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 今までに京都へは独りで数多く来ている。あまり多すぎてわからないが、50回をはるかに越えている。特に春の桜、秋の紅葉、7月の祇園祭の時期によく訪れている。京都は常時見ることができる所、特別に申し込んで見ることができる所、これらはほとんど行っている。   同じ所に何回も行っている。自前の足を使って動き回ることを繰り返してきた。今回は子供が大きくなったので、はじめて妻と二人だけの旅行。

 午前10時20分京都駅へ到着。今日のメインは修学院離宮だが、午後3時すぎの拝観が指定されているのでそれまで時間がある。そこで地下鉄南北線で北山へ。現在は烏丸御池で地下鉄南北線と東西線が交差してあちらこちらと行きやすくなった。

 地下鉄北山駅で下車して北山通りを東へ歩き
松ヶ崎大黒天へ。1616年に建立されたお寺で正式には妙円寺。ここは京都七福神の一つ。”七福神発祥の地京都には福神を祭る社寺が多くある。代表的な3コース、「都七福神」、「京の七福神」、「京都七福神」がある。この内「都七福神」は最もよく知られており、私も全て2回以上まわっている。ここへは以前1月に来たことがあるが、その時は小雪まじりで寒かったことを覚えている。今回は色鮮やかな紅葉、境内に大きないちょうがあり葉の黄色が青空に映えて美しい。ちょうど紅葉の盛りの時期に来たようだ。これから巡るところが楽しみ。

 高野川にかかる高野橋を渡る頃にはちょうどお昼、橋を渡ってすぐの所にある小さな店で軽く昼食をとる。白川通りを南下して金福寺へ向かう。白川通りから少し入った所に宮本武蔵が吉岡一門と決闘したことで知られる
一乗寺下り松がある。今は三代目の松と石碑があるが、周りは家に埋め尽くされ昔のおもかげはない。地味なのでうっかりすると見過ごしてしまう。紅葉の季節に来た時には必ずこの辺りに来ている、いわば秋の定番の一つというところか。何度も歩いているので道をよく覚えている。

 
金福寺は俳人松尾芭蕉、与謝蕪村にゆかりの寺。864年慈覚大師により創建されたが一時荒廃、元禄時代に鉄舟和尚により再興され現在に至っている。

      
うき我をさびしがらせよ閑古鳥   芭蕉 金福寺にて

 NHKの大河ドラマ第1回の「花の生涯」のヒロイン村山たか女が三条河原に晒されたが救出され、その後14年の余生を送った所としても有名。ここには井伊直弼、長野主膳、村山たか女ゆかりの品が多数展示されている。庭にでて高台に至ると、そこには
芭蕉庵と呼ばれる小さな庵がある。現在の庵は蕪村が復興したもの。ここから京都の街がよく見える。 更に奥に進むと蕪村の墓と句碑がある。

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円光寺へ。1601年の圓光寺学校を起源とする徳川家康ゆかりお寺。ここの庭の紅葉も素晴らしい。この寺は以前非公開で特定時期しか拝観できなかったが、今では常時拝観できるようになった。徐々に有名になってきていて、ちょっと前までは隠れた紅葉の名所だったが今では観光客の姿が多く見られようになった。本堂の赤い毛氈にすわって庭を眺めるもよし、庭を巡って反対側から散紅葉のじゅうたんを眺めるもよし。庭の入口に手水鉢があり、ひしゃく、水中の楓、竹筒に一輪の白い花、さりげなく置いてあるところに風情がある。 これは水琴窟で、石で出来た水盆に柄杓で水を滴らせると美しい音が聴こえてくる。

 この近くには桂離宮を造営した八条宮智仁の子良尚法親王が手がけた
曼殊院、江戸初期の文人石川丈山が隠棲した詩仙堂(別名丈山寺とも言う)があるが、今回は時間の関係で省略。知る人ぞ知る紅葉の名所鷺森神社の境内を抜けて修学院離宮を横目に見て赤山禅院へ。赤山禅院へ行くと500円で必ず手に入れるものがある。それは福禄寿人形の胎内におみくじが入っている「お姿おみくじ」。愛らしい姿をしたユニークなおみくじで気にいっている。境内に2本の楓の間に寒桜が咲いていた。神仏が同居しているこの寺をしばらく散歩して3時少し前に修学院離宮へ向かう。

 さて今回の目玉の一つ、修学院離宮、何故かここは今まで縁がなかった。秋のこの時期何度か見学の申し込みをしたが、運悪く定員オーバーではねられてばかり。今回今度こそと早く宮内庁京都事務所へ申し込んでようやくOKとなった。念願かなって紅葉の時期の見学が実現。

 
修学院離宮は資金を徳川幕府が出し、後水尾上皇が1655年から1659年にかけて造営した54万uの広大な山荘。朝廷から権力を剥ぎ取り完璧に骨抜きにした徳川家光は、怒り心頭の上皇の機嫌をとりなだめようとした。上皇は今の円通寺の付近、比叡山を借景とした場所を有力候補としたが、水が無いという致命的な問題により断念、その後14年かけてここを離宮の地に定めた。風流人でもある上皇はここへ精力を注ぎ、壮大かつ優美な空間を作り上げた。

 正門で受付を済ませ右手の休憩所でビデオを見て見学開始を待つ。全員で30人位か。 係員の案内でいよいよ出発。自然の地形、空間を巧みに利用した離宮内を歩いていると、適当な起伏がありなにかハイキングに来ているような気分になる。のどかな田園風景、その先には紅葉にそまった山が広がる。東に見えるこの山も田畑も離宮の一部。この田畑は今も地元の農家が耕作している。離宮造成当時上皇は田畑を農家に開放し耕作させていた。上皇はあくまでも自然にこだわり、農家の人達がごく普通に農作業する様子を楽しんだという。第二次世界大戦後の農地解放でいったん農家に払い下げられたが、その後宮内庁が買い戻し元の所有者に貸す形をとっている。

 ここは
上、中、下の3つの茶屋のエリアで構成されている。見事な紅葉に感嘆しながら緩い坂を上っていくと、上の茶屋『隣雲亭』がある。ここは小高い所にあるので眺めがよい。離宮内で最も美しく最高のスポット。隣雲亭のすぐ下には約11500uの浴龍池池にかかる千歳橋、池越しに見える山々、青空、紅葉、樹木の緑、そして浴龍池に映る樹木と青空…とにかく美しい

 中の茶屋、下の茶屋を巡り1時間15分の見学は終了。宮内庁が厳重に管理しているので保存状態は極めて良好。さすが日本の伝統美と堪能したが、ガイドの案内で見てまわるのが残念。
もし許されれば1日中のんびりしたい。今日のような紅葉が美しく天気の良い日は最高だろう。

 また来たいという気持ちを残して修学院離宮を去る。叡山電鉄の修学院駅から電車に乗り、出町柳で京阪電車に乗り換えて一路今日の宿泊地宇治へ向かう。今日から3日間宿泊する旅館は宇治川のほとりにある純和風旅館。

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京都旅行記(2001.11)