2006.6.12
6月9日中古バイク買取り店のアークコアは『2006年10月期 中間決算短信(非連結)』を開示した。開示によると通期業績予想は売上高31億4900万円、経常損失:1億9800万円、当期純損失:1億2000万円となっている。7月からTV広告を開始するなど広告宣伝費を計画より増やすのに加え、新規出店が遅れている影響が出るとしている。さて3ヶ月前の開示『2006年10月期 第一四半期財務・業績の概況(非連結)』では通期業績予想は売上高36億6300万円、経常損益:1億200万円、当期純益:5600万円となっている。僅か3ヶ月で黒字の見通しから一転して赤字の見込みに変わった。
近頃安易に業績予想を大きく変更するケースが目立つ。見方によっては見通しの甘さ、言い換えればいい加減な見通しでは?との疑念を持つ。短期間に重要な情報がコロコロ変わっては経営陣に対する信用が薄らぐことなる。企業の開示情報は投資家には投資判断を行なう時の有力な材料の一つ・・・それが危ういとなれば問題が大きい。ちなみにアークコアの株価はストップ安(1万円安)比例配分の7万6000円で取引を終えている。しかも出来高が僅か7株とは・・・明日もストップ安の可能性が高い。
先週末上場廃止が決定したペイントハウス株式は早速”●●”騒ぎを演じている。今日の終値はストップ高(50円高)比例配分の199円で取引を終えている。ここまで派手に下げているだけに予想出来る事態だが、それにしてもここに群がる浅ましい”●●”の存在には呆れ果てる。毎度のことながら整理ポスト割当てから上場廃止までの期間1ヶ月は長く感じる。半月程度に短縮した方がよいと思うが如何なものだろうか?明日以降もお祭り騒ぎで乱高下すると思われる。最終取引日の7月7日には果たして幾らで着地するのだろうか?
6月7日に醜悪なFiananceを発表したサンライズ・テクノロジーの株価は3営業日連続の下落(下落幅:11円)となっている。今日の終値は前日比4円安の64円で取引を終えている。既存株主の存在を無視したFinanceと実施となれば株価に悪影響を与えるのは必至・・・。今年1月13日のFiananceの行使価額は107円だが、当然のことながら同日の終値132円をピークに下落の道を辿った。今回のFiananceの行使価額は73円で現時点で既に9円下回っているが、またもや引受け先のロータス投資事業組合は損失承知で行使するのだろうか?ロータスは得体の知れぬ怪しい投資事業組合・・・いったい何を目論んでいるのだろうか?
2006.6.13
阪神電鉄の株価はTOB価格930円を下回り推移している。今日の終値は前日比7円安の921円で取引を終えている。さて阪急HDはTOBに応募しなかった阪神電鉄株式について阪急HD株式との交換で全て取得することを予定している。ところが阪急HDの株価が500円台前半に低迷している状況ではTOBに応募する方が得になる。実際阪神電鉄の株主の多くにTOBに応募する動きが出ていると言う。となれば阪急HDの負担が当初見込んでいた約1764億円をはるかに超える4000億円ほどに達する可能性がある。TOB締め切りまで残り6日・・・果たして最終的にどの程度の応募があるのだろうか?阪急HDの財務体質を強く圧迫する可能性があるだけにその行方が注目される。
昨日米投資ファンド「サイオン・キャピタル」は明日開催予定の臨時株主総会のやり直しを求めることを明らかにした。「サイオン・キャピタル」は臨時株主総会の議決権に3月末時点の株主名簿が使われていることを問題視している。4月1日から14日まで東証で株式取引が行なわれているので「現在の株主構成は大幅に変わっていると思われる」としている。この主張はどう見ても無理があり、また株主総会中止の仮処分を東京地裁に求める時間的余裕もない。むしろ「サイオン・キャピタル」がLDの取締役選任議案に反対を表明している方に波乱の目がある。他の外資系ファンド、それにUSENを快く思わない株主が同調する可能性がある。ライブドアの平松氏は「他の大株主の理解は得ている」としているが、本当のところはいったいどうなっているのだろうか?全ては明日明らかになる。
『LDは保有するダイナシティ株式をインボイスに売却する方向で大筋合意』と報じられている。LDファイナンスはダイナシティの発行済み株式の21.52%に加えてMSCB、新株予約権を保有している。売却金額、手法の詳細はこれから詰めるとされるが、実現すればLDグループの事業再編対象外のマンション事業売却となる。この報道を受けてダイナシティ、インボイス両社共に「現在協議中だが現時点での決定事項はない」との型通りのコメントを発表している。さてLDもインボイスも元はと言えば同じIT業界・・・親会社がインボイスに変わったところで何ら変わり栄えしない。LDよりはマシかもしれないが、所詮LD同様グループ規模拡大の為に手を出せるところに手を出そうとの浅知恵にも思える。
村上氏の証券取引法違反による有罪が確定すれば最大約130億円が没収や追徴の対象となる可能性がある。村上氏はインサイダー情報を入手後約99億5000万円でニッポン放送株式を購入、そして30億円を超す売却益を得たとされる。過去の同種の事件の判例によると取得費用、及び売却益を合算した額を『不当利得』と看做して追徴したケースが多く見られる。それでは今回約130億円丸ごと追徴対象になるかと言うと話はそう簡単ではない。
今回の場合過去のインサイダー取引事件とは事情が異なる。今までのケースでは大半が自己資金によるもので追徴認定が比較的容易だった。今回は村上氏が投資家から資金を募り運用しているので『不正利得』をどの範囲に絞り込むのか難しい側面がある。ニッポン放送株式取得に要した約99億5000万円は村上氏本人の資金ではない。出資者が事前に不正行為を予知出来る筈もなく責任を負わせるのは酷と言える。但しその先の不正手段により生み出された運用益については追徴対象となって然るべきと考える。何にせよ当面は捜査当局、そして起訴後は裁判所の判断が注目される。
2006.6.14
今日午後2時からLDの臨時株主総会が開催され16時時点で1794名の株主が出席した。LDは15万4814人(3月末時点)いる株主の多くが出席するとの見通しから、会場として1万5000席用意出来る幕張メッセを確保した。証券取引法違反事件発覚直後だけにどの程度集まるのか注目されていたが、思いの外出席者の少なさには拍子抜けと言ったところか・・・。昨年12月の定時株主総会では立ち見も出るほどの大Feeverからするとその落差はあまりにも大きい。最早LDは”旬の過ぎた食材”に過ぎず世間の注目度の低さを実証した。良くも悪くも”カリスマ”堀江氏あってのLD・・・となればその堀江氏が去っては今後のLDの行く手は安泰ではない。
さて米投資ファンド「サイモン・キャピタル」がLD提出の取締役選任議案に反対の意向を表明しその結末が注目されていた。質疑応答では株主から厳しい追求があったが、LD側の事前工作が上手く行ったらしく(残念ながら)期待した波乱は起きなかった。株主の現経営陣への厳しい追及があったもののLD提出の4議案は全て可決された。これで今まで執行役員社長との妙な立場にあった平松氏は晴れて代表取締役社長を名乗り経営を執行出来る。USENから2名の取締役を迎えUSEN主導の再建と行きたいところだが・・・。平松新体制の順風満帆の船出にはほど遠い。傷つき朽ち果てた『ライブドア・ブランド』ではLDの名の下での商売は難しい。それに損害賠償問題、グループ企業の身売り、そしてグループ解体、他企業(USEN?)による吸収合併の可能性などなど・・・。LDの先行きは全く不透明な状況にある。
証券取引法違反の罪に問われている堀江氏など旧経営陣に対する経営責任を本格的に追求することを表明した。5人の弁護士で構成される外部調査委員会を設置する。旧経営陣の経営責任範囲などの検討を行ない年内にもLD取締役会に調査結果を報告する。委員会の答申を基に「旧経営陣に対する損害賠償請求など必要な措置を講じる」としている。不祥事を引き起こした企業の新経営陣が旧体制の経営責任を追求することは決して珍しいことではない。平松新体制は堀江氏との決別(対決?)の姿勢を明確にして新生LDの門出を世の中にイメージ付けたいところだが・・・そう簡単に問屋は卸さない。
今朝インボイスは『ダイナシティの株式取得に関するお知らせ』を開示した。LDグループと今後の交渉で最終的に条件を決定するとしている。開示によると譲渡対象は現物株式(発行済み株式の11.38%)、MSCB(未償還残高:191億円)、新株予約権(400個)とある。現時点でMSCB、新株予約権を全て普通株式に転換すれば現物株式と合わせて329万8939株を保有することになる。現在の発行済み株式の3.17倍に相当する。昨年末にMSCB等を発行した時と比較して株価が半分にも満たない状況を考慮しても、潜在株式数の多さは既存株主を無視した愚挙と呆れ果てる。
これだけ無茶苦茶な増資をすれば投資に見合うだけの大きな効果を上げなければ希薄化がより一層進行するだけ・・・。ダイナシティの現状では投資対効果の面から疑問がある。それに親玉がLDから同じIT企業のインボイスに変わっただけで変わり栄えしない。どれだけ成果が出るのか冷ややかに見守って行くことにする。ちなみに(商品扱いの)ダイナシティの株価は希薄化進行が懸念材料となり急落し、終値はストップ安(2000円安)の1万5500円で取引を終えている。一方(乗っ取る方の)インボイスの株価は業績拡大の期待からストップ高(500円高)の3990円で取引を終えている。好対照な動きを示した両社の株価だが、特にダイナシティの既存株主は割を食い憤懣やる方ない思いで一杯と思われる。
先週末に5210円まで落ち込んだドリーム・テクノロジーの株価が週明け3営業日高騰を続けている。何の理由もなく2日続けてのストップ高だが、ドリテクの株価は過去にも材料無しの急上昇を何度も繰り返している。無論逆パターンの急降下も何度もある。早い話がドリテクにはお祭り騒ぎの好きな”●●”な方々が群がりマネーゲームに興じているだけ・・・。どうしようもない”★”株式としか言い様がない。さてストップ高、ストップ安の連続はお手の物・・・今回はどの様な展開になるのだろうか?
2006.6.15
阪急HDが実施中の阪神電鉄株式のTOBは昨日事実上締め切りを迎えた。TOBは6月19日まで行なわれているが、株式受け渡しの関係で今後新たに株式を取得しTOBに応募することが出来ない。株券の受渡しは売買成立の3営業日後に行なわれる。今回の場合今日以降に阪神電鉄株式を取得しても実際に株券が手に入るのは6月20日・・・。つまりその時点で時間切れとなりTOBに応募出来ない。
この状況が明らかになると阪神電鉄の株価は急落し、終値は前日比32円安の890円で取引を終えている。元々村上ファンドによる買占めで不当に吊り上げられたとの見方が強い。TOBが事実上締め切り、かつ成立が確実となれば最早阪神電鉄株式に魅力はなく下げ足を加速する可能性がある。先日阪急HDはTOB価格930円の正当性を主張したが、果たしてどれだけの方が言い訳を信用したのだろうか?もし阪神電鉄の株価下落が続きTOB価格との乖離が更に大きくなる事態になれば阪急HDは苦しい状況に追い込まれる。”村上氏の脅しに屈した”との批判が巻き起こるのは必至・・・経営陣に対して損害賠償を求める株主代表訴訟を起こされることもあり得る。
2006.6.16
日本銀行の福井総裁が村上ファンドに1000万円出資していたことが明らかになり問題になっている。呆れたことに日銀総裁就任後も出資を続け今年2月になってようやく解約している。今年2月と言えば日銀がゼロ金利解除を打ち出した時期でもありなお更疑惑の目が向けられている。金利が上昇すれば株価げ下落に向かう可能性があり、福井氏が事前に(間接的な)株式投資から資金を引き上げたのでは?と疑われても当然と言える。小泉首相以下政府/与党関係者は金融政策と福井氏の問題は関係ないと擁護しているが、日本経済の舵取りの一翼を担う立場にある者が寸分の疑いを持たれる様なことがあってはいけない。少なくとも2003年3月20日の総裁就任時点で村上ファンドとの契約解除する必要があった。
今日の衆院財務金融委員会で福井氏は具体的な運用状況について6月20日までに毎年の利益と残高を国会に報告する考えを示した。また「年によっては数百万円の利益も出ていることがあった」と述べ、村上ファンドにより高い利回りで運用されていたことを明らかにした。現在の超低金利では1000万円を銀行に預けたところで利子はたかが知れている。それにも関わらず国民が超低金利政策に喘いでいる時にヌクヌクと自分だけ高利回りの配当を得ているのでは国民をバカにしているとしか思えない。
昨日参院予算委員会で福井氏は1998〜2003年の間に社外取締役を務めた時代に取得した民間企業数社の株式を現在も保有していることを明らかにした。日銀の内規では職務上知り得た秘密を基に利殖行為をすることを禁じ、在職中に株式を取得・売却した場合には報告義務がある。福井氏は株式を凍結したとしているが、信託等により(福井氏の)一存で処分出来ない様な方策を講じていない。福井氏の言う”凍結”とはいったい何?そんな曖昧な言い訳で誰が納得するだろうか?この際福井氏は身の潔白を証明する為にも在職中には一切扱えない様に信託等の処置を取らなければならない。尤も今更慌てて何らかの処置を取ったところで失われた信用の回復は非常に難しい。とにもかくにも無神経な人間が国家経済の行方を左右する立場にあるのは許し難い。やはり福井氏は潔く身を引きキチンとケジメをつけるべきと考える。無神経な人間に期待するのは無理とは思いたくないが・・・?
阪神電鉄は『6月29日の定時株主総会にて利益処分案が原案通り承認されなかった場合には阪急HDとの経営統合議案を審議しない』ことを召集通知に明記した。利益処分案では年間配当:5円/年、役員賞与(取締役16名、監査役5名)):5600万円となっている。阪神電鉄によると「配当額が変われば統合の前提となる資産査定が崩れる」としている。それよりもむしろ株主総会での増配要求動議の提出/可決を牽制する狙いがある。村上ファンドが交渉過程で50円の特別配当を要求したことがあり、株主総会の議事進行の中で増配要求が突然出て来ないとは言えない。何が起きるか分からないので予防線を張ったとも看做せる。
2006.6.17
村上ファンドは筆頭株主として12.50%保有していた婦人服大手の東京ソワールの株式を売却することが明らかになった。昨日東京ソワールが提出した公開買付報告書によると、東京ソワールは実施中の自社株式公開買付けで村上ファンドから264万株(発行済み株式の12.27%)取得する。ところで村上ファンドは株式取得に約12億8600万円を投入している。TOBで売却していない0.23%全てを公開買付け価格(482円)で売却したとしても合算して約12億9700万円にしかならない。つまり運用益は高々1000万円程度に過ぎず、投資ファンドとしては成果を上げたとは到底言えない。
東京ソワールはワールドと資本・業務提携を結ぶことにしている(こちら 参照)。6月23日東京ソワールは自社株式86万8000株をワールドに譲渡し、ワールドは発行済み株式の約5%を保有する主要株主となる。村上ファンドはその状況を踏まえて「アパレル業界の再編も考えて取得したが、東京ソワールがアパレル大手のワールドと資本提携をすることが決まった為売却した」としている。ちょっと聞くと尤もらしく思えるが、以前の村上ファンドであれば何も利益を得ないで撤退することなどあり得ない。
村上ファンドからの資金引上げの動きが強まっている状況から見ると、資金回収の為に徐々に手仕舞いを行なうことを考えているのかもしれない。ダイドーリミティドに続き東京ソワール、そして阪神電鉄と次々手離す。特に阪神電鉄株式売却益は500億円を超え当面の利益は充分に確保出来る。恐らく最終的には大半(あるいは全て)を処分して出資者へある程度の配当を上乗せして資金を返還することになると見ている。村上氏は投資ファンド継続の意思を示しているが、社会的信用を失った村上ファンドに資金を預託するところはないと思われる。それに村上氏との舵取り(独裁者)を失った村上ファンドに資金を注ぎ込むところはない。結局世の中を騒がせた村上ファンドは解体に追い込まれると見ている。
『村上ファンドが保有する阪神電鉄全株式を阪急HDへ売却する方針を固めた』と報じられている。村上氏は阪神電鉄への影響力を残す為に一部を手元に保有することも考えていたが、昨今の株価下落により全株式をTOBに応じる方が得策と判断したと見られる。阪急HD、阪神電鉄共に少しでも村上氏の影が残っているのは気分が悪い。村上ファンドの全株式売却方針は無論大歓迎・・・”目の上のたんこぶ”がすっきりと消えて有り難い。但し阪急HDにはTOB成立後に幾多の困難が待ち構えている。
2006.6.18
6月16日京樽から『偽造株券流通の恐れについて』が開示された。6月15日に匿名の一個人からFAXにて株券の真贋の問合せがあった。開示のP3、P4に真贋両方の株券が掲載されているが、一応株券としての体裁は整っているものの偽者は本物とは似ても似つかないことが直ぐに分かる。偽者に記載されている譲渡制限もわざとらしい。しかしながら本物を見たことがなければ騙されるかもしれない。京樽では偽者が出回っている可能性があるとして投資家の注意を喚起している。
いったい誰が何の為にこの様な悪さをしているのだろうか?昨今話題になっている『未公開株式詐欺』と同類であり明らかな詐欺行為・・・。詐欺師が言葉巧みに話しを持ちかけて来れば騙される方が出ることがあり得る。今回の場合も偽者とは言っても一応株券としての要件が整っている。いずれにせよ怪しげな話を持ちかけられることがあっても取り合ってはならない。少しでも隙を見せれば詐欺師はそこにつけ込んで来る。超低金利時代の儲け話にはまずは疑ってかかるべき・・・。