2007.3.26

 3月23日加ト吉グループは『特別損失の発生について』を開示した。開示によると子会社が取引先(小野食品工業)の倒産により回収不能懸念の売掛債権:約25億円)。商品の評価損失見込額:約25億円とある。更に『複数の取引先が絡み伝票上のみの売買「循環取引」の疑い」と報じられている。この件について加ト吉は「外部の弁護士、公認会計士を含めた調査委員会で調査中」とのコメントを出している。売上高が実態と異なる事態が判明すれば粉飾決算となり有価証券報告書の虚偽記載を禁じた証券取引法に抵触する恐れがある。状況如何によっては加ト吉株式(東証1部)の上場廃止に迄発展する可能性がある。ちなみに加ト吉の株価は今回の事態の影響をモロに受け、終値はストップ安(100円安)比例配分の750円で取引を終えている。

 
フジテレビは『訴訟の提起に関するおしらせ』を開示した。LDに対し証券取引法第18条(不実な有価証券届出書の届出者の賠償責任)を根拠として損害賠償を請求していたが、未だにLDよりの支払いが無く東京地裁への提訴に踏み切ったとしている。損害賠償請求額は宇野氏への売却損345億492万円+延滞損害金とある。今までの裁判の流れからしてほとんど全額認められると見ている。LDは無駄な裁判などで争わず速やかに支払うべき・・・見苦しい態度は許されない。LDは有罪判決を受け(当然だが)控訴しなかった。平松氏は損害賠償請求に対しどの様に対応するのだろうか?金銭が絡むだけに徹底的に争うのだろうか?

 不二家と山崎製パンは『資本業務提携契約の締結』を発表した。山崎製パンは不二家の第三者割当増資を引受け発行済み株式の35%を約160億円で取得する。また取締役を6名→12名に増員・・・増員分は山崎製パンから迎え不二家の経営再建を主導する。同時に創業者藤井一族の2名の取締役は退任する。さて増資払込み完了後には不二家は山崎製パンの持分法適用会社となる。これで資本面、業務面からのてこ入れが図られる。不二家の業績回復次第にもよるが状況によっては更なる増資により山崎製パンの子会社になることもあり得る。何にせよ不二家は山崎製パンの傘下に入り食品業界再編の動きに刺激を与えることになった。

 2007.3.27

 日興CGの筆頭株主(だった)米投資ファンドハリス・アソシエイツ」が発行済み株式の1.19%を市場で売却していたことが明らかになった。日興CGの株価は2000円以上と評価する強気の姿勢を示す一方で手仕舞い?の如き挙動を見せていることにもなる。不審な動きはいったい何なのだろうか?日興CGの株価はTOB価格(1700円)を下回る水準で推移している(今日の終値:1684円)。「形勢我に利あらず」と見て一部売却で取り敢えず利益を確定させたのだろうか?この件に関して他の米投資ファンド3社はどの様に見ているのだろうか?シティグループはTOB成立に自信ありとしている。さて・・・?

 「経営再建中の
三洋電機は4月1日付けで井植敏雅社長が辞任、後任に佐野執行役員が昇格」と報じられている。三洋電機は一応否定のコメントを出してはいるが・・・。井草氏は3期連続の赤字など経営再建が難航していることに関して責任を明確にするものと見られる。井植敏最高顧問(前会長)も辞任とされる。つい最近野中ともよ氏が会長を辞任したばかり・・・。これで創業者一族が全て経営から身を引くことになる。(創業者一族による経営が全て悪いと言う訳ではないが)三洋電機の場合も不二家の場合と同様に創業者一族による経営が業績不振の原因の一つには違いない。創業者一族を排除して業績回復となるかどうか・・・新経営陣の手腕に委ねられる。

 2007.3.28

 日本経済新聞は「サッポロHDが3月29日の定時株主総会での議決権ベースで過半数超確保」と報じている。サッポロHDが導入を予定している買収防衛策を巡りSPJとの間でプロキシファイト(委任状争奪戦)が繰り広げられている。報道が事実とすれば乗っ取りを目論むSPJへの有力な対抗策となる。SPJはどうするのだろうか?あくまでも買い増しを続けるのだろうか?サッポロHDが買収防衛策発動との事態を受け差し止め訴訟となるのだろうか?

 NTT Docomoは今月末でポケベルサービス「クイックキャスト」を終了する。1968年日本電信電話公社の時代にサービス開始以来約40年経過した。一時は注目を集めたがその後の携帯電話の普及などに押され急速に利用者数が減少した。ところでNTT Docomo撤退後はYozanなど2社が地域限定でサービスを継続する。地域限定とは恐らく大都市圏と思われる。今後どの様な人達がポケベルサービスを利用するのだろうか?またどの程度の需要があるのだろうか?ところでYozanの名前がこんなところに出て来たが・・・。ポケベルサービスがYozanの収益確保に繋がるとは到底思えない。

 2007.3.29

 今日午前開催されたサッポロHDの定時株主総会にて買収防衛策が承認された。議決権の20%以上の取得を目指す買収者に目的や資金調達等の情報開示を求め自社にとって不利な提案と判断した場合には新株予約権を利用した対抗策を採る。これで取り敢えずはサッポロHDの勝ちとなったが・・・。果たしてSPJがこのまま黙って引き下がるのだろうか?法的措置も含め対抗策を打つことは間違いないる。SPJが20%以上に買増し→サッポロHDが買収防衛策の発動→SPJの差し止め提訴との筋書きと見ているが・・・。さて・・・?

 もう一つSPJ絡みの話題。昨日
SPJは「アデランスに対し買収防衛策の廃止を要求する株主提案提出」したことを発表した。アデランスは昨年12月18日の取締役会にて事前警告型の買収防衛策導入を決めている。これに対しSPJは「株主の意思を反映すべく株主総会の承認を得るべき」と主張している。アデランスは今年5月の定時株主総会にて買収防衛策導入の承認を求めることを表明している。SPJはアデランスが議案としない場合を想定したと見られる。SPJが買収防衛策廃止提案はサッポロHDに続き2件目となる。サッポロHDの場合は否決されたがこちらはどうなるのだろうか?またもやプロキシファイト(委任状争奪戦)に発展することになりそう・・・。

 今日の
ノーリツの定時株主総会にてフルサ・オルタナティブ・ストラテジーズ(保有比率:約1%)の増配提案が否決された。ノーリツは2006年12月期の年間配当を28円を予定している。これに対してフルサは株主還元が少ないとして従来予想の10.7倍に相当する300円への引き上げを要求した。ここには15.50%保有のSPJがいる。どの様な態度を採ったのだろうか?

 2007.3.30

 昨日フジテレビは『グループ内資本再編のお知らせ』を開示した。開示によるとポニーキャニオンと扶桑社の完全子会社化、ビーエスフジの出資比率40.9%→44.5%とある。フジサンケイアドワークなどグループの広告会社3社についてサッポロHD、丸紅等との共同出資会社「富士アドシステム」との10月1日付けの合併を予定している。昨年のニッポン放送吸収合併に続くフジサンケイグループ再編の一環・・・LDに狙われた傷の解消とも看做せる。

 昨日
JASDAQは「先端技術の実用化を目指す企業向けの新市場を9月にも開設」と発表した。新市場の名称はサイト上で公募する。さて新市場の導入に際して現行の上場基準より緩和する。以前に「上場審査の厳格化が鍵になる」と記述した。「有識者で構成する技術評価委員会が企業の技術を評価、上場廃止基準を厳しくするなど投資家保護にも配慮」するとのこと。”言うは易し、行なうは難し”の格言がある。実際に運用基準を作成し運用するのは難しい。あまりに甘過ぎて名証セントレックスの如きテイタラクになっては投資家に迷惑をかけることになる。JASDAQは悪しき前例をしっかり学習してそうならぬ様心掛けなければならない

 昨日TBSの定時株主総会に出席した三木谷氏は「TBSとの資本・業務提携交渉に関し今後10年間でテレビとネットの垣根はなくなる。TBSとは関係を強めたい」と述べた。そんなことを言われても
TBSとしては迷惑千万に違いない。何せイキナリ土足で自宅に踏み込まれた恨みがそう簡単に消えるものではない。信頼出来ない相手と組むことなどあろう筈が無い。少なくとも三木谷氏が保有するTBS株式の保有に関して妥協しなければ話は先に進まない。どう考えても事態が長期化すればするほど不利になる。三木谷氏が”振り上げた拳”をどこに着地させるつもりなのかさっぱり分からない

 
サンライズ・テクノロジーにはロータス投資事業組合と入れ替わりに産業構造研究所がへばりついている。この産業構造研究所もロータスに負けず劣らずやる事が不可解極まりない。EDINETにて検索して頂きたい(コード=’T05114’指定)。新株予約権を行使して取得価格より安価で売却している。保有目的には「株価上昇狙いの純投資」とあるにも拘らず実際には損失を出している。何故・・・?

 2007.3.31

 三木谷氏がTBS井上社長との会談で「TBSを連結決算の対象にしたい考えがある」と述べた』と報じられている。井上氏が「楽天がTBS株式を売却しないと提携出来ない」と伝えたことに対して三木谷氏が応じたとされる。持分法適用会社は原則として議決権所有比率が20%以上50%未満の非連結子会社・関連会社に適用される。つまり三木谷氏の発言は保有比率を19.09%→20%超に買い増すとの意思表示とも看做せる。TBSが6月の定時株主総会にて20%超保有する敵対的買収者に対抗する防衛策導入を予定している。安定株主が60%に達する状況では承認される可能性が高い。もし三木谷氏が強硬策に出ればTBSの買収防衛策発動で全面対決に発展する。実際のところどうなのだろうか?

 
TBSの情報番組「みのもんたの朝ズバッ!」が不二家の不祥事に関し一部不正確な内容の放送をした問題で両社の関係が険悪になっている。昨日不二家の信頼回復対策会議は「TBSに徹底調査を求め対応によっては損害賠償請求などを検討すべき」と提言した。TBSは信頼回復対策会議が両社のやりとりを記録した録音テープを公開したことに対し「主張は容認できない。会話の録音などを無断公表したことは道義やモラルにもとる行為で遺憾」と猛烈に反発している。両社の主張がこのまま平行線を辿れば法廷闘争に持ち込まれる可能性がある。不二家としては山崎製パンの支援を受け再建への一歩を踏み出したばかり・・・。こんなところでケチをつけられたのではたまったものではない。白黒ははっきりさせなければならない。

 2007.4.1

 3月30日家電量販店2位のエディオンと5位のビックカメラは『業務提携委員会発足のお知らせ』を開示した。両社は2月8日資本・業務提携に関する基本契約を締結している。2009年を目処に事業統合を目指すとしていた。実現すればヤマダ電機を抜いて業界首位に躍り出る筈だったが・・・。ところが今回の発表は業務提携のみになっている。両社の事業統合の計画を白紙に戻すことになった。この統合話は今年に入り両社社長が急遽まとめた経緯がある。その為両社の内部、特にビックカメラには不満が渦巻いていたと言われる。社内のコンセンサスを得ずにトップが独走すれば当然の如く反発が起きる。業務提携継続、発行済み株式3%の相互保有も続けるとのことだが・・・。一度ミソをつければお互いの信頼関係に何らかの亀裂を生じるのでは・・・?先々良好な関係が保つことが出来るのだろうか?

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