2005.04.11
こんな時期にわざわざ堀江氏が渡米するのはいくら本人が否定しても今回の問題以外考えられない。一部には”苦境に陥った堀江氏の敵前逃亡”と悪口が聞こえてくるが、さすがにこれは言い過ぎ・・・。ライブドアvsフジサンケイグループの交渉が膠着状態、そしてニッポン放送株価の続落、ライブドア株価の続落など堀江氏を巡る環境は芳しくない。何らかの打開策を模索する為に渡米したと考えるのが妥当な線だろう。
ニッポン放送株価の下落傾向は今日も止まらず、終値は前日比160円安の5540円で取引を終えた。現時点ではニッポン放送の株価を押し上げる要因は考えられない。早ければ7月にも上場廃止の可能性があり、加えて”Crown
Jewel”ポニーキャニオンが第三者割当増資でニッポン放送が経営権を手放す可能性があるとくればどこまで下落するか予測がつかない。3月31日にライブドアが関東財務局に提出した大量保有報告書によると1640万10株を平均6286円で取得している。今日の終値ベースで計算すると約120億円!の評価損になる。ライブドアの2005年9月期連結決算の純利益見通し(58億円)の1.7倍にあたる。ライブドアがニッポン放送を連結子会社化した場合には連結決算に評価損を計上する必要がある。
ライブドア絡みの損失はこれだけにとどまらない。ライブドア自身の株価も今日の終値が前日比7円安の303円と低迷を続けている。ニッポン放送株式約110万株を信用取引で取得しているが、株価下落を受けて信用評価損が拡大していることが懸念材料となっている。またニッポン放送買収用としてリーマン・ブラザーズに発行した下方修正条項付「MSCB」800億円の内、既に660億円分が普通株式に転換されている。その結果3月末時点で約2億1200万株(「MSCB」発行前の発行済み株式の約33%)増加し、ライブドア株式の希薄化が一段と進んでいる。まだ約140億円残っており強い売り圧力になっている。加えて堀江氏からの借株(4600万株)によるリーマン・ブラザーズの空売りも株価下落の大きな要因になった。今のところフジテレビとの提携交渉成功、あるいはフジテレビ買収以外に株価上昇の要因は見当たらない。2月に一時469円で取引されていたことを考えれば、ライブドア株主の損失額も半端ではない。堀江氏は常々”株主の利益”を口にしているが、こんなことで良いのだろうか?
現時点では大量の「MSCB」により調達した800億円が損失に繋がっている。6月のライブドアの株主総会の時点でニッポン放送株式の評価損、自社株価の下落・低迷が続いた場合、堀江氏は自社株主に対してどの様に説明するのだろうか?堀江氏お得意の"想定の範囲内”では済まされない。
ガンホー・オンラインの株価は高騰を続け、終値は今日もストップ高前日比301万円高の2260万円で取引を終えた。どこまで行くのか恐ろしい感じがする。一方エフェクター研究所は相変らず下落を続け、終値は前日比1万円安の18万円で取引を終えた。上場から僅か2週間で既に公開価格に対して20万円も下げている。引き続きIPOの2社の株価は好対照の展開を示している。
2005.04.12
渡米中の堀江氏が帰国したが、成田空港で記者団に囲まれてえらく不機嫌だった。長旅の疲れもあるのだろうが、ライブドア株価の下落や渡米目的などを尋ねられて逆に記者団に食って掛かっていた。それだけ余裕がないことを示している。堀江氏を巡る厳しい状況がボディブローのダメージよ如くじわじわと効いているのだろうか?
ライブドアの株価がついに株式分割後の最安値まで下落した。一時292円まで下げたが、終値は前日比10円安の293円で取引を終えた。自社の株価をこんなに下げて堀江氏にとって何も良いことはないが・・・?売り圧力が強くこのまま下落しそうにも思えるが、堀江氏には株価を反発させるパワーが残っているのだろうか?
朝日新聞には次の様な記述がある。『日本公認会計士協会の指針では、株価が簿価から50%以上下落し、回復の見込みが明らかでない場合は、強制的に時価との差額分を損失処理しなければならない。上場企業には25%の下落分でも損失に反映するケースも多い。』・・・とすればライブドアは今後の株価動向によってはかなり厳しい状況に追い込まれるのではないか?堀江氏は強がりばかり言っている場合ではないと思う。
市場関係者によると「”信者”と呼ばれる熱狂的な株主層の存在がライブドアの株価を支えてきたが、ここにきてこうした”信者”が徐々に離脱してきている」とのこと。”信者”云々はともかくとして、株価の下落で悲鳴を上げているライブドア株主が多いのではないだろうか?ある掲示板で「定期預金が満期になったので3月22日に390円で10000株買った。400円以上になったら売るつもりだが上がるのだろうか?」との”初心者”と称した書き込みを見つけた。3月22日と言えばニッポン放送「新株予約権」問題の東京高裁判決直前で、ライブドア株価が3月で一番高かった時期にあたる。本当に”初心者”かどうか分からないが、最悪な時期に買ったこの”初心者”は今日の終値ベースで97万円損したことになる。追い詰められて投売りしている投資家がいても不思議ではない状況に至っていると思える。
村上氏が世間の目がライブドアvsフジテレビに向いている間にまたまた派手な動きをしている。村上ファンドがヘラクレス市場に上場している大阪証券取引所の発行済み株式を10%取得して筆頭株主になったと報じられている。これを受けて今日の大証の終値はストップ高の50万2000円で取引を終えた。200億円もの内部留保を抱える大証に対し、”モノ言う株主”村上氏は利益を株主に還元する様に求めていくと言われる。とかく”株主軽視”しがちな日本企業へ警鐘を鳴らしているとも看做せる。
2005.04.13
久しく”音無しの構え”で深く静かに潜行していたと思ったら、突如事態が急展開して一挙に賑やかになって来た。読売新聞が「フジテレビトライブドアが月内にも和解し、資本・業務提携を結ぶ方向で最終調整の入ったと複数の関係筋が12日明らかにした。」と報じている。報道内容もかなり具体的で「資本面では、ライブドアグループが過半数を保有するニッポン放送株式を実質的にフジテレビに譲渡し、フジテレビがニッポン放送を子会社化する。同時に、フジテレビはライブドアが行なう第三者割当増資を引き受けて資本参加する方向だ。業務面の提携内容も詰めている。」とされている。更に堀江氏とフジテレビの村上氏が近々会談し最終決断するとも伝えている。ライブドアは今日付けで「協議しているのは事実。詳細は決まっていない」とのお決まりの声明を出した。一方フジテレビは「協議継続中であり両社の合意が成立したらお知らせする」としている。この段階では報道を肯定する訳けにはいかないのでこうなるが、事実関係は不明でいずれ明らかになる。
ところで”ライブドアが過半数を保有するニッポン放送株式を実質的にフジテレビに譲渡”とあるが、条件面でそう簡単にまとまるだろうか?フジテレビのTOB価格は5950円、ライブドアの平均取得価格は6286円と差がある。ライブドアは6286円よりできるだけ高く売却したい。一方フジテレビはTOBで5950円で取得しているので、これ以上の価格で取得したのではTOBに応じた企業への面目が立たない。これ一つとっても妥協点を見出すにはなかなか困難と思われるが果たして・・・?
何でこのタイミングで報道されたのか?株式市場は政財界の要人、関係者などの発言、マスコミ報道、噂に敏感に反応し株価は浮き沈みを繰り返す。今回の報道は堀江氏の帰国直後とは余りにも絶妙なタイミングで、非常に怪しくきな臭い匂いがぷんぷん漂っている。誰か関係者が報道機関にリークしたのだろうが、狙いは推測するに下落しているライブドア、ニッポン放送の株価を引き上げに間違いない。両社の株価が上がらないと困るのは誰か?それが分かればリーク元がどこかは自ずから明らかになる。”現状苦しい状況に追い詰められている方が仕掛けている”と見るのが妥当な線ではないか?
株価の上下動が激しければ激しいほどうまく利用して大儲けを企む良からぬ輩も少なくない。それに今回は株価があまり下落すると具合の悪い関係者が大勢いる。この報道がガセネタとしたら、また真実としてもこのタイミングでのリークは株価操作の疑いが濃くまさしく犯罪行為もどきにも見える。いずれにせよ証券取引等監視委員会、東京証券取引所は徹底的に調査し、場合によっては告発することまで視野に入れなければならない。暫く今回の事態の推移を見守りたい。
新聞報道を受けて東証は午前8時20分ライブドアの取引を一時停止したが、ライブドアの発表を受ける形で午前10時に取引を再開した。予想通り買い気配が強くライブドア株価はなかなか値がつかず、終値は前日比38円高の331円で取引を終えた。”フジテレビへのライブドアが行なう第三者割当増資”が実現すればライブドア株式数は大幅に増加する。提携交渉の妥結内容次第では必ずしもライブドア株価に有利に作用するとは考えにくいが如何なものだろうか?加えてリーマン・ブラザーズには140億円分の「MSCB」が残っている。水曜日から3日間の移動平均で翌週の転換価額が決まるリーマン・ブラザーズとしてはあまり高騰されると困るので何らかの動きを見せるのではないだろうか?リーマン・ブラザーズの「MSCB」の普通株式への転換”によるライブドア株式の希薄化の進行が大きな懸念材料として存在する。
一方ニッポン放送の株価は一時6610円近くまで上昇したがその後乱高下を繰り返し、終値は前日比360円高の6080円で取引を終えた。1日の中で5820円から6610円の広い範囲で変動するのだから、売り買いの判断、タイミングが難しい。一歩誤まると大怪我をしかねない。如何に相場が怖いかと言うことを如実に示している。
しかしながらいずれの株価も新聞報道を受けての思惑での動きにすぎず、これでこのまま上昇気流に乗るという訳けにはいかない。必ずしも提携交渉の行方は楽観視できるものではなく、何か不安材料が出てくれば一気に逆の現象が起きる。まさに相場の怖さ・・・そこが博打そのもので、明日以降どうなるかはその日にならないと分からない。陰で糸を引く誰かが情報操作などの悪さをしないことを願う。両者の水面下での駆引きの一部がリークされて外部に漏れてしまったが、また明日からは暫く舞台裏で提携交渉が進められるだろう。明日以降の動きには興味が尽きない。
2005.04.14
今日は強気の材料が何もなくニッポン放送株価はTOB価格(5950円)をまたまた割り込み、終値は前日比250円安の5830円で取引を終えた。またライブドアの株価も昨日の勢いはなく反落し、終値は前日比7円安の324円で取引を終えた。昨日の提携交渉がかなり進んでいる様な思わせぶりな報道はすっかり影を潜め、懐疑的な立場で模様眺めの投資家が多いと見られる。どう考えても昨日の新聞報道は出所や意図が疑わしく恣意的にしか見えない。一時的に報道に踊らされた投資家が冷静に戻ったのだろうか?
ところでライブドアには多くの個人株主がいる。個人株主にとってのメリットは配当の増加、あるいは1株利益の増加による株価上昇のいずれか・・・。ところがライブドアは依然として無配を続けている。”拡大再生産?”を狙っているのか、得られた利益は新たな投資につぎ込み株主への配当には回していない。とすると株価上昇しかないが、よほどライブドアの企業価値が向上しなければ更に膨れ上がりそうな株式数が1株利益を下げることになりそう・・・。今のところ株価を押し上げる要因は考えにくい。株式投資対象としてライブドアは不適と言うことになるが、何故か現実は多くの投資家が金をつぎ込んでいる。
ライブドアが検索サイトGoogleと業務提携したと発表した。ライブドアのポータルサイトのウェブサイト検索機能にGoogle検索エンジンを搭載したとのこと。確かにライブドアがGoogle検索エンジンを導入すれば検索の幅が拡大するが、何もライブドアから入らなくても直接Googleを利用することも可能だが・・・?どれほどの効果があるかよく分からない。直接株価上昇の要因になるとは考えにくい。
2005.04.15
昨日堀江氏の投資家を対象としたセミナー「堀江社長の100億稼ぐベンチャー投資術!新興市場の株取引、株価分析」が開催された。ライブドア株主は参加料42000円、一般参加者は84000円で約100名集まった。平均63000円として約630万円の上がり・・・中島誠之助風に言えば「いい仕事してますねえ〜」と言うところか。冗談はさて置いて堀江氏は講演の中で企業価値が高いのに株価が割安な事例としてTBSを例示している。従来からTBSは”第二のニッポン放送”の可能性が指摘されており、改めて堀江氏は投資対象として魅力ある企業と位置づけている。一部で「次の狙いはTBS?」との憶測も出ているが果たして如何に・・・?
NNN(日本テレビ系)が「ライブドアとフジテレビの交渉が大詰めを迎えている。担当役員レベルでの協議はほぼ終了し、あとは経営判断を待つ状態であることがわかった。」と報じている。フジテレビ関係者の昨夜の話としているが、果たして信憑性はどんなものだろう。市場はこれに対して特に反応を示していない。NNNだけが報じているのも何やら胡散臭い。まさか何者かによる情報操作では・・・。週明けには真実か、あるいはガセネタか明らかになる。
村上ファンドの村上氏が再びニッポン放送株式を買い増して3月31日時点で200万5890株(発行済み株式の6.12%)になっていることが、関東財務局に提出した大量保有報告書で明らかになった。狙いは何だろうか?堀江氏に協力的と見られていた村上氏が一転して、「場合によっては株主総会で堀江氏と戦うことになるかもしれない」と述べている。今後どこまで買い増すかは分からないが、恐らく株主総会での発言権強化を狙っていると思われる。この報道の影響かどうかは分からないが、ニッポン放送の株価は前日比120円高の5950円で取引を終えた。何らかの思惑買いが入っているのだろう。今のところ強気の材料は見当たらないが・・・?
ところでよくよく考えるとライブドア+フジテレビ+村上ファンドでニッポン放送株式の90%以上保有している。とうに上場廃止基準を超えていていつ上場廃止になってもおかしくない株式をいったい誰が何の目的で買っているのだろうか?おおよその察しはつくが・・・。ともかく株主総会への提案提出期限(5月初め)ギリギリまで株価の微妙な動きが続くと思われる。尤もその前に電撃的なフジテレビ、ライブドアの資本・業務提携発表でもあれば局面はドラスチックに変化するが・・・。
ライブドアの株価は予想通り昨日のGoogleと業務提携報道への反応が鈍く、午後の寄り付きでは341円まで上昇したものの終値は前日比5円高の329円で取引を終えた。Googleを検索エンジンとして使っているのはライブドアだけではなく、それほど画期的な買い材料になるとは思えない。ここでも様々な思惑が交錯しつつ、当面ニッポン放送の株価同様微妙な動きを続けると思われる。
米資産運用会社の日本法人フィデリティ投信は、「3月31日までにライブドアの発行済み株式の4.85%(約4196万株)を取得した。」とする大量保有報告書を関東財務局に提出した。”顧客財産の運用”目的としているが、今後の展開次第では株価上昇/下降のいずれの可能性もありリスクが大きい。尤も資産運用会社はそんなことは百も承知でライブドアは投資価値ありと判断したのだろう。どれほどの株価で購入したかは分からないが、時期を見計らって高値で売り抜けようと言う目論見に違いない。
フジテレビの株価は今日も続落し、終値は前日比8000円安の230000円で取引を終えた。提携交渉進行中でフジテレビ株式をライブドアが買いに出る可能性が少ないとの見通しから買い圧力が弱い。更に提携交渉次第ではフジテレビが1000億円をはるかに超える負担が予想される。様々な不安材料が重なり下落を続け、配当を約5倍に引き上げる前の水準に戻った。何のことはない。堀江氏に資金力がありその気になればフジテレビ買収を仕掛けることも可能になった。但しそこにはフジテレビの切り札”500億円の「新株予約権」が立ちはだかる。
ところで最近SBIの北尾氏はほとんど表面に出て来なくなったが・・・?北尾氏へのフジテレビ株式の貸し株はいったい何の為だったのだろうか?追い込まれたフジテレビの窮余の一策で形勢をやや有利にしたが、その後決め手を欠き一進一退の状況が続いている。フジテレビは北尾氏を背後につけてライブドアへの抑止力として利用しているが、反面”両刃の剣”で背後から首筋に冷たいものを感じている。ライブドアにとっても好ましい相手ではないが、フジテレビにとっても諸手を上げて歓迎できる相手ではない。つまり両者にとって表面に出てきて欲しくないことでは一致している。そのあたりは北尾氏も心得ていて、現時点では出しゃばる様なことはしていない。しかしながらどこか重要な局面で突如出現する可能性を秘めた不気味な存在であることには変わりはない。下手するとフジテレビにも思わぬ跳ね返りがないとは言い切れない。
2005.04.16
ライブドアは昨夜2月8日に発行した800億円分の「MSCB」について、リーマン・ブラザーズにより全て普通株式に転換されたと発表した。既にもう全株式売却済みとのこと。転換で増加した株式は2億6894万7887株、これで発行済み株式は9億1532万2809株となり転換前と比較して約42%分膨れ上がっている。更に決まってはいないが「フジテレビがライブドアに(第三者割当増資で)15%資本参加する方向で最終調整」と報じられている。これでライブドア株式の希薄化が一層進むことになる。こんなに株式数を増やすのであれば、堀江氏は1株利益の増加により株価を上昇させなければならない。中長期的に見れば堀江氏は企業価値を高める為により一層の努力が必要になると言える。取り敢えず週明けの市場では提携交渉の成り行き次第でライブドア株価は高騰する可能性があるが・・・?
ところでリーマン・ブラザーズは僅か2ヶ月ほどでいったいいくら利益を出したのだろうか?ともかく今回の騒動を利用してうまく売り逃げたことには間違いない。ライブドアはリーマン・ブラザーズを利用したのか、それとも利用されたのか?いずれにせよ外資に見事にしてやられた・・・と言うよりも自ら首を差し出して”荒稼ぎの場”を外資に提供したと言うべきだろう。しかしながらリーマン・ブラザーズは短期的に巨額の利益を得たが、逆に日本国内での信用を失ったのではないだろうか?
マスコミ各社は一斉に”フジテレビとライブドアは来週和解へ”と報じている。6月末の株主総会への株主提案提出のタイムリミットが刻々と迫っており、両者とも自らの犠牲は少なく利益は最大にすべくギリギリの交渉を行なっている。週明けには提携交渉について何らかの進展があるのだろうか?それと同時に堀江氏が単なるグリーンメーラーなのか、大志を持って臨んでいるのか明らかになるだろう。
恐らく堀江氏はただ単に金銭的な利益だけでは当然の如く不満で、言うまでもなくフジテレビとの業務提携、加えて資本提携を何が何でも手に入れたい。一方フジテレビはライブドアへの警戒感/不信感はいまだに相当なもので、どこまでライブドアに対して妥協するのか注目される。世間ではライブドア有利とか、フジテレビ有利とか言っている方もいるが、現実は両者ともぎりぎりいっぱいで強がりは言っているがそんなに余裕があるとは到底思えない。むろん両者共にこれ以上の疲弊を避けるべく和解に持ち込みたいところだが、必ずしもすんなりとまとまるかどうかは不透明でまだまだ予断を許さない。
2005.04.17
NNN(日本テレビ系)だけが、「関係者の話によると会談に出席したのはフジテレビ日枝会長と村上社長、ニッポン放送亀渕社長ライブドア堀江社長の4人で、16日に都内で和解に向けた協議を行なったもよう。」と報じている。更に「このまま最終的に和解が成立すれば、早ければ18日にも共同記者会見を開く見通し。」とも報じている。またまたNNNかと言った感じだが、何故NNNからスクープの如く他社に先駆けてこの様な記事が出てくるのだろうか?”関係者”っていったい誰?誰かがNNNを利用して情報操作しているのではとの疑念を持つ。誰が何の為に・・・?週明けになればいずれはっきりするだろう。
各社がさも和解がほぼ決まった様な記事を出している。微妙に報道内容は異なるが、和解内容は概ね「フジテレビはライブドアが保有するニッポン放送株式を実質的に買い取り、ライブドアの第三者割当増資も引き受ける。業務提携の具体的な内容を詰めている。」としている。
しかしながらそう簡単にコトが運ぶだろうか?まずライブドアの保有するニッポン放送株式のフジテレビへの売却だが、フジテレビはTOB価格(5950円)の足枷が重い。5950円より高く買い取ったのではTOBに応じた企業やフジテレビ株主に説明がつかない。TOB価格に直接上乗せできないので、ライブドアの子会社ライブドア・パートナーズ買収することで補填するという案が出ている。ライブドア・パートナーズを買収するメリットがあるかどうかも疑問がある。誰が見ても明らかなこんな小手先だけのごまかしで、フジテレビの経営陣は株主総会を乗り切れるのだろうか?
またフジテレビは第三者割当で15%程度取得し、引受額は300億〜400億円程度になると言う。これはライブドアへの資金提供と言うことになるが、フジテレビにとってどの様なメリットがあるのだろうか?現時点では具体的に何も分からないのでこれ以上のコメントはできない。ニッポン放送株式取得に加えてライブドア株式の引受けでフジテレビは巨額の出費となるのは明白で、当然株主総会でキチンとした説明が必要になる。
一方ライブドアは取得価格6286円より低い価格で手放したのでは損になる。TOB価格での売却は全くあり得ない。ニッポン放送株式をできるだけ高い価格で売却すればそれだけ差益が出る。更にライブドア株式の第三者割当で300億〜400億円程度入ってくれば、ニッポン放送株式売却で得られる額と併せて金銭的には膨大なものになる。しかしながら堀江氏の狙いは金銭面での収穫だけではないはず・・・。 それにトカゲの尻尾切りの如く子会社をフジテレビに売却するのは如何なものか?
フジテレビのライブドア株式取得による資本提携にはなるが、当初堀江氏が描いていたのはフジテレビ株式を取得しての資本提携、更に業務提携ではなかったのか?この形態ではどこまで堀江氏が狙う業務提携ができるのだろうか?それにもし15%程度のライブドア株式を取得したフジテレビが、将来余力があった場合ライブドアに対してTOBをかけてくる可能性はないのだろうか?そんなことあるかどうかは分からないが・・・。
業務提携については「”ネットと放送の融合”事業の具体策を検討する委員会を共同で設立することが盛り込まれる」と伝えられる。頑強に抵抗しているフジテレビがどこまで本気にライブドアを通じての”ネットと放送の融合”を考えているのかどうか分からない。下手するとライブドアにとって検討委員会ができたはいいが、何も実のない結果になりかねない。もし業務提携が実のないもので実質的に金銭面での決着であれば、堀江氏はグリーンメーラーの誹りを免れない。それだけは何が何でも避けたいはず・・・。株式の希薄化、無配継続もあり、今回の決着次第では堀江氏も株主総会対策で苦しむことになるかもしれない。
こうして見ると報道で伝えられる様な楽観ムードは考えにくい。NNNの言う様に早ければ明日(18日)の決着があるのだろうか?仮に総論で一致したとしても各論でもめることは必至。両者共に和解したいとの意思はあるだろうが、お互いに譲れない一線があり妥協はなかなか難しいと思われる。明日以降様々な情報が入り乱れ関係各社の株価は乱高下する可能性がある。外野席に陣取る”やじ馬ウォッチャー”としては明日以降の展開が楽しみで興味津々と言ったところか・・・。
朝日新聞がInternet news(21時26分)で、「フジテレビ、ライブドア両社は資本・業務面での提携に基本合意した。18日にも両社はトップ会談を開き、それぞれ臨時取締役会で和解を決めて正式発表。」と断定的に報じた。合意内容として伝えているのは先に記載した内容とほぼ同じ。先に示した懸念は払拭できるのだろうか?半死半生の状態に陥っている両者が悲鳴をあげて、折合いがついたのだろうか?ともかくこの報道の信憑性は明日になれば明らかになる。私は依然として懐疑的だが・・・。