2005.03.14

 フジテレビのニッポン放送株式のTOBに応じた企業に対して責任を問う動きが出ている。東京電力の個人株主が「合理的な理由がないのに市場より安い価格での株売却に応じ、会社と株主に損害を与えた」として、現役員への損害賠償請求訴訟を起こすよう求める文書を送っている。60日以内に提訴しなければ株主代表訴訟を起こす方針とのこと。ニッポン放送のTOB締切日の株価よりも330円も安い価額で売却したのだから、現役員が会社に損失を与えたとのクレームがついても仕方がない。恐らく株主代表訴訟になるだろうが、司法の判断が注目される。TOBに応じた他社に対しても同様の提訴が続くことが考えられる。

 3月12日の東京地裁の「新株予約権」発行差止めの仮処分決定を受けて3社の株価がどうなるか注目を集めている。ニッポン放送の株価はライブドアが引き続き50%超を目指して買い増す姿勢を示していることでフジテレビ争奪戦になるとの思惑から急騰した。一時前日比1000円高の7300円をつけたが、終値は前日比850円高の7150円となった。ライブドアは50%超の株式取得を目指しているが、株価上昇で更に資金が必要となり相当大変な状況ではないか?

 ライブドアの株価は買い注文が殺到し46円高の384円まで上昇したが、「ニッポン放送がポニーキャニオン株の売却を検討」の情報で終値は前日比12円高の350円となった。
ニッポン放送が検討している”焦土作戦”が懸念材料になっている。

 2005.03.15

 今年1月時点で
ニッポン放送筆頭株主のM&Aコンサルティング(村上ファンド)が保有する18.57%の株式の行方が注目されていた。今日村上ファンドが関東財務局に提出した大量保有報告書によると、2月末迄に15.13%売却し保有比率は3・44%へと大幅に低下している。しかしなながらまだ3.44%も残っているのかと言う感じがする。売却先は明らかにしていないが恐らくライブドアであろう。

 ライブドアはニッポン放送株式を議決権ベースで既に48%超と見られる。村上ファンドが現時点で3.44%保有していればその影響力は大きい。もしライブドアに協力、あるいは売却すればライブドアが過半数を制することになり、ライブドアの経営権を掌握することができる。ライブドアが自力で50%超確保の可能性もあり、
ニッポン放送株式争奪戦は更にライブドアに形勢が傾いてきた

 ニッポン放送の株価は上昇を続け一時前日終値比800円高の7950円を付けたが、終値は350円高の7500円となった。ライブドア優勢の流れがそのまま株価に反映している。一方ライブドアはニッポン放送の”焦土作戦”を懸念して前日終値比15円安の335円で取引を終えた。暫くは”焦土作戦”の動向を眺めながら株価は一進一退するかもしれない。フジテレビは第三者割当の引受先で巨額の資金調達が懸念材料となり、終値は前日終値比4000円安の23万円となった。

 
夕刻飛び込んできたNewsには驚いた。フジテレビは今日の取締役会で、2005年3月期の年間配当予想を1株当たり従来の1200円から5000円へと4倍もの増配を決めた。それにしても思い切って増やしたものだ。増配により株価上昇が見込まれ、M&Aを仕掛ける企業にとり株式取得が困難になる。敵対的買収に対する有力な防衛策と言える。但し資金面の負担が大きくリスクも大きい。フジテレビは今回の増配で約100億円ほど社外に流出すると言う。

 2005.03.16

 今日午後東京地裁はニッポン放送の保全異議申し立てを退ける決定を下した。決定理由は当初より更にニッポン放送にとって厳しくなっている。ニッポン放送は「新株予約権」を正当化する為の”特段の事情”を説明できなかった。ライブドアの『時間外取引』による大量取得については「立法趣旨からみて相当性を欠く」としながらも結局違法ではないとしている。ここが司法の限界なのだろうか?何か釈然としない。

 3月24日以前に仮処分決定を覆さなければ、ニッポン放送は「新株予約権」を発行できない。ニッポン放送は直ちに東京高裁に保全抗告を行なった。果たして司法に”特段の事情”を納得させる様な理由を見出せるのだろうか?フジサンケイグループは更に苦境に立たされた。一発大逆転の”隠し玉”はあるのだろうか?

 ライブドアの保有するニッポン放送株式が議決権ベースで50%超になったと報じられている。しかしながらライブドアは「ニッポン放送の株式数が議決権の半数を超えた事実はない。超えた段階で開示する。」と表明した。もし50%超となれば今年6月の株主総会で、取締役、監査役の選任、取締役らの報酬の決定などの”普通決議”がライブドア単独で行なえる。ライブドアがニッポン放送に取締役、監査役の大半を送り込むことができる。つまりニッポン放送の取締役会を押さえ実効支配できることになる。

 フジサンケイグループはどうするのだろうか?まずは3月24日以前に下されると思われる東京高裁の仮処分判断が焦点となる。そこでフジサンケイグループに好ましくない決定が出れば、恐らく”焦土作戦”や第三者割当増資などの様々な方策でニッポン放送を抜け殻同様にすべく画策すると考えられる。それに対してライブドアが司法の場で判断を仰ぐことは必至。最終決着はまだ先のこと・・・
どの様な形で”一件落着”になるのだろうか?

 フジテレビの昨日の増配の発表を受けて株価は高騰し一時ストップ高となる前日終値比の27万円をつけたが、終値は23000円高となる253000円で取引を終えた。ニッポン放送の株価はライブドアが50%超たことでライブドアの買い増しが一段落するとの思惑から売り注文が殺到し、終値はストップ安となる前日比1000円安の6500円となった。今日は大きく下落するとは思ったが、まさかストップ安になるとは・・・。一方ライブドアの株価はニッポン放送の経営権奪取の可能性が高まったことを歓迎して、終値は前日比6円高の341円と小幅ながら反発した。
3社の株価は今後どうなるか予測がつかない。興味深い展開になりそう・・・。

 2005.03.17

 「
ライブドアがフジテレビ買収に向けて、『解体買収』と言う手法を使って3000億円調達を検討している」と朝日新聞が報じている。フジサンケイグループの中核企業フジテレビ株式の50%超取得して経営権を奪取することを狙っている。「転換社債」の時の800億円でも驚いたのに、今度はそれをはるかに上回る3000億円!ライブドアは買収を目指すフジテレビの資産を担保に、複数の外資系金融機関などからなる融資団から借入れ金やコマーシャルペーパー発行などで資金を調達するとのこと。

 堀江氏はついに本性を剥き出しにして、当初からの”本丸”フジテレビに総攻撃をかけようとしているのだろうか?
フジテレビを落城させてフジサンケイグループ全体を掌中に収めようとする壮大な計画の仕上げと思える。これでは堀江氏が何と言おうと”マネーゲーム”に見えてしまう。自らの企業売上高の10倍以上もの資金を調達してまで、”金の力”で力づくで相手を押さえ込もうとするやり方には強い違和感を覚える。これについては事実関係が確認できた段階で改めてコメントを予定している。

 ライブドアがフジテレビの株式を買い増す方針が明らかになり、個人投資家やヘッジファンドなどの投機的な買いが入った。フジテレビの株価は更に続伸して、終値は前日比31000高の284000円で取引を終えた。ひとまずはフジテレビの狙い通り株価は高水準を維持している。一方前日急落したニッポン放送の株価は、ライブドアがニッポン放送株式の買い増しをしないのではとの観測から一時前日比360円安の6140円まで下落した。その後買い戻され終値は昨日と同じ6500円で取引を終えた。


 2005.03.18

 「MSCB」を引き受けたリーマン・ブラザーズは約半分普通株式に転換したと報じられている。リーマン・ブラザーズは3月10日から17日にかけて、転換価額299〜319円で「新株予約権」を普通株式に転換しライブドア株式1億3335万株を取得した。発行済み株式は6億4325万株から約20%増えて7億7971万株に膨れている。既にこれらの株式の大量売却を進めていて、手元には発行済み株式の2.58%(2014万株)が残っている。ニッポン放送を間接的に支配するのではとの懸念があったがひとまず解消した。但し狙い通り短期間に巨額の利益を得ている。リーマン・ブラザーズは更に1億3377万株分の「MSCB」を保有しているが、当然今後どこかのタイミングで普通株式に転換するだろう。更に利益は膨らむのは間違いない。やはりどさくさ紛れに美味しいところをさらって行くとの感は否めない。

 今日の午後東京高裁でニッポン放送の保全抗告を受けて審尋が行なわれた。ニッポン放送は東京地裁での主張にどれだけ上乗せして説明できたのだろうか?ライブドアは従来の主張を改めて繰り返したと思われる。早ければ週明けの22日にも注目の決定が出る。

 フジテレビの株価はライブドアがフジテレビ株式買い増しの報道を受けて、終値はストップ高前日比40000円高の324000円で取引を終えた。大量の買い注文を残したままで明日も高騰することは間違いない。どこまで上昇を続けるのか興味深い。また他の在京TV局への「今後敵対的な買収などに備え、増配などの株価を高める経営を行う」との見方から株価は軒並み上昇した。テレビ朝日はストップ高前日比40000円高の275000円で取引を終えている。
株価は様々な思惑で上下動を繰り返すので怖さを感じる

 2005.03.19

 3月18日までに
フジテレビとライブドアの担当役員が初めて業務提携を巡って会談したと報じられている。ライブドアの呼びかけに応じて実現したが、両社の考えには隔たりが大きく物別れに終わった。 フジテレビとしても何時までも拒否している訳けにもいかずとりあえず会ったと言うことだろう。ライブドアは両社のトップ会談を提案したが、フジテレビは時期尚早として拒否した。東京高裁の新株予約権発行仮処分の決定が来週早々にあると見られ、当面は協議が進展するとは考えられない。いずれにせよ来週の東京高裁の判断如何では大きく事態が動くことは間違いない。

 堀江氏は昨日TVに生出演し、
フジテレビの買収を検討との報道について問われ”妄想”と否定している。堀江氏もここまで勝負をかけてきているので、今更引くに引けない立場にありとことん勝負する可能性がある。一応は否定しているものの本音はまだ分からない。フジテレビの増配と株価上昇は堀江氏には痛手と思われる。恐らく株価は週明け更に上昇するものと見られ、フジテレビへTOBを仕掛けるにはライブドアの負担が増加する。堀江氏がTOBを否定することでフジテレビ株価の沈静化を狙ったとの見方が強い。今の段階で手の内を明らかにするはずがない。

 ニッポン放送がライブドア傘下になった場合退職者が大量に出ることが考えられる。
フジサンケイグループ各社は退職者受入れを検討しているらしい。ニッポン放送社員に退職を促すことで、ライブドアの買収意欲を削ぐ狙いがある。これも一種の「焦土作戦」と看做せる。

 2005.03.20

 フジテレビはライブドアがフジテレビ株式の大量取得に備えて1000億円程度の第三者割当増資を検討していると報じられている。現在係争中の「新株予約権」発行については「資金の使途が不明確」として差止め決定が出ているので、既に検討中の”IT関連などの新事業の資金調達”と明確に示すと言う。一部報道ではフジテレビ、又はニッポン放送がライブドアの逆買収を検討を進めているとのこと。もはや”金の力”による体力(耐力)勝負の様相を呈している。これを”マネーゲーム”と言わずして何と言うのだろうか?

 堀江氏はTVのInterviewでフジテレビなどによる逆買収について問われて「いいじゃないですか。誰が困るのですか?私は困らないし株価が上がって皆さんが喜ぶじゃないですか。」と答えている。これを聞いて私は?と感じた。私には「要するに儲かればいいんじゃないの」としか聞こえない。企業とは単に金儲けのみの手段ではないはずだが・・・?

 週刊誌の取材では「マスコミにジャーナリズムは不要」、「調査報道は不要、他から買えばよい」、又TVのInterviewでは「報道はウソをつく」などと発言している。マスコミに関わっている(関わろうとしている)立場の方がこの様な考えを持っていてよいのだろうか?堀江氏に対して強い疑念を持たざるを得ない。

 但し
マスコミからは断片的にしか話が聞こえてこないので正しい判断ができない。機会があれば堀江氏の講演を一度キチンと拝聴してその考えを確認すべきだろう。

 
ライブドアの株価は3月18日午後怪しげな動きを見せている。突如数十万単位の大量の買い注文が繰り返し入り株価は一気に急騰、前日比31円高の368円で取引を終えた。出来高も約1億2850万株と前日の2.5倍で2月8日以降最高を記録した。フジテレビの逆襲が開始されたとの推測が出るなど、市場は一時様々な思惑が交錯した。しかしながら真相はまだ”藪の中”、真偽のほどは分からない。
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