直線上に配置
直線上に配置
 2003年の11月2日から3日にかけて所用があり山形市へ行ってきた。山形新幹線に初めて乗ったが、東北新幹線との速度の落差に愕然とした。山形新幹線は在来線を使っているのでスポード感がない。福島から山形へ行く途中に見える山肌の紅葉は見ごろで美しい。速度がそれほど出ていないこともあり、車窓から紅葉をゆっくり眺めることができた。これから行く山寺の紅葉も期待できそう。

 12時頃に山形駅に着き、仙山線に乗り換え山寺へ向かう。のどかな田園風景の中を電車は走り、約15分で山寺駅へ到着。33年ぶりの山寺、駅を出て見渡したが以前駅前はもっと鄙びた感じだったと思う。あまり昔のことで記憶は定かではない。

 観光案内所に荷物を預け立石寺へ向かう。立石寺と聞いて、1689年この地で詠んだ松尾芭蕉の句を思い浮かべる。

 閑さや岩にしみ入る蝉の声

 正式には
宝珠山阿所川院立石寺。第56代清和天皇の勅願により860年に慈覚大師円仁が開山した天台宗比叡山延暦寺の別院。慈覚大師はで最澄に次ぐ高僧で、東北各地にも立石寺の他に松島の瑞巌寺、平泉の中尊寺、毛越寺、恐山の円通寺など多くの寺を開山している。

 石段を登ると
根本中堂(重要文化財)がありここをお参りした。お堂の入口に「招福布袋尊」があり皆触っている。根本中堂の境内を抜けると日枝神社がある。日枝神社の隣の秘法館の反対側に芭蕉の句碑と芭蕉、曽良の像がある。 句碑には『閑さや岩にしみ入る蝉の声』が刻まれている。うっかり曽良の像の写真を撮るのを忘れてしまい、曽良には悪いことをしてした。

 鎌倉時代末期の建立の
山門で入山料300円を払い、いよいよこれから約800段の石段を登り奥の院を目指す。立石寺は山の斜面にあるので石段がきつくけっこう段差がある。運動不足の我が身にはダメージが少しづつこたえてきている。ここまで来たのに引返すなんてみっともないので、途中時々休みながら上を目指した。

 1848〜1854年に建てられた
仁王門をくぐるあたりから見晴らしが開け、山の紅葉、巨岩、奇岩、それに眼下の素晴らしい景色が疲れを吹き飛ばしてくれる。山肌の所々にくりぬかれた所があるが、そこで修験者がこもって修行したそうだ。

 次に百丈岩の絶壁の上に建つ納経堂、慈覚大師の廟所 の開山堂の前を通り五大堂へ向かう。
五大堂は1714年に再建された舞台造りのお堂で、大聖不動明王、東降三世明王など五大明王を安置している。山の中腹から前面に迫り出しているのでここからの眺めは山寺随一のView Point。ここからの眺めを見ずして山寺に来たと言う勿れ。眼下に広がる景色、山々の紅葉、とにかく素晴らしい。

 最も高い所にある奥の院と大仏殿を目指す。
奥の院は正式には「如法堂」で、1871年に再建された。大仏殿には丈5mの金色の阿弥陀如来像が安置されている。奥の院と大仏殿の屋根越しに見える紅葉に太陽の光があたり輝いていた。

 以前ここへ来た時にはもう少し別の所を見ることができた。今は危険防止のため立ち入り禁止になった所がある。金乗院の前庭から山側を眺めると切り立った崖の中腹に胎内堂がある。はっきりした記憶はないが、当時スリルを充分に味わったと思う。

 引き返す段になっていわゆる「膝が笑っている」状態.。石段を降りる度に膝がガクガクして体力不足を痛感した。

 ちょうど良い時期に山寺に来たようだ。目の前に広がる紅葉の美しさ、眼下に広がる素晴らしい眺めなどが疲れを吹き飛ばすのに充分。満たされた気分で山寺駅から山形へ戻った。
サイトトップへ