2006.6.5
今日午前村上氏は記者会見を行ない『インサイダー取引疑惑を認め、この業界(投資ファンドの世界)から身を引く』考えを明らかにした。また同時に阪急HDへのTOB応諾、阪神電鉄への株主提案取下げの方針も表明した。既に昨日東京地検特捜部の事情聴取にて容疑を認める検事調書に署名している。堀江氏同様村上氏も頑強に容疑を否認すると見ていたが、あまりにもあっさり陥落したのには驚いた。ライブドア関係者の証言/メモ、株式取引記録などの証拠が揃っては流石に言い逃れ出来ないと観念したのに違いない。村上氏は「裁判で争い続けることはファンドへの投資家や仕事の仲間に対して迷惑がかかる」として自らの責任を認めた。これで堀江氏に続き市場を掻き回した村上氏も自ら墓穴を掘り退場する。Moral欠如により乱れつつある市場を正常に戻す良い機会が訪れたと看做せる。さてこれで愈々残る”極悪人”は1人になったが・・・。
村上氏はライブドア側の情報を「聞いてしまった」として自ら積極的にインサイダー情報を取りに行っていないと主張している。更に「聞いたから買ったのではない」、「私は儲けようと思ったのではない」などと述べている。村上氏は当初から罪の意識はなく結果として(過失により)証券取引法に違反する行為になったと言いたい。何やら苦しい言い訳にしか聞こえない。例え受身的にインサイダー情報を耳にしたからと言っても、その情報に基づいて株式を取得すれば不正行為は明らか・・・。聞こえても買わなければ何事もない。インサイダー情報を利用して買いながら「儲けるつもりはなかった」とは呆れ果てる。そんな”子供騙し”の如き言い訳が通用すると思っているのだろうか?人は追い詰められると恥も外聞もなく自己保身に走る。村上氏も記者会見にてそんな姿を見せていた。
村上氏は記者会見で投資ファンド存続の意向を示したが、この期に及んでは出資者が資金引上げの可能性が高まり存続は難しい。村上氏によるとファンドの規模は「運用資金は約4000億円、約100の企業/団体からの出資」とされる。4000億円の内約60%がアメリカの大学財団の資金、残りは機関投資家などが10億円〜1000億円単位で出資している。村上氏は「投資ファンドから身を引くが残った人達がしっかりやってくれる」と存続に期待を込めている。しかしながらどこから見ても実質的に村上氏個人の”独裁”ファンドであり、出資者の意識は村上氏個人への出資と考えられる。村上氏の信用失墜、更に投資ファンドから引退となれば出資者がこぞって資金引上げに動くことは容易に想像出来る。 尚投資者との契約では12月末までは投資者は資金を引き上げることは出来ないが、村上氏は要請があれば12月以前にも返還に応じる意向を示している。
今日の午後阪神電鉄は村上氏から株主提案撤回の書面を受領と発表した(こちら 参照)。また阪急HDから「TOB成立の方向で動くことは望ましい」とのコメントが出された。何せよこれで村上ファンドと阪神電鉄との8ヶ月に及ぶ抗争は阪急HDと阪神電鉄の経営統合の形で決着する。930円のTOB価格が妥当だったか否かは今後の経営統合の成果にかかっている。窮余の一策として経営統合が浮上した経緯からすると必ずしも当初から先の見通しがあったとは考え難い。傍から見れば阪神電鉄の実態が何ら変わっていないのにも関わらず村上ファンドの買占めで値が吊り上げられたとしか思えない。
昨日TVで阪急HD側の交渉代理人の佐山氏は「時間をかけて精査した適正な評価」と繰り返し強調していたが、1度公にした数値を今更不適正などと言える訳がない。適正と評価する根拠を問い質したところで(裁判にでもならない限り)手の内を明かす筈がない。その他にもいろいろ話をしていたが強弁にしか聞こえず、佐山氏が本音を語っている様には思えない。今回は利害関係者の片方の代理人との立場ではどうしても歯切れが悪い。聞いていて不愉快に思えた。
結果として阪急HDは巨額の投資で阪神電鉄を買収することになるが、果たして投資に見合う効果を出すことが出来るのだろうか?今回の投資は確実に阪急HDの財務体質を圧迫する。投資を回収するのはなかなか容易ではないと思われる。状況によっては阪急HDの経営陣には株主代表訴訟を起こされるRiskがある。取り敢えず(目の上のたんこぶ)村上ファンドの陰謀を排除出来るが、阪急HD、阪神電鉄は(本当の意味で)これからが大変な時期を迎える。
今日の夕方5時少し前村上氏は証券取引法違反(インサイダー取引)で逮捕された。昨日夜に罪を認め検事調書に署名した直後に逮捕されても不思議ではなかったが・・・。こちらとしては村上氏の口からいろいろ話が出たので、堀江氏の時よりも事情がすごく分かりやすくて有難い。ところで村上氏は面倒なことをさっさと済ませてFreeになりたいと考えている様にも見える。堀江氏の裁判同様公判前整理で裁判の迅速化が図られると思われる。村上氏が罪を認めているので早期決着は間違いない。執行猶予付き判決で済めば”御の字”・・・ほとぼりが冷めるのを待って今とは異なる形での復活を目指すかもしれない。もしかしたら嫌気の差した日本を捨て海外で・・・。
2006.6.6
昨日村上氏はM&Aコンサルティングのサイトに『ニッポン放送株式の売買について』を(手際よく)掲載した。逮捕を覚悟した昨日記者会見での村上氏の主張の要約と言える。村上氏が予め準備しておいたと見られる。一つ気になるのは「MACアセットマネジメントの実質的なオーナーで非常勤取締役の私には同社によるニッポン放送株式の買付けを停止させる義務があった」とある。これは結果論として言えることであり、ニッポン放送株式の不自然な取得、そして堀江氏の”暁の急襲”後の売却についての説明には全くなっていない。更に「ライブドア社からもたらされた情報を基に利益をあげようとする意図はない」との主張を裏付けるものは何もない。村上氏の言い分を世の中、そして裁判官に納得させるのは至難の技と言わざるを得ない。敗色濃厚とあれば見苦しい弁解をせずに潔く罪を認めた方が良い。
村上氏は「儲けたから嫌われた」と述べている。本当にそれだけなのだろうか?当初は高い理想を持って門出したかもしれないが、途中で変質した村上氏は儲ける為には手段を選ばない”拝金主義”に突っ走った。確かに村上氏の登場で日本の企業が軽視していた株主価値、企業価値向上、コーポレートガバナンス(企業統治)に注目への関心が高まった。一方では短期間に100倍にもファンド運用額が急速に膨れ上がり、投資家から厳しい要求(高配当)に応える為には利益最優先が最大の命題となった。4000億円もの巨額資金を転がして大きな利益を生み出すのは普通にやっていては到底達成出来ない。結局は強引、かつ悪質な手法で他者を踏み台にすれば当然の如く嫌われる。村上氏は「金儲けをして何が悪い」と居直っている。誰しもお金は欲しい。しかしながら金を得る為には何をやってもよいと言うことではない。村上氏はその一線を越えて破滅の道に踏み込んでしまった。
「村上ファンドが阪急HDのTOBに対抗した『対抗TOB』を計画していた」と報じられている。いざとなれば何でもありの村上氏なのでこの話を耳にしても別に驚きを感じることはない。以前から村上氏は阪神電鉄の経営統合の相手として京阪電鉄、近鉄を推奨していた。昨日の記者会見でも「阪急HDとの経営統合については納得していない」としている。村上ファンドは自ら仕掛けたTOBの成立により阪神電鉄を一旦自らの傘下に治め、その上で阪急HD以外の私鉄と経営統合させることを目論んでいた。無論その場合には保有する阪神電鉄株式を(その私鉄に)高値で買取らせ「ハイ、サヨナラ」となる。ところがインサイダー疑惑が浮上してはそれどころではなくなった。それでも阪急HDへのTOB応諾により短期間で充分な利益確保となれば、村上氏は取り敢えず(阪神電鉄株式に関しては)投資ファンドマネージャーとしての責務を果たしたことになる。
M&Aコンサルティングの丸木代表取締役は今昨日付けでセブンシーズホールディングスの社外取締役を辞任した。野村證券出身の丸木氏は村上ファンドの運営会社「M&Aコンサルティング」の立上げに加わった。村上ファンドの中核にある丸木氏にも捜査の手が及ぶ可能性がある。その辺りの事情も考慮して辞任したと見られる。また村上氏も昨日付けでソフトブレーン(村上ファンド保有比率:3.3%)の社外取締役を辞任する。不祥事を引き起こした村上ファンドの関係者が取締役として他企業の経営に参画するのは極めて不適切と言える。
2006.6.7
昨日提出の大量保有報告書により村上ファンドは保有していたダイドーリミテッドの発行済み株式5.53%(208万3100株)を全て売却したことが判明した。5月30日オンワード樫山、オフィスサポートへ1609円で(市場外取引で)売却している。売却金額は33億5170万7900円で村上ファンド運用額の1%未満と小さい。4月29日に取得しているので僅か1ヶ月ほどで手離したことになる。ちなみに4月28日の終値は1603円・・・仮に村上ファンドが1603円で取得したとすれば利益は僅か1200万円程度にしかならない。売却理由については「自社株買いやストックオプションの導入などで株式価値が大きく上昇した為でファンドの手仕舞いではない」としている。(何やら取ってつけた様な理由だが)本当のところはまだ分からない。今後処分が続くことがあれば手仕舞いとなるかもしれない。
「農林中央金庫が数十億円とされる投資資金の引上げ検討開始」と報じられている。村上ファンドの投資手法に違法性が出て来れば(結果として)機関投資家としての社会的信用に傷がつく恐れがある。ある意味Risk回避とも言える。KDDIは年金基金の一部を村上ファンドに運用委託していたが「ファンドの投資手法が変わった為」として4月に契約を解除した。また百数十億円を運用委託しているとされるオリックスは「ファンド維持の観点から様々な選択肢を検討」と様子見の姿勢を見せてはいるが、最終的には資金引上げに踏み切る公算が大きい。今後村上ファンドからの資金引上げの動きが更に加速すると見られる。となれば受け皿としてどこか他のファンドへ資金が流れる。世の中には高利回りで運用している投資ファンドは数多くあり、「今や遅し」と手ぐすねひいて既に水面下で資金獲得に動いているかもしれない。
村上ファンドはLDとフジテレビを天秤に載せた挙句(LDとの約束を反古にして)市場で高値売却により利益確保した。この辺りにも他者との信頼関係よりも利益至上主義の村上氏の姿勢が如実に表われている。そんなことをされては宮内氏など元LD幹部も村上氏をかばい立てする必要はない。彼らの口から村上氏を追い詰める重要証言が為されたと見られる。ところでLDへの接触以前に楽天に対しニッポン放送株式を買取る様に働き掛けていたとされる。2004年7月時点で10%程度保有していた村上ファンドは売り抜けに苦慮して様々な売却への仕掛けを行なっていた。結局村上氏としては高値で売却出来ればそれでよい訳であり、その過程で楽天、LDがカモ候補として浮上したと見られる。ここでも村上氏の”金儲けの為には手段を選ばず”の姿勢が浮き彫りになっている。
昨日LDの発行済み株式の約6.7%を保有する米投資ファンド「サイオン・キャピタルLLC」は臨時株主総会で新取締役選任案などに反対する意向を表明した。新取締役候補にUSEN関係者が2名含まれることに対し「重大な利害相反が発生し株主の利益に反する可能性がある」として異議を唱えている。宇野氏の取締役就任によりLDの売却先が事実上USENに絞られることを嫌っている。確かに他の選択肢に見向きもせずに友好関係にあるからと言ってUSENを相手に決めるのは売却額が低く抑えられる可能性がある。臨時株主総会ではその辺りを強く主張するものと思われる。サイオン・キャピタルLLCは「他のLD株主にも同調を呼びかける」としている。USENを快く思っていない株主の存在も侮れない。 更に外資系ファンド4社で過半数近く保有していることからすれば、6月14日のLD臨時株主総会には大波乱の目がある。果たして平松氏、宇野氏が意図する展開になるかどうか・・・注目の1日は1週間後に迫っている。
ドリームテクノロジーは『6月16日平成電電コミュニケーションズのマイライン事業等を日本テレコムに譲渡する』と正式に発表した(こちら 参照)。譲渡価額が僅か10億円?3月23日の開示では75億円を見込んでいたが、Riskを日本テレコムを背負うことの代償として大幅減額となった。つまり止むを得ずDiscountせざるを得なかったと言うことになる。ドリテクは10億円を特別利益として計上するが、財務状況が厳しい状況下では流石に65億円の見込み違いは大きい。更に平成電電の今後の動向がドリテクに更なる悪影響を及ぼす可能性が残されている。さてドリテクの株価は6月2日の6240円から7100円まで少々盛り返したが、果たして譲渡価額の大幅減額の影響がどうなるのだろうか?
2006.6.8
村上ファンド(MACアセットマネジメント)が日本証券投資顧問業協会に提出した資料により、2006年3月末時点の契約資産残高4444億円の事実が明らかになった。対前年同期比約2.7倍とは何とも凄まじい成長率に驚かされる。内訳は国内の機関投資家の運用委託:739億円、海外:3705億円となっている。海外の機関投資家を取り込んで急成長した軌跡が窺える。急激に膨れ上がった資産残高が結果として村上氏に強引な手法に走らせたと考えられる。機関投資家の要求は厳しい。投資ファンドマネージャーとして高配当を維持出来なければ直ちに資金引上げとなる。その為利益確保に血眼になった挙句越えてはならぬ一線に足を踏み入れ墓穴を掘った。村上氏は自らの手腕に相当な自信を持っているが、逆の見方をすればその自信が命取りになったと言える。
東証の日経平均は4日連続の大幅下落と深刻な状況にあり、大引けは前日比462円98銭安の1万4633円03銭と年初以来の安値を更新している。そんな地合の悪い中”村上銘柄”は更に苦しい展開となっている。 最早村上氏の見せ掛けの”神通力”は消え失せ”村上銘柄”の株価復活は容易ではない。むしろ村上人気の後押しによる割高感が強く今後更に下落することも考えられる。株価下落が続けば出資者からの資金回収圧力が更に強まることも考えられる。ダイドーリミティドの全株式売却に続き他銘柄売却との状況もあり得る。ところで「村上ファンド離れ」の動きは更に広がりを見せている。ウシオ電機、石油資源開発も資金引上げを検討していることが明らかになった。村上ファンド解体の可能性が一層高まっている。金儲けの為に犯罪行為に手を染めては当然と言える。
昨日LDMは『新株予約権譲渡に関するお知らせ』を開示した。LDMはLDグループからの離脱を打ち出し資本関係の整理を進めている。開示によるとLDMが保有するセシールの新株予約権全て(807万株、行使価格:303円64銭/株)を今日付けで日興シティグループ証券に譲渡する。日興シティグループ証券はセシール株式を市場で売却するとしている。セシール株価の下落が著しいことからすれば、日興シティグループ証券は出来るだけ早期に株式転換し売却するものと見られる。
ところで現在の発行済み株式(4035万株)の25%に相当する株式が市場に放出されたらどうなるかは”火を見るより明らか”・・・。既存株主はまさに”泣きっ面に蜂”の如き悲劇的な状況になる可能性がある。さてこの報道に地合の悪さが重なってセシールの株価は一気に下落し、終値は前日比73円安の416円で取引を終えている。需給関係悪化懸念がモロに株価に跳ね返ったと看做せる。果たして日興シティグループ証券は807万株もの大量の株式を利益を出して売り捌くことが出来るのだろうか?
サンライズ・テクノロジーは『第三者割当による新株予約権発行に関するお知らせ』を開示した。ロータス投資事業組合に行使価額73円で3000万株全て割り当てる。権利行使されればサンテクは22億円の調達となる。5億円程度を事業用運転資金、残りを戦略的資本業務提携、並びにグループ連結企業の既存事業のてこ入れ、新規事業の立ち上げ資金とする予定としている。ところで3000万株は現在の発行済み株式(7614万906株)の39.4%に相当する。更に昨年12月27日に発行した新株予約権の行使状況は残高5億3500万円とある。僅か半年ほどの間に多額の新株予約権を2回も発行するとは既存株主軽視も甚だしい。どう考えても希薄化進行は必至・・・株価上昇は到底考え難い。ちなみに今日の終値は前日比5円安の70円の低い水準で取引を終えている。
昨日JASDAQは『ペイントハウス上場廃止禁止仮処分命令禁止申立却下決定に対する特別抗告の棄却について』を開示した。これによりJASDAQは上場廃止基準に照らし合わせ近々判断するものと見られる。2期連続の債務超過により上場廃止の可能性が高い。何せ訴訟まで起こして抵抗したとあればJASDAQとしてもこのまま放置しておく筈がない。一方ペイントハウスは「今後とも上場会社として上場が継続出来る様努力する」と何とも弱々しいコメントを出した。いったいどの様な対応をすると言うのだろうか?まさか本訴に持ち込んで徹底的に争うことがあるのだろうか?全く勝ち目はなく醜態を晒すだけの”恥の上塗り”でしかないが・・・。今回の最高裁決定で息の根を止められた感があり、ペイントハウスにはこれ以上抵抗する余力がない様にも思える。ちなみに今日の終値は前日比18円安の141円と大きく下げて取引を終えている。
2006.6.9
今日阪急HDは阪神電鉄株式のTOB開始公告を訂正し関東財務局に提出した(こちら 参照)。TOB価格930円を巡り割高の見方が広がっているのを受けて投資家に対し決定根拠を詳しく説明した。第三者機関のコンサルタント会社が幾つかの手法を駆使して阪神電鉄の1株当たりの理論的価値を805〜1036円と算定した。その上で「阪急HD取締役会が阪神電鉄の業績予想、株価推移、TOBへの賛同の可能性を考慮して930円に決定」とある。開示を読むと何やら尤もらしく思えるが、さて・・・?
注意しなければいけないのがコンサルタント会社が幾つかの手法に基づく結果を総合的に勘案した点にある。まずは”結論ありき”で都合の良いデータを使い各々の手法を都合よく活用して意図する回答を出すことはそれほど難しいことではない。つまりTOB価格930円の正当性証明の為に、930円をほぼ中央値とする理論値805〜1036円をはじき出すことは容易に出来る。○○法の活用、統計的手法の活用、Simulationなどと持ち出されるとそれだけで尤もらしく感じるが、使い方によっては同じデータで異なる結論を導き出すことも出来る。阪急HDの説明では930円の妥当性が証明されたとは到底言えない。さて阪急HDは今更930円が割高などと口が裂けても言えない。何が何でも930円が理論的にも妥当な値を主張しなければならない。初めから”結論ありき”でコンサルタント会社に理論値算出を依頼していることは容易に想像出来る。
村上氏が経済同友会に退会届を提出し財界活動からも身を引くことが分かった。退会理由は「一身上の都合」とあるが、コンプライアンスを第一にすべき経済人が法を犯しては潔く身を引くのは当然と言える。村上氏は2003年に経済同友会に入会、2005年度には金融・資本市場委員会、企業価値向上委員会、経済政策委員会に所属し「活発に自論を展開していた」と言う。これで村上氏は一旦経済界から消えるが、このまま自動消滅する脆弱な人物とは思えない。ほとぼりが冷めるのを待って忘れかけた頃にどこかで(国内?国外?)違う形での復活を狙うのに違いない。
昨日東京地裁はペイントハウスの有価証券報告書に関する訂正命令仮差止め申立てを却下する決定を下した(こちら 参照)。この決定を受けてペイントハウスは即日2005年8月期有価証券報告書の訂正報告書を関東財務局に提出した。必死の抵抗も空しく完全敗北で決着した。ここでも改めて「上場会社として継続出来る様努力する」と強調している。今更そんなことを言ったところで”時既に遅し”・・・JASDAQは昨夜ペイントハウスの上場廃止を決定した(こちら 参照)。「債務超過」、「有価証券報告書の虚偽記載」となれば極めて当然と言える。今日整理ポストに割当てられ7月9日に上場廃止となる。最後まで見苦しい醜態を晒したペイントハウスは遂に市場から退場する。残り1ヶ月、またもやマネーゲームが繰り広げられるのだろうか?ちなみに今日の終値は前日比4円高の145円で取引を終えている。
昨日エフェクターは『2006年5月期通期業績予想(単体・連結)の修正のお知らせ』を発表した。単体ベースで売上高:6億9000万円(前回予想:6億1200万〜10億4700万円)、経常損失:3億6000万円(同:8300万〜4億7900万円)、当期純損失:6億2000万円(同:9700万〜4億9300万円)と下方修正している。赤字幅拡大の理由として円高の急激な進行による為替差損、子会社への貸付金に対する貸倒引当金を挙げている。連結ベースでも売上高:6億9000万円、経常損失:3億7000万円)、当期純損失:9億3000万円(同:9700万〜4億9300万円)と惨め・・・。単体と連結で売上高が同じで当期純損失が膨れ上がっているのが目につく。
何故単体ですら容易に立ち行かないエフェクターが3月末にメディシサイエンス(MSS)を子会社化したのだろうか?元々メディカルシステムネットワークがエフェクターからMDヘパ細胞の独占供給権を入手した時に受け皿として子会社を設立した。ところがエフェクターはMDヘパ細胞をまともに供給出来ず、責任(契約違反)を取る形で(実体のない)子会社を買取らされた経緯がある。積極的に業績拡大を目指してM&Aを行なった訳ではない。従って業績にプラスになるどころか単なる”お荷物”に過ぎない。MSSの売上高”0”の実態が如実に示している。とにもかくにもエフェクター経営陣にまともな経営能力があるのかどうか疑わしい。こんなところが未だに上場しているとは嘆かわしい。ちなみにエフェクターの終値は6万1000円と相変らず極めて低い水準にある。
2006.6.10
”村上銘柄”のTBSの株価は6月に入ってからの7営業日で下落幅475円と大きく下げている。今日の終値は前日比10円高の2625円と少々戻して取引を終えている。村上ファンドの平均取得単価は2976円58銭であり、現時点で全て保有していれば約38億7000万円の含み損を抱えていることになる。そう言えばTBSには楽天と言う約19%保有の目障りな筆頭株主がいる。3月末時点の大量保有報告書を元に平均取得単価を算出すると3105円51銭となる。こちらの含み損は約179億円に膨れ上がっている。TBSとの交渉長期化で”塩漬け”となっては金利負担も馬鹿にならず、今年に入ってから新たなFianance実施で資金調達をしている。更にここに来てのTBS株価の下落はかなり手痛いと見られる。交渉の手詰まり状態、それに株価下落のダブルパンチで楽天は相当苦しい状況にあると思われるが・・・?
村上ファンドが大量保有している阪神電鉄株式売却についてあまりにも大量に抱え過ぎたばかりに処分するのにかなり苦労した。幸いにも阪急HDが(平均取得単価よりも)はるかに高値で買取ることになり約550億円もの利益を確保出来る。さて楽天の場合はどうだろうか?三木谷氏は「株式を持ち続ければいつかは楽天の話に応じないTBSがおかしいという時期が来る」と強気の姿勢を示している。そうは言っても投資資金の有効活用出来ない状況では身内から「巨額資金を事実上ただ寝かせておくのは可笑しい」との意見が出ていると言う。三木谷氏は拳を高々と振り上げたはいいが、手詰まり状態では振り下ろす場が見つからず苦慮しているかもしれない。それに堀江氏、村上氏と次々と司直の手に落ちては三木谷氏も迂闊な行動を起こせば我が身が危うくなる。さて落としどころは如何に・・・?
楽天の株価の激しい下落は止まらず、昨日の終値は前日比2000円安の6万5500円で取引を終えている。公募による新株式発行、三木谷夫妻の持ち株放出(こちら 参照)を行なった3月20日近辺には10万円前後だったが、そこと比較すると下落幅の大きさが一際目立つ。調達資金約1078億円の内80%強が有利子負債軽減、つまり借金返済に充当された。そんな苦し紛れのFinanceが株価に好影響を与える筈がない。そこにTBSとの交渉手詰まりが加わり、4月下旬からの下落傾向が今も続いている。ところで3月下旬の売り出し価格9万6138円で買った方々はその後どうしたのだろうか?10万円を超えていた4月20日までに売却していなければ損失を蒙っているが・・・。新たなFinanceに手を出す前にはキチンと精査すべき点は多い。発行理由、資金の使途にも充分注意を払う必要がある。
『LDは早ければ今月中にも保有するダイナシティ、LDオート株式を投資ファンドなどに売却する方向で最終調整』と報じられている。LDはダイナシティ株:約25%、LDオート:約51%保有しているが、今後のLD経営戦略から外れる両社については既に売却探しを行なっている。ところでLDとLDオートは売却先を巡り激しく対立している。更にLDオートは損害賠償請求など訴訟も起こしている一方LDは対立が解消されない場合には”数の力”で押し切る構えを見せている。LDは取締役会の過半数超を押える株主提案を定時株主総会に提出し経営権取得を視野に入れている。さて6月29日は目前に迫っている。今後の展開や如何に・・・?
2006.6.11
2002年5月「東京スタイル」の株主総会で会社側代理人として村上ファンドとのプロキシファイト(委任状争奪戦)に携わった小林弁護士は「村上氏は儲け方が汚いから嫌われた」と述べている。「儲けたから嫌われた」では世の中儲けることが全て悪いことになる。人間誰しも儲けることへの意欲がある。でも儲ける為に”何でもあり”は許されない。まして違法行為は言語道断・・・何事にも節度と言うものがある。
村上氏のやり方は「全ての株主の利益」などと言葉巧みに企業側を要求を突きつけ、散々描き回しておいて自身の利益確保の見通しが立つとさっさと高値で売り逃げていた。村上氏は短期保有株主に過ぎず中長期視点での経営なんぞ眼中にない。投資ファンドマネージャーとして出来る限り短期間に出来るだけ多くの利益確保の責務がある。中長期的観点で企業経営に関与して好業績を挙げて株価上昇、増配などと流暢なことは言っていられない。ファンド規模が一気に拡大すれば通常のやり方では投資者が喜ぶ配当確保が難しくなる。そこで強引なやり方に走り遂には一線を踏み越えて転落して行った。
ドリームテクノロジーの激しい株価下落を見ていると、4月に民事再生法適用申請で事実上倒産したアドテックスの再来?と思えてしまう。平成電電の破産手続き開始、2006年12月期業績予想での大幅減収、そして赤字見込みが株価下落に追い討ちをかけている。マイナス材料しか見当たらず悲観的な見方が支配的となれば非常に苦しい状況に追い込まれている。現状の資金繰りはどうなのだろうか?これだけ株価低迷していれば新たなFinanceは到底難しい。状況によっては資金繰り悪化で一気に”奈落の底”へ転落との事態もあり得る。
楽天は『地方競馬を運営する地方自治体など12の主催者と馬券のInternet販売で業務提携することで基本合意』と発表した。既に南関東の4主催者とは馬券のネット販売の業務提携で合意している。今回高知競馬、笠松競馬などと個別に契約を結び、今年11月には全ての地方競馬の馬券販売の見通しとされる。実際に業務提携が開始されるとPCや携帯電話の楽天のサイトで(いながらにして)地方競馬の馬券を買える様になる。期待効果としては楽天は自サイトを通しての馬券購入があればそれだけ販売手数料が見込める。更に自サイトへの集客効果もある。一方売上げ減少に悩む地方競馬としては多くの人の馬券購入機会が増えることで売り上げ増加に繋がる可能性がある。
ところで馬券購入機会が増えたとしても果たしてそれだけで売上げ増に貢献するのだろうか?”取らぬ狸の皮算用”にならなければよいが・・・。基本的には面白い競馬を提供出来なければすぐに飽きられてしまう。レース自体も馬券的にも妙味がなければお客さんはついて来ない。さてソフトバンクグループ企業が既に南関東以外の12主催者についてInternetで馬券を販売している。果たしてどの位の効果が出ているのだろうか?とにもかくにも地方競馬の”救世主”になり得るのかどうか大いに興味がある。何せ地方競馬にとり業務提携相手が相手だけに見通しは楽天的ではない・・・さて?
地方競馬と言えば高知競馬の『ホリエモン』は先週思わぬトラブルで競走除外となったが、今までに高知移籍後6勝と頑張っている。復帰まで少々時間がかかるかもしれないが、復帰すればまだまだ上のクラスへの勝ち上がりが期待出来る。まだ4歳と若くこれからもっと力をつければ高知競馬を背負って立つ存在になる可能性がある。但し高知競馬が存続することが前提になるが・・・。
一方マスコミに取り上げられ一世を風靡した『ハルウララ』はどこへ行ってしまったのだろうか?現馬主の安西美恵子氏のサイトでは昨年11月6日以降ハルウララについての更新が全くない。今でも那須トレーニングファームへ預託されている筈だが・・・。どうなっているのかさっぱり分からない。ハルウララ基金を募り地方競馬振興の為に『ハルウララ』の披露巡業を行なうとしていたが、この件についても現状どうなっているのか全く分からない。安西氏のサイトの(ごく一部だが)更新されているので安西氏が活動を休止したとは思えない。まさか『ハルウララ』へのかつてのブームが去って商品価値が無くなり熱が冷めたと言うことはないとは思うが・・・。
さて『ハルウララ』が最後に高知競馬に出走したのは2004年8月3日と1年10ヶ月も昔のことになる。那須で競走馬としての調教を続けていると思われるが、これから再び実戦となると果たしてどの様なものだろうか?既に『ハルウララ』は1996年2月27日生まれの10歳・・・。安西氏は高知で引退レースを(今でも?)望んでいるが、無理に走らせるよりも、また日本中を連れ回すよりも静かに余生を送らせる方がよい。那須にて乗馬用に再調教し多くの人に乗って貰った方が『ハルウララ』にとり幸せと思うが・・・。