2006.6.19

 阪急HDによる阪神電鉄株式の公開買付けが今日の16時に締め切られた。村上ファンドは保有する全ての株式について応募の手続きを完了した。元々Targetが村上ファンドからすればTOB成立が事実上確定した。最終結果は明日公表されるが、果たしてどの程度の応募があるのか注目される。ところで阪神電鉄の株価は6月12日以降TOB価格930円を下回る水準で推移している。今日の終値は前日比3円安の896円で取引を終えている。今後阪神電鉄の株価が下落するとの見通しが強い状況では多数の応募が予想される。果たして阪急HDの買取り総額はどれほどのなるのだろうか?当初の目論見を大きく上回る可能性がある。となれば阪急HDの財務体質悪化が懸念される。加えて阪神電鉄の株価がどの様に推移するのか注目している。

 明日
日銀の福井総裁が村上ファンドに拠出した1000万円の運用益について国会に提出する。出資後の各年度の収益、2005年12月末時点の運用残高などが明らかにされると見られる。福井氏は6月16日の衆議院財務金融委員会で年間運用益について「年間数十万〜数百万」との曖昧な答弁で誤魔化した。結局野党の追及に合い明日までに資料提出を約束していた。果たして1000万円がどの程度膨れ上がっているか注目される。何にせよ多額の運用益を得たことは間違いない。福井氏は「(運用益は)個人的な目的では使わない」などと述べているが、コトが露見したから仕方なく言っているだけで実に白々しい。福井氏への批判が高まることは必至・・・何時まで居直ることが出来るのだろうか?

 7月9日上場廃止の
ペイントハウスの株価はまさにマネーゲームの真っ最中・・・。6月12日からの4営業日連続のストップ高の後は流石に頭打ちとなり、今日の終値は前日比59円安の396円で取引を終えている。今日の値動きの幅は104円・・・。上場廃止まであと残り14営業日・・・荒っぽい展開が続くことが予想される。毎度のことながら上場廃止に憑き物の”●●”騒ぎには呆れ果てる。

 2006.6.20

 阪急HDは『公開買付け結果及び子会社の異動に関するお知らせ』を開示した。阪神電鉄に対するTOBに対して応募総数:2219件、買付け株式数:2億6864万5762株(発行済み株式の63.71%)となった。阪急HDは応募株式を全て買取りTOB成立となる。6月29日の両社の株主総会での承認を経て、阪急HDは10月1日付けで株式交換(阪神電鉄:阪急HD=1:1.4)を行ない阪神電鉄を完全子会社化する。経営統合時に阪急阪神HDを設立し傘下に阪急電鉄、阪神電鉄など4社が収める。2007年3月期の業績予想の合算ベースで私鉄大手間で比較すると、経営統合後は連結売上高(営業収益)が第3位(8120億円)、経常利益は第2位(690億円)となる。

 さて阪急HDの買付資金は2498億4100万円と予定額を大幅に上回る。TOB成立下限の45%取得の場合と比較して約734億円の負担増となる。よほど大きな経営統合効果を出さないと投資回収は難しい。今回のTOB資金は三井住友銀行からの借り入れで賄うので、阪急HDの有利子負債は連結ベースで1兆3000億円となる。経営統合により図体は大きく膨れ上がるが、どう考えても
健全な財務体質とは言えない。有利子負債圧縮が課題となるが・・・。阪急HDの角社長によると「投資抑制と共に持ちビルの流動化による資金調達などの手法により過去3年間で2300億円の有利子負債圧縮」を達成している。しかしながら阪急百貨店の建て替えや沿線開発の準備などで多額の資金が必要な現状では同じ様に有利子負債圧縮とは簡単には行かない。もしかしたら長期間に亘り財務体質悪化に苦しむかもしれない。

 取り敢えず阪急HD、阪神電鉄は所期の目的を達成したもののこれからが”茨の道”を歩むことになる。まずは6月29日の株主総会にてTOB価格930円の妥当性が議論になることは間違いない。今日の終値は前日比48円安の848円と大きく下げて取引を終えている。株価下落により評価損が膨らめば阪急HD経営陣は厳しい状況に立たされる。更にその先にはまだまだ難関が待ち構えている。結局
今回の騒動で笑ったのは村上ファンド・・・”濡れ手に粟”の巨額差益を得た。但しその村上ファンドも不祥事により解体の危機に瀕しているのは当然の報いと言うべきか・・・。

 昨日
LDオートは『LDとの資本・業務提携解消に向けての基本合意のお知らせ』を開示した。両社協業にてLD保有の株式の引受け先を探すとしている。LDオ−トはLDに対して提携無効確認、損害賠償請求など起こすなど両社の争いは泥沼化の様相を呈していた。取り敢えずこれで6月29日の株主総会での全面対決が回避される見通しとなった。両社が対立したままでは引受け先が見つからないとの判断があったのかもしれない。見苦しい争いを続けても『ライブドア・ブランド』が更に傷つくだけ・・・。(どこぞの誰かがかつて言った)”大人の解決”を選んだと見るべきか・・・。

 『
楽天とTBSが6月末の業務提携交渉の期限を延長する方向で調整中』と報じられている。既に両社は期限内に交渉がまとまらない場合でも決裂しなければ自動的に1ヶ月延長することで合意している。6月29日のTBSの株主総会後に改めて協議し延長を決めるものと見られる。7月末まで期限延長となっても交渉の行方は予断を許さない。TBSは業務提携の前提条件として楽天に対しTBS株式保有比率の引下げを強く求めている。ところがTBSの今日の終値は2800円・・・楽天は3000円を超える価額で取得しているので売却損が発生しては容易に手離すことも出来ない。早い話が入口で躓いている訳で交渉期限を延長したところでそう簡単に話はまとまらない。このままずるずると先送りになれば楽天が苦しくなると思うが・・・。それに堀江氏、村上氏と相次いで司直の手に落ちては三木谷氏も下手な動きが出来ない。

 今日マザーズに
新規上場したアドウェイズの取引にて誤発注が発生した。立花証券は9時10分に1670円で発行済み株式の約17%に相当する2600株の売り注文を出した。この時点で147万円の気配値で推移していたが、この売り注文により147万円で初値形成された。9時11分に立花証券は売り注文を取り消したが、その時点の約定値は143万円で1482株の売買が成立した。立花証券は全てを買い戻すとしている。しかしながら発行株式総数:1万5315株、公募/売出し株式数:2420株では株券引渡し期限の6月23日までに難しいと思われる。そこで立花証券の土屋副社長は「アドウェイズの岡村社長など大株主からの借株などにより株券調達との方針」を明らかにした。ちなみに岡村氏は5月22日時点で5700株保有している。

 今日は新規上場が6銘柄あり、立花証券の入力担当者がアドウエィズ(2489)の証券番号に近い番号を誤まって入力した。同じく今日JASDAQに新規上場したCDG(2487)と間違えるとはお粗末の一言に尽きる。証券番号の入力間違いをしたとしても次に金額を打ち込むときに気がつく筈だが・・・。立花証券のシステムには異常検知のロジックは組み込まれていたのだろうか?167万円と入力すべきところを1670円と入れても無条件で通ってしまうのでは欠陥システムと言うことになる。何にせよキチンと入力情報の確認を行なっていない初歩的なミスと言える。それにしても何度も誤発注が繰り返されると「
証券会社には”●●”ばかり揃っているのか」との皮肉の一つも言いたくなる。

 2006.6.21

 阪神電鉄の株価は阪急HDによるTOB成立後急速に下落が進んでいる。今日の終値は前日比42円安の806円で取引を終えている。既に
TOB価格930円と比較して126円下げている。と言うことは阪急HDの含み損は既に約338億5000万円に膨れ上がっている。今後割高感から更に下落が進むことが予想されるが、6月29日時点では含み損はいったい幾らになっているのだろうか?膨大な含み損を抱えたまま株主総会を迎えれば株主からの追求は必至・・・。更には株主代表訴訟(損害賠償請求)の事態もあり得る。両社は村上ファンドとの対決は何とか乗り切ることが出来たが、さて・・・?

 昨日東京都民銀行は『東京都民銀行「楽天支店」に関するお知らせ』を開示した。両社は今年1月に業務提携契約を結び7月にInternet支店「楽天支店」の開設を予定していた。既にシステム開発準備に予想以上の時間がかかるとして1度延期している。今度は「24時間・365日対応にするなどサービス内容を当初計画より大幅に充実する為に準備期間を要する」として
来年春まで延期するとしている。サーブスの詳細は検討中として明らかにしていない。両社の業務提携は順調に進めているとなっているが、何せ信用の置けない三木谷氏率いる楽天が相手では素直に信用出来ない。ライブドアは西京銀行とInternet専業銀行開設を予定していたが、何度も延期を繰り返した挙句結局はライブドアの不祥事により取り止めになった。楽天も何かと理由をつけて延期を重ねて結局ご破算になることも充分あり得る。

 昨日開催された
オリックスの株主総会にて藤木社長は昨年月末の村上ファンドへの投資残高107億円に対し今年3月末時点では約200億円に増えていることを明らかにした。また運用益の公表は拒絶した。さて現時点ではどうなっているのだろうか?確か以前宮内氏は村上ファンドからの資金引上げに言及していた筈だが・・・。何もコメントがないのは恐らく現在も預託していると見られる。村上氏が仕掛けた阪神電鉄乗っ取り騒動の”宮内黒幕説”が陰で囁かれるほど両者の結び付きは強いと言われる。 両者の関係は胡散臭さ一杯だが、残念ながら真実は”藪の中”・・・。

 日銀の福井総裁の村上ファンドへの投資額1000万円に対する運用益が6年9ヶ月で累積1493万円あることが明らかになった。超低金利時代では考えられない様な高利回りを福井氏は享受していた。国会での答弁で「多額ではないので儲けたとの意識はなかった」と述べている。なんとまあ庶民感覚を逆撫でする無神経な発言と呆れ果てる。その程度の人物が国家の金融政策に携わっているのは如何なものか?政財界からは福井氏擁護の声が上がっているが一般国民の見方は厳しい。国会での与野党の勢力が伯仲していれば福井氏も図々しく居直るのは難しいが・・・。圧倒的に与党の勢力が強い状況では逃げ切る公算が大きい。但し小泉首相の任期は今年9月まで・・・次期政権下での福井氏の総裁再任は可能性は極めて低いと思われる。

 福井氏は6月末に現金化した時点で元本、運用益全てを慈善団体などに寄附すると述べた。コトが露見しなければしらんぷりするつもりだったが、ここに至っては(ありもしない)誠意を国民の前に示す必要に迫られた。「村上ファンドへの拠出は(日銀の)内規違反ではないが、けじめは自分で付ける」として、月額203万6000円の役員報酬の30%を7月分から6ヶ月間返納するとした。総裁就任以前に取得した5社の株式についての取扱いをまだ明らかにしていない。こちらもけじめをつける必要がある。何にせよ福井氏への風当たりは益々強くなる。どこかで自らの出処進退をはっきりさせる時期が訪れるかもしれない。

 2006.6.22

 昨日ペイントハウスは『「上場廃止の意思表示の効力停止等仮処分の申立に関するお知らせ』を開示した。既にJASDAQはペイントハウスを整理ポストに割当て7月9日の上場廃止を決定しているが、これに対してまたもや訴訟との姑息な手段を講じ延命を図って来た。何やらまわりくどい言い回わしだが、上場廃止の無効確認請求訴訟を起こす前段階としてJASDAQの決定を凍結する為に東京地裁に提訴した。昨年末以降何が何でも上場廃止を免れる為になりふり構わぬ抵抗を示しているのでまた何かやって来るとは思っていたが・・・。こんな悪質な企業はさっさと市場から追放しなければならない。

 それにしても
ペイントハウス経営陣のあまりの醜悪さには呆れ果てる。117億円を平気で踏み倒したことを棚に上げての見苦しい行動は許されるものではない。訴訟を起こして負けると次に別の訴訟を繰り返して行くやり方は恐らく顧問弁護士の入れ知恵に違いない。勝ち目の無い訴訟を繰り返し上場廃止を免れ様とするのは卑劣なやり方としか言えない。まさか訴訟の無限連鎖なんて言うことはあり得ないとは思うが・・・。とにもかくにも今回のペイントハウスの汚いやり口が悪しき前例になってはいけない。裁判所の厳しい判断が望まれる。ところで7月9日までにペイントハウスが仮処分を勝ち取らなければ時間切れ・・・そして上場廃止の公算が大きい。本訴に持ち込み抵抗したところで所詮悪あがきに過ぎない。

 昨日某掲示板で「これで上場廃止を免れる」などと喜んでいる”●●”な方が散見されたので、これは”ネギカモ”出現で明日が面白くなるとその時思った。予想通りの
派手な上下動を見せてくれた(こちら 参照)。前場の9時40分頃に前日比66円高の460円まで上昇してストップ高(80円高)を一瞬臭わせたが、その後は一転して下げに転じ後場350円まで落ち込んだ。結局終値は前日比20円安の376円で取引を終えている。但し14時45分以降取引が成立せず366円売り気配で終わったのは何を意味するのだろうか?何にせよまた賑やかな動きで楽しませてくれるのに違いない。

 
サンライズ・テクノロジーの株価はまたもや70円を割り込み相変らず低水準で推移している。サンテクは有名な”★”株式・・・今日の終値66円と聞いても別に驚くことはない。それよりもここには”氏素性の怪しい”ロータス投資事業組合が纏わり付いている。ロータスが昨日提出した大量保有報告書によると相変らず不可解な行動が目立つ。EDINETにてEDINETコード検索で『T049FC』を指定して見て頂きたい。サンテクの新株予約権を107円で権利行使してはるかに安い価額で処分している。投資事業組合と言えばその名の示す通り”投資して利益を出し出資者に配当する”ことが使命・・・それにも関わらず大きな損失を出してまで処分しているのは何故なのだろうか?「どう考えても裏がある」としか思えない。

 
東証の西室社長は今日の記者会見にて「新規上場銘柄に値幅制限導入」の考えを明らかにした。現在は初値形成までは値幅制限がない。新規上場株式について「公募価格の4倍以上、又は1/4以下の売買注文を排除」するシステムを6月26日から導入する。ところで値幅制限幅の根拠はいったい何なのだろうか?恐らく明確な根拠などはなく「概ねこんなもので良いのでは?」程度のアバウトな決め方に違いない。それはともかくとしてIPO銘柄で誤発注が何度も繰り返される状況からすれば、今回の対策は防止策としてはそれなりに有効かもしれない。

 2006.6.23

 
ドリームテクノロジーの株価は先週の4営業日連続のストップ高で1万円を超えたが、今週は早速その反動が現われ下降線を辿った。昨日こそプラスだったものの残り4営業日のマイナスで下落幅2280円となった。先週の異常な上昇はここによくある単なる”●●”騒ぎに過ぎずマネーゲームが起きただけ・・・。材料があろうが無かろうか関係ない。こんなところは”百害あって一利なし”・・・。さっさと市場から追放すればすっきりするが・・・。

 今日
東京地検特捜部は村上氏とMACアセットマネジメントを証券取引法違反(インサイダー取引)で起訴した。これで捜査終結と報じられているが、果たして村上氏絡みの法律違反はニッポン放送株式の一件だけなのだろうか?例えばドリテク株式の売り抜けに関しても非常に怪しい。ドリテクが平成電電再生スポンサーを降りる直前に村上ファンドは保有する全株式を売り抜けている。売却時期の絶妙なタイミングからも事前に情報を掴んでいた疑いは濃い。ドリテク株価暴落で損する前に逃げたのに違いない。また阪神電鉄株式の件に関しては村上氏はあくまで「純投資」としつつ「経営権奪取」をチラつかせた”恐喝紛い”の行為も許せない。金融庁の指導で村上氏はようやく投資目的を変更したが、指導なんて甘っちょろいものではなく証券取引法違反で告発出来なかったのだろうか?余罪は多々ありそうだが・・・ここで終わってしまうのは如何にも口惜しい

 2006.6.24

 昨日シンガポール通貨庁(中央銀行に相当)の関係者が「村上ファンドの(公判で)法令違反が明らかになればファンドの登録を取り消す可能性もある」と述べた。シンガポールの証券先物取引法には「ファンドやその大株主が罪を犯した場合には通貨庁は登録を抹消出来る」と規定されている。当然のことながら登録抹消となればシンガポールでの業務継続は不可能となる。日本での制約を嫌って本拠を移したが、村上氏の思惑とは異なり自らに都合良く行きそうにもない。ところでシンガポールを追い出されたらどこへ行くのだろうか?どこへ行こうが決して楽ではない。

 村上ファンド直近の大量保有報告書にて5%以上の株式を保有する銘柄は昨日時点で20銘柄ある。村上氏への強制捜査の情報が流れた6月1日時点と昨日時点の”村上銘柄”終値を比較すると75%が下落している(こちら 参照)。一部には自社株式買付けにより株価下落防止を探る動きが出ている。しかしながら村上ファンドとの契約解消の動きが加速すれば投資先からの返還要求に応えるために現金化を図る可能性がある。となれば需給悪化で株価下落が進むこともあり得る。さてどうなるのだろうか?

 2006.6.25

 京都競馬場にて雨の降る中
第47回宝塚記念が行なわれ、
圧倒的1番人気のディープインパクトが2分13秒0のタイムで2着に4馬身差つけ圧勝した。これで11戦10勝(2着1回)、内GT5勝の実績を引っ下げ愈々10月1日の凱旋門賞(フランス、ロンシャン競馬場:芝2400m)に挑む。1999年エルコンドルパサーが1/2馬身差の惜しい2着になったことがある。日本馬としての初勝利の期待がかかる。また唯一昨年の有馬記念でディープインパクトに土をつけたハーツクライは7月29日のキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(イギリス、アスコット競馬場:芝2400m)に挑む。橋口調教師によるとここでの成績如何では凱旋門賞への転戦も考えていると言う。こちらも頑張って欲しい。

 ディープインパクトは普通のスタートから後方2番手につけ三角、四角の中間付近から一気に捲り、直線では逃げ粘るバランスオブゲームを交し2着のナリタセンチュリーを突き放した。馬場状態の発表は稍重だったが、水分をたっぷり含み力の要る馬場だった。ディープインパクトは442Kgの小さめも馬体にも関わらず内に秘めた底力には計り知れないものがある。三角、四角の中間付近から一気に捲った時には他の馬が止まって見えるほど・・・。馬場状態も斤量も全く関係ない。その強さには驚嘆させられる。

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