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5月21日(土)

 (株)角川ホールディングス(旧角川書店)が雑誌・新聞の分野で「NPO」、「ボランティア」を商標登録した件で、5つのNP0団体が特許庁に対して異議申立を行なっていたがこの度認められた。特許庁は「特定の人に独占使用を認めることは公益上、適当とはいえない」との理由を示した。 この先角川ホールディングスが30日以内に知財高裁に不服申し立てをする可能性がありまだ確定した訳けではない。特許庁の判断は明らかに妥当と思われるが、角川ホールディングスの法務・総務グループは「決定の内容を確認して今後の対応を検討したい。」としている。それにしてもこれ程一般的な言葉が商標登録できるとは・・・何と呆れたことか!

 角川ホールディングスは2002年1月に将来の出版に備えて二つの用語の商標登録申請を行なった。特許庁は2003年3月にこれらの商標登録を認めた。この時の審査官は一体どんな感覚で認可したのだろか?常識的に考えれば申請する方も非常識極まりないが、認可した審査官も非常識と言わざるを得ない。異議申立てを認めた理由は極めて常識的だが、最初に商標登録を認めた審査官も特許庁の役人・・・。同じ役所で同じ仕事を担当する人の間でこんなにバラツキがあるとは全く困ったもの。商標登録も特許などと同じく経済の世界では重要でありいい加減な判断が出ては多くの人が迷惑する。特許庁は判断のバラツキを小さくする(なくす)為に審査官のレベル合わせをしっかりと実施すべきと考える。

 似た事例に「阪神優勝」がある。阪神タイガースが優勝した年に阪神球団は「阪神優勝」を商標として登録申請した。ところが既に千葉県男性により商標登録されていた為、特許庁に商標登録が拒絶されてしまう。阪神球団はこの男性と何度も交渉したが決裂し、商標無効審判申立制度を利用し特許庁から商標無効審決を引き出す。その後千葉県男性は抗告を断念し最終決着を見た。

 誰が考えても「阪神優勝」と聞けば、野球の阪神タイガースがペナントレースで優勝と連想する。もし「阪神球団」との名がついた製品を見たら、誰しもが阪神タイガースがその製品販売に関係していると考える。つまり”阪神タイガースブランド”と間違える可能性が高い。常識的に考えれば審査官は当初の申請時点で却下すべきなのに何故認可してしまったのだろうか?

 阪神球団が先に「阪神優勝」を商標登録しておけばこの様な問題は起きなかった。特許庁の審査は先願順であり、千葉県男性が申請した時点では阪神球団は何もしていない。それに「阪神優勝」は、大阪・神戸地区を指す”阪神”と”優勝”というごく一般的な名詞の組合せで表わされる。一方”阪神”からは多くの人が野球の阪神タイガースを連想する。しかしながら「阪神XX」を全て阪神球団の商標登録と認め、排他的に独占させてよいかどうかには疑問がある。この様な場合阪神球団は「阪神優勝」以外に他者に使われて困る用語を全て登録しておけば問題が起きることはない。

 本来商標登録は”自社ブランド保護や偽者対策”の為に用意(認可後10年間有効)されている。ところが近年商標登録が売買、あるいは貸借対象になっている。企業が社名や商品名として用語を検討しても既に他の企業(あるいは個人)に押さえられていて使えない場合がよくある。どうしても使いたい場合には所有者と交渉して借りるか売ってもらうしかない。私の所属する企業でも会長がどうしても使いたいネーミングがあり、所有企業に交渉して買ったことがある。

 自社の社名や商品などに無関係であっても、目ぼしい用語を先願して押さえてしまう場合が目立っている。明らかにビジネス目的で押さえている場合も多く見受けられる。売買価格は50〜100万円が相場と言われている。本来この様なビジネスに使われるべきものではないが・・・。なかなか難しいとは思うが、やはり一定のルール(場合によっては法整備)を作るべきではないだろうか?
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