2007.3.19
シティグループの日興CGへのTOBについて株式市場では「成立する可能性が高い」との見方が強まっている。みずほコーポレート銀行が応募する方針と伝えられていることが手掛かりとなっている。しかしながら1/4強保有の海外投資ファンド4社の動向がはっきりしない段階では楽観的な見通しは出せない。要は海外投資ファンドがどこまで本気で2000円以上を主張しているかによる。高値を引き出す為に吹っ掛けたのであればこの辺りで妥協すると思われる。何時までも強気の姿勢で突っ撥ねてTOB不成立となれば下手すると高値売却の機会を失うことにも繋がる。さて・・・?ちなみに日興CGの株価はTOB成功の見込みとの思惑から上値が抑えられる展開になっている。終値は前日比2円安の1685円で取引を終えている。但し海外投資ファンドの動向如何では株価が暴れる可能性も残されている。
日本経済新聞が「上場企業が株主への利益配分を強化」と報じている。配当金と1株利益の増加に繋がる「自社株式買いの合計金額は2006年度に13兆3000億円程度と前年度比23%増の過去最高となる見通し」とある。昨今の”乗っ取り騒動”を機に株主配分の増加により買収防衛への一環とするとの上場企業の姿勢が表われて来ている。「企業の体力強化の為に内部留保」との名目で株主への利益還元に消極的だった企業の中にも転換の姿勢が見られる。堀江氏、村上氏の問題行動には苦々しい感じを受けたが、皮肉な見方をすれば反面株主重視に腰の重い企業に活を入れたとも看做せる。
今日関東財務局に提出された大量保有報告書により米投資会社「アーカス・インベストメント・リミティド」がYozan株式をの2日間で6.58%取得したことが明らかになった(EDINET コード=’T0462A’で検索)。それにしても利益追求を目的とするYozanの如き危うい企業の株式を取得するのは何故?いったい何を企んでいるのだろうか?高値で売り抜ける何らかの目論見があるのだろうか?保有目的は「発行者に対して支配を及ぼす意図のない顧客(多数)の消極的投資の為の購入」とある。英文を直訳しただけにしか思ないる。何が言いたいのかさっぱり分からない。尤も相手に意図を正しく伝えようとの殊勝な心掛けなど持ち合わせていないだろうが・・・。随所に胡散臭さが充満している。
2007.3.20
昨日関東財務局に提出された大量保有報告書により糸山英太郎氏がテレビ東京株式を12.55%→13.61%に買い増したことが判明した。糸山氏がブログで「6月22日迄大量保有報告に注目」の記述している。取り敢えず定時株主総会での議決権確定だが、株価が割安と判断出来れば買い増すと断言している。さて相変わらず糸山氏のテレビ東京、特に菅谷社長への論調は手厳しい。これだけ両社の対立が激しければ接点なんぞある筈が無い。糸山氏は菅谷氏が来るのを待つと言っているが・・・。恐らく全く接触の無いまま株主総会を迎えることになると見ている。果たしてどの様な展開になるのだろうか?
昨日三洋電機は「野中ともよ会長の辞任」を発表した。開示には「一身上の都合」とあるが・・・。不適切な会計処理問題の調査を巡り他の経営陣との意見対立が直接の理由とされる。現在経営再建中の三洋電機には金融機関3社(三井住友銀行、大和証券SMBC、ゴールドマンサックス)が2006年3月3000億円の第三者割当増資を引き受けている。経営再建が大幅に遅れている現状を踏まえ野中氏の経営能力/経験を疑問視する金融機関3社は来期以降の続投には否定的な意向を示していた。経営再建に大きな影響力を持つ大株主の支持が得られなければ野中氏の辞任は当然の成り行き・・・。元々存在感の薄かった野中氏が辞めたところで何の驚きも感じない。ちなみに三洋電機の株価は野中氏辞任には全く反応せず、終値は前日比2円高の186円で取引を終えている。
テレビ東京のWBSの司会などニュースキャスターとして活躍していた野中氏は2005年6月三洋電機の社外取締役から代表取締役会長に抜擢された。当時の創業者一族の井植敏会長から直接後継指名を受けた。この時「経営経験の無い野中氏が何故?」との疑念を感じたことを覚えている。野中氏の会長就任と同時に井植氏の長男が社長に就任したこともあり「井植家の世襲批判をかわす為の目晦まし」と陰で囁かれていた。経営再建の(外向きの)顔として野中氏を起用したが・・・。顔を挿げ替えたところで上手く行く筈もない。(元々野中氏には全く期待していなかったが)2年も経過せずに退場する破目に陥った。
2007.3.21
昨日不二家は『洋菓子店舗営業再開についてのお知らせ』を開示した。3月23日から213店舗で洋菓子販売を再開する。一方直営30、FC店30の61店舗が今回を期に廃業する(開店状況は こちら 参照)。3月19日には「など菓子の販売再開が4月上旬にずれこむとの見通し」を示した。とにもかくにも不祥事発覚から2ヶ月ほどでRestart出来ることになった。この先どうなるのか見守って行くことにする。
「3月19日サッポロHDとSPJが会談」と報じられている。SPJはサッポロHDの買収防衛策阻止に向けて3月29日の株主総会での委任状集めを進めている。まさかこの説明だけの為にわざわざ会ったとも思えない。いったい何が話し合われたのだろうか?両社の主張の大きな隔たりからすればちょっと会った位で事態が激変するとは思えない。全面対決のまま3月29日を迎えることになると見ている。
3月20日の園田競馬第3Rで「シャッフル」(7歳牝馬)が9頭立ての7着に敗れた。デビュー以来120連敗・・・北海道競馬の「トサノカオリ」(9歳牝馬)の持つ現役競走馬の連敗記録に並んだ。「シャッフル」の最高成績は3着、総獲得賞金は25万9000円・・・これでは馬主としてはやって行けない。とっくの昔に廃馬になっても可笑しくない。しかしながら馬主の中村氏は「顔が可愛くて仕方がない。ここまで来たら元気な内は何歳になっても走って貰いたい」と馬への愛着を込めて話している。また同日第4Rに出走した「エリザベスクィーン」(6歳牝馬)も10頭立ての5着と敗れ、こちらも自身の連敗記録を118に更新した。この2頭の連敗記録がどこまで続くのだろうか?どちらも勝てそうにも無いが・・・。
2007.3.22
昨日住宅設備機器メーカー長府製作所(東証1部)は石油暖房機器の製造、販売などを手掛けるサンポット(東証2部)へのTOB成立を発表した(こちら 参照)。サンポットの親会社NMCファンドは保有する全株式(保有比率:67%)の応募に合意していたのでTOB成立は当初から事実上決定していた。予定の536万株を大幅に上回る778万2290株(発行済み株式の97.29%)の応募があり長府製作所は全株式を買取る。東証の上場廃止基準に抵触して上場廃止となる。今回応募の無かった分については長府製作所株式との交換で全て取得して完全子会社化するとしている。さて昨今M&Aの話題が相次いでいる。業界再編、生き残りをかけてのM&Aの流れは更に加速すると見られる。
中外製薬は『緊急安全性情報 タミフル服用後の異常行動について』を開示した。タミフルはスイスの製薬会社「Roche」が製造するインフルエンザ治療薬・・・日本では中外製薬が販売している。服用後の異常行動が相次ぎ死者まで出ている。流石に監督官庁の厚生労働省も重い腰を上げ「タミフルの10代患者への投与中止」を指示した。厚生労働省は因果関係が不明として何も対策を執らなかったが、異常行動による死者が続出しては放置出来なくなった。それにしても10代患者のみとは如何にも中途半端に思えるが・・・。因果関係が不明となれば止むを得ない措置なのだろうか?ところで薬には”毒をもって毒を制す”的な側面がある。何らかの副作用があっても不思議は無い。それだけに怖さもある。やはり何と言っても健康が一番、出来るだけ薬を飲まずに済ませたいが・・・。
EUの欧州医薬品審査庁は日本でのタミフルの現状を受け「Europeでも薬に添付される注意書きを近く改訂する方針」を明らかにした。Europeでも服用者の幻覚症状、不眠、頭痛などの例はあるが異常行動は報告されていない。そう言えばタミフルの世界でのシェアを見ると日本のみで80%、アメリカを加えると2国で約98%に達する。それも極端に日本に集中しているのが気になる。何故これほどの偏りがあるのだろうか?そこで日本政府のタミフルへの消極的対応に「どこぞからの政治的な”妙な”圧力があるのでは?」との疑念すら感じる。
2007.3.23
昨日東京地裁は「証券取引法違反で起訴されたLD元取締役宮内氏を含む旧経営陣4名に対し有罪判決」を言い渡した。宮内氏については「犯行の計画や実行に深く関与しており刑事責任は重い」として懲役1年8ヶ月の実刑、熊谷氏他3名には執行猶予付きの判決となった。宮内氏は実刑判決を不服として即日控訴した。宮内氏については堀江氏とは異なり素直に罪を認めたことに関して一定の評価が出来る。しかしながら今回の犯行に関して主体的役割を果たした責任は重大で実刑判決は当然と言える。
今日午前東京地裁はLD事件に関与した公認会計士2名に有罪判決を言い渡した。「監査制度や会計士に対する社会的信用を失墜させた」などとして1名には実刑との厳しい判断が下された。証券取引法違反のみで公認会計士が実刑判決を受けるのは極めて異例・・・公認会計士が職責放棄、言い方を換えれば不正へのストッパーの役割を果たさなかったことに対する警告と看做せる。監査制度、会計士に対する社会的信用を失墜させた罪は極めて重い。
引続き今日午後東京地裁は法人としてのLD、及びLDM(現メディア・イノベーション)に対し有罪判決を言い渡した。判決はLD:罰金4億8000万円、LDM:罰金4800万円。これで起訴された7名、法人2社に対する第一審が終了し全て有罪となった。堀江氏、宮内氏は控訴して裁判が続く。しかしながら判断が覆ることはあり得ない。実刑が執行猶予付きになるかどうか?その程度の興味しかない。
昨日シュレッダー大手の明光商会は『MEBOによる株式非公開化』を表明した。VC大手のジャフコと提携して短期的な収益や株価の変動に左右されない環境下で経営の再構築を目指す。買付け価格は過去6ヶ月の終値単純平均にプレミア約26.4%上乗せした1450円、買収金額は最大で約220億円になる。明光商会は個人保護法敷施行特需の恩恵に預かったものの競合との競争激化で収益は悪化している。シュレッダーと言えば明光商会、明光商会と言えばシュレッダー・・・当然の如くお家安泰とばかり思っていた。「過去の栄光のみでは食っていけない」厳しい現実はここにも現われている。ちなみに明光商会の株価はストップ高(200円高)の1350円とTOB価格(1450円)を意識した展開になっている。週明けには1450円近辺で推移することになると見ている。
2007.3.24
昨日ゼネラル・エレクトリック(GE)は『三洋電機クレジットへのTOB実施』を発表した。TOB価格:3250円(昨日の終値比:161.69%)でGEの完全子会社STVパートナーズが66.67%以上買付ける。最終的には全部取得条項を付して完全子会社化を予定している。GEは小口リースに強い三洋クレジットを買収し日本での法人金融事業を強化する。一方業績不振で再建中の三洋電機はリース事業を手離し収益構造のスリム化を図る。余分な手足を切り捨てないことには再建などおぼつかない。しかしながら三洋電機の業績不振の状況からするとリストラがこの程度で済むかどうかは定かではない。
昨日不二家は不祥事発覚以来約70日ぶりに営業再開に漕ぎ付けた。流通業界は販売再開に慎重な姿勢を示しているが、不二家の場合直営店、FC店の存在が早期の営業再開に大きく寄与している。何せ幾ら安全宣言をしたところで販売出来る場所がなければどうにもならない。流通業界は直営店、FC店での販売状況、消費者の反応を横目で睨みつつ今後の対応を決めるものと見られる。
さて早い時期での営業再開には賛否両論あり消費者の反応も様々だった。厳しい状況下での再出発となったが・・・。牛肉産地偽装事件を引き起こし同時期に親会社の雪印乳業の食中毒事件が重なり信用失墜により消滅した雪印食品に比較すればはるかに恵まれている。しかしながら世の中の見る目は厳しい。消費者の心の中に一度植えつけてしまった不信感を払拭するには不二家関係者の地道な誠意ある努力しかない。
2007.3.25
昨日日産ディーゼルは『VolvoによるTOB結果』を発表した。Volvoの完全子会社エヌエーが実施したTOBには発行済み株式の96.06%(2億9458万5705株)の応募があった。TOBに応じなかった株式についても6月の定時株主総会にて全部取得条項を付し完全子会社化を目指す。日産ディーゼル株式は7月にも上場廃止となる。Volvo傘下で社名、商標はそのまま使用する。Volvoと日産の関係が良好の証しなのだろうか?Volvoとしても日本国内、更には海外にも知れ渡っている「日産ブランド」活用のMeritがあるのかもしれない。日産と資本関係が無くなっても「日産」の名称が残ることに違和感があるが・・・。
3月23日ACCESSは『2007年1月期決算(連結)』を開示した。開示によると売上高(連結):261億200万円(前年同期:172億6900万円)、経常損失:152億5200万円(同利益:46億400万円)、当期純損失:160億3200万円(同純利益:27億8400万円)の赤字決算とある。2005年に買収したアクセス・システムズ・アメリカズ(旧パームソース)ののれん代償却費用など約151億円計上し販売管理費が約329億円に増大したことが響いた。2008年1月期(連結)の業績見通しでも139億3200万円ののれん代償却を見込み101億3200万円の当期純損失としている(こちら 参照)。さて週明けに株式市場はどの様な評価を下すのだろうか?