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6月29日(水)

 現在はホテルや旅館の宿泊予約を一々旅行社を通さずにInternetで自宅から出来る様になっている。私も京都などへ旅行する時に『旅の窓口(現在の楽天トラベル)』を利用している。わざわざ旅行社に出向き取れるかどうか分からない状態にいるよりは精神的にずっと楽・・・。自サイトで直接予約できるホテル/旅館も増えてきている。独自のキャンペーンなどで更に安く泊まれることもある。今年6月にチェコへ行く時に前泊で成田のホテルを予約したが、ツインルームを室料1万円(税・サービス料込み)で宿泊した。

 ところで予約手数料を巡って一悶着起きている。コトの発端は予約サイトとして圧倒的なシェアを持つ楽天トラベルが値上げ方針を示したことによる。現状楽天トラベル(以降楽天と記す)がホテル・旅館から受け取る手数料は一律6%だが、それを9月から楽天用に部屋を確保する場合は7〜8%、部屋を確保しない場合は9%のいずれかに切り替えるとした。それに対して2万2000館が加盟する全国旅館生活衛生組合連合会(全旅連)や全日本シティホテルが猛反発している。予約手数料が上がれば宿泊料金の値上げ、あるいはサービスの質の低下(宿泊料金据え置き)にも繋がる。利用客にとっては有難い話ではない。

 ネット経由での予約が急増し、今後更に拡大が見込める市場だけに楽天が強気に出たものと思われる。楽天を通しての宿泊予約が年間1400万件でJTBの1/2のシェアに拡大している。通常旅行社を通してホテル・旅館を予約した場合、旅行社の受け取る手数料は10〜20%と9%を上回っている。それでも反発は強い。ホテル・旅館にとりネット予約はあくまでも空室を効率的に安く提供する為の補助的手段と位置づけている。更に「ネット予約が宿泊価格の下落を促進させている。」との危機意識も強い。とは言っても従来の様にただ待っているだけでは集客に繋がらないとのジレンマを抱えている。何時までも古いことばかり言っていてはダメで時代の変化に対応し、今後更にネット予約に頼らなければならない現状に置かれている。


 楽天は自社の収益向上とネット予約の将来性を見込み、かつホテル・旅館業界の苦しい現状を見透かして値上げを通告したものと思われる。そこへ待ったをかけたのがライブドアグループの『ベストリザーブ』・・・2000年4月楽天トラベルの前身「旅の窓口」を日立造船在籍中に立ち上げた小野田氏が設立した企業で、今年2月ライブドアが完全子会社化している。予約手数料を5%に据え置くと共に、新規に登録した宿泊施設の今年7月から来年1月までの予約手数料を実質的に無料とするキャンペーンを始めると発表した。ベストリザーブは月7万件程度の利用頻度に過ぎないが、楽天の値上げを好機と捉えシェアの拡大を狙っている。

 今年6月の宿泊実績から基準金額を設定し、7月以降の分について基準金額を上回った分を無料とする。キャンペーン開始以降の新規登録のホテル・旅館の場合は6月の予約実績が0となる。つまり基準金額=0となりキャンンペーン期間中は予約手数料は0となる仕組み・・・。既存登録のホテル・旅館は予約手数料の負担上限は6月実績に据え置かれる。

 明らかにベストリザーブの条件が楽天を上回っている。全旅連は会員に「ベストリザーブに多くの客室を安価で登録する」様に呼びかけている。このままでは楽天からベストリザーブに乗り換えるホテル・旅館が急増するのは”火を見るより明らか”。楽天が今までの実績だけで強気に出ても通るはずがない。楽天はどの様な対応策を考えているのだろうか?一刻も早く戦略転換を図らないとベストリザーブにごっそり浚われることになる。まさかこのまま押し切れると考えるほど楽天経営陣は愚かではないとは思うが・・・。

 私は堀江氏の様なタイプの人間とは全く合わず、またこれまでのライブドアグループの所業も苦々しく思っている。ライブドアのポータルサイトを使う必要もなく使わなくても何も困らない。しかしながら今回のベストリザーブの場合の様に、自社の利益拡大と共に”顧客”の立場を考慮する姿勢が窺えれば例えライブドアグループであっても大いに歓迎できる。もし今後楽天へのホテル・旅館の登録が減少し、ベストリザーブの登録が拡大し利用し易い仕組みであればそちらへ乗り換えるかもしれない。
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