2005.04.04

 あれほどマスコミを賑わせていたが、先週からほとんど情報が漏れ聞こえなくなってきた。北尾氏が講演会や朝日新聞のInterviewで話をしているが、直接の当事者ではないのであまり関係ない。関係者が慎重になっていて情報リークがないのだろう。恐らく水面下でライブドアとフジテレビの激しい攻防戦(交渉)が続けられている。暫く鳴りを潜めていていずれいきなり”ドカンと一発”・・・となるのではないだろうか?


 
エフェクター細胞研究所の株価は下落を続けていて、終値は前日比7000円安の17万9000円で取引を終えた。出来高は4573株、相変らず不安材料一杯の株式を誰かが買いに出ている。一時2万円安の16万6000円まで下げたが、怪しげな?動きが続き大きく買い戻された。ところで”4月9日から10000円で権利行使可能な「新株予約権」が31800株存在”と言う大きな爆弾を抱えている。本当にすぐさま権利行使となるのだろうか?早くも週明けの値動きが気になる。

 ニッポン放送の株価は一時フジテレビのTOB価格5950円を割り込んだが、終値は前日比60円安の6030円で取引を終えた。東京証券取引所のルールによると早ければ今年7月に上場廃止になる恐れがあることが強い懸念材料となっている。以前コクド関係者が西武鉄道株式が上場廃止されてらどこぞへ上場すると息巻いていたことがあったが、堀江氏がニッポン放送の経営権を掌握した後に上場廃止になったら同じことを考えるのだろうか?

 
SBIを引受け先とするポニーキャニオンの第三者割当増資を検討中と報じられている。当然増資の正当性を証明する明確な理由が必要になる。現在ニッポン放送が56%保有しているが、SBI向けに増資することにより相対的にニッポン放送の保有比率を下げる狙いがある。50%未満にすると共にニッポン放送の連結子会社ではなくなる。つまりポニーキャニオンに対するニッポン放送の影響力を排除しようとしている。ニッポン放送がポニーキャニオンを失えば大きな痛手を被ることは明らかで、これは”焦土作戦”と言える。但しニッポン放送経営陣にとり大きなリスクがあり、(特別)背任、あるいは株主代表訴訟を起こされる可能性がある。もし実行するとすればそれを承知で対策を考えているとは思うが、またまた司法の場での争いになることは必至。事実とすれば堀江氏が持ちかけた”休戦協定”をフジテレビは真っ向から否定、両者の争いは延々と続くことになる。

 2005.04.08

 
ライブドアは6月末のニッポン放送株主総会において、取締役の過半数を派遣する方向で株主提案を送付する準備を進めている。定款では取締役は最大20名と定めているが、堀江氏はかつて「250人ほどの企業にしては現在19人は多すぎる」と述べており削減に意欲的な意向を示している。商法の規定では総会開催日の8週間前までに株主提案できることなっているので、4月末までにはライブドアの株主提案の全容が明らかになる。堀江氏は強い態度でフジテレビに臨み、膠着状態にあるとの提携交渉を有利に運ぶ狙いがあると思われる。

 一方
フジテレビは自社防衛の為「安定株主」の確保に努めている。東宝はフジテレビの36496株(発行済み株式の1.43%)を市場外取引で取得して保有比率は計7.19%となっている。これで東宝はSBI、大和証券SMBCに次ぐ第3位の株主となった。この他FNS各社がフジテレビ支援の為株式取得を決めており着々と足元固めを行なっている。3月30日『新株予約権」による500億円増資を発表し、「安定株主」確保と併せてライブドアによるフジテレビ買収はより一層困難な状況と見られる。

 またフジテレビはポニーキャニオンの増資により、経営権をニッポン放送から切り離すことを検討している。フジテレビは前の裁判で負けた反省を踏まえて”正当な理由”を当然考えてから実施すると考えられるから、ライブドアの対応はけっこう難しいのではないだろうか?

 フジテレビは「ライブドアがニッポン放送の子会社化を諦めるのが先決」としている。一方ライブドアは「金銭での解決はせず何らかの見返りを要求」との立場を崩していない。
4月末のニッポン放送株主総会への提案期限が大きなヤマ場と見られ、ここまでに決着がつかないと再び”全面対決”となる可能性が高い。両者とも互いに対して強気の姿勢で臨んでいるので、どの様な進行になるか興味が牽かれる。

 M&Aコンサルティングの村上代表は昨日民主党の会合で講演し、フジテレビによるニッポン放送子会社化を支持することを明らかにした。フジテレビがTOBでニッポン放送との資本のねじれ関係解消を目指したことは評価したが、TOB価格を最後まで引き上げなかったことに対しては問題と指摘した。
村上氏は”モノ言う株主”として株主利益追求するとしており、株主総会では提出議案に対して是々非々で臨むとしている。つまり場合によっては6月の株主総会で堀江氏と対決することを示唆している。ライブドアにニッポン放送株式を約15%ほど売却しているので堀江氏を全面的に支持していると思っていたが、よくよく考えると村上氏はファンド代表でありその時点で利益が最大になる方向に動いても何の不思議もない。ニッポン放送株式を3.44%保有している村上氏の動向がプロキシファイト(委任状獲得合戦)にも微妙な影響を与える可能性がある。北尾氏の登場で一旦影が薄れた感のあった村上氏が再び脚光を浴びてくるかもいしれない。

 ニッポン放送の株価は株式争奪戦の一段落と上場廃止の懸念を受けて続落し、フジテレビのTOB価格(5950円)を大きく割り込み昨日の終値は5790円まで下げている。今日も下落は続き、今日の終値は前日比90円安の5700円で取引を終えた。このまま下落傾向は続くと考えられるが、いったいどこまで行ったら下げ止まるのだろうか?

 一方ライブドアの株価は前述の村上氏の発言を受けて、堀江氏の今後の戦略に影響が出るのではとの見方から310円前後を推移している。今年2月には497円で取引されていたのだから約36%の下落・・・随分と大きい下げ幅ではないか。リーマン・ブラザーズに対して大量の「MSCB」を発行し、既にその多くが株式に転換されて株式総数が増加して希薄化が進んでいることも一つの要因と考えられる。堀江氏はライブドア株主に対して損害を与えているが、これについてはどう考えているのだろうか?ある投資専門家によると「3月中間決算や今後の中期的な事業計画などがはっきりしてから投資判断を決めても遅くはない。投資相談的にいえば一般は見送りが賢明。」と述べている。現状では手を出すには危険が大きいとのことだろう。

 ところでこのまま
ニッポン放送の株価の下落が続けば、ライブドアは2005年9月決算で巨額の特別損失を計上しなければならない。3月31日にライブドアが関東財務局に提出した大量保有報告書によるとニッポン放送株式を平均6286円で1640万10株取得している。今日の終値で換算して約100億円もの含み損を抱えていることになる。100円の下落幅で約16.4億円の含み損拡大・・・もし5000円まで下落すれば何と180億円!の含み損になる。何とも怖い話だが堀江氏はこれも”想定内”だろうか?

 2005.04.09

 ニッポン放送の亀淵社長が6月下旬の任期満了後に退任する見通しと報じられている。ニッポン放送の株主総会への取締役選任案には盛り込まれない。ライブドアから再任を求められても辞退する見通しとのこと。ライブドアによる敵対的買収を防げなかったことに対する経営責任をとる形になるが、仮にフジテレビとの資本・業務提携交渉が成立してもフジサンケイグループ内には混乱の責任を問う声が強く亀淵氏の退任は避けられない。亀淵氏は社長就任6年目の63歳、まだまだやりたいことがたくさんあったはず。思わぬ”青天の霹靂”で辞任に追い込まれるのはさぞや無念と推測される。

 
亀淵氏はかつて深夜放送「オールナイト・ニッポン」のDJ”カメちゃん”として一躍人気を集め一斉を風靡した。私も学生時代に”カメちゃん”のDJを朝まで聴いていた記憶がある。当時”カメちゃん”は20代後半でその軽妙な喋り口で若者の心を掴んでいた。あの当時を知る人達にとってみれば懐かしい存在・・・もしかしたら亀淵氏があの”カメちゃん”とは気がついていない方もいるのではないだろうか?時代も変わり今回その若者に亀淵氏は足元を掬われる格好になったのは何とも皮肉な話・・・。フジサンケイグループのある幹部は「晩節を汚されたようなもの」と述べている。有終の美を飾るのであればともかく、こんな引き際では浮かばれない。

 2005.04.10

 堀江氏は今日午後サンフランシスコへ向かった。この時期に何故?と様々な憶測を呼んでいる。渡米の目的を記者団に問われ「ビジネスで行く。ニッポン放送とは関係ない。」と答えた。「新たな資金調達の為に海外の金融機関関係者に会うのでは?」との問いに対して堀江氏は即座に否定した。もし事実であってもここで認めるはずがない。苦戦に追い込まれていると見られる堀江氏は何か起死回生の一発を狙っているのだろうか?本当のところはどうなんだろか?
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