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5月23日(月)

 5月22日未明午前4時15分頃宮城県多賀城市の国道の交差点で、酔っ払い運転の乗用車が赤信号で停止していた別の乗用車に衝突しその直後横断歩道を渡っていた仙台育英高校の生徒の列に突っ込んだ。生徒3人が頭などを強打し死亡、生徒20人を含む22人が重軽傷を負った。仙台育英高校では1年生の毎年の恒例行事として多賀城校舎から松島町の研修施設までの22.5Kmのウォークラリーを行なっている。当日も午前4時頃に1年生568名が出発した直後にこの惨事に遭遇した。何とも痛ましい惨劇で亡くなった高校生3名に哀悼の意を表する。

 塩釜警察署は乗用車を運転していた佐藤容疑者を業務上過失致死の疑いで現行犯逮捕した。佐藤容疑者は赤信号を無視して交差点に制限速度を超える時速約60キロで進入している。事故を起こす前に仙台市内で友人と酒を飲み、その後友人を乗せて帰宅途中だったと言う。加えて佐藤容疑者は事故を起こした時に居眠り運転をしていたと供述している。飲酒、居眠り、速度オーバー・・・これだけ揃えば危険運転致死傷罪を適用しなければおかしい。当然塩釜警察署は危険運転致死傷の容疑で調べを進めている。また佐藤容疑者と飲酒を共にし乗用車に同乗した友人も今頃首筋が涼しい思いをしていることだろう。運転手だけでなく同乗者、それに運転すると分かっていて酒を飲ませた店も危険運転致死傷罪の適用対象で厳しく追求される。

 2001年12月刑法が改正され、酒や薬物を飲んで起こした死傷事故を厳しく罰する危険運転致死傷罪が新設された。それまではどんなに悪質な運転で交通事故を起こしても業務上過失致死傷しか適用できず、最高刑が懲役5年と悪質運転による死亡事故の被害者からは不満の声が高まっていた。それに私は常々「業務に全く関係なくても何故業務上?」との疑問を持っている。

 1999年東名高速で追突事故があり子供2人が乗用車に閉じ込められて死亡したことをはっきりと覚えている。事故を起こしたトラックの運転手は勤務中の飲酒と言う言語道断な行ないをしている。この時は残念ながら業務上過失致死罪を適用するしかなく、トラック運転手に懲役4年が言い渡されている。誰しもがあまりにも軽すぎると考えた。子供の両親は「人を2人も殺しているのに罪が軽すぎる。」との憤りを隠せなかった。この両親が中心となって厳罰適用を求めるを運動を起こし、世論、政界を動かしてようやく活動が実った。危険運転致死傷罪が適用されれば最高で懲役15年と一気に3倍に引き上げられた。

 危険運転致死傷罪が新設された直後は効果があり飲酒運転などによる悪質な事故は一時的に減少傾向にあった。ところが”喉元すぎれば熱さ忘れる”の諺にある様に、その後悪質運転による事故が増加した為今年になり最高刑が懲役20年に引き上げられた。これだけ厳罰化が進んでも悪質運転による事故が無くならないのであれば、最高刑を更に引上げ通常の殺人罪並みに厳しく対応する必要があると考える。世の中には”懲りない面々”が多くいるのが実情・・・その様な愚かな輩には鉄槌を下さなければならない。悪質運転による死亡事故は”未必の故意”と考えてよいのではないか?

 死亡事故には至らなくても飲酒運転がなかなか減らない。となれば飲酒運転(酒気帯び運転含む)の場合、事故を起こさなくても運転者を厳しく処分しなければ”飲酒運転ゼロ”にはできないと思われる。この様な重大事故を起こさない様に、飲酒運転は即刻免許取消、かつ長期間(例えば10年)免許再取得不可能、酒気帯び運転は長期間(例えば程度に応じて1〜5年)免許停止・・・その位の厳しさが必要ではないだろうか?運転者は「飲んだら乗るな。乗るなら飲むな。」の標語を肝に銘じなければならない。

 本来やってはいけないことなのにそれをやってしまうほど人間は愚かな側面がある。厳罰だけで犯罪は抑えられないとの意見もあるが、一方で厳罰がないと愚か者を抑制できないのも事実・・・。愚か者にはそれ相応の償いをさせなければならない。
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