2005.02.21
ライブドアは更にニッポン放送株式を買い増し2月21日現在保有比率が40%を超えた。堀江氏は40%を超えた事で役員派遣や『みなし子会社(=会計上の連結子会社)』化を検討していると示唆した。そんなに簡単に実現するとは思えないが・・・?
一方フジテレビはニッポン放送株式の25%以上の取得を示唆し、次の目標は1/3以上の取得と自信を示している。1/3以上の取得となると株主総会での特別決議の否決が可能になる。つまり企業としての重要な決定が何もできないことになり、実質的に企業としての意思決定が不可能になる。それでもライブドアが50%以上取得して連結子会社にしたら・・・?その場合ニッポン放送はどうなるのだろうか?
注目を集めるライブドアの株価は2月21日の終値366円、先週末に比べて43円高と値上がりした。ライブドアが順調にニッポン放送株式の保有比率を高めていると市場で歓迎されているらしい。リーマン・ブラザーズが動かなかったと思われる。あまり露骨に動くと”株価操作”の疑いを持たれるのを嫌ったのだろうか?だがこのまま値上がりを続けると、2月24日の「転換社債型新株予約権付社債(以降新株予約権と記す)」発行時のリーマン・ブラザーズの目論見が崩れるのではないか。果たしてリーマン・ブラザーズが指を加えて黙っているだろうか?
徐々にヤマ場が近づいている。毎日刻々と情勢が変化する。”筋書きのないドラマ”とはまさにこれ?
2005.02.22
朝日新聞は「フジテレビが実施しているニッポン放送株式のTOBで1/3を超える見通し」と報じている。8.62%分を保有する大和証券SMBCがフジテレビに株式を売却する方針を固めた。フジテレビと取引関係にある安定株主もフジテレビへの売却に応じる見通しだそうだ。ライブドアのニッポン放送への経営関与を大幅に制限できることになる。一方ライブドアはどこまで買い増せるのだろうか?3月2日のTOBの期限はすぐそこ、何ともスリリングな展開になってきている。(2月24日ニッポン放送の増資計画に伴い3月7日迄TOB期限が延期された。)
2月22日の株式市場ではライブドアとニッポン放送株式は乱高下を繰り返している。ライブドア株式はいったん前日終値に比べて32円高の398円までつけたが、結局今日の終値はいろいろな思惑が交錯して12円安の354円となった。リーマン・ブラザーズは今日はどうしたのだろうか?ニッポン放送株式もフジテレビがTOB価格を引き上げるとの観測から一時450円高の7250円つけたが、直後に一気に下げ終値は50円安の6750円となった。どちらの株価も派手な動きをしている。
2005.02.23
今日夕方飛び込んできたNewsには驚かされた。ニッポ放送の亀淵社長とフジテレビの日枝会長が共同記者会見を行いライブドアへの新たな対抗策を発表した。3月24日ニッポン放送の「新株予約権」をフジテレビを引受先として最大4720万株分発行するとのこと。現在のニッポン放送の発行済み株式は3280万株・・・、それをはるかに上回る新株式の発行でこれが実現すればフジテレビはニッポン放送を連結子会社化できる。ライブドアの保有比率は15%程度に、フジテレビはTOBの結果に関わらず60%以上になる。
「新株予約権」は3月25日から株式への転換が可能で、転換価格はフジテレビのニッポン放送株のTOB価格(1株5950円)と同じ。フジテレビが最大でニッポン放送に2808億円を支払うことになる。これほどの巨額の資金調達の為に金融機関などに話がつけてある。ライブドアのリーマン・ブラザーズから借金の約3.5倍とは驚かされる。”結局世の中は金”と思わず溜息が出てしまう。
朝日新聞によると亀渕社長は記者会見で「ライブドア傘下になると、フジサンケイグループから離脱せざるを得なくなり、企業の価値が損なわれる。」と株主の理解を求めている。更に「ライブドアがニッポン放送の株式を大量取得した経緯は不透明で、違法の疑いもある手段をちゅうちょなく用いるライブドアが支配株主となることは、マスコミとしての高い公共性と両立しないと判断した」としている。
しかしながら商法の規定(第280条の10)では、”企業の支配権維持、争奪”目的での増資で不利益を被る株主は増資差し止めを請求することができる。今回のニッポン放送の「新株予約権」の発行はこの規定に抵触する可能性もある。一方ライブドアがこのまま黙って引き下がるはずがない。間違いなくライブドアは”発行差し止めを求める仮処分申請”に踏み切る。そして更に本訴訟に持ち込まれる可能性もある。フジテレビの日枝会長は記者会見で「訴訟を起こされるのであれば受けて立つ」としている。フジテレビは”極めて危険な切り札”を使用したとも言える。果たしてフジテレビの思惑通り行くかどうか? どの様な決着になるかは全く予断を許さない。
2005.02.24
午後8時大方の予想通りライブドアは”発行差し止めの仮処分”を求めて東京地裁に提訴した。ニッポン放送を巡るフジテレビvsライブドアの対決はいよいよ司法の場に舞台を移す。ライブドアは「多額の新株予約権の発行は既存株主の持ち株の価値を低下させ大きな損害を与える」と批判している。
新株式発行には資金調達の合理的な理由が必要となる。”フジテレビの対抗策が商法に抵触する恐れがある敵対的買収を避ける目的かどうか?”、”フジテレビ以外の株主に不利益を与えないか?”、”ニッポン放送にとりフジテレビと親密な関係にある方が何故ライブドアと提携するよりも企業価値が上がるのか?”などが争点になる。早ければ来週中にも東京地裁の判断が下される。どの様な判断が下ろうがそこでは終わらない。裁判の長期化は必至・・・両者の対決にどの様な影響を与えるのだろうか?
ニッポン放送の株価は昨日の大量増資計画とライブドアとの紛争長期化がマイナス要因となり、前日終値比520円安の6280円で取引を終えた。フジテレビのTOB設定価格5950円に大きく近づいた。昨日の増資計画の狙いの一つはニッポン放送株価を引き下げ極力TOB価格に近づけること・・・そうすれば他の投資家がTOBに応じる可能性が高くなると思われる。また大量にニッポン放送株式を保有しているライブドアの資産価値を下げダメージを与える狙いもあるのではないか?
一方ライブドアの株価も紛争長期化と社債が2月24日から転換社債が株式に転換できるようになり1株当たりの価値が下がるとの見方から、前日終値比23円安の330円で取引を終えた。裁判の行方、フジテレビのTOBの成否、リーマン・ブラザーズの出方次第では更に下がる可能性がある。
2005.02.25
フジサンケイグループ以外の企業で初めて講談社、東京電力、三菱電機の3社が、ニッポン放送株のTOBに応募する手続きをした。3社合計で約41万株で発行済み株式比率1.26%に当たる。3社共に”フジサンケイグループとの関係を重視”して応じたと言う。但しTOBの期間中は取り下げもできるので、3社のニッポン放送の株式売却が確定したわけではない。
今日のニッポン放送、ライブドア、フジテレビの株価はいずれも昨日終値に対して反発し値上がりした。ライブドア株式の終値は前日比16円高の346円、ニッポン放送株は、同120円高の6400円、フジテレビ株は売り買いが交錯したものの同1000円高の22万6000円で取引を終えた。週明けもフジテレビvsライブドアの一騎打ちの様子を眺めつつ相場は揺れ動くと思われる。
昨晩ライブドアが提訴にしたこともあり、今日は目立った動きもなく1日を終えた。それぞれの株価はいろいろな思惑を含みながら微妙に変動するだろう。来週末には下されるだろう仮処分判断がどうなるか注目される。
2005.02.27
堀江氏は昨晩TVで、「(金銭的に)損をしなければ」と条件付きながら、TOB価格の動向などの状況次第では応じる可能性を示唆している。一方では50%以上の保有を目指すとしている。堀江氏の狙いはニッポン放送の支配権獲得ではないのか?TOBに応ずると言うことはその狙いを放棄することではないか?まさか簡単に応じることはないと思うが・・・?
現時点でこれ以上詮索しても仕方がない。堀江氏の発言を生で聞いていないので、発言の前後関係も真意もほとんど分からない。いずれ事態の推移を見れば明らかになって行く。
ところでフジテレビもライブドアも「新株予約権」の発行に関して取締役会の決議のみで済ませている。どう考えても特定の第三者への有利な発行に思えるが・・・?本来株主総会の特別決議が必要な事項と思われる。両者とも商法違反を犯しているのでは?と言う疑念が拭えない。この点について誰も何も言わないのには合点がいかない。