2006.5.15

 阪急HDと村上ファンドの阪神電鉄売買交渉がヤマ場を迎える。阪急HDがヤマ場と位置付ける5月17日が目前に迫って来たが、譲歩を迫る阪急HDに対し村上氏は「こちらから買ってくれとは言っていない」と強気の姿勢を崩していない。高値売却を目論む村上ファンドに対して阪急HDは株主に説明可能な「適正価格」を主張している。村上ファンドは1000円以上の買取りを要求していると思われる。一方阪急HDは現在の株価は村上ファンドの買占めにより吊り上げられたものとして1000円よりははるかに低い価格を提示していることは間違いない。下手に高値で妥協したのでは阪急HDの経営陣に対して損害賠償を求める株主代表訴訟が起こされるRiskがある。このまま両者の主張が平行線を辿れば交渉の長期化、最悪決裂の可能性が大きくなる。先の見通しは決して明るくないが、果たして如何に・・・?

 もし村上ファンドが経営権を握ればどうなるのだろうか?阪神電鉄側の取締役は大半が辞任するかもしれない。阪神労組は村上ファンドが阿漕なことを行なって来ればストライキを辞さない構えを示している。阪神労使共に”極悪人”に従う筈もなく、村上ファンドが総スカンを食うのは目に見えている。阪神タイガースの赤星選手会長は「ファンのことを全く考えていない」と批判している。無論タイガースファンも村上ファンドの強引なやり方に納得する筈がない。また今年10月施行の改正鉄道事業法では「鉄道会社は安全統括管理担当取締役を置く」ことが義務付けられる。場合によっては安全統括管理担当の取締役が要件を満たさないことも有り得る。国土交通省は新経営陣から安全管理体制に関して事情聴取の方針と伝えられる。何にせよ村上ファンドにとり”四面楚歌”状態にあることは確かであり、今後の展開次第では多くの関係者を巻き込んだ大騒動に発展する可能性がある。

 ライブドアの3月末時点にて外国人株主の保有比率が40%程度占めていることが明らかになった。また個人株主の保有比率が20%程度(昨年9月末:約55%)に低下したことも明らかになった。さて外国人株主の保有比率が1/3を超えたのでその動向によってはライブドアの今後の運命が左右される。加えて筆頭株主としての堀江氏の存在(保有比率:17.25%)がある。USENはライブドアの(完全)子会社化を模索しているが、眼前には”巨大な壁”が幾重にも立ちはだかり前途多難と言える。ところで株主数は昨年9月末の約22万人から約15万6000人と約30%減少しているものの依然として多い。これは「記念品として1株(あるいはごく少数)保有の個人株主が多い」ことによると思われる。

 今日
東レは『会計監査人の異動に関するお知らせ』を開示した。開示によると6月28日の定時株主総会の承認を経て中央青山監査法人から新日本監査法人に変更する。企業側としては株主総会で異議がでる前に先手を打って災いの種(懸念材料)を消しておきたい。中央青山の提携先のPwCが”受け皿”として国内に新しい監査法人を立ち上げる予定にはなっているが、近々株主総会開催予定の企業を中心として中央青山からの監査法人変更の動きが加速する可能性がある。変更先となる監査法人としても無限に受け入れることは出来ない。当然”受け皿”の容量には限りがあり、場合によっては”早い者勝ち”になるかもしれない。日本公認会計士協会では会員に対し中央青山への過剰な売り込み自粛などを求めている。しかしながら企業側からの”中央青山離れ”の動きが加速すればどうにもならない。

 
ドリームテクノロジーの株価は平成電電の再生スポンサー降板以降下落が続いている。今日の終値は前日比380円の1万1870円で取引を終えている。10月24日の終値1万1700円の低い水準に近づいた。果たして明日はそこを割り込むのだろうか?それにしても株価にはドリテクの信頼の無さが反映されている。元々平成電電の再生スポンサーに決定した時から”適格性”には疑問を呈していた。やはり結果としてダメなものはダメ”との揺るがし難い事実が株価にも素直に現われている

 2006.5.16

 5月10日新日鉱HDは『中核事業会社における新機関設計のお知らせについて』を開示した。開示によると傘下のジャパンエナジー、日鉱金属を6月28日付で「会社法上の非公開会社」とし、両社の取締役会、監査役会、及び執行役員会を廃止する。重要案件は新日鉱HDに諮るが、執行役員会/取締役会での決議事項を原則として社長決済とする。更に社内手続きをスムーズに行なう為に事前協議機関として役員会を新設する。尚、それに先立ち両社は6月26日の株主総会で定款変更を決議する。

 5月1日施行の新会社法に於いて「大会社(資本金5億円以上又は負債200億円以上の会社)についても非公開会社(株式の譲渡に会社の承認を要する旨の定款規定がある会社)については取締役会・監査役会を置かなくても良い」ことが認められた。新日鉱HDは新しい制度を採用し迅速な意思決定の実現、及び役員体制の簡素化を図る」としている。Meritばかり強調されているが、果たしてDemeritはないのだろうか?それに形は別会社であっても一つの会社の中での事業部制とあまり変わりがない様にも見えるが・・・?とにもかくにもこの件については具体的に分からないことが多い。

 総務省は日本郵政公社の監査法人を中央青山監査法人からの切り替えを予定している。2003年の公社化以降は監査法人による監査を受け民間企業レベルの決算報告を行なっている。監査法人は原則1年毎に選任しているが、2004,2005年度は中央青山が担当した。2006年度については8月までに競争入札で決定する。総務省は「中央青山が入札に応募しても金融庁の行政処分を理由に選考対象から除外する」としているので、事実上中央青山が日本郵政公社の監査を担当することは無い。現状のまま中央青山で継続するのは2007年10月の郵政民営化に向けていかにもまずい。とにもかくにも「中央青山離れ」の勢いは更に加速すると考えられる信頼が一番』の監査法人が信頼を裏切る愚挙を行なってはこの様な事態も致し方がない

 
ドリームテクノロジーの株価は5営業日連続の下落で1万円割れ寸前となっている。終値は前日比1810円安の1万60円で取引を終えている。追跡を始めた10月3日の終値が4万7200円からすると改めてその下げ幅の大きさを感じる。果たして明日は1万円を割り込むのだろうか?1万円を割り込んで終わる様なことがあるともしかしたらそのままズルズル後退することも考えられる。何にせよドリテクにとって好材料が見当たらず非常に厳しい状況にあると言っても過言ではない。

 2006.5.17

 阪急HDが一応の目安としていた5月17日となったが、村上ファンドとの阪神電鉄株式売買交渉は両者の主張に依然として隔たりがあり合意に至っていない。阪急HDは取締役会でのTOB決議を当面見送る。6月28日の定時株主総会までギリギリの交渉が継続されるが見通しは決して明るくはない。村上ファンドは「経営支配」をチラつかせて阪急HDに譲歩を迫っている。一方阪急HDとしては安易に譲歩して高値で取得する訳にはいかない。狐と狸の化かし合い”もどきの手練手管の駆引きを繰り広げている様子が目に浮かぶ。果たして両者の妥協は成立するのだろうか?

 村上ファンドは「経営支配」をチラつかせて入るが本気なのだろうか?村上氏は企業の経営者ではなく株式を転がして利鞘を稼ぐファンドマネージャーの立場にある。企業を中長期戦略の基に経営して利益拡大により大きな配当を得るなどと悠長なことは言っていられない。ファンドマネージャーとして当然短期的な利益確保が求められるのであれば資産の切り売りなど強引な手法に頼らざるを得ない。あるいは阪神電鉄株式を(例えば)外資系の”剥鷹”ファンドへ売却となるかもしれない。何にせよ村上ファンドが(経営の)実権を握ったところで到底まともな経営を行なうとは考え難い。それに村上氏の本音は「経営支配は駆引きの材料であって本意ではない」と見ているが・・・。果たしてどうなのどろうか?

 昨日提出の大量保有報告書により村上ファンドがコンビニ大手のサークルKサンクス株式を5.07%保有していることが判明した。4月29日以降買い進め5月9日までに120億5321万円を投じて436万7300株を取得した。投資目的は今度も「純投資」としているが、今後どこまで買い進めるつもりなのだろうか?サークルKサンクスは「今のところ村上氏からの接触や要求などはない」としている。さて直近のサークルKサンクスの株価は低調に推移していたが、”村上銘柄”と分かると早速反応を示した。一時前日比215円高の2820円まで上昇したが、終値は前日比125円高の2730円で取引を終えている。近頃は”村上銘柄”になったところで以前ほど過剰に反応をしないので今回も一時的な株価上昇と見ている。果たして明日以降どうなるのだろうか?

 
ライブドアグループ企業の株価はいずれも苦戦を強いられているライブドアオー
は5営業日連続の下落(下落幅:14円)の141円、セシールは8営業日連続の下落(下落幅:78円)の618円、ターボ・リナックスは8営業日連続の下落(下落幅:4万5000円)の15万9000円、MEXは7営業日連続の下落(下落幅:2万6800円)の9万3200円と低い水準に喘いでいる。またダイナシティの株価は後場に持ち直して前日比600円高の1万4500円で取引を終えているが、昨日までの10営業日連続の下落(下落幅:7620円)とこちらも苦しんでいる。いずれも”日の出の勢い”のライブドアに良かれと思って擦り寄ったのが今になって大きな痛手になっている。各々の事情でライブドアと対立、依存、あるいは様子見と態度は異なっている。但しいずれも今後の見通しが暗いことでは一致している。

 
ペイントハウスが3月20日に最高裁に対して特別抗告を申し立ててから約2ヶ月経過した。しかしながら今日現在まだ最高裁の判断が下されないのは何故なのだろうか?最高裁でそれまでの判断が覆される場合には口頭弁論が開かれるがその様な気配は全く無い。となれば『特別抗告棄却』の決定が下されると見るのが普通・・・。何か判断を遅らせる様な阻害要因があるのだろうか?担当の最高裁判事間の見解の相違で揉めているとは思えない。もうそろそろ見苦しい企業にとどめが刺されてもよい頃だが・・・。

 2006.5.18

 昨日TBSの平本常務は村上ファンド保有の同社株式について電波法第5条に基づき外資(外国人投資家)としてカウントされる」と述べた。放送局の議決権の1/5以上を外国人投資家が保有した場合には放送免許が取り消される。村上ファンドは活動拠点をシンガポールに移しているので実質的に外国人投資家と看做しても当然と言える。村上ファンドのTBS株式の保有比率は4月末現在で5.65%となっている。3月末時点の外国人投資家の議決権比率は6.08%とまだ20%までには余裕がある。しかしながら村上ファンドが大株主として登場したことで今後の買い増しへの警戒心から牽制の意味を込めた発言と思われる。確かに既に三木谷氏に大きな顔で居座られているところに加えて、村上氏がこれ以上のさばったのではTBSとしても生きた心地がしない。

 『ライブドアが証券会社やクレジットカード会社など金融部門を丸ごと外部に売却の方向で検討』と報じられている。売却先としては資本・業務提携関係にあるUSENが最有力で早ければ8月にも売却先決定とされる。ライブドアは証券取引法違反で有罪が確定すれば、同法の規定により証券会社の株式を20%以上保有出来ない。そこで平松新体制の下で検討が進められているライブドア証券売却の動きが具体化しているものと見られる。事実とすればライブドア証券のみの売却では金融事業の企業価値低下の恐れがあり」との判断から一括売却に踏み切ると推察される。ところで2005年9月期決算によるとライブドアの金融事業は連結ベースで営業利益の約70%を占めている。その様な稼ぎ頭を手離す事態に至ればグループの空洞化が一気に加速する。となればライブドアの解体/清算が現実味を帯びて来ることになるが・・・。

 5月12日長井博實氏と松本昌己氏の4月末時点でのアドテックス株式大量保有について記述した。その時点では上場廃止までには全て処分するものと思っていたが、何と驚いたことにその後更に買い増していたことが分かった。松本氏の保有比率が5月10日時点で8.12%、更に上場廃止時点(5月12日)には9.16%まで増加している。また長井氏については5月9日時点で34.2%までは分かっているが、恐らく松本氏同様買い増していると思われる。両氏はいったい何を目論んでいるのだろうか?債務超過のアドテックスが会社清算となった場合には株主への還元など考えられない。また再生した場合でも100%減資で現在の株式が無事で済むとは思えない。果たして
両氏の不可解な行動の真相は・・・?

 2006.5.19

 大相撲5月場所観戦の為帰宅が遅く、本日はお休みにします。

 2006.5.20

 『村上ファンドが大阪地裁に対して阪神電鉄株主総会をを監視する検査役選任、及び取締役会議事録の謄写許可請求』を行ない昨日付けで受理された。この様な場合通常地裁の判断には10日から2週間要する。村上ファンドが検査役選任を求める背景には阪神電鉄の株主提案排除の動きを牽制する狙いがある。更に阪急HDとの統合計画の内容如何では「待った」をかける意図が感じられる。何にせよ「圧倒的多数を占める株主として株主総会に乗り込み経営権を奪取」との鮮明な意思表示とも看做せる。5月下旬の決着を目指す阪神・阪急HDに悠然と構え余裕のある態度の表われを示しているつもりなのか・・・?村上氏は「こちらの要求を受け入れなければ乗っ取るぞ!」との脅しをかけつつ、阪神・阪急HDへ激しく譲歩を迫っている姿がまたもや目に浮かぶ。ところで司法当局は”極悪人”をいつまで野放しにしておくのだろうか?一刻も早い摘発を願っている。

 昨日提出の大量保有報告書にて村上ファンドがUSENの発行済み株式の5.21%取得していたことが判明した。4月29日から5月12日にかけて391万7660株取得している。今年2月末の株主構成で見ると村上ファンドは第4位の大株主となる。ライブドアとの経営統合を目論んでいるUSENに手を出した狙いはいったい何なのだろうか?何にせよ意地汚い醜悪な狙いには違いない。”モノ言う株主”などと大きな口を叩いてはいるが、結局はファンドマネージャーとして”自分だけ儲かればそれでよい”のだから・・・。

 企業の決算発表や発表直前の業績予想の大幅な下方修正が相次いでいる。その大半が監査法人から売上げ計上時期や連結企業範囲などについて指摘を受けたことによる。カネボウ、ライブドアなど公認会計士が不正に関与する事件が相次ぎ監査制度への信頼が根底から揺らいでいる。今までは依頼主の企業に対して少々遠慮気味だった監査法人が危機感を抱き(当たり前のことだが)毅然とした態度で厳格に臨んでいる。いい加減な監査をしていたのでは監査法人の存在価値がない。それに企業側の甘えも許されない。監査が継続して厳格に行なわれ(ライブドアの如き)実態の”怪しい企業”が2度と出現しないことを願う。

 監査法人への行政処分は軽い「戒告」と非常に重い「業務停止命令」や「解散命令」しかなく中間的な処分がない。中央青山への一部業務停止命令による混乱を防ぐ為に金融庁は「業務改善命令」を導入するが、むしろ今まで何故中間的な処分がなかったのか訝しく思う。また監査法人の登録制導入、不祥事を起こした監査法人への課徴金導入なども検討している。金融庁は様々な規制強化を図ると共に監督官庁としてアンテナを張り巡らせ厳しい監視に務めなければならない

 明日高知競馬第3R「新世紀ホリエモン特別D8(ダート:1000m)」に『ホリエモン』が連闘で出走する。直近の6走では1着2回、2着4回と相変らず好調を持続している。2戦連続2着と一息及ばない『ホリエモン』だが、得意の高知の1000mとなれば6勝目を上げるチャンス・・・。さてどうなるだろうか?

 2006.5.21

 5月18日フジテレビは『2006年3月期決算短信(連結)』を開示した。開示によると売上高:5934億9300万円(対前年度比:△24.5%)、経常利益:503億4000万円(対前年度比:△24.5%)、当期純利益:113億4500万円(対前年度比:▲50.3%)となっている。本業の放送事業の好調に加えて映画事業に於いてもヒット作が続き増収に寄与した。更にはニッポン放送の完全子会社化もプラス要因となった。但しライブドア株式の売却損345億円の特別損失計上により当期純利益は半減している。(現在は改善されたが)フジサンケイグループの歪な資本関係を”極悪人”に狙われた経営陣の脇の甘さのツケが具体的な痛手として表われている

 ところでライブドアに対する損害賠償請求はその後どうなっているのだろうか?”ウソの情報”に基づく契約締結となればライブドアは全面的に損害を補償しなければならない。ライブドアから損金を回収すれば特別利益計上となり、先期の特別損失について全て(あるいは一部)を補填出来る。もしライブドアが抵抗しているのであればいずれどこかで訴訟となって表面化するが・・・。何せよ損害賠償問題が決着しなければライブドアによる”ニッポン放送乗っ取り事件”の落とし前がついたことにはならない

 ライブドアは6月14日に臨時株主総会を幕張メッセで開催する。未だ不確定要素が多く事業戦略の策定に手間取っている為、取締役選任議案以外には特筆すべき議案はない。新取締役候補には平松氏、USENの宇野氏などが名を連ね現取締役3名は全員退任する。また(証券取引法事件で不正ツールとして悪用した)傘下の投資事業組合について解散の意向を表明する。ところで何かと話題性があり相当多数の出席者が見込まれる。幕張メッセは約2万人程度収容可能だが、もしかしたら全員が入りきれない位参集するかもしれない。事業戦略などが提示されないが今後の方針についてかなり突っ込んだ質問が出る可能性がある。堀江氏など旧経営陣への責任追及、フジテレビ、個人投資家などからの損害賠償請求についても話題になることが予想される。果たしてどの様な株主総会になるのか注目される。

 高知競馬第3R「新世紀ホリエモン特別D8(ダート:1000m)」に『ホリエモン』が出走した。好スタートから一旦2番手に下げ第4コーナーで再び先頭に立ち、外から追い込む「バーニングスマイル」に1/2馬身差をつけて1分4秒7で6勝目を上げた。これで1000m戦は7戦して3勝、2着4回と得意にしている。また直近7戦連続2着以内(1着3回)と安定した成績を上げている。馬の『ホリエモン』は着実に力をつけているのでこれから先も大いに期待出来る

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