2007.2.26

 買収の危機に晒されているサッポロHD傘下のサッポビール販売量が2月15日から1週間のビール類の販売量が直近の数年の平均値を約17%上回っている。2月14日には新商品「うまい生」を発売しているが、既存商品の売上げの伸びが新商品より優っているとのこと。そこには”性悪”ファンドへの反発力が働いているものと考えられる。明星食品の時のSPJの意地汚いやり方は周知の事実・・・。「あの様な汚いやり方を何度も許してはならない」との日本人の判官贔屓の表われと見る。ちなみにサッポロHDの株価は相変わらずSPJのTOB予定価格(825円)を大きく上回る水準で推移している。今日の終値は前日比7円安の895円で取引を終えている。

 
日興CGの株価は経営再建への期待が膨らみ急反発した。前場には一時ストップ高(200円高)をつけたが、終値は前日比153円高の1364円で取引を終えている。米シティグループは最悪(上場廃止)の場合には完全子会社化も視野に入れていると伝えられたことから投資家の間に安心感が広がったものと見られる。またシティグループによるTOB実施にて高目のTOB価格設定への期待が蠢いている。とは言っても事態はまだ流動的・・・最終的にどう決着がつくのかまだ分からない。事態の進行によっては波乱の目もあり油断はご用心・・・。

 
TBSの株価は1月23日以来久しぶりに4000円を割り込み、終値は前日比70円安の3980円で取引を終えている。上げた理由が分からないので下げても別に不思議ではないが・・・。それはともかく徐々に下げてくると楽天の含み益も徐々に減少する。さて2月28日は楽天のTBS株式の信託期限・・・三木谷氏は信託期限を延長するつもりはない。自己保有にした上でTBSとの提携交渉に臨む。”乗っ取り宣言”から早1年半ほどになるが・・・交渉は完全にDead Rockに乗り上げたままで一向に解決の糸口すら見えない。そんな状況で三木谷氏は何か秘策があるのだろうか?まさか正面からの強行突破と言うことはないとは思うが・・・。そこまで余力があるとは考えられない。

 Yozanの株価が先週末何の手掛かり無しに大きく上げたが、今日もまた何とも怪しげな上昇となった。今日の終値は前日比201円高の1431円で取引を終えている。つい最近も2月13日から2営業日連続のストップ高の後2月22日には終値1096円まで下げている。この動きは何処から見てもどこぞの”悪”が意図的に仕掛けた結果にしか見えない。今回の動きも実に怪しい。明日以降の動きに注目している。

 2007.2.27

 昨日ダイナシティは『2007年3月期 第3四半期財務・業績の概要(連結)』を開示した。開示によると売上高:390億6600万円(前年同期:435億4600万円)、経常利益:18億1100万円(同:18億6700万円)、当期純利益:10億4900万円(同純損失:14億900万円)と減収ながら黒字転換している。とにもかくにもLDグループから離脱して黒字達成となった。取り敢えず「LDの呪縛から逃れられた」と言ったところか・・・。さてダイナシティの株価は黒字転換の報にも反応は冷ややか・・・今日の終値は前日比280円安の1万3120円で取引を終えている。

 「サッポロHDがSPJへの対抗策としてMBOを検討」と日本経済新聞が報じている。国内外の投資ファンド、メーンバンクのみずほコーポレート銀行なども資金提供に応じる可能性があり資金調達面での不安はないとのこと。ところでSPJの買収提案以降の株価上昇により時価総額は3400億円を超えている。安易にMBOと言う訳にも行かない。財務面のRiskを考慮して他の選択肢・・・買収防衛策の発動、他社との資本提携も同時に検討している。何にせよサッポロHDにかなりの負担が圧し掛かることに変わりはない。

 SPJは高値売却出来れば何の不満もない。最も良い条件を提示した相手から「ご馳走様」と”お宝”を美味しく頂戴するだけ・・・。何せ元々自分で経営する気など全くないのだから・・・。当然買収提案を仕掛けた時点での想定シナリオの中にはMBOも含まれている。SPJは鵜の目鷹の目”で鴨が葱を背負ってやって来るのを待ち構えているのに違いない。まさに”性悪”ファンドの”思う壺”・・・そんな輩をのさばらせているかと考えると実に腹立たしい。

 「
みずほフィナンシャルグループが日興CGに対して追加出資案を提示」と日本経済新聞が報じている。みずほコーポレート銀行が日興に4.8%を出資する(シティグループに次ぐ)第2位の大株主。みずほは出資比率は10〜20%程度、上場廃止となった場合も子会社化しないとしている。シティグループとは異なり傘下に収めず業務支援等により側面から日興CGを支えるとされる。さてみずほはシティグループとの全面対決は避ける方針と伝えられるが・・・。日興CG支援を巡る先陣争いはこの先いったいどの様に展開するのだろうか?


 2007.2.28

 昨日
日興CGは『責任追及委員会の答申について』を開示した。この答申を受け同日開催の取締役会にて有村前社長等旧経営陣3名に対する総額31億円の損害賠償請求訴訟提起など不正関係者への具体的な責任追及方針を決定した(こちら 参照)。まずは不正に関わった旧経営陣に毅然たる態度で臨み、然るに失われた信頼回復に繋げ”新生”日興CGのエピローグと行きたいところだが・・・。

 同日日興CGは
関東財務局に2006年3月期、2007年3月期の半期報告書、有価証券報告書、2007年年3月期の半期報告書について訂正報告書を提出した(こちら 参照)。これを受けて近々東証が日興CGの上場廃止に関する判断を下すことになる。ところで日本経済新聞が「東証が日興株式を4月にも上場廃止の方向で最終調整」と報じている。「昨年12月に発覚した不正会計が組織ぐるみで悪質と判断」とも記載されている。現時点では推測記事に過ぎないが、上場廃止となれば少なからず日興CG支援の行方に影響を与えることになる。果たしてどうなるのだろうか?ちなみに日興CGの株価は推測記事に加え世界同時株安の影響をモロに受け大きく下落した。今日の終値はストップ安(200円安)の1147円で取引を終えている。

 
今日で楽天保有のTBS株式の信託期限が切れるこちら 参照)。提携交渉に何ら進展が見られぬまま”乗っ取り騒動”の停戦協定が失効した。交渉の入口、即ち楽天保有のTBS株式の処遇で躓いたままでは全く話にならない。騒動勃発以降常々「相手の家に土足でヅカヅカと乗り込んだ三木谷氏が完全撤退しない限り解決の道は無い」と主張して来た。刀を大上段に振りかざし相手を威嚇するかの如き無礼者の非行を認めることは出来ない。事態の進行を見るにつけ三木谷氏の暴挙は行き詰まり身動き出来ない状況に置かれていることは明白。三木谷氏は何時までも虚勢を張らずに引き時を考えるべき時期にある。

 TBSは敵対的買収者が出現した場合に新株予約権行使による新株式発行の仕組みを導入している。ところが引受け先が不正会計問題の当事者日興プリンシパル・インベストメンツ(NPI)とあっては買収防衛策を発動し難い状況にある。そこでTBSはNPIより新株予約権の取得、及び消却を決定した。となれば
新たな買収防衛策の導入が必要となる。今日TBSは『買収防衛策の改訂について』を開示した。 今回は第三者割当ではなくポイズンピル(毒薬条項)導入となる。詳しくは開示を読んで頂きたい。6月の定時株主総会での承認を目指している。何にせよ”ならず者”に纏わり憑かれている状況ではキチンとした対策導入は必至・・・。

 2007.3.1

 
楽天の株価は小高く始まったもののその後は下落に転じ、終値は前日比3100円安の5万8500円で取引を終えている。TBSとの交渉長期化は必至・・・。状況によっては「TBS株式買い増しとの強硬手段に打って出るのでは?」との推測から楽天の財務体質悪化懸念が浮上したのかもしれない。尤もTBSが新たな買収防衛策導入により強硬手段を取り難い状況だが・・・。さて3月下旬に予定されている定時株主総会にて三木谷氏は膠着状態に陥っている状況をどの様に説明するのだろうか?1100億円もの巨額資金が1年以上も事実上塩漬け状態では株主も納得出来ない。せめて事態解決に向けての今後の方針程度は示す必要があるのでは・・・?何も無いでは無責任の誹りは免れない。

 今日
サッポロHDは『大規模買付ルールに基づく必要情報の提供について』を開示した。買収防衛策に基づきSPJへの質問状を送付した。質問項目は4つ・・・1.買収提案者の概要、2.買付けの目的、内容、3.買付け価格の算定根拠、及び取得資金の裏付け、4.買付け完了後の経営方針等。回答期限は明示されていない。まずは手続きに則った前哨戦が開始された。SPJからサッポロHDが納得する様な回答があるとは到底思えない。両社共に承知の上で次なる戦略を考えているに違いない。果たして全面対決となるのか、あるいは突如ホワイトナイトの出現→急転直下の解決となるのか、それとも・・・?

 2007.3.2

 2月28日
東証2部に住宅建材メーカーの永大産業が新規上場した。永大産業と聞いてその名を思い出す方もいる筈・・・。今から29年前の1978年2月20日新聞各紙の夕刊に「永大産業が倒産、会社更生法適用申請」が一斉に掲載された。負債総額約1800億円・・・当時戦後最大級の倒産として話題になった。1982年に会社更生法計画が認可、その後1993年に会社更生法の手続きを完了した。その時点で不振の住宅事業から撤退して住宅建材事業に特化して現在に至っている。再上場の機会は10年前にあったが、バブル崩壊の影響を受けその後6年間で5度の赤字決算により一旦白紙に戻った。その後の経営努力により黒字転換、今回悲願の再上場に漕ぎ付けた。

 再上場銘柄でフォロー中のマルマン、東京スター銀行は公開価格割れ、京樽は公開価格ギリギリといずれも苦戦している。そこで「永大産業は如何に?」と注目していた。2月28日と言えば中国株安に始まる世界同時株安と最悪の日・・・。それでも初値こそ500円と公開価格割れだったが、初日の終値550円と
地合の悪さにも拘らず健闘して取引を終えた。しかしながら今日は地合の悪さをモロに受け、終値は前日比13円安の535円で取引を終えている。今後の推移を見守るべく株価推移表 その4に追加して追跡を行なうことにする。

 2007.3.3

 都合により本日休載。

 2007.3.4

 2月28日の株価急落はまさに”青天の霹靂”・・・ここまで下がるとは想定外だった。「遅くとも3月2日には持ち直すのでは?」とは甘い見通しは無残にも打ち砕かれた。それに急激な円高も重なっては如何ともし難い。先週末のアメリカの株価下落を見ると明日の見通しは暗い。もしかしたら明日は日経平均の1万7000円割れがあるかもしれない。世界の株式市場は”負の連鎖”に席捲されている。果たしてどこで持ち直すのだろうか?

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