2006.11.27

 本日休載。

 2006.11.28

 昨日締め切られた
SPJによる明星食品への敵対的TOBはものの見事に不首尾に終わった(こちら 参照。開示にはSPJへの応募株式数が0とある。SPJが日食食品のTOBに対して何の手段も講じなかったことからこの結果は充分予想出来た。日清食品がSPJより170円も高い870円を提示しているのにわざわざ安い方に応募する愚か者はいない。これで日清食品の友好的TOB成立の公算大となった。 そう言えば「独占禁止法に抵触するのでは?」との話が出ていたが・・・。両社の経営統合に対し公正取引委員会はどの様な見解を持っているのだろうか?

 ところでSPJは2003年に毛織物染色大手ソトーと金属加工油剤トップのユシロ化学工業に敵対的TOBを仕掛けた”前科”がある。ソトーは発行済み株式の全て買取り(当然上場廃止)、ユシロは10倍の増配との苦肉の策で対応せざるを得なかった。SPJは敵対的TOBを仕掛けてまんまと多額の利益をせしめた。今回も形がどうであれ利益を得ることが出来ればそれで良い。頃合いを見計らって敵対的TOBを仕掛けたのに違いない。

 それでは何故SPJはTOB価格引上げの方策を全く講じなかったのだろうか?SPJは日清食品株式を23.1%保有する筆頭株主・・・株価低迷にイラついていたのに違いない。株価引上げを狙ってOBを仕掛けたと考えられる。それにしては700円とはプレミアムが少ない中途半端なTOB価格に思えるが・・・? そこに日食食品がSPJのTOB価格を24%上回る870円を出すと言って登場して来た。SPJは「これで充分」とほくそ笑んでいるのでは・・・?
SPJが日清食品のTOBに保有する全株式を応募する可能性が高い。さて日清食品以外にもアデランス、サッポロHDなどがSPJに多くの株式を持たれている。経営陣は「何か仕掛けられるのでは?」と戦々恐々としているのに違いない。

 会社更生法適用申請した
ユニコ・コーポレーションは11月24日の最終取引をもって上場廃止となった。何のお祭り騒ぎも起きずひたすら下落して最後は4円で取引を終えている。株価1円を見ることが出来るかと思っていたが・・・。倒産した企業の株式を巡って”●●”騒ぎが起きて株価が上昇すること自体が可笑しな話・・・それ以前にこんな”★”株式の取引が市場で成立することそのものが可笑しい。とにもかくにもこれでかつて1000円を超えていたユニコ株式約829万株がはかなくも紙屑となって霧散した。

 2006.11.29

 11月20日名証セントレックスに新規上場したKFE JAPANは悲惨なスタートを切った。上場初日は公開価格(19万円)を下回る売り気配のまま値が付かず翌21日に11万1000円の初値がついた。結局初日は9万8400円と公開価格の半値以下で引けた。翌営業日の24日にはストップ高と威勢の良いところを見せたもののその後は値を崩し、今日の終値は前日比2300円安の9万6200円と10万円を割り込んで取引を終えている。セントレックスへのIPOと言うこともあり「ここも公開価格割れでは?」との懸念が的中する結果となっている

 
11月のIPO銘柄では公開価格割れが続出している。直近のセントレックスへのIPO銘柄メンバーズ(11月2日上場)は今日の終値:11万9000円と公開価格(19万円)を大きく下回っている。KFE JAPANの場合は11月IPO銘柄の全体的な不調傾向、それに近頃何かと評判の悪いセントレックス、これらが連想ゲームの如く悪い方向に力が作用しているものと考えられる。ちなみに2007年3月期業績予想(連結)では売上高:111億6750万円(前年同期比:12.3%増)、経常利益:2億6330万円(同:17.7%増)、当期純利益:2億1119万円(同12.6%増)とそれなりに順調さが窺える。更にPER(株価収益率)を公開価格ベースで計算すると17倍程度と割安にも見える。果たしてKFE JAPANの株価はこのまま低迷を続けるのだろうか?

 
セントレックスと聞けば史上最悪IPOのエフェクターが頭に浮かぶ。「セントレックスの信用低下の最大の原因がエフェクター」と言っても決して言い過ぎではない。何せ公開価格38万円に対し今日の終値3万2100円(株式分割無し)とは・・・下落率91.55%とは”極悪以外に適当な表現が見当たらない。今後業績を向上させて株価上昇に繋げる見通しがあるのだろうか?エフェクターのサイトには創業研究プロジェクトとして癌治療薬開発、抗炎症薬開発が大々的に掲載されている。問題はこれらの先行投資が身を結ぶかどうかが重要・・・大学などの研究者ではないので当然ある期間内に企業活動としての結果を出さなければならない。しかしながら経営能力に欠ける経営者ではこれから先の進路は危うい。

 2006.11.30

 
松坂屋HDは『株主からの株式買取に関するお知らせ』を開示した。株式移転に反対する村上ファンドから出されていた株式買取請求について名古屋地裁にて合意が成立し、今日松坂屋は579万6000株を50億4200万円(870円/株)で買取りを完了した。村上ファンド解散は最早時間の問題・・・この件について残務整理が終わったと言える。ところで松坂屋の株価はほぼ700円台を推移して今日は37円との大きな上昇で795円で引けている。それでも870円よりかなり低い。村上ファンドとしては870円/株で引き取って貰えれば”御の字”に違いない。

 昨日関東財務局に提出された大量保有報告書によりSPJが日清食品株式を6.23%→7.37%に買い増していることが判明した(こちら 参照)。SPJは明星食品への敵対的TOBに失敗したばかり・・・今度は同じ時期に対抗的TOB実施の日清食品をTargetにするつもりなのだろうか?現在保有している明星食品株式を日清食品に売却してしっかりと利益を確保するのに違いない。何度も美味しい餌をたらふく食しているSPJだけに次なる獲物に狙いを定めることは充分に予想される。(TOBを阻止された意趣返しかどうかは分からないが)次に日清食品に筆頭株主としてじわじわと圧力を加えて時期を見計らって何か仕掛けるかもしれない。日清食品経営陣は何か対策を考えているのだろうか?何もせずにSPJにやりたい放題させたのでは無能の誹りは免れない。何にせよ今後の展開には目が離せない。

 昨日TBSの井上社長は楽天との業務提携交渉について「先月と比べて何も進んでいない」ことを明らかにした。既に泥沼化している事態に解決の糸口は見出せるのだろうか?トリガーになっているのは楽天保有のTBS株式の処理・・・
局面打開に繋がるのは唯一TBS株価の上昇により楽天が売却益を得られる場合のみに限られる。さてTBSの株価は昨日迄の5営業日連続の上昇(累積310円)で2880円まで戻している。このままの勢いで楽天の平均取得価格を上回るレベルまで行くのだろうか?まさかどこぞの誰かが意図的に仕掛けていることはないと思うが・・・。te

 2006.12.1

 昨日関東財務局に提出された大量保有報告書によりイーエム・プランニングがTBS株式5.05%取得したことが判明した。(イーエム社は全国展開の靴専門店「ABC-MART」で知られているエービーシー・マートの関連企業。)資金は借入金約254億円で調達、960万7000株(平均取得価格:2648円)を2ヶ月に亘り断続的に取得した。ところで市場関係者には「
村上ファンドの保有株式売却では?」との見方が出ている。確かに11月末時点で判明している村上ファンドのTBS株式保有比率は4.98%と今回のイーエム社による大量取得とほぼ符合する。だが村上ファンドからの取得とすれば2ヶ月費やし27回に分けたことには疑問が残る。村上ファンドならば面倒なことはせずに市場外取引一発で済ませると思うのだが・・・?

 音響メーカーで投資事業も手掛ける
ソリッドアコースティックスはLD傘下のカーチスへのTOBを発表した。開示によるとTOB価格:98円、買付け予定数:1億3260万株(保有比率:56.19%)、買付資金(予定):約130億4600万円となっている。これに対しカーチスは賛同の意を明らかにした(こちら 参照)。また親会社LD(カーチス株式保有比率:51%)は今日開催の取締役会にてTOB応募を決議した(こちら 参照)。これによりTOB成立の可能性は極めて高い。これにてカーチスは天下晴れて念願のLDグループからの離脱が実現する。しかしながら念願がかなっても次の課題:業績向上が待ち構えている。カーチスが歩む”茨の道”の先に光明は容易には見えて来ない。

 今朝ソリッドのカーチスへのTOBが報じられると様々な思惑が働き一気に株価は165円迄急上昇した。その後140円を挟んで上下する展開となったが、後場終了直前の14時45分にTOB価格98円が判明すると下落に転じ終値は前日比6円高の126円で取引を終えている(こちら 参照)。週明けは98円を意識した展開になるのだろうか?(期待外れの)TOBへの失望感から100円前後に戻ると推測している。ところで先週100円を大きく割り込んでいた株価が今週に入り急に上げたのは「TOBの件が事前に漏れていたのでは・・・?」との疑念を持つ。何にせよ材料無しの怪しげな上昇には充分に注意を払う必要がある。

 昨日
サッポロHDは『新株予約権証券に係る発行登録に関するお知らせ 』を開示した。今年2月に事前警告型の買収防衛策を導入を決めた。議決権ベースで20%以上を目指す投資家に対し情報開示を求め、応じない場合などは買収者以外に新株予約権を発行するとしている。さてサッポロHDは最近敵対的TOBで世の中を騒がせたSPJに18.59%の株式を保有されている。今回はSPJの仕掛けに備えて何時でも機動的に防衛策発動を可能にしたと考えられる。今後敵対的TOBの脅威が益々増大することは充分予想される。経営陣は法的に許される範囲内での対策を取らなければ怠慢の誹りを免れない。

 2006.12.2

 昨日
TBSの終値は実に半年ぶりに3000円を回復して取引を終えている。ABCマートの三木会長の関連会社がTBS株式を5%超保有の事実が手掛かりになったとされる。村上ファンドから取得との推測が更なる思惑を呼び起こし買いが買いを呼ぶ展開になったと見られる。とにもかくにも低迷が続いていたTBSの株価に弾みがつき今のところ上を向き元気良く進んでいる。膠着状態にある楽天vsTBSのBattleの局面打開には「TBS株価が楽天の平均取得価格を上回ることが必要」と書いたばかり・・・。(このまますんなり行くとは思えないが)今後の展開次第では楽天vsTBSの局面打開が現実味を帯びることもあり得る。はっきり言えば三木谷氏の方が手詰まりになっている筈・・・今となっては本音は”名誉ある撤退”を望んでいるのに違いない。

 昨日LD傘下のカーチス売却が明らかになり同じく
LD傘下のセシールにも同様の思惑が働き株価は連れ高となった。カーチスへのTOB情報を受けて前場開始直後から上昇開始、後場開始早々に前日比44円高の372円をつけた。結局終値は前日比26円高の344円で取引を終えている。11月に入ってからもセシール株価の下落は一向に止まらず何か手掛かりを求めていたところにこの話が浮上した。そこで連想ゲームの如く「セシールにも売却話が?」と飛び付いた方が多くいたのに違いない。さて親会社のLDはネット事業に特化する方針で傘下の企業売却を進めている。セシール経営陣はLDにべったり寄り添う方針だが・・・果たしてLDはどの様に考えているのだろうか?

 
ドリームテクノロジーは『役員持株会、及び従業員持株会設立のお知らせ』を開示した。設立目的の中に「当社の取締役、監査役および従業員による株式購入に際してインサイダー取引を回避し自社株式取得の利便性を高める」とある。何故インサイダー取引の回避との極めて当たり前のことが書かれているのだろうか?穿った見方をすればこの様に書かないと平気でインサイダー取引を行なう”●●”がいるとも受け取れる。あるいは今までにインサイダー取引と疑われる行為があったとも受け取れる。苦しい状況下にあるこの時期に唐突に持株会設立を決めたのか(胡散臭い企業だけに)尚更訝しく思う。

 11月30日新銀行東京2007年3月期中間決算を開示した。開示によると中間(当期)純損失:154億2300万円(前年同期:95億4400万円)と赤字幅が増大している。赤字幅拡大の主たる要因は中小企業向け融資の相次ぐ回収不能による不良債権処理に伴う損失計上(約108億円)にある。初年度には209億6400万円の当期純損失を出している。2006年9月末時点での純損失は累積で約374億円に膨れ上がっている。これでは「こんな状況で大丈夫?」との危惧を誰もが感じる筈・・・。

 2004年4月1日新銀行東京は石原東京都知事の”鶴の一声”により「
中小企業への潤沢な資金供給を狙い」として開業した。東京都は84.22%保有する筆頭株主・・・事実上東京都主導の第3セクターと言える。中小企業支援の狙いは大切なことは言うまでもないが、一方では利益を出して企業継続出来る財務体質を作らなければならない。このまま業績が回復せず”破綻”との異常事態になっては一大事・・・公的資金(税金)投入による後始末だけは避けなければならない。企業活動は綺麗事だけでは済まされない。「苦しくなったら公的資金投入」などと甘ったれた考えを持ってはならない。新銀行経営陣は肝を据えて企業存続に尽力する義務がある。

 2006.12.3

 11月27日インボイスは『ダイナシティの子会社化に向けての合意のお知らせ』を開示した。子会社のインバイス・パートナーズの新株予約権行使により議決権ベースで40%超のダイナシティ株式を取得する。新株予約権を現在の行使価額で行使した場合には議決権ベースで65.69%となる。JASDAQの緩い上場廃止基準に抵触する可能性は低い。過半数の取締役を送り込み、インボイスの木村社長がダイナシティ社長を兼任する。さて開示には「ダイナシティ株式の希薄化を考慮」とあるが、発行済み株式が大幅に増加することに変わりない。毎度のことながら割を食うのは既存株主・・・今回も苦しい状況下での増資だけにMeritがあるとは思えない。今後ダイナシティの株価がどの様に推移するのか注目される。

 
メディア・エクスチェンジ(MEX)は”LD事件”直後からLDグループからの離脱の意思を表明している。今年2月には両社の間で資本提携関係の見直しで合意している。11月21日MEXから『LDとの業務、及び資本提携見直しに関する経緯等のお知らせ』が開示された。開示によると諸般の事情により現時点では進展が見られないとある。ところでLDの12月下旬開催予定の定時株主総会にて新たな役員人事が承認される見通しとなっている。平松氏以外の取締役5名が辞任、外資系投資ファンドなどが推薦する4名が取締役に選任される。そうなれば新経営陣の元での資産売却が促進する可能性が高い。MEXの売却先検討も年明けに一気に加速するかもしれない。

 11月22日LDは『ライブドアフィナンシャルホールディングス(LDFH)株式の譲渡』を発表した。LDはアドバンテッジパートナーズLLP(AP)に全株式を175億円で譲渡する。LDFHの傘下にはLD証券など(LDの中核を成す)金融事業を営む複数の企業が属している。LDの証券取引法違反による有罪が確定すれば金融事業を継続出来ない。そこで泣く泣くグループの収益の大半を稼ぐ”虎の子”の切り離しとの事態に至った。さて”虎の子”を手離すLDは今後いったい何で稼ぐことになるのだろうか?

 株主総会の承認を経て社名を「
ライブドアホールディングス」に変更し事業持ち株会社制に移行する。今後事業持ち株会社の元でのグループ再編が進められる。果たしてポータル事業以外にどこがグループ傘下に留まるのだろうか?LDが11月27日に発表した2006年9月期決算(連結)では当期純損失408億4100万円と極めて苦しい状況にある。当面は豊富な手持ち資金に支えられ直ちにおかしくなることはないが、傷ついたブランドを背負ったままでの事業展開がスムースに行なえるのだろうか?またどの様な決着になるか不透明な訴訟リスク(損害賠償)がある。何にせよ
LDの行く手には暗雲が漂っている。

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