2007.3.5
都合により本日休載。
2007.3.6
昨年10月に民事再生法適用申請した平成電電の佐藤元社長を含む役員5名が警視庁捜査2課に詐欺容疑で逮捕された。平成電電の協力会社を利用して高配当(年利10%程度)を謳い文句に個人から投資を募り通信機器を平成電電にリースしていた。平成電電は平成電電匿名組合(平成電電設備、平成電電シシテム)とは無関係と主張している。しかしながら社名にも平成電電とついているのだからそれだけでも全く関係無しとは思えない。それはともかくどこから見ても匿名組合を隠れ蓑にする狙いしか見えて来ない。何にせよこの一件が表面化した時点からインチキ臭い感じが漂っていた。超低金利時代が続き世の中には高配当に吊られて詐欺に引っ掛かる方が多く見受けられる。まさに”美味しい話には裏がある”・・・。 とにもかくにも「甘い話にはが手を出さない」ことが肝心・・・。
平成電電元社長等の逮捕の報を受けドリーム・テクノロジーの株価が揺れ動いた。取引開始早々ストップ安(1000円安)売り気配で始まったが、終値は前日比680円安の5310円で取引を終えている。ドリテクも家宅捜索対象になったことも大きな不安材料となっている。今日『昨日からの報道に関するお知らせ』を開示・・・「自社への嫌疑ではなく、昨日の逮捕事実の裏付けと認識」として事件とは無関係と主張している。それはともかくドリテクの株価低迷は長期化している。2月2日に開示した『業績予想の修正に関するお知らせ』を見てもドリテクの苦しい内情が滲み出ている。それにもし平成電電の件で関与が明らかになれば大変・・・。ドリテク、それにドリテクの株主には明るい未来が見えない様に思える。
読売新聞が「山崎製パンは不二家株式の1/3超を取得、傘下に収める方針」と報じている。山崎製パンは既に不二家の発行済み株式の約15%を取得して筆頭株主になる方針を決めている。更に一歩踏み込んで1/3超取得となればまた意味合いが変わって来る。この報道に対し山崎製パン、不二家共に「資本提携の面で具体的に決定した事実は無い」と否定した。何にせよ山崎製パンが筆頭株主として不二家に多大な影響力を持つことに変わりは無い。生産/営業再開の目処が見えて来たとは言っても信用回復が不透明な現状では不二家は何か支えが無いと立っていることが出来ない。ちなみに不二家の株価は山崎製パンのTOB期待、更には山崎製パン主導による経営再建期待から上昇した。終値は前日比36円高の290円で取引を終えている。一方山崎製パンの株価は財務面での負担増の懸念からか一旦1011円迄下落したが、地合の良さが効いて終値は前日比3円安の1047円と盛り返して取引を終えている。
昨日不二家は『固定資産の譲渡に関するお知らせ』を開示した。大阪の不二家戎橋店を5億5400万円でアトリウムに売却する。譲渡の理由は「社内資産の効率化の為」としているが、実情は営業停止が長引き資金難に陥り補填の意味合いがあるものと思われる。かつて銀座本社の売却検討と報じられたこともある。資金難が続けば続く資産売却があるかもしれない。さて不二家は安全宣言、次いで製造/営業再開に向けて着々と準備を進めている(こちら 参照)。そこでやはり消費者の対応が不二家再生の鍵になる。スンナリ戻ってくれるかどうか?さて、どうなるのだろうか?
2007.3.7
昨日大引け後日興CGとシティグループは「包括的戦略提携に合意」したことを公表した。また同日両社は信用補完契約を締結している。日興CGが上場廃止になった場合には信用不安除去を狙いとしてシティグループから日興CG証券に資金供与が行なわれる。さてシティグループはTOB実施により現在保有の日興CG株式約4.9%を含め議決権の過半数超取得を目指す。TOBの詳細は週明けにも発表される。TOBが成立すれば日興CGはシティグループ傘下に組み込まれることになりGlobalな意味での証券業界再編の一環と言える。
昨今の報道によると日興CGの上場廃止の可能性が高い。そこに高値でのTOBとなれば多くの株主が手離すことが予想される。となれば過半数をはるかに超える応募も予想される。もしかしたら全株式取得もあり得る。その場合には取得費用は約1兆2530億円となる。ところで日興CGの上位4株主は海外投資ファンドで計25.80%保有している。更には外国人保有比率が60%超とも伝えられる。外国人投資家が「TOB価格が想定よりも低い」として簡単に売却するかどうか不透明との見方もある。状況によっては波乱の目もあり今後の展開から目を離せない。
昨日の朝「日興CGがシティグループの傘下入り」が報道されたことを受け日興CGの株価は一気に急騰して一時ストップ高(200円高)の1379円をつけた。最終的には終値は前日比161円高の1340円とTOB価格(1350円)に鞘寄せする形で取引を終えた。ちなみに今日の終値は前日比17円高の1357円で取引を終えている。当面は1350円前後で推移すると見ているが・・・。尤も外国人投資家がTOB価格に納得せず売却に難色を示すことになれば思惑買いが入りもっと高い水準になるかもしれない。それにどこかが対抗TOBを仕掛けることも考えられる。事態が動くとすれば週明けのTOB正式発表後になる。
昨日ドリテクは『商号変更に関するお知らせ』を開示した。定時株主総会の承認を経て4月1日付けで商号を「トライアイズ(TriIs Incorporated)」に変更する。変更理由は「Insight」、「Integrity」、「Initiative」との3つの”I”を伴うドリテクの企業活動の姿勢を表わしているとのこと。一応尤もらしい御託を並べているが、早い話が昨今いろいろあって『地に墜ちた観のあるブランド名”ドリームテクノロジー”を捨て去りたいとの気持ちの表われ』に他ならない。結局は”夢のある技術”を持つ企業にはなり切れなかったと言うことか・・・。さて商号変更で目出度くRestartと行きたいところだが・・・。目先を替えたところで単なるマヤカシに過ぎない。果たして思惑通りコトが運ぶかどうか・・・?
同日ドリテクは『単元株導入の導入に関するお知らせ』を開示した。定時株主総会の承認を経て4月1日付けで売買単位が10株となる。10株未満は端数株式となり取引出来ない。また議決権など様々な権利を失うことになる。3月中に不足分を買い増して10株単位で保有するか、あるいは売却するなどの対応を取る必要がある。ドリテクは短期間での度重なる増資により発行済み株式数が急激に増加(約180万株)して株主管理コストの増加が負担になっている。業績不振の身にはその重みがズシリと圧し掛かる。開示には「流動性を確保しつつ株主管理コストの削減を目的」とあるが、ただ単に新たな資金調達の為無節操に新株式を次々と発行したツケが回って来て何らかの対応が必要になっただけに過ぎない。
2007.3.8
「不二家が経営陣から創業者一族除外の方針」と報じられている。藤井前社長は今年1月の不祥事発覚に取締役を辞任している。しかしながら現経営陣には創業者一族(藤井一族)の2名が取締役として残っている。6月末の定時株主総会にて任期満了となるが、取締役候補リストから外し実質的に退任させる。今回の不二家の不祥事の原因の一つに「創業者一族の独裁経営」ことが挙げられる。藤井一族を経営から排除することで「新生不二家」の再出発を世の中にアピールする狙いがある。しかしながら藤井一族が(株式をどの程度保有しているか分からないが)不二家株式保有の実態は変わらない。影響力排除の為には保有株式売却、あるいは長期信託による議決権凍結などの実行を要求すべきと考える。今後一切経営に口が挟めぬ様に徹底的に排除する必要がある。
2月22日に東京鋼鐵株主総会にて大阪製鐵との経営統合提案が否決されてから10営業日経過した。その後の経過は如何に?3月1日関東財務局に提出された大量保有報告書によるといちごアセットマネジメントが東京鋼鐵株式を12.99%→14.05%に買い増している。恐らくその後も更に買い増していると思われる。やはり予想通りの展開になっている。さていちごアセットは何処まで買い増し、そして何を狙っているのだろうか?(法外な)増配要求、他社との経営統合提案、あるいは経営陣によるMBO提案など強引に迫ったのではどこぞの”性悪”ファンドと何ら変わり無い。(慈善事業ではないのだから)当然のことながら投資ファンドとして利益を出す必要がある。今後のいちごアセットの動向が注目される。
セシールの株価がこのところ元気良く上昇して500円台を回復している。今日の終値は前日比14円高の537円で取引を終えている。10営業日前の2月22日の終値は392円・・・途中の世界株安の影響を受けずに上昇幅146円と大健闘した。2月23日発表の2006年12月期決算(連結)では黒字決算、中でも4期ぶりに営業利益が黒字に転じたことが歓迎されたと思われる。尤もこの程度の材料でこれほどの上昇とは少々浮かれすぎ・・・。株価長期低迷に喘いでいたところにコマセが撒かれたものだから材料に飢えている投資家が食いついたと言ったところか。上昇の勢いが止まった時の反動は如何に・・・?
2007.3.9
『米投資ファンド「日興CGの大株主(7.2%保有)ハリス・アソシエイツ」が現時点では(シティグループの)TOBに応じない方針』と日本経済新聞が報じている。同社の最高投資責任者は「日興CG株式の長期的な価値は最低でも2000円以上あり(シティグループの関与は歓迎するが)今のTOB価格(1350円)では応じられない」と述べている。引き続き6.6%保有のサウス・イースタンも同様の理由によりTOBに応じない方針を表明した。他の投資ファンドも同様の意思表示をするが考えられる。(事前にお互いの意思疎通があったかどうかはともかく)結果として共同戦線を張りシティグループと対峙との事態になるかもしれない。
投資ファンドの立場からすると(日興CG上場廃止の可能性が高まっているとしも)現在の株価、それに企業価値からすると1350円が安過ぎると主張するのは目に見えていた。となれば他の海外投資家も同調の動きを示すことが予想される。更には国内投資家も同調する可能性もある。そこでTOB価格の上方修正への期待から日興CGの株価が更に上昇する可能性がある。今後の展開次第ではシティグループは苦しい立場に追い込まれることもあり得る。
さて様々な思惑が蠢き日興CGの株価はTOB価格を上回って推移している。終値は前日比42円高の1410円で取引を終えている。週明けにも発表される予定のTOBの詳細、特にTOB価格の設定に注目が集まる。シティグループ内部では日興CG株価上昇を受けギリギリの状況にて検討が進められているのに違いない。何せ現行の価格設定でも全株式買取りとなれば約1兆2530億円・・・。価格を引き上げれば当然のことながら負担が増加する。もしかしたら水面下での激しい駆引きが繰り広げられているかもしれない。果たしてどうなるのだろうか?
米投資ファンド「フルサ・オルタナティブ・ストラテジーズ」はノーリツ(東証1部上場)に対し年間配当増額(28円→300円)を求める株主提案を行なった。ノーリツの定時株主総会は3月29日に開催される。フルサは昨年12月末時点では議決権ベースで0.9%保有している。フルサは「本来株主に帰属すべき利益が会社内部に滞留している」と主張、一方ノーリツは「製品開発等の為に内部留保は必要」と反対の意を表明している。何やら投資ファンドが株価吊り上げを狙った常套手段にも思えるが・・・。何にせよ3月29日には決着が付く。ちなみにノーリツの株価は増配要求の報に素早く反応を示した。終値は前日比75円高の2410円と大きく上げて取引を終えている。
ところでノーリツの筆頭株主は15.39%保有するSPJ・・・まさか今回のフルサの陰で糸を引いていることはないとは思うが?それはともかくSPJからすれば増配は歓迎すべきことで当然提案に賛成するものと考えられる。外国人投資家の保有比率は約30%程度と伝えられる。加えて何がしかの国内投資家も提案賛成に回る可能性があり先行き予断を許さない。参考までに仮に増配提案が可決されたとして恩恵にあやかるのは昨年12月末時点での株主に限定される。今年に入ってからの取得分については反映されない。今年末時点で株主、かつ次年度も増配が維持された場合のみに限られる。
先日フラクタリストは『2007年9月期中間期及び通期業績予想の修正に関するお知らせ』を開示した。開示によると通期売上高:5億8700万円(前回予想:13億円)、経常損失:3億9000万円(同利益:2億2000万円)、当期純損失:5億3500万円(同純利益:1億2800万円)とあまりにも酷い下方修正となっている。前回予想は12月13日、僅か3ヶ月弱でのこのテイタラク・・・。業績予想は投資判断に多大な影響を与える重要事項・・・それにも拘らず精度の低い情報をヌケヌケと提供するとは経営陣の姿勢の酷さに呆れ果てる。
ところでフラクタリストと言えば何かと評判の悪い名証セントレックスに昨年10月11日に新規上場した。IPO直後の僅か5営業日のみ公開価格(40万円)を上回っただけでその後は公開価格を大きく下回って推移している。そこに大幅な下方修正となれば当然の如く株価は下落する。今日はストップ安(3万円安)売り気配のままで取引成立せずに終えている。それにしてもこんな企業を平気で上場させるセントレックスはいったいどの様な審査をしているのかとの強い疑念を感じる。”史上最悪のIPO”エフェクターも然り・・・。また株価推移表その8を見て頂きたい。ギガプライズ以外の株価は公開価格に対しはるかに低いレベルにある。セントレックスの責任は重大・・・下手をすると市場の信頼を損なうことになり兼ねない。
2007.3.10
昨日朝8時半(米時間)の米労働省が発表した2月の雇用統計を受け急速に円安が進んだ。NY為替市場では1円15銭円安・ドル高の1$=118円25〜35銭で取引を終えている。非農業部門の雇用者数は前月比9万7000人増と市場予想(10万人増)とほぞ同じだが、失業率が4.5%と前月から0.1%低下したことから景気減速への警戒感が一気に薄れたものと見られる。但しこれで一気に円安・ドル高が加速するかどうかは以前不透明と言える。来週以降重要な経済指標の発表がある。その結果如何ではどちらに触れるか予断を許さない。当面為替相場、株式相場共に神経質な展開になると考えられる。
昨日TBSの株価は理由不明の上昇により前日比400円高の4700円と高値で引けた。どこを探してもこれほど急激に上がる理由が見当たらない。どこぞの誰かが仕掛けたのだろうか?何せよ週明けには元に戻る可能性もある。ところで楽天保有のTBS株式に信託期限が切れ全ての議決権が行使出来る様になった。だからと言って急に事態が展開する訳ではないが・・・。皮肉なことに両社の膠着状態が続く間は楽天がTBSの”安定株主”として「買収防衛の防波堤」の役割を果たしている。
3月8日AOKIIホールディングスは『マルフルに対するTOB実施』を発表した。TOB価格:530円、買付け株式数には上限を設けず最終的には完全子会社化を目指す。同日マルフルはTOB賛同の意を表明している。AOKIは主力の紳士スーツの需要増が見込めず事業の多角化を図るべくカジュアル衣料分野への進出を狙う。3月7日時点でマルフルの終値は408円・・・TOB発表後にはTOB価格に鞘寄せする形で急上昇した。昨日の終値は前日比117円高の527円で取引を終えている。ところで以前AOKIはフタタを巡ってコナカと争い敗れたが、今回は友好的TOBで成功する確率が高い。市場の縮小により激しい競争に見舞われている衣料業界再編の動きを加速するものと見られる。生き残りを賭けた熾烈な戦いが繰り広げられることは間違いない。
2007.3.11
1週間前は『株価急落はまさに”青天の霹靂”』状態でどこで下げ止まるのか不安一杯だった。どこまでも下がり続ける筈はないのだが・・・。それでも先週月曜日(3月5日)に日経平均で570円と最大級の下げには流石に参った。翌日に下げ止まってからは日経平均で見ると昨日迄に急落幅の約1/3ほど戻している。戻したとは言ってもまだまだ戻り不足だが・・・。為替相場も円安にシフト・・・昨日のNY為替市場では雇用統計発表後に円安が進み1$=118円25〜35銭となっている。取り敢えずは週明け日本株式市場にも追い風が吹く環境になりつつある。ところで来週以降アメリカでは重要な経済指標の発表が控えている。結果如何ではどう転ぶか分からず慎重に情勢をWatchして行く必要がある。
「東証が3月14日迄に日興CG上場廃止決定の方針」と報じられている。東証はこの報道を一応否定しているが・・・。今までに伝えられる内容から判断すると恐らく上場廃止は濃厚・・・。となれば益々シティグループによるTOBの行く末が焦点となる。様々な思惑に海外投資ファンドの動きが重なり日興CGの株価は大きく上昇した。TOB価格1350円では収まりがつかない様な状況になりつついる。シティグループがどう出るか注目される。それにしても上場廃止にTOBがセットとは何とも奇妙な話に思えるが・・・?「上場廃止のドサクサに紛れて美味しい食材を安く買い叩こうとの魂胆」とは穿った見方・・・?