月1日フジサンケイグループの元議長で創業者一族の鹿内宏明氏夫妻が以前に保有していた8・0%分のニッポン放送株式を売却先の大和証券SMBCに対し、「売買契約に抵触する法令違反などがあった」としてニッポン放送株の返還を求めて東京地裁に仮処分を申請した。昨年5月鹿内夫妻は信託受益権(=ニッポン放送株の配当などを得られる権利)を売却している。その後今年1月ニッポン放送株式が大和証券SMBCに譲渡されている。鹿内夫妻は「大和証券SMBCが事前にTOBを知っていて自分達から譲り受けたのであれが証券取引法違反」としている。

 宏明氏をフジサンケイグループから追放した所謂”クーデター”の中心人物は現フジテレビ日枝会長。鹿内宏明氏の日枝会長への恨みは半端なものではないだろう(詳細は『ぺんぺん草』第73段参照)。今回の仮処分申請は日枝会長の意趣返しとも言える。詳しい状況は知らないが、恐らく今回の宏明氏の行為はほとんど言いがかりと思われる。今日東京地裁で仮処分却下の決定が出た。

 2005.03.08

 
フジテレビのニッポン放送株式のTOBは36.47%(議決権比率で39.26%)を取得で成功した。最低目標値どころか狙いの1/3超を達成しライブドアによるニッポン放送の経営を制限できることになった。 ライブドアは市場でニッポン放送株を買い進め、既に43%程度(同46%超)を確保している。ライブドアはフジテレビが40%程度確保することは想定内とし50%超を目指し更に買い増しを続けるとしている。 これでニッポン放送の経営権を巡る争いはライブドアが申請しているニッポン放送によるフジテレビへの「新株予約権」発行差止め仮処分の行方に委ねられることになる。

 いろいろな圧力があるもので、野球中継やサッカー中継の広告主からライブドアが経営を支配した場合には「スポンサー契約を白紙にする」との声が出ている。
仮処分判断に向けて社員のライブドア支配反対声明、続いてスポンサーからの契約白紙の圧力などで、ライブドア傘下ではこうしたニッポン放送の企業価値が棄損するとの印象を司法に与えようと言う狙いとも受け取れる。

 フジテレビが1/3超を達成したことを受けてライブドア株式の売りが相次ぎ、4日続落で前日終値比9円安の315円で取引を終えた。一方ニッポン放送株式は前日終値比270円安の6330円で取引を終えた。TOB終了により5950円の保証がなくなり場合によっては大幅下落もあり得ることに加えて、上位10の株主の保有比率が80%を超えて東証上場廃止も確実になるなどマイナス材料が売りを誘った。このままニッポン放送株式が下落を続けるとライブドアの保有株式の評価損が大きくなりダメージを受けないのだろうか?当面3社の株価は様子を見ながら複雑な動きを見せるものと考えられる。

 2005.03.09

 ライブドアが議決権ベースで50%超のニッポン放送株式を保有しても、現時点では臨時株主総会を招集して取締役の解任はできない。ところが今年6月の定時株主総会で全ての取締役が任期満了となる。今年3月末時点でライブドアが50%超を確保していれば、株主総会の普通決議で取締役の総入れ替えが可能になる。ライブドアは取締役会を押えることで経営権を握り、ニッポン放送株式の第三者割当増資を行なう考えと報じられている。

 
その狙いは何か?第三者割当増資でフジテレビの保有比率を25%以下に下げれば、ニッポン放送のフジテレビへの議決権が復活する。フジテレビのTOB成功が無意味になってしまう。更に増資で得た資金を基にフジテレビの発行株式の25%超を取得すれば、フジテレビのニッポン放送への議決権が消滅する。そうなれば有効な議決権数が減少し、結果的にライブドアがニッポン放送株式の2/3超の保有となる可能性がある。ライブドアはフジテレビの経営への影響力は持つことができないが、ニッポン放送の単独で経営の実権を握ることができる。

 いずれにせよ「新株予約権」の発行差止め仮処分の東京地裁での審理が注目される。結果如何では今回の騒動の行方が大きく変動する。しかしながらそのまますんなり収まるとは思えない。フジテレビvsライブドアの一騎打ちは長期戦になることは必至・・・すると両者の体力(耐力?)勝負になりそう?

 ニッポン放送がライブドアの傘下に入った場合にフジサンケイグループ各社が取引を中止する意向を表明したことに関して、公正取引委員会の竹島委員長は衆院経済産業委員会で「
独占禁止法には抵触しない」との考えを示した。竹島氏は「取引の自由で、市場に実質的制限が生じるわけではない」と述べる一方、「グループ外の他社と同調してボイコットすれば独占禁止法に抵触する」としている。

 堀江氏の持ち馬”
ホリエモン(JRA所属)”が3月日大井競馬第Rに体重前走Kg減で出走し、何の見せ場もなく着に敗れた。これで昨年9月のデビュー以来5連敗中で今回の8着が最高順位、次走は3月17日の船橋競馬場を予定しているとのこと。8日、8R、8Kg減、8着という結果に、関係者は「馬の方もよっぽどフジテレビ(8ch)が好きなのだろう。ご主人様にこの馬の苦戦続きがうつらなければいいが。」と苦笑いしているとか・・・。

 2005.03.10

 「MSCB」の転換価額の変更により、リーマン・ブラザーズのライブドア株式の潜在的な保有数が約2億5000万株となった。当初の転換価額450円から3月7日に319円に引き下げられた。現時点でリーマン・ブラザーズが「MSCB」を全て株式に転換した場合、ライブドア株式保有比率は28.4%となる。

 リーマン・ブラザーズは2月24日に堀江氏から借りていたライブドア株式約4672万株を全て返済した。ところが堀江氏が更に買収資金が必要になったのか、
リーマン・ブラザーズが3月1日から7日にかけて4回ライブドア株式を計3887万株借りたことが判明している。また6回に亘り約2732万株を売却したことも判明している。状況によってはリーマン・ブラザーズが借株、売却を繰り返し、更に転換価額が下落する可能性もある。するとリーマン・ブラザーズの潜在的なライブドア株式保有比率が更に増えることになる。リーマン・ブラザーズの狙いは不明だが、もし1/3を超えればライブドアの経営に大きな影響力を持つことも可能になる。

 先ほどNHKのNewsで
ニッポン放送の次なる対抗策があると報じている。ライブドアが『時間外取引』で獲得した約32%について違法性ありとしてニッポン放送株式の名義書換えを拒否する方針とのこと。ニッポン放送は現在進行中の仮処分の決定内容を見て実施の判断をするとしている。もしこの方針が通ればライブドアの議決権は大きく減少することになる。ライブドアはニッポン放送に対して近々名義書換えを要求するが、果たしてどうなるだろうか?これもまた司法の場に決着が持ち込まれることになるだろう。

 2005.03.11

 今日夕方
東京地裁はライブドアが求めていたニッポン放送「新株予約権」発行差止めの仮処分を認める決定を出した。東京地裁は「今回の発行は支配権の維持が目的」としている。第三者割当増資の合理性、資金調達の必要性は認められなかった。第一ラウンドはライブドアの勝利となったが、これで全て終わった訳けでない。ニッポン放送は即刻東京地裁に異議申し立てを行なう。 異議申し立て審理は別の裁判官が担当するので決定が覆る可能性もある。更に高裁・最高裁まで争われるのは必至、両者は地裁決定理由での指摘を基に裁判所でより説得力ある説明が求められている。どうなるのかまだまだ予断を許さない

 堀江氏はニッポン放送株式を50%超取得して取締役会を掌握し、経営権を握り第三者割当増資を行ないフジテレビの保有比率を大幅に下げるとしている。しかしながらこの行為は今回の場合と全く逆と言えるのではないだろうか?ライブドアによる”ニッポン放送の支配権維持が目的”と看做されて増資差止めとなると思われるが・・・?第三者割当増資の合理性、必然性を証明できるのだろうか?

 今回「新株予約権」発行差止めが認められたことで、
ニッポン放送は裁判と並行してライブドアが『時間外取引』で取得したニッポン放送株式の名義書換え拒否を真剣に検討すると思われる。株式の名義書換えができなければ折角購入しても株主としての議決権が行使できない。そう簡単に思惑通りコトが運ぶだろうか?ライブドアが名義書換えを求めて提訴するのは明らか。またまた司法の判断に委ねられることになる。ニッポン放送としては、「時間外取引で購入した株券の選別」、「ライブドアの『時間外取引』の違法性立証」などの説明をキチンとしなければならない。但しこのままライブドアによる仮処分申請が確定すると、ライブドアの『時間外取引』でのニッポン放送株式取得が違法ではないとしているので名義書換え拒否は困難かもしれない。

 ところで今朝東証の立会い開始直前の午前8時58分、ニッポン放送株式9万6000株(発行済み株数の0.29%)が、の時間外取引で売買された。売買価格は前日の終値を360円も下回る1株6000円、現在何かと話題になっている『時間外取引』だけに売り手/買い手が誰なのか様々な推測がある。問題視されているだけにライブドア、フジテレビが買い手とは思えない。フジテレビvsライブドアの一騎打ちの行方に影響力を持ちたい第三者?フジテレビ、又はライブドアに友好的な第三者?


 2005.03.12

 ニッポン放送の有力株主として動向が注目されている村上ファンドの村上代表が、引き続きニッポン放送株式を保有して6月の株主総会でも影響力を行使する意向を示している。村上ファンドは1月時点で18.57%を保有していたが、その後どの程度手放したかは不明のまま。今回の村上氏の発言で3月末にはある程度のニッポン放送株式を保有することがはっきりした。もし村上氏が売却していれば近々大量保有報告書が提出されるので状況が具体的に判明する。
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