2006.5.

 今日東証は『清算システムの能力増強及び約定件数に係る売買停止基準の変更について』を開示した。5月連休中に実施したシステム増強により約定件数840万件まで対応可能となり、「売買停止とする措置をとらざるを得ない事態に陥る可能性は低くなった」と判断した。「
システム能力の9割を目安にその時点の売買状況を総合的に勘案した上で売買停止が必要かどうか総合的に判断する」としている。また5月22日を目処に注文件数の処理能力を1200万件に増強することを受け、売買停止基準を約定件数に同じく「システム能力の9割を目安」に引き上げる。今回の対応で当面の危機は回避出来るが、あくまでも暫定対応でありシステムの老朽化が進んでいる現状を考えれば出来る限り早期の新規システム導入が望まれる

 『今年3月まで京阪電鉄、阪神電鉄、村上ファンドとの協議が続いていた』と報じられている。結局売買価格で折り合いがつかず京阪電鉄は断念し、4月から阪神電鉄は阪急電鉄との経営統合に方針転換したとされる。村上ファンドは5月6日付けのコメントの中で「京阪電鉄との経営統合協議」を明示している。ここまでの情報から総合的に判断すると阪神電鉄は当初から幾つかの選択肢を用意していたと見られる。京阪電鉄と阪神電鉄は主要路線の競合がなくお互いに利がありそちらに傾いていたと考えても何ら不思議ではない。一方阪急電鉄とは主要路線が競合するものの、京阪電鉄の支援が望めない状況に至りこちらに頼るしか方策がなくなったと思われる。

 4月になって急に阪急電鉄との経営統合の話が浮上したとは考え難い。選択肢の一つとして比較検討しつつ(比重の違いはあるが)並行して進めていたと推察される。しかしながら阪神電鉄が何も明らかにしていない為事実関係が分からない。それ故村上ファンドから一方的に情報が流れることから「情報漏洩」、また急速に阪急電鉄との経営統合の件が浮上したことから「拙速」などと突っ込まれる。阪神電鉄はここに至る過程を明らかにして阪急HDを選択した経緯/理由を明確にすべきと考える。この時期に隠し事をしても何のMeritがないどころか、逆に”痛くもない腹を探られる”ことにもなり兼ねない。村上氏が主張する様な負い目が無ければ正々堂々と自らの正統性を主張すればよい。

 
阪神電鉄の株価は交渉への様々な思惑が働き一時1050円まで上昇したが、終値は前日比29円高の1029円で取引を終えている。この時期の株価上昇は村上ファンドには願ってもないことであり、阪急HDとの売買交渉に強気の姿勢で臨んでいるのに違いない。しかしながらあまり上昇すれば村上ファンドの売値と阪急HDの買値の主張の隔たりが更に広がり両者の交渉がまとまり難くなる。果たして村上ファンドは落としどころをその程度に設定しているのだろうか?それとも交渉破談も辞さぬ構えで強硬姿勢を貫き、場合によっては経営権取得、言い換えれば”乗っ取り”まで本気で考えているのだろうか?

 
アドテックスの株価は4営業日連続のストップ高とはあまりにも”●●”げたマネーゲームを演じている。今日の終値はストップ高比例配分(出来高:2万6381株)の936円で取引を終えている。残り4営業日で上場廃止にも関わらず”お祭り”状態になっている。民事再生法適用申請、即ち事実上倒産により整理ポストに割り当てられ先の見通しは皆無と言える。仮に再生スポンサーが決まり再生の道が開かれたとしても、債務超過とあれば100%減資となる可能性が極めて高い。つまり最終的にここの株式を保有した方の手元には何の価値も無い”紙屑”が残ることになる。尤も危険を承知でマネーゲームに参加している方が儲けても損しても知ったことではない。

 2006.5.

 北側国土交通相は今日の記者会見で「(村上ファンドの株主提案について)関心をもっているのは運輸の安全が確保されているかどうか。そこに疑義があるなら当然指導監督していかねばならない」と述べた。村上氏が経営権を握った場合鉄道経営の未経験者が取締役の過半数を占めることになる。もし安全運行に懸念が出ると国土交通省が判断した場合には監視を強めることを示唆した。公共交通機関の中で鉄道には規制がない。それ故国土交通省は監督官庁として株主構成や役員人事などについて指導する権限はないが、鉄道事業者に対する許認可権を背景に監視強化を図ると見られる。村上ファンドは「あくまでも経営監視」と言い張っているが、(当然のことながら)国土交通省もそんな言い訳を信用していない。行政面からも村上ファンドの横暴は厳しく抑制すべきであり国土交通相の発言は評価出来る。今後怪しい点を見つけ次第早急に村上ファンドを糾弾して頂きたい。

 玉井氏は昨日の阪神電鉄西川社長との会談にて、阪神電鉄幹部が「(玉井氏は)村上ファンド寄り」と発言したことに対し謝罪を要求した。また「阪神の取締役として立場は変わりない」としているが、自らが取締役候補として村上ファンドの株主提案提出前に知っていたことを認めた。そもそも村上ファンドの株主提案に自分の名が載ることが分かった時点で玉井氏が辞退しなかったことが大きな誤りと断ずる。阪神電鉄の取締役との立場にありながら敵対する陣営の取締役候補に名を連ねるなど非常識な行為でしかない。最早阪神電鉄の取締役を名乗る資格はない。その様な人物に謝罪する必要はない。

 昨年11月1日に上場廃止になったグローバリーのサイトを久しぶりに覗いた。一連の不祥事により売上高の90%を占める主力業務の商品先物業務が廃止に追い込まれ瀕死の状態になっていた。存続が難しいのではと思っていたが渋太く生き延びている。サイトがRenewal工事中でほとんど状況が分からないが、よく見ると3月25日付けで『株式交換に伴う株券提出のお知らせ』が開示されている。4月28日をもって株式交換によりジャパンプロセルの完全子会社となる。

 「4月27日の最終株主名簿に基づきグローバリー1株に対しジャパンプロセル0.00006315株の割合で株式交換」とある。つまりグローバリー株式を1万5836株以上保有していなければジャパンプロセル株式とは交換できない。それ以下の株主は1株未満の端数株主となる。株式交換に反対、もしくは端数株主はグローバリーに対し買取り請求出来る。買取り価格を見て驚いた。何と584円22銭/株で昨年10月31日の終値289円の2倍近い。ジャパンプロセルによる資産評価の結果が569円98銭〜584円22銭となったことによる。何かと悪評が付き纏っていたグローバリーだが財務体質は(それなりに)健全と言える。結局自ら振り撒いた悪行の数々が”企業消滅”となって跳ね返って来た。

 ところで何の取り得も無いグローバリーでも拾う奇特なところがあると妙に感心した。拾ったところはジャパンプロセルとはおよそ聞いたこともない。ワンマン経営で知られたグローバリーの加治屋・元会長のプライベートカンパニーでグローバリーの筆頭株主とまでは分かったが・・・。いったい何を生業にしているのか分からない。何やら謎めいた怪しさが漂っている。それに以前グローバリーの経営に携わっていた加治屋氏による買収にも奇妙な感じがする。「何か裏があるのでは?」の疑いを持つ。

 2006.5.10

 村上ファンドは発行済み株式総数の45.73%に当たる約1億9000万株を保有しているが、関東財務局へ提出している大量保有報告書には常に「純投資」と記載されている。然るに5月2日の株主提案では阪神電鉄取締役の16名中村上ファンドの推薦候補が9名と過半数を超えている。現状のままで6月29日の定時株主総会を迎えれば実質的に過半数超の議決権を有する村上ファンドの意向通りに取締役が選任される。つまり実質的に経営支配することになれば、(誰が見ても)保有目的が「純投資」ではなく「経営参加」や「支配権の取得」に変更されたと判断出来る。

 金融庁や証券取引等監視委員会などの金融当局はこの点に着目していると思われる。然るに
金融当局が村上ファンドに対し阪神電鉄株式保有の目的を明らかにする為事情聴取する可能性がある。証券取引法第27条の25には『大量保有報告書に記載すべき重要な事項に変更があった場合には5営業日以内に変更報告書を提出しなければならない」と規定されている。村上ファンドがあくまでも「純投資」と言い張っているが、金融当局が株主提案を「保有目的の変更」と認定した場合には変更報告書を提出しなければならない。違反した場合には「3年以下の懲役、300万円以下の罰金」が科せられる。さてその場合村上氏は従来の主張を繰り返すのだろうか?あまり突っ張り過ぎると墓穴を掘ることになるが・・・。結局は金融当局の指導に従わざるを得ないと思われる。

 日本経済新聞が『村上ファンドが実質的な経営権取得に強い意欲』と報じている。更に「4月以降阪神電鉄株式を買い増し保有比率が50%を超えた公算がある」とも伝えている。村上ファンド関係者の話としているが、真偽のほどは確かではない。またもや村上ファンドが情報漏洩と騒ぎ出すかもしれない。ところでこの時期にこの様な報道が為されるとは何やら意図的な動きを感じる。何せよ阪急HDと村上ファンドの売買交渉が暗礁に乗り上げているとの状況証拠と見ることも出来る

 昨日楽天は『2006年12月期第1四半期の事業の進捗状況について』を開示した。連結ベースで売上高:521億6800万円(対前年同期比:236.4%増)、経常利益:114億6700万円(対前年同期比:147.5%増)、当期純利益:39億5000万円(対前年同期比:335.0%増)との大幅な増収増益となった。分野別で見るとInternet事業の収益の伸びは鈍化しているが、現在難航しているTBSとの提携交渉の行方が今後の同分野の先行きの鍵を握る。また消費者金融事業に於いてグレーゾーン金利分の返還が2005年には3億8400万円発生、更に2006年には5億6600万円の発生を予想している。一方で楽天証券やクレジットカードや個人向けローンなどの金融事業の収益が大きく伸び”成長の柱”になっている。ライブドアと全く同じパターン・・・新興企業が企業規模の拡大を図る典型的な姿と言える。
ある意味危険な香りが漂っている。ちなみに好決算発表にも関わらず全く反応が無く、今日の終値は前日比2600円安の8万4900円で取引を終えている。

 
アドテックスの株価が6営業日連続のストップ高とはあまりの”●●”らしさに呆れ果てる。今日の終値は1236円・・・仮に明日、明後日ストップ安で終わったとしても、上場廃止時の最終株価は836円となる。さてこの狂乱ぶりはいったい何事だろうか?マネーゲームとしては残り2営業日ではRiskが大きい。 債務超過で民事再生法適用申請しているので、(何度も繰り返すが)仮に民事再生で復活しても100%減資になる可能性が極めて高い。アドテックスが再生して現在の株式が無事で済むと思っている方はどの程度いるのだろうか?どう見ても”紙屑”争奪戦にしか思えないが・・・。

 2006.5.11

 村上氏はシンガポールに現地法人「MAC ASSET MANAGEMENT PTE .LTD」を資本金3000万円全額出資し設立した(こちら 参照)。現地の会社登記によると村上氏が社長、シンガポール人が1名が取締役になっている。シンガポールでは外国企業が現地法人を設立する場合、最低2人の取締役が必要であり内1名がシンガポール人にする必要がある。尚開示では「関連ファンドの運用会社について(グローバルな展開に対応する為)MAC ASSET MANAGEMENT PTE.LTD.に変更」とある。昨日提出した大量保有報告書によると4月29日時点で既にMACアセットマネジメントの保有株式がシンガポール現地法人へ移転されている。

 さてこの微妙な時期にシンガポ−ル進出との村上氏の狙いはいったい何だろうか?シンガポールは外資誘致の為法人税率が日本より低いなど税制面のMeritが多い。加えて日本の金融当局の目が届かないのも何かと都合が良いのでは・・・?活動の拠点と全ての資産を海外に移すことにより、(日本国内での投資活動は規制の対象にはなるが)
海外では日本の金融当局の監督/規制が難しく活動の実態を把握しずらくする狙いがあると見られる。昨今自らの悪行が祟り日本国内も住み難くなって(居心地の良い)海外に本拠を移し、(今にも増して更に図々しく)思う存分悪さを仕掛けて来るに違いない。

 昨日
村上ファンドが提出した大量保有報告書により4月29日時点では阪神電鉄株式の保有比率が45.73%→46.65%に増加していることが分かった。一気に過半数超が可能にも関わらず”真綿で首を絞める”が如くジワジワと攻めるとは何とも嫌らしい。5月に入ってからも阪急HDとの売買交渉を横目で睨みつつ買い増している可能性がある。「当方の言い分を呑まないと本気で経営権を奪取するぞ」と脅しをかけているのに等しいこんなことをやっているのにあくまでも「純投資」とシラをきっている。毎日新聞の取材に対し村上氏は「株を買ってくれとは言っていない。なんで売らなければいけないんだ」としつつ、「高い値段が出てきたら検討する」と述べている。傲慢な態度な態度には強い嫌悪を感じる。ところで投資目的を変更する意思はないのであれば、(昨日記述した様に)金融当局は証券取引法違反での摘発をすべきと考える。何時までも”極悪人”を野に放っておいてはいけない。

 また3月末時点で3〜4%保有の
TBS株式は大量保有報告書提出の義務が生じる5%を超え5.65%となっている。恐らく今後も買い増すと思われる。狙いは唯一つ、楽天vsTBSの交渉を横目で睨み折を見てどちらかに高値売却でしかない。昨年のライブドアvsフジテレビの争いの時と同じPosisionに村上ファンドは位置している。争いの勃発は村上ファンドに対し絶好のボロ儲けの場を提供することになる。 さてどこまで買い進めどちらへ売りつけるのか注目される。

 また
松坂屋の株式については3月末時点での保有比率7.52%→9.22%に増加している。こちらは筆頭株主として増配要求、資産の有効活用などで散々掻き回しておいて、気がつくと高値で売り抜けで”もぬけの殻”になっているに違いない。ところで4月29日時点で村上ファンドが5%以上保有している上場企業は17社あるが、持たれている方としては”極悪人”が身近にいては気が休まらない。何せどんなことをして来るか分からず薄気味悪い。

 
ライブドアオートは『訴訟提起に関するお知らせ』を開示した。開示によると本日開催の取締役会にて「堀江氏、宮内氏、岡本氏、及びライブドアに対して総額16億7395万6952円の損害賠償訴訟を起こす」ことを決議した。今回の請求額は3月末時点での算出額であり今後追加される可能性がある。詳しくは開示を読んで頂きたいが、簡単に言えば”ライブドア事件”の影響により多大なダメージを受けたと主張している。LDオートは”ライブドア事件”発覚後早々にLDとの対決姿勢を鮮明に打ち出している。 既にライブドアから送り込まれた取締役を解任しているが、損害賠償についても早くから請求する方針を明らかにしていた。

 4月15日LDは「取締役の員数を11名→12名に変更。12名中7名の取締役候補選任」との株主提案を行なっている。一旦奪われた取締役会の支配権を過半数超の51%を保有する親会社として”数の力”で奪い返すことを狙っている。現在LDとLDオート間では「LDオート株式売却先の選定」、「資本・業務提携の解消」など幾つかに懸案事項があり交渉が行なわれている。
LDの株主提案、LDオートの損害賠償請求などの状況からすると両社の交渉はかなり難航していると見られる。さてLDオート現経営陣は6月定時株主総会以前に動いて来た。しかしながらこのまま6月の株主総会を迎えれば取締役会内部の力関係が逆転する。そうなれば損害賠償請求決議の取消となる。それを承知で現経営陣は動いた訳だが、何らかの成算があるのだろうか?今後どの様に事態が推移するのか注目される。

 2006.5.12

 5月10日提出の大量保有報告書により『事実上倒産のアドテックス株式の大量取得の事実』が分かった。4月25日時点で松本昌己氏が0 → 6.3%、そして長井博實氏が0 → 11.4%となっている。保有者が松本昌己氏、長井博實氏と言うのも如何にも胡散臭い。ちなみにInterenet検索すると興味ある情報が出て来るので検索して頂きたい。まともな人物でないことは直ぐに分かる。一例としてとして ここ をどうぞ。

 投資目的は「中長期純投資」とはなっているが全く信用出来ない。それに将来”紙屑”になる可能性の高い株式を中長期的に保有することなど到底考えられない。ちなみに民事再生法適用申請以降アドテックスの株価は急速に値を下げ、4月25日には終値420円と底値をつけていた。一転して翌4月26日以降ストップ高の連続で大きく値を上げているので、
どこかの時点で売り抜けて大きな利益を得ていることは間違いない。その陰にはマネーゲームに興じて株価吊り上げのお手伝いをしている”●●”の存在がある。 尤もこんなところの取引なんてまともな感覚では出来る筈がないが・・・。

 さて
最終取引日を迎えアドテックス株式には予想通り処分売りが殺到しストップ安売り気配で終日推移した。結局ストップ安比例配分(出来高:9168株)の1236円で取引を終えている。それにしても今日で売買終了にも関わらずいったい誰が何を狙い最後に買ったのだろうか?みすみす金をどぶに捨てる様にしか見えないが・・・。購入者がいて値がついたのが不思議に思える。それともアドテックスが企業として復活、そして株価上昇との(起こり得ない)幻想を抱いている方がいるのだろうか?とにもかくにも
何かと市場を騒がせたアドテックスは寂しく消えて行った

 昨日までの7営業日連続のストップ高との狂乱状態はいったい何だったのだろうか?どう考えても事実上倒産した企業の株価が上場廃止寸前まで急上昇とは(普通に考えれば)あり得ない。特に昨日のストップ高で取得するなど正気の沙汰とは思えない。マネーゲームに浮かれて(乗せられて)我を見失っていた方が大勢いたのだろうか?欲の皮が突っ張った方がギリギリまで無用の頑張りをしたかもしれない。最終取引日には処分出来ると安易に考えていたのだろうか?さて売却のタイミングを逃して最後まで株券を掴んでいる方は現在どの様に思っているのだろうか?無論上手く売り抜けて利益を得た方もいるが当然その逆のパターンもある。マネーゲームの敗者のツケは大きい。

 昨日日本取締役協会
宮内会長(オリックス会長)は村上ファンドの株主提案について「株主の権利としては理解できる。法に則り行なわれた」と述べている。宮内氏は村上ファンドに約4000万円出資する大株主であり、基本的には村上ファンドが利益を出すことに歓迎する立場にある。そんな輩(当事者の如き存在)が今回の”阪神電鉄乗っ取り騒動”にとやかく口を出す資格は無い。当初から”陰で糸引く”黒幕と取り沙汰されている人物には黙っていて頂きたい。それにしても(オリックスの)宮内氏が日本取締役協会の会長とは知らなかった。胡散臭い人物には不適格な肩書きに見えるが・・・?

 今日
オリックスの藤木社長は『村上ファンドから出資金と役員を引き揚げ提携を解消』と述べた。村上氏側からオリックスがMACアセットマネジメントに出資している4050万円分(45%)について買取りの申し出があったと言う。オリックスはこの要請を受けるが、村上ファンドへの資金の運用委託は継続するとされる。資本関係は解消するが資金運用委託継続となれば、やはり宮内氏にとり村上ファンドが利益を出すことに歓迎する立場に変わりはない。”陰で糸引く”黒幕との疑惑は依然として存在する。

 2006.5.13

 5月10日付けで金融庁は中央青山監査法人に対し業務停止命令を下した。所属する公認会計士がカネボウの粉飾決算に関与した件で処罰を受けた。期間は7月1日から2カ月間、業務停止範囲は上場企業の法定監査業務などが対象となる。同時に直接粉飾決算に関与した公認会計士3名については2名が登録抹消、1名が1年間の業務停止の処分を下した。正しい会計処理がなされているかどうかチェックすべき立場にありながら不正に加担するとは言語道断であり厳しい処分は当然と言える。四大監査法人の一つ中央青山がこの様な不祥事を引き起こしては監査業務に携わる全ての監査法人への信頼が大きく揺らいでいる。法的規制の強化も当然必要だが、まずは日本公認会計士協会を中心として”襟を糾し”信頼回復に務めなければならない。

 ところで中央青山は業務停止命令により処分期間中企業決算を担当する法的資格を失う。つまり7月1日時点で現在契約している相手企業との契約が失効する。処分解除された後に再契約は可能だが、その場合には株主総会の承認が必要となる。株主の抵抗が予想されすんなり”元の鞘”に収まるかどうかは分からない。2006年12月期決算企業の中では既に旭硝子が中央青山からあずさ監査法人に契約を変更している。契約企業の「中央青山離れ」が進む様な事態になれば中央青山の経営は深刻になることが予想される。かつて2002年に同様の事件に関与して業務停止命令を受けた瑞穂監査法人はその後解散に追い込まれた。最悪の場合には瑞穂監査法人の轍を踏むことすらあり得る。

 昨日
資生堂は『監査法人を中央青山→あずさに変更する』と発表した。中央青山の所属会計士によるカネボウの粉飾決算への加担発覚後から中央青山との契約の是非を検討していた。変更の理由として「グローバル化に対応する為連結監査体制を整備する必要があり、しっかりとした監査ができる監査法人に監査を任せる必要があると判断」とコメントしている。早い話が「信頼失墜の著しい中央青山が監査を担当すれば自らのイメージダウンに繋がる懸念がある」との意思表示と言える。さて今回の資生堂の決定が引き金となり中央青山からの監査法人変更の動きが加速することが予想される。金融庁の処分発表後も(変更に)慎重な姿勢を示しているトヨタなどの判断にも影響を与える可能性がある。  (追加:東洋水産も中央青山からあずさ監査法人に変更決定した。)

 5月9日アメリカの国際会計事務所プライスウォーターハウスクーパース(PwC)は『近々日本で監査法人設立予定』と発表した。設立目的、設立時期、公認会計士の人数など具体的な内容は明らかにしていないが、来週には新監査法人の詳細を公表するとしている。PwCは中央青山監査法人とは提携関係にあり引き続き支援するとしている。設立の狙いには「中央青山離れ」を食い止める為の『受け皿』的意味合いも含まれると見られる。但し停止対象の約2300社全てを賄える筈はないが・・・。

 一方5月10日の記者会見にて日本公認会計士協会の藤沼会長は「企業や市場に大混乱が生じることを心配する」と述べ、企業向けの相談窓口設置や中央青山の契約企業への過剰な売り込み自粛などの対応策を発表した。表立っての露骨な動きはないかもしれないが、果たして隠密行動まで抑止出来るのだろうか?本音と建て前はどこにでも付き纏う。この期に顧客拡大を狙うところが出て来ても何ら可笑しくはない。世の中は綺麗事だけではない。

 昨日阪神電鉄は『社外取締役の玉井氏が6月の定時株主総会で任期満了により退任する意思を表明』と発表した。どの様な事情があるにせよ玉井氏が阪神電鉄への”裏切り”とも受け取れる行為の事実は消し去ることは出来ない。自らの軽率な行為で信頼を失ったからには最早身を引くしかない。この件については阪神電鉄から『玉井氏の意思表明等について』が開示されている。開示には(表面上は)両者が納得して和解したかの如く書かれているが、額面通り素直に使用することは出来ない。所謂”大人の解決”で収束を図ったものと思われる。

 玉井氏は「(阪神電鉄から)求められなければ取締役には就任しない」として村上ファンドの株主提案が通り自らが選任されても断る意向を示している。それでも村上ファンドは相変らず阪神電鉄に対し玉井氏の取締役選任を求めている。村上氏は玉井氏について「是々非々の立場で判断して頂く」して必ずしも村上ファンド側に組するものではないと強調している。つまり阪神電鉄取締役会の過半数超にはならず経営支配ではないと主張している。玉井氏が取締役就任辞退となれば村上ファンド側の取締役比率は8/15と過半数を完全に超える。つまり『経営支配』に他ならず、村上ファンド側の論拠は根底から崩れることになる。
投資目的が「純投資」との(白々しい)主張が通らないと見ている。

 明日高知競馬第4R「
不死鳥ホリエモン特別D8(ダート:1000m)」に『
ホリエモン』が7頭立ての2番枠で出走する。直近の5走では1着2回、2着3回と好調を持続している。それに高知の1000mは5走して1着2回、2着3回と得意にしている。『ホリエモン』が6勝目を上げるチャンス・・・さてどうなるだろうか?

 2006.5.14

 村上ファンド(MACアセットマネジメント)が国内の投資顧問業の廃業届を関東財務局に提出した。今後は日本の投資顧問業法による規制の対象外となる。これにより年1回の財務省への営業報告書提出、証券取引等監視委員会の立入り検査を受ける必要がない。日本の金融当局との関わりの煩わしさを嫌い日本から脱出(逃亡)し活動の本拠を海外に移したものと見られる。昨年初めの”ライブドア乗っ取り騒動”以降村上氏への注目度が一気に高まると共に、あまりにも阿漕なやり口には批判が噴出し(結果として)隠密裏に悪さを行なうことが難しくなったとも看做せる。

 ところで村上ファンドが国内での投資顧問業を廃業したことで5%ルールの特例措置の対象外となり、(株式取得後)大量保有報告書を2週間以内の提出と大幅に短縮される。また現在国会で審議中の金融商品取引法(投資サービス法)案が成立すれば、拠点を海外に置いた場合でも国内投資家から資金を集め日本企業の株式を保有する場合には(国内に拠点がある場合と)同様の規制が為される。つまり
拠点を海外に移したからと言って何でも自由に行動出来る訳ではない

 今後ファンドの運用がシンガポール現地法人から為されることから実質的には”
外資系ファンド”と看做せる。但し村上ファンドは国内では廃業するものの、同社と一体となってコンサルティング業務を行なう「M&Aコンサルティング」は国内で業務を継続する。つまり村上氏が国内での悪行を続けることには変わりはない。見せ掛けに騙されてはいけない。村上ファンドが活動の本拠を海外に移したことでより一掃監視を強化しなければならない。

 『ライブドアが(USENの)宇野氏など3名を取締役として迎え6名の取締役の半数を社外取締役とする方針』と報じられている。6月の臨時株主総会で正式決定する。LDの緊急かつ最優先の課題はコンプライアンス(法令遵守)強化であり、社外取締役を半数として社外からの経営監視を厳しくすることを狙っている。ところで昨今LDの動向がほとんど伝わって来ないが、果たして経営の実態はいったいどうなっているのだろうか?USENはまずは人事面での経営参加を進め将来の経営統合への布石とする考えと見られるが、現時点では経営統合の先行きは不透明と言わざるを得ない。

 高知競馬第4R「不死鳥ホリエモン特別D8(ダート:1000m)」に『ホリエモン』が出走した。好スタートから後続を引き離して逃げたが、直線内から「ナンカイスピード」に差し込まれ1馬身差の2着に敗れた。今日は相手関係から勝ち目ありと見ていたがもう一息及ばなかった。これで6戦連続2着以内(1着2回)と安定した成績を上げている。好調を持続しているので近々6勝目は固いと見ている。

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