2007.2.19
2月16日警視庁組織犯罪対策3課はアドテックスの下村元副社長、菊地元執行役員の二人を民事再生法違反(詐欺再生)容疑で逮捕した。アドテックスは既に昨年10月証券取引法違反(虚偽記載)容疑で家宅捜索を受けている。加えて架空売上げ計上による粉飾決算の疑いもあり事件が更に拡大するものと見られる。日本スポーツ出版社(アドテックス元社長兼務)の前田会長、前社長の長谷川氏など前経営陣にも追及の手が伸びる可能性がある。
ところで昨年10月の警視庁の手入れが組織犯罪対策3課と言うことで不思議に思っていた。今回も組織犯罪対策3課・・・下村元副社長が暴力団元組長と言うことでなるほど納得した。混乱に陥っているアドテックスの弱みに付け込んで巧みに潜り込み暴利を貪ろうとしたのだろうか?それにしても上場企業の経営に暴力団関係者が関わっていたとは・・・。所謂”企業舎弟”としてで一般人と何ら変わりない形で企業活動をしていたのに違いない。暴力団関係者が素知らぬ顔をして一般人の間に紛れ込んでいるかと思うと恐ろしい。もしかしたら知らずに接触しているかもしれないと考えると背筋が寒くなる。
「百貨店4位の大丸と7位の松坂屋HDが経営統合に向けて交渉」と報じられている。経営統合が成立すれば昨年度の売上高を単純に合算すると高島屋を抜いて首位となる。両社の商圏はほとんど競合せず競争力強化が期待される。この報道を受けて両社共に「何ら決定している事実ない」とのお決まりのコメントを発表した。本当のところはどうなのだろうか?百貨店業界を巡る経営環境は厳しい。業界再編の動きが出ても可笑しくない状況にある。
2007.2.20
都合により本日休載。
2007.2.21
一昨日アドテックスの前田元社長が民事再生法違反(詐欺再生)の共犯容疑で逮捕された。前田氏は「下村元副社長の主導で資産を不正処分した」ことを認めているとされる。巧みに経営に紛れ込んだ暴力団関係者に弱味を握られて逆らえなかったのかもしれない。だからと言って前田氏を擁護するつもりは毛頭ない。この人がアドテックスの経営に乗り込んで来た経緯も実に怪しい。昨年10月の警視庁の手入れはアドテックスが日本スポーツ出版社等への架空売り上げ約50億円を計上したとされる粉飾決算容疑・・・。粉飾決算絡みでアドテックスの弱味を握った前田氏が社長に就任したと思われる。その辺りを下村氏が嗅ぎ付けアドテックスの経営に乗り込み実権を握ったと見られる。悪の連鎖とも言える。ところで粉飾決算となれば当然長谷川氏などの旧経営陣への責任追及となる筈だが・・・。さて・・・?
2月19日名証セントレックスに新規上場した中広は大幅な公開価格割れと大苦戦している。初値は公開価格(300円)を29.67%下回る211円、終値は同じく211円で取引を終えている。今日もまた冴えない展開なり終値は前日比6円安の205円・・・。とにもかくにも近頃のセントレックスのIPOは惨めの一言に尽きる。「セントレックス上場のハンデが響き市場の事前観測を下回る展開」とは東洋経済オンライン掲載のコメント。まさにその通り。現時点ではセントレックスが市場(投資家)から如何に信用されていないかを裏付けている。かかる困難な局面を打開するのは容易ではない。
昨日みすず監査法人(旧中央青山監査法人)は今年7月を目処に新日本、トーマツ、あずさの3監査法人等に業務移管すると発表した。信用力が極端に低下しては名前を変えたところで存続は困難と見ていた。公明正大であるべき監査法人がインチキに加担してはどうにもならない。みすず監査法人が事実上解体に追い込まれるのは極めて当然の帰結と言える。まさに”身から出た錆”。
昨日付けで関東財務局に提出された大量保有報告書によりいちごアセットマネジメントが東京鋼鉄株式を11.58%→12.64%に買い増していることが判明した。2月14日の取得まで記載されているが、その後も更に買い増しているのに違いない。(2月16日に記述したが)委任状等を含めて約31.1%確保しているとされるので特別決議否決に必要な1/3超の確保が現実味を帯びて来た。注目の株主総会は2月22日と目前に迫っている。ちなみに東京鋼鐵の株価は様々な思惑が入り乱れ2月13日以降561円→563円→570円→615円→600円→590円→607円と上昇傾向で推移している。
2007.2.22
今日午前開催された東京鋼鐵の臨時株主総会にて大阪製鐵との経営統合提案が40%超の反対で否決された。いちごアセットは東京鋼鐵株主になった時期が遅く今回の株主総会への株主提案権がなく特別決議否決に必要な票数集めとなった。今回の否決により大阪製鐵、東京鋼鐵の経営統合の取決めが失効する(こちら 参照)。両社は経営統合が必要となれば仕切り直しで再度協議しなくてはならない。状況によりいちごアセットは大阪製鐵の方にも食い込まなければ話が進展しないかもしれない。一旦”袖にされた”大阪製鐵としても「はい、そうですか」と簡単に話に載ることが出来ない。大阪製鐵は「合意内容は尊重すべき」として見直しには応じない構えと伝えられる。特別決議否決によりダメージが大きいのは東京鋼鐵・・・東京鋼鐵の開示にはご破算になったことへの悔しさが随所に滲み出ている。
ところでいちごアセットマネジメントが東京鋼鐵提案の特別決議に反対したのは何故?昨年10月26日東京鋼鐵、大阪製鐵の取締役会にて『株式交換により大阪製鐵による東京鋼鐵の完全子会社化』を決議している。いちごアセットは経営統合には賛成の立場だが問題視しているのは株式交換比率・・・大阪製鐵:東京鋼鐵=1:0.248。いちごアセットは東京鋼鐵の企業価値を完全に反映したものではないと主張している。発表日までの1ヶ月間の平均株価に対して少なくともプレミア30%が付与され交換比率は大阪製鐵:東京鋼鐵=1:0.295となるべきとしている。(詳しくは
こちら 参照)。ちなみに株式交換を発表した時点での株価は大阪製鐵:2130円、東京鋼鐵:459円(1:0.215)。昨日の株価を比較すると大阪製鐵:2545円、東京鋼鐵:607円(1:0.239)。単純に比較しても提案通りの交換比率ではその後の東京鋼鐵の株価の伸びが大きく東京鋼鐵株主の方が割り損となる。
さていちごアセットは狙い通り特別決議は否決したが・・・。この先どの様なストーリーを目論んでいるのだろうか?このまま経営統合の話が立ち消えとなり東京鋼鐵の株価が下落すればいちごアセットとしては利益が出し難くなる。目論見が外れては元も子もない。東京鋼鉄は「単独で事業を継続して行く方針、かつ株式交換比率見直しての再契約の予定無し」としているが・・・。今のところ先の展開が読める状況には無い。行く末が気になるので当面事態の推移を見守って行くことにする。
ガンホーオンライン・エンタテイメントの株価が荒っぽい動きを示している。2006年12月期連結決算発表直前には好決算への期待からか終値は前日比3万7000円高の63万6000円と押し上げて取引を終えた。一昨日の大引け後に発表された2006年12月期連結決算によると好決算どころか一転して赤字転落とは・・・。開示によると売上高(連結):68億2345万円(前年同期:56億7087万円)、経常利益:3億4498万円(同:9億7851万円)、当期純損失:15億7885万円(同純利益:5億2535万円)とある。昨日は大赤字に嫌気が差され売り注文が膨らむ展開となり、一時ストップ安(10万円安)をつけ結局終値は9万9000円安の53万7000円で取引を終えている。今日は一時50万5000円まで落ち込んだものの終値は4000円高の54万1000円と少々戻して取引を終えている。ここの動きもある意味新興市場の怖さを表わしているとも言える。
2007.2.23
昨日公正取引委員会の伊東事務総長は記者会見にて再編の機運が高まっているビール業界について「大手2社で7割のシェアがあり寡占の程度が高い業界」との認識を示した。現在サッポロHDを巡りホワイトナイトとして同じ業界のアサヒビール、キリンビールなどの名前も挙がっている。もし同じ業界での経営統合の話が持ち上がれば当然独占禁止法への抵触の有無が問題となる。その意味で公正取引委員会の伊東氏の発言が注目される。
サッポロHDを巡ってはロイター通信が「ホワイトナイトとして異業種の不動産業が有力候補の一つとして浮上」と報じている。何故この様な観測が出て来るのだろうか?それはサッポロHDの収益構造による。サッポロHDの2006年12月期連結決算を見ると収益を不動産事業に依存する体質が浮き彫りになる。果たしてこれで酒類・飲料メーカーと言えるのかどうか・・・?確かに複合商業施設「恵比寿ガーデンプレイス」、銀座には「サッポロ銀座ビル」、「ストラータ銀座」、「サッポロライオンビル」など資産価値の高い大規模施設が利益を生み出している。これほど魅力的な不動産物件を多く抱えていれば不動産業界が触手を伸ばしても何ら不思議は無い。
『三洋電機が2004年3月期決算(単体)に)関して証券取引等監視委員会(SEC)は多額の粉飾の疑いもあるとして調べを進めている模様』と朝日新聞が朝刊一面トップで報じている。「債務超過状態の子会社等で約1900億円の損失処理を検討しながら実際には約500億円しか処理せなかった」とされる。事実とすれば2004年3月期決算(単体)では黒字ではなく赤字の可能性があった。三洋電機関係者によると2006年3月期までには是正したとのこと・・・。としても少なくともその間投資家には不正確な情報(厳しく言えば虚偽情報)を流し続けたことになる。重大な背信行為と言わざるを得ない。SECは三洋電機の決算に虚偽を確認すれば訂正報告書の提出を求める。内容を確認後(状況により)金融庁が三洋電機に対し課徴金納付を命じることになる。
さて三洋電機の監査を担当していたのは中央青山(現みすず)監査法人・・・。中央青山は当初総額約1900億円の損失処理を検討していたとされる。会計基準では子会社の将来の業績回復見通しが合理的に説明出来る場合にのみ株式評価減の次年度以降への先送りを認めている中央青山の担当会計士は三洋電機の「(大半の子会社、関連会社の業績は回復する」との主張を認め(不適切な会計処理を)容認したとのこと。報道が事実とすれば厳格であるべき公認会計士が依頼主の企業の言いなりになった杜撰な実態が浮き彫りになる。果たして粉飾決算があったのか否か、事実関係はどうなのだろうか? ちなみに三洋電機の終値は前日比48円安の181円と大きく下落して取引を終えている。
昨日ターボ・リナックスは「MSCBによる10億円の資金調達」を発表した。当初転換価額:14万4500円、全額日興シティグループ証券に割当てる。当初転換価額ベースで潜在株式比率は6.1%・・・但し転換価額の下方修正により増加すると思われる。MSCBは既存株主にとり迷惑な存在・・・それに市場ではMSCB規制強化が取り沙汰されているとあれば株価に当然悪影響を与える。終値は前日比2万3000円安の14万7000円と当初転換価額に鞘寄せする形で下落して取引を終えている。週明けも下げると見ているが・・・。さて・・・?
2007.2.24
昨日コマツ(小松製作所)は『当社の2005年自己株式買付に関する行為について』を開示した。開示によると2005年7月実施の自社株式買いについて証券取引等監視委員会(SEC)がインサイダー取引容疑で調査している。今後金融庁から課徴金(数千万円程度)が課せられる可能性がある。コマツは7月4日〜19日の買い付け期間中の7月13日に子会社解散を公表したことが証券取引法違反に該当する。証券取引法では子会社の解散は「重要事実」として扱われる。
ところでコマツは子会社の解散が「重要事実」との認識がなく、SECの調査の過程でインサイダー取引を禁止する規定に抵触するとの認識に至ったとしている。今回の問題が法令に違反するか否かそれほど難しい判断ではない。むしろこの程度の判断がつかなかったのかと訝しさを覚える。事前に顧問弁護士に確認すれば容易に分かること・・・。コンプライアンス(法令順守)の重要性の認識が深まっている時代に経営陣には失策を犯して足下を掬うわれぬ様な慎重さが求められる。
昨年12月に不正が発覚した日興CGは顧客離れが著しく業績不振に陥いる可能性がある。また2月22日にはアメリカの資産運用会社サウス・イースタン・アセットマネジメントが日興CG株式を6.08%の事実が判明した。これ以外にも複数の海外投資ファンドが大量に取得したことも分かっている。買収Riskも大きくなっていると言える。そこで危機回避の為には経営基盤の強化への何らかの施策を打ち信頼回復を図る必要に迫られている。
「米金融大手のシティグループは日興CGへの出資比率を4.94%から株主総会で重要案件に拒否権を行使出来る1/3超取得して傘下に収める方向で最終調整」と朝日新聞が報じている。3月中にもTOB実施の方向で調整とされる。3月半ばを目処に東証は日興CGの上場廃止に結論を出すとしているが、上場廃止となればシティグループは完全子会社化を視野に入れているとある。但しみずほフィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループも支援・提携に前向きとのこと。もしかしたら既に水面下では日興CGを巡る激しい争奪戦が繰り広げられているかもしれない。果たして・・・?
昨日エフェクターは『子会社の新規事業開始のお知らせ』を開示した。開示によると完全子会社メディシィスサイエンス(MSS)が銀座のクリニックと提携して総合美容事業を開始するとのこと。この程度の事業でエフェクターの業績(連結)に貢献するとは到底思えないが・・・。ここは相変わらず何をやっているのか分からない。企業としての体裁を成しているのかどうかすら疑わしく思える。ちなみにここの株価は相変わらずのテイタラク・・・昨日の終値は3万7800円と公開価格(38万円)の1割にも及ばない低水準にある。ここから盛り返して公開価格を上回る状況など思いもつかない。
高知競馬第10Rに出走した「ホリエモン」は勝った「バンブージェダイ」から3秒3離された大差の9着に敗れた。中団につけたものの三角手前で早くも一杯になり離れた最後方に後退・・・直線を向いて1頭かわしただけの惨敗に終わった。ここ4戦、1着→10着→1着→9着と好走、凡走の繰り返し。結局は相手関係によると言うことなのだろうか?よく分からない。果たして次走は如何に・・・。
2007.2.25
1月6日にテレビ東京で放送された健康情報番組「今年こそキレイになってやる!正月太り解消大作戦」の中で冷え性がヨガで改善されたことを示すために流した映像にすり替えがあったことが判明した。 思った通り大株主の糸山英太郎氏がテレビ東京の映像捏造問題に関して激しく糾弾している(こちら 参照)。『菅谷社長が「放送責任を痛感している」と陳謝し担当役員らの処分を発表したが、菅谷社長の減俸20%(1ヶ月)とは大甘』とは手厳しい。「即刻辞任せよ!」とまで言い切っている。とにもかくにも両者の対立は激しさを増すばかり・・・。糸山氏は「投資家として株式価値向上の為の意見を述べ、テレビ東京株式が安いと判断すれば買い、高いと判断すれば売る姿勢を貫く」と述べている。この先どの様な展開になるのか現段階では予測がつかない。
一昨日の記者会見にて不二家(外部改革委員会:田中委員長)は『チョコレート等を生産する菓子工場について3月1日にも「安全宣言」を出し本格的に生産を再開する』と発表した。ケーキ等の洋菓子工場の再開は3月下旬にずれ込む。山崎製パンの技術支援により導入した衛生管理手法(AIB)による監査が2月28日に実施され(チョコレート等一般菓子については)承認される見込みがついたとしている。
流通大手各社は不二家商品の取扱い再開には慎重な姿勢を示している。となればまずは不二家直営のFC店、「デイリーヤマザキ」等山崎製パン系列店での販売再開となる可能性が高い。不二家商品を取扱う店が増えないことには生産量の回復も見込めない。依然として不二家の苦しい状況には変わりは無い。それに最大の焦点は消費者の購買行動・・・果たしてすんなり不二家商品が受け入れられるかどうか?幾らメーカー側が「安全」と言ったところで消費者が拒否反応を示せばどうにもならない。さて山崎製パンによる支援体制、不二家の内部体制も整いつつある。消費者の信用を取り戻し”新生”不二家の出発となるかどうか見守って行くことにする。