2006.4.17

 昨夜20時35分に
ドリームテクノロジーは『平成電電に対するスポンサー支援中止のお知らせ』を開示した。同時に社長コメントを出している。当初から平成電電の如き行く末の怪しい企業に巨額資金を注ぎ込む価値があるのかどうかには疑問があり、予想通りの展開で別に驚くべきことではない。尤も怪しい企業との意味合いではドリテクも同義だが・・・。さてドリテクの撤退により平成電電は再生計画を見直し新たな再生スポンサーを探さなければならない。昨年12月にドリテクが再生スポンサーにきまった時よりも平成電電の状況は悪化しているので、新たにスポンサーとして名乗りを上げるところが出て来るとは考え難い。それともどこか奇特なところが現われる・・・?恐らく平成電電は”The End”になると見ている。

 ドリテクは平成電電が4月10日に東京地裁に提出した再生計画案について「実現可能性に乏しい」と一刀両断に切り捨てた。更に「提出されている事業計画に従い再生支援を行えば100億円以上の特別損失が発生」としている。早い話がドリテクは「
杜撰な再生計画に付き合っていたのでは我が身が危うい」と主張している。そんなことはドリテクが再生スポンサーに名乗りを上げた時から充分に予想出来た筈だが・・・。それよりもむしろドリテクは赤字企業、言い換えれば足下がおぼつかない企業が他社の支援に乗り出す立場にない。結局ドリテクがよそ様の支援なんて初めから無理があったのでは・・・。
                       (
ここまで4月16日記述

 社長コメントでは『現預金は潤沢にあり、2006年4月14日現在130億円、転換社債(新株予約権付社債)の繰上償還等の影響を加味しても80億円ほど保有』と資金面での不安無いことを強調している。確かに当座の資金繰り悪化で直ちに可笑しくなることはないが、将来に向けての発展性との面から見るとどうなのだろうか?ドリテクの核となる事業の2本柱の内通信サービス事業からの撤退を余儀なくされる。『ITソリューション事業に続く事業についてはM&Aの活用も含めて積極的に事業ポートフォーリオを拡大すべく検討中』としている。結局今回の失敗で経営戦略の大幅見直しの必要性が生じた訳であり、
ドリテクの将来には暗雲が漂っていると言わざるを得ない。そんな不安を抱えていてはモロに株価に跳ね返り、終値はストップ安比例配分(出来高:1万3100株)の1万5920円で取引を終えている。

 一方今日の午前中に
平成電電は『ドリームテクノロジーに対するスポンサー契約に基づく資金支援の要請について』を開示している。断崖絶壁に追い詰められて青息吐息・・・一言で言えば「今日中にドリテクからの資金支援がなければ民事再生の手続きを継続出来ない」と泣き言を並べてドリテクに対し「約束を守って」と叫んでいる。平成電電は再生計画案とは到底言えない代物を提出しておいてよくも大きな口を叩けるものと呆れ果てる。尤もドリテクも再生スポンサーとの名乗りを上げるほど信用の置ける企業ではない。早い話がどっちもどっちと言ったところか・・・。

 夕刻の記者会見で平成電電の佐藤社長は「ドリームテクノロジーのスポンサー支援が打ち切られたことを受け民事再生法手続が遂行できない状態」と述べた。近々東京地裁から民事再生法手続き廃止決定、及び資産保全管理命令を受けることになる。
必死の抵抗もむなしく平成電電の事実上倒産(清算)が決定した。民事再生法適用申請で延命を図り再生スポンサーとして(最も相応しくない)ドリテクを選定したが徒労に終わった。尤もドリテク以外の企業を選んだところで所詮結果は同じ・・・。

 先週末呼値の値幅制限が撤廃され
アドテックスの株価がどの辺りで寄り付くのか注目していた。思いの外早く前場10時15分頃に前日比1630円安の1000円で寄り付いた。その後来高を伴いつつ小刻みな上下動を繰り返しつつ深く沈んで行った。後場には一時580円まで下げたがその後少々盛り返し、終値は前日比1900円安の740円で取引を終えている(こちら 参照)。出来高:82万1149株(発行済み株式の2.14倍)、高値:1080円、安値:580円とはまさにマネーゲーム以外の何者でもない。仮に民事再生法適用で再生するにしても100%減資で紙屑になる可能性の高い株式の売買には尋常な感覚では到底手が出せない。尤も世の中の”火遊び”の好きな方が自己責任で好き勝手に遊ぶ分には何も口を挟むことはない。

 
ペイントハウスは上場廃止禁止仮処分命令申立に関する特別抗告ならびに許可抗告申立を行なっているが、今日東京高裁より許可抗告申立について却下の判断が下された(こちら 参照)。近々最高裁より特別抗告への判断が下されるが、ペイントハウスはその決定を待って今後の対応を検討するとしている。最高裁にて判断見直しがある場合は口頭弁論が行なわれるが、未だに何も無いところからすれば上告棄却は間違いない。4月中には一連の抗告にケリがつくと見られる。それまでペイントハウスの悪あがきは続くが、JASDAQがその後上場廃止を決定する可能性が高い。

 2006.4.18

 6月開催の
ライブドアオート株主総会でLDは新たに指定する7人の取締役選任を求める株主提案を行なう。提案では取締役数を11名から12名に増員することを求めている。新たな取締役候補の中に今年2月に代表取締役を解任された羽田氏が含まれる。”ライブドア事件”直後に旧ジャック・ホールディングス経営陣が中心となり、ライブドアから送り込まれた社長(当時)の羽田氏を追い出した経緯がある。ライブドアは反旗を翻している井上氏など2名の取締役は再任しないと見られ反対勢力は一掃されることになる。結局は権力闘争に意趣返しが加わり醜態を晒しているに過ぎず、傍から見るとただ単に
見苦しいお家騒動でしかない。未だにこんなことで世の中を騒がせる様ではお話にならない。

 ライブドアオートの現経営陣はグループからの離脱要求、旧経営陣に対する損害賠償請求方針などLDへの対決色を色濃く打ち出している。「好き!」と囁いて擦り寄った恋人に具合の悪い出来事があり「どうしてくれる!」と恨んでいる様なもの・・・。この動きに対し
LDは数の力で経営の主導権を力づくで奪い返しライブドアオート株式売却などについて主導権を握る狙いがあると見られる。ライブドアオートは「LDは自らの責任を反省しておらずこのような提案は納得できない」として弁護士と対応を協議するとしている。しかしながらLDがライブドアオートの発行済み株式数の51%を保有しているとあれば”数の論理”で何でも思い通りに出来。具体的にライブドアオート現経営陣がどの様な対抗策を打ち出すのか注目している。

 平松新体制になったところで平松氏の独自色を出すことは難しい。まして現在平松氏は取締役ではなく執行役員社長とあれば実質的に何も出来ないに等しい。平松氏は(極端に言えば)緊急事態対応への”雇われ”社長として祭上げられたと見ている。平松氏は6月の株主総会で代表取締役社長に就任することになるが、果たしてどれだけ力を発揮することが出来るのだろうか?今回の意思決定に平松氏はどの様に絡んでいるかは分からないが、
今回の様な騒動を巻き起こしているのでは平松新体制も旧経営陣同様さほど期待出来そうにも無い。見掛けだけを変えて誤魔化そうとしたところでLDの本質に何ら変化は感じられず信用に値しない

 ライブドアの子会社
MEXについて読売新聞が「取締役を2名増員して9名としライブドアから4名派遣。ライブドアの持ち株比率を下げた後も取締役の過半数はMEXが押える」と報じている。この報道に対しMEXは「現時点では決定した事実はない」とのコメントを出している。一方ライブドアとは建設的、かつ友好的な協議が進めているとしているので、恐らく6月の定時株主総会に向けて具体的な話合いが行なわれていると考えられる。『ライブドアの保有比率をLDM並みの30%弱に下げ関連会社としてMEXをライブドア・グループの一員に残す道を模索している』と推察している。ライブドアオートの場合は双方が感情的になっているので後味の悪い決着となる可能性があるが、こちらは友好的に話合いが進んでいると思われる。いずれにせよ近々実態が明らかになる。

 朝日新聞が「阪急ホールディングスが週内にも臨時取締役会で阪神電鉄株式の全取得方針を決定」と報じている。この報道に対して
阪急ホールディングス(旧阪急電鉄)は「現時点では株式取得の実施の有無を含め具体的なことは何も決定していない。週内に機関決定するようなこともない」とのコメントを発表した。更に『阪神電鉄との関係強化を通じた事業競争力の強化について検討に着手』としている。両社の関係強化には業務や資本の提携、事業の協業を通じた連携など幅広い内容が含まれ、村上ファンド保有の阪神電鉄株式取得も選択肢の一つとされる。

 一方
阪神電鉄「企業価値向上策について様々な検討をしているが現時点で決定した事実は何もない」との型どおりのコメントを発表した。関係者からの正式発表前にこの様な形で報道された時のお決まりのパターンだが、”火の無いところに煙立たず”の例えの如く水面下では村上ファンドを含めた話合いが行なわれていると推察される。場合によっては事態の急展開があるかもしれず目が離せない。ところで阪急が大株主になったからと言ってまさか『阪急タイガース』にはしない、いや出来ない筈・・・。そんなことをしたらどうなるかは”火を見るより明らか”・・・。

 
平成電電は東京地裁より民事再生手続廃止決定、及び保全管理命令を受けた(こちら 参照)。 河野弁護士を保全管財人として愈々破産処理に入るが、資産らしき資産が無い状態では清算となることは間違いない。3月末時点での負債総額は約1300億円に達するが、債権者への債務の戻りはほとんど期待できない。匿名組合関係だけで1万9000人にも及ぶ債権者は結局泣き寝入りになる可能性が高い。既に平成電電出資被害者結束委員会平成電電被害対策弁護団が活動しているが、破産確定との末期的(悲観的)状況に今後どの様に対応して行くのだろうか?

 2006.4.19

 東証は昨今の株式投資ブームの追い風に乗り大幅な増収増益となった。2006年3月期(連結)の売上高は対前年度比22%増の約650億円、当期純利益は対前年度比240%増の約170億円との好決算の数値が出ている。好業績には『
昨年度より注文件数が反映される様に手数料体系を変更』したことが反映している。東証1部、2部、マザーズ合計の取引高は591兆円と対前年度比69%と大きく伸びている。取引高が大幅増加は結果として取引件数増となり、東証が証券会社から受け取る手数料が必然的に増加する。東証としては(結果として)経費が増えずに売上高が増えたことになり大幅な当期純利益増に繋がった。さて東証がこれだけの好業績であれば誤発注問題の後始末に影響が出る可能性がある。みずほ証券としては”東証の一人勝ち”のままでは当然面白くない。(現時点では表面化していないが)誤発注問題の後始末を巡り当事者間で大揉めになることも考えられる。

 米外資系投資ファンド「The Baupost Group, L.L.C」が4月18日に提出した大量保有報告書により、上場廃止決定後LDM株式を取得していることが明らかになった。上場廃止直前の4月5日から11日にかけて52万7956株(発行済み株式の6.62%)も駆け込みで購入している。LD株式よりもはるかに危ういにも関わらず保有目的は「純投資」とある。いったい何を目論んでいるのだろうか?そう言えば4月12日時点でLD株式も8.19%保有している。怪しさに満ち溢れている。

 更に今日になって香港外資系投資ファンド「
Gandhara Master Fund Ltd.」がライブドア株式8668万4235株(発行済み株式総数の8.26%)を取得したことが判明した。2月27日時点で6.89%を取得していたが、最終取引日の4月13日まで買い続けていた。ここも保有目的は「純投資」とあるが、そんなことは到底信用出来ない。驚くことに海外の投資ファンド4社合計の保有比率は約32%と高い。ライブドアに寄ってたかって何をしようとしているのだろうか?意地汚い”禿げ鷹ファンド”は何を企んでいるのか分かったものではない

 
エフェクターの株価は先週までは9万円近辺にウロウロしていたが今週に入り下に向かって大きく動き出した。3日間累積で7800円下げて今日の終値は前日比800円安の8万1400円で取引を終えている。ここにはマイナス材料しか見当たらないが、時として3月末のストップ高2連荘などの不自然な動きを示す。今回も毎度お馴染みのインチキパターンで不自然な上昇の後に下降線を辿っている。恐らくこのまま下降傾向は変わらずまずは7万円目指してまっしぐらと見ている。そう言えばここの新規上場時の主幹事はライブドア証券・・・ライブドアが絡むとロクでもないことばかり起きる。やはり
『ライブドア』は一刻も早く世の中から消えた方が”世の為人の為と言える。

 
ライブドア証券が3月30日のドリームテクノロジーMSCB繰上償還決定後も株式転換→売却していることが判明した。発表直後の4月3日には1万4632株分の株式転換を行ない売却している。4月12日時点で19万219株分のMSCB残高がある。4月13日以降については次回の大量保有報告書を見ないと分からないが、ライブドア証券は株式転換→売却を進めていると推察される。転換請求満了日が5月1日なのでそこまではライブドア証券は自由にMSCBを処分出来る。3月30日時点の未償還残高28億円が繰上償還期日の5月2日にどこまで減少しているか注目される。”強欲な”ライブドア・グループのことだから権利を主張して積極的?に利益確保を図ってくるかもしれない。ちなみにドリテクの株価はストップ高(2000円高)の1万7000円で取引を終えている。ある程度株価が下落した時点で今までに何度も”●●”騒ぎを演じているので、もしかしたら今度もまた同じになるかもしれない。

 
阪急ホールディングスが『新たな持ち株会社を設立して阪神と対等な形で経営統合を目指す』と報じられている。ここに来て急速に合併話が浮上している背景には阪神電鉄に「このままでは6月の株主総会で村上ファンドから無理難題を吹っ掛けられても拒めない」との切実な危機感が滲み出ている。実質的に(議決権ベース)で過半数超を村上ファンドに握られている現状では言い成りになるしかない。阪神電鉄は同地区同業種の阪急との併合には抵抗があるが、”背に腹は代えられず”条件さえ整えば応じる可能性が高い。とするとやはり最大のネックは売却価格・・・どの辺りで折り合いのだろうか?水面下で阪急vs村上ファンドの激しいせめぎ合いが続いているものと見られる。折り合いがつけばTOB→経営統合へと進むことになるのでは・・・。

 2006.4.20

 昨年来ライブドア、村上ファンドなどが法の盲点を突いて突如経営権を左右する大株主として出現する事態が相次ぎ問題になっている。市場内外での取引を巧みに組み合わせTOB対象外とする手法であり、極めて”灰色”にも関わらず微妙に法の穴をすり抜け規制出来なかった。これに対し
融庁は”ならず者”の買収者の出現に歯止めをかける為TOB義務付けをルール化(明文化)する。一般投資家には分かり難い買収案件を出来る限り”ガラス張り”にする狙いがある。現通常国会で審議中の金融商品取引法案が成立後に政令で正式決定する。「法に触れないことをやって何が悪い」と居直る”ならず者”に対しては厳格な法規制で対抗する必要がある。性善説に則っていたのでは悪が蔓延る世の中になる。”人間は本来悪”との前提(=性悪説)に則り物事を考えなければならない。

 
政令では取引期間と買い増す株式の量などにより新たにTOBを義務付ける条件を明示する。日本経済新聞によると『3ヶ月以内の株式売買を一連の取引と看做し、この間に市場外で企業の発行済み株式の5%超を取得し、市場内と合わせて10%超を買い集め、保有割合が1/3超の場合にはTOBを義務付けることなどが柱』とある。どこまで規制の網がかかるのかは政令を見ないと分からないが、少なくとも堀江氏、村上氏が昨年使った手法については規制対象になる。本来であれば完全無欠が理想だが、実際には100%手当てするのは難しい。ずる賢い輩は目を光らせて法の穴を見つけ出し突いて来る。 その場合には行政は速やかな対応で悪を撲滅する義務がある。

 昨日サンライズ・テクノロジーが『株主優待に関するお知らせ』を開示した。2006年3月31日時点の
1万株以上の株主を対象として持ち株に応じて5万〜40万円の自転車が贈呈される。「どこの自転車?」と見ると連結子会社の『丸石サイクル』とある。丸石サイクル・・・?どこかで聞いたことがある。かつて東証2部に上場していた丸石自転車のことで2004年9月に倒産した。また元社長の架空増資事件で世間を賑わせたことも記憶に新しい。サンライズ・テクノロジー(当時プライムシステム)がロータス投資事業組合から約86%の株式を取得し子会社化している(こちら 参照)。

 怪しさたっぷりの企業の株主優待が曰く因縁のある子会社の製品とは・・・。価格から判断すると結構良い自転車で貰ったら嬉しいに違いない。しかしながらサンテクは虚偽記載の疑いで監理ポストに割り当てられている経緯がある。そんなに張り切って大奮発して「大丈夫?」と心配になる。3月28日に開示した『2006年9月期業績予想の修正(連結・単体)』では上方修正している。発表された数値を見る限り業績は好調であり粉飾でなければ問題ない。それでもサンテクは素直には信用出来ないが・・・?

 昨日
ドリームテクノロジーは『代表取締役異動のお知らせ』を開示した。5月1日付で櫛間代表取締役会長は支援を予定していた平成電電の破産手続き開始決定に対する引責辞任の形でを取締役を退任する。しかしながら全くドリテクと無関係になるのではなく一般社員として残る予定になっている。役員を辞めても一般社員として残るのは何故だろうか?ドリテクへの深い忠誠心があるとは到底思えないが・・・。この様な場合通常綺麗さっぱり身を引くが、何か裏があると疑惑の目を向けるのは考え過ぎだろうか?何やら見苦しく思われるが・・・。

 2003年8月櫛間氏は当時のドリテクの大株主平成電電から取締役として送り込まれ、同年12月社長就任、2005年6月会長に就任した。会長就任後の12月ドリテクは平成電電の再生スポンサーに決定したが、結局は上手く行かずドリテクは支援を打ち切ることになった。結局大失態への責任をとる形で櫛間氏はドリテクの経営から身を引くが、見方を変えれば櫛間氏を送り込んだ平成電電に顔向け出来なかったのでは・・・?櫛間氏辞任で経営陣から平成電電色が消えるかと言うとそうではない。現社長の池田氏は昨年6月に平成電電から取締役として送り込まれている。池田氏も同じく引責辞任しそうなものだが、櫛間氏退任で取締役が3名となり辞めるに辞められない事情がある。当面池田体制で行くのだろうか?それとも新取締役選出で社長の途中交替があるのだろうか?

 2006.4.21

 東証は上場企業の新株発行規制を強化する方針を固めた。新株式が発行済み株式の20%超に該当する場合には株主総会の承認を必要条件とする。MSCB、第三者割当増資、新株予約権などが規制対象となる。昨今の新興企業などのMSCB発行では発行株式数の急増で(既存)株主の利益を平気で毀損する行為が目につく。安易な資金調達の為に”打ち出の小槌”を濫用する不届きな行為を許してはいけない。東証は今年の夏を目処に情報開示ルールを整備するとしている。規制を一段と強化する為には法改正が必要と考えるが、金融庁に対し法改正を求めるかどうかは分からない。

 昨年のライブドアの”ニッポン放送乗っ取り騒動”の時も堀江氏はMSCBを発行して多額の資金調達を行なった。直近では最近民事再生法適用申請したアドテックスの場合は醜悪以外の何者でもない。借金返済の為に(一部は未遂に終わったが)全て実行されれば発行済み株式の数倍に相当する新株式が発行される予定だった。アドテックスは臨時株主総会を開催して承認を得ているが、
経営陣側の株主だけで楽に議案を通せる状況では株主総会は(形式的な)儀式に過ぎない。形だけ整えて”何でもあり(形骸化)”の危険性を孕んでいる。今回東証が打ち出した規制はそれなりの効果が見込めるが、抜け道が幾らでも考えられる目の粗い”ザル”では効き目が薄れる。
根本的な問題/課題解決に向けてより本質に踏み込んだ規制、更には法改正が必要と考える。

 東証は1月26日から後場開始時間を30分繰り下げ措置を執っていたが、週明けの24日に措置を解除し3ヶ月ぶりに正常に戻る。先物取引との時差が相場の乱高下を招いているとの批判を浴びていた。それでも東証の脆弱なシステムのダウンに繋がるとあっては緊急避難的措置は止むを得なかった。昨今注文件数、約定件数が現行の処理能力を大きく下回って推移していることから早目の解除判断となった。5月のシステム処理能力増強では約定件数:700万件、注文件数:1200万件、更に年内には注文件数:1400万件となるが、コンピューターの老朽化が進んでいる現状ではあくまでも暫定対応でしかない。”ライブドア事件”発覚直後の様に取引量が想定外に膨らんだ場合は売買停止との異常事態に陥る危険性を抱えたまま市場運営が続く。いずれの証券取引所もこんな”恥晒し”な情けない状況を2度と引き起こしてはならない。投資すべきところには投資して信頼回復に努める義務がある。

 『
ライブドアがライブドア証券をグループから早期に分離する方針』と報じられている。経営統合まで視野に入っているUSENへの売却が有力だが、USENの経営戦略次第では第三者へのLD証券株式売却もあり得る。LDとしてはグループの収益の柱でもあるLD証券を手離したくはない。しかしながら証券取引法の規定により刑事罰(罰金刑以上)を受けた企業は証券会社の株式を20%以上保有出来ない更には『ライブドア』ブランドの著しい毀損とあってはLD証券のままでは業務が立ち行かなくなる可能性がある。諸事情を勘案し泣く泣く「グループから早期に切り離した方が得策」と判断したと思われる。

 
アドテックス株式の取引は今週に入り出来高激増で活気に?溢れている。上場廃止決定後「呼値の制限値幅撤廃」を間に絡ませて6営業日連続のストップ安、そして今日は一転してストップ高(80円高)とは何とも賑やか・・・。ストップ高とは言っても高々510円、加えて1株単位で売買出来るとあればマネーゲームとして遊ぶには手頃感がある。民事再生法適用になっても100%減資、ならなければ倒産といずれは”紙屑”になる可能性の高いボロ株式を真面目に取引しているとは到底思えない。上場廃止まで残り12営業日・・・その間株価はあっちへふらふら、こっちへふらふらと千鳥足でのた打ち回ると推測される。現状はまさにトランプの”ババ抜き”ゲームの真っ最中・・・(倒産確定により早まる可能性があるが)最終取引日の5月12日のゲームセット時点で”牌”を握っている方が”ババ”を掴むことになる。

 株価推移表その3を見て頂きたい。いずれもライブドアがMSCB引受けで絡んだ銘柄だが、どれも現在株価低迷で苦しんでいる。ライブドアとの醜悪な”疫病神”に獲り付かれ今でも病魔に苦しめられている。アドテックスに到っては自らの愚行が祟り民事再生法適用申請と事実上倒産状態にある。プラネックス・コミュニケーションズは昨年11月初めにMSCBの株式転換が終了しているが、その後の下落により現在では株価は1/3程度になっている。Yozan、ダイナシティいずれもMSCBの株式転換が未了であり、株価が低く抑えられたまま当面苦しい状態が続くのが目に浮かぶ。いずれも自らの愚行がその身に跳ね返ったものであり自業自得と言えばそれまでだが・・・株主には迷惑千万でたまったものではない。

 2006.4.22

 USENの宇野氏は昨日の決算発表会にて『ライブドア株式の過半数超を取得して子会社への意欲』をを示した。現在実施中の資産査定の結果にもよるが、取り敢えず宇野氏が取得したライブドア株式12.75%をUSEN本体に移した後に更に保有比率を高めることを検討している。その場合には「USEN株式との株式交換」が軸になる。状況によっては第三者割当増資の引き受けの案も浮上する。しかしながらUSENとライブドアの経営統合の前には大きな壁が立ちはだかり話は簡単には進まない。

 まずは
ライブドアの資産査定結果に問題が無いことが大前提となる。次にUSEN(宇野氏)は現時点では12.75%保有の(単なる)大株主でありライブドアに関して大きなことを言えるほど基盤は強くない。筆頭株主の堀江氏、4月13日時点で約32%を保有する外国系投資ファンド4社、それに今でも数多く存在する個人株主などから多くの支持を取り付けなければ何も出来ない。その為にはUSENがライブドアの助っ人として頼り甲斐のある存在でなければならない。言い換えれば
USENの業績向上(財務体質や収益力の強化)がMust条件となる。2005年8月末時点での約1400億円の有利子負債削減、2006年8月期での売上高/利益の増加がポイントとして挙げられる。

 ところで4月20日
USENが開示した『2006年8月期業績予想(連結)』により業績の下方修正が明らかになった(中間決算短信 参照)。開示によると売上高(連結)は伸びが鈍化しているものの増収になっているが、戦略的経費の増加により経常利益が大幅減益となっている。当期純利益では前年度の大幅赤字から僅かながら黒字へ転じている。この業績をどの様に見ることが出来るのだろうか?財務面からは有利子負債削減には繋がらず、また売上高/利益面からは必ずしも強固な成長基盤があるとは感じられない。
脆弱な体質のまま(お荷物になるかもしれない)ライブドアを抱え込むのは見掛けばかり大きな”張子の虎”になる恐れがある。”目一杯虚勢を張って暴走を続けたライブドアの狂気の姿”が脳裏に浮かぶ。現状では無理な拡大路線を歩み自滅したライブドアの二の舞になる可能性すらあり得ると危惧している。

 ところで
USENの株価は業績の下方修正に敏感な反応を示し、昨日の終値はストップ安(400円安)の1995円と急落して取引を終えている。J.P.モルガン証券では4月20日付でUSENの投資評価を「ニュートラル」(中立)から「アンダーウエート」(弱気)に、妥当株価も3300円から1900円に引き下げた。ライブドアとの業務・資本提携、更には子会社化まで見据えているUSENの足下が不如意と見られたのか、ライブドア・グループの株価は軒並み下げている。いずれもライブドアでなくてもどこかの傘下に入りたいとの意思があり、当面ライブドアの資本・業務提携先の情報に一喜一憂する状況が続く。

 ところでUSENの株価に関して気になることがある。昨日のストップ安は業績の下方修正に嫌気が差されての暴落は当然と言える。業績下方修正の開示が4月20日の大引け後にも関わらず、4月20日には出来高が前日の約11倍に急増し終値も245円安と大きく下げて取引を終えている。どう見ても不自然に思える。
情報がどこかに漏れて先に売り抜けを画策した悪い輩の存在に疑いを持つ。時としてこの様な怪しい動きが見られるが目にする度に不愉快になる。

 阪急ホールディングス(阪急HD)による阪神電鉄買収の件が急展開を見せている。『
阪急HDは来週の取締役会で阪神電鉄株式のTOB方針を了承』と報じられている。阪神電鉄は阪急HDのTOBに賛同する意向とされる。共同持ち株会社設立、「阪神―阪急百貨店」(仮称)など様々な話が報じられているが、まだまだ不確定要素が多くいずれ状況が明らかになった時点に取り上げることにする。阪神電鉄は一刻も早く村上ファンドの呪縛から逃れたいとの意思が強く条件さえ整えば阪急HDとの経営統合に応じる可能性は高い

 さてそうなると
最大の焦点は村上ファンドとの買付け交渉となる。阪急HDは現時点の阪神電鉄の株価を村上ファンドの買占めにより吊り上げられたと見ているのでDiscountした価格を提示することになる。阪急HDは既に阪神電鉄の資産査定を開始しているが、果たしてどの程度の買付け価格設定になるか注目される。一方村上ファンドとしては約650円程度の平均取得価格を出来るだけ上回る価格で売却して利益拡大を狙っている。両者の買付け価格には開きがあると見られ交渉難航が予想される。村上ファンドとしては出資者への配当確保の為にも注ぎ込んだ約1200億円が塩漬け状態になっても困る。そうかと言って阪神電鉄の経営権を実質的に握ったとしても短期的に多くの利益は見込めない。やはり現時点で売却するのが最良の選択と見られるが、果たしてどこで折り合いをつけるのか注目が集まる。

 2006.4.23

 金融庁の貸金業制度等に関する懇談会は『出資法が定める年29.2%の上限金利を引き下げ、利息制限法に基づく同15〜20%の上限金利に統一』する方向で一致した。利息制限法の上限金利と出資法の上限金利の狭間が所謂『グレーゾーン(灰色)金利』で現在大きな問題として取り上げられている。金融庁は今年秋の臨時国会に懇談会の提言を盛り込んだ関連法の改正案を提出する。但し貸金業規制法は議員立法なので改正案も議員立法として提出される。法改正が実現すれば利息制限法の上限金利を超す貸付けは禁止される。

 この動きに対し貸金業界は懇談会の席上「上限金利を下げると経営が成り立たなくなる」、「金利を下げると貸せない人が増えヤミ金融に流れる」などとグタグタ文句を言っている。貸金業界はあの手この手で政界に強く働きかけ必死に抵抗する姿が目に浮かぶ。法案化の過程で貸金業界の意向を取り入れ様とする(鼻薬を嗅がされた)国会議員の画策が活発になると予想される。●●”な政治家、■■”な貸金業界の愚挙を排除して法改正を実現しなければならない。

 元々法律が二つあり異なる上限金利が設定されていること自体明らかに可笑しい。貸金業者が利息制限法の上限金利を越える利息を取るのは違法行為だが、現実には堂々と上限金利を越える利息を徴収している。貸金業界は複数ある法律の自らに都合の良いところを組み合わせ暴利を貪っている。 何故この様なことが罷り通るのだろうか?貸金業規制法には利用者が任意で支払う場合は例外的に有効とする「みなし弁済」規定がある。出資法に定める上限金利一杯で債務者に貸し出し、みなし弁済を悪用して回収する貸金業者が多い。つまりみなし弁済を”隠れ蓑”にしている。みなし弁済の要件は厳しき定められているが、果たしてどれだけの貸金業者が必要要件を満たしているかどうか疑わしい

 ところで消費者金融の様に無担保で簡単に金を借りられる仕組み”にも問題がある。Riskが大きいので当然高利になり債務者の負担が膨れ上がる。返済能力に問題がある債務者が多いので返済が滞ることもよくある。借金返済の為に借金を重ねる所謂”多重債務”に陥り易い。融資審査は甘く(本来あってはいけない)複数の貸金業者からの借金が可能になる。
”負の連鎖”を作り出す仕組みは如何なものだろうか?それに貸金業者に融資している銀行にも問題がある。自らは手を出さず汚いところは貸金業者に手を汚させて利益の一部を享受している。とは言っても債務者自身の責任を見過ごすことは出来ない。 生活、あるいは事業などが苦しいからと言って安易に”高利貸し”に頼るのは破滅の道を歩む結果となる。まして遊興費などの遊ぶ金の為に借りるのは論外・・・。貸す方に問題があるのは言うまでもないが、借り手にも自己責任があることを忘れてはならない。

 誤発注問題で一躍有名になった
ジェイコムの株価が金曜日にストップ高(5万円高)の46万9000円をつけた。KBC証券が4月20日付で投資判断を新規に「BUY」、目標株価60万円としたことが買い材料となったと見られる。また同日テレビ東京の経済番組WBSで(どこの証券会社だか忘れたが)アナリストがお勧めの銘柄の一つとしてジェイコムを挙げていた。KBC証券の投資判断の話は後で知ったが、テレビ東京のTV番組は見ていた。その時は材料に飢えている方々が喜んで飛び付くと見ていたらその通りになった。為替相場への政府首脳などの”口先介入”と似ている様に思える。それはともかく一時的にカンフル剤の効き目が現われたが、本質的には何も変わっていないので結局元に戻ると見ている。果たして・・・?

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