2005.10.17
昨日の堀江氏の個人事業としての宇宙ネタは以前なら株価に反映したかもしれない。しかいながら現在は醒めた目で見ている方が増えている為か、ライブドア、ライブドア・マーケティングの株価共に出来高も少なく冴えない動きを示している。ライブドアの株価は前日比3円安の438円、ライブドア・マーケティングの株価は前日比30円安の4320円で取引を終えている。近頃の堀江氏は肝心の本業への情熱が薄れて来ているのだろうか?衆議院選挙出馬、そして今回の宇宙旅行企画・・・いずれも全くPrivateなEventであり本業の方には全く関係ない。度々アメリカ、ロシアなど外国へ出張しているが、どうやら今回の個人的な宇宙ネタの為だったらしい。どの程度本業に身を入れているのか疑わしい節が見受けられる。若くして巨万の富を手に入れた堀江氏が俗世間の煩わしいことよりも夢を追いかけ自由に好きなことをやりたくなった・・・とは考え過ぎ???
阪神電鉄と村上ファンドが『明日から株主価値向上策(鉄道、不動産など事業部門ごとに企業利益や株主利益の向上策)、阪神タイガース上場などについて具体的な協議に入る。』と報じられている。中でも阪神電鉄側は上場について強く否定しているので難航は必至・・・現在の流れではファンの意思を問うことになると思うが果たしてどうなるだろうか?。株価は寄り天で955円から力なくだらだら下げ続け、終値は前日比46円安の924円で取引を終えている。今後は以前の様な派手な上昇は見込めず何時大きく下落してもおかしくない。そんな不安な投資家心理が株価の動きに表われている。すっかりTBS騒動の陰に隠れた感があり情報がほとんど表面に出て来ない。尤もその内当事者間の交渉の成り行き次第では派手に世間を騒がせるネタが世間を駆け巡ることになると思われるが・・・。
TBS(乗っ取り?)騒動の渦中の楽天、TBSの株価は共に大きく下落している。TBSの終値は前日比240円安の3550円、楽天の終値は前日比3900円安の8万3900円で取引を終えている。両者共に最近の大幅な上昇から当面の利益確定売りが出ているのに加えて、交渉の行方を見極めたいとする慎重な見方が広まっていると考えられる。疑心暗鬼の手探り状態が暫く続き、”大波に揺られる小舟”の如く株価は揺れ動くことになる。
確かにまだ楽天の仕掛けにTBSの防戦が始まったばかりで先の展開が読める状況にはない。立ち上がりの速攻で楽天が先手をとり優勢には見えるが、既に銀行からの巨額の融資を受けている楽天もTBSの抵抗で長期戦になれば安穏としていられる立場ではなくなる。それに三木谷氏の一見するとソフトムードに幻惑されている如き風潮も一部に見受けられる。しかしながら三木谷氏が如何に綺麗事を言ったところで、所詮狙いがTBS乗っ取りであることには違いない。次第にその”化けの皮”が剥がされ乗っ取り屋の正体が白日の下に晒されることになれば風向きが変わって来る。一方ニッポン放送乗っ取り騒動があったにも関わらず、お茶を濁した程度の対策しかとっていない”間の抜けた”TBS経営陣にも目を覚ましてもらわなければどうにもならない。今後に備えて”乗っ取り対策”を万全にすることが必要だが、それ以上に株主価値向上策をキチンと立案/実施しなければならない。
ブロードバンドタワーの株価は7営業日下落が続いていたが、後場急激に上昇し終値はストップ高(10万円高)の82万1000円で取引を終えている。前場閑散とした取引から一転して後場は出来高が異様なほど急増している。何も材料が無く突然出来高急増を伴い急上昇した時は、どこぞの誰かが仕掛けた場合が多いと考えてよい。非常に危うい事態であり、もしかしたら明日以降真っ逆様に急降下があるかもしれない。分割効力発生日までは後1ヶ月もあり、この様な揺さぶりがまだ何回もあると考えた方がよい。
アドテックスの株価は寄り天で3万2900円からずるずると下落し、終値は前日比1890円高の2万9710円と遂に3万円を割り込んで取引を終えている。更に転換価額が2万8459円20銭と前回の3万6364円70銭から大きく下方修正された。何ら良い材料が見当たらない現状では株価は更に下落する可能性が高い。となれば今週末の転換価額修正では下限(2万7721円)到達するのは間違いない。株価上昇の見込みが低い現状ではMSCB引受け先のライブドア証券が株式転換するとは考え難い。一旦約14億円を繰上げ償還してその後ライブドア証券に対して分の悪いMSCB発行なんてことがあるのだろうか?
2005.10.18
10月16日のTV朝日の報道番組の中で三木谷氏は「一文無しになってもやる。」と述べ、TBSとの経営統合に不退転の決意で挑む強気の姿勢を見せている。また今日楽天の国重副社長は記者会見で三木谷氏が「最終的には統合が一番いいと思うが、方式については今後いろいろ話をしていきたい。」と発言したことを紹介し統合の方式については柔軟な姿勢を示した。ところで昨日の毎日新聞は下記(要旨)の様に報じているが、国重氏は「TBSを支配する意図はなく、事業を一緒にやりたいということを強調したかったが、舌足らずだった。そういう話はない。」と否定している。マスコミ報道には時々この様なことが生じるが、何が真実かは分からず当面事態の推移を注意深く見守って行く必要がある。
楽天の国重副社長は「我々はTBSの子会社になっても構わない。」と述べ、経営権をTBSに渡してでも資本提携を進めたいとの考えを示した。「どちらが経営権を持つかにこだわることはない。」とした上で、もしTBSが楽天に逆買収を仕掛けて来た場合には「TBSが5000億円出してくれたら、三木谷社長に楽天の株式を売ってもらう。(今回の経営統合に)彼は本気で取り組んでいる。」と歓迎する意向を示した。資本提携にこだわる理由について国重氏は「資本提携がないと提携効果がかなり落ちる。業務提携だけでは楽天の持っている良さが生きない。」としている。
三木谷氏は何故敵対的M&Aと看做せる様な挑戦的な(騙まし討ちの様な)TBS株式の買い付けを行なっているのだろうか?今年2月に楽天はTBSに業務提携を申し入れている。しかしながらTBSが煮え切らない態度で態度を明確せずに時間が経過したので、三木谷氏は密かにTBS株式買い付けを進め(回答を引き出す為に)圧力をかける方法を選択したのかもしれない。TBS経営陣も筆頭株主の意向とあれば無視する訳けにも行かない。その様な状況に追い込んでまずは同じ土俵に載せる狙いがあると考えられる。その意味では三木谷氏が第1Rのポイントを上げたと言っても良い。
先日TBS内の第三者機関『企業価値評価特別委員会』の委員長諸井氏が楽天の提案を評価する考えを示したと伝えられた。ところが10月16日一転して諸井氏は「三木谷さんに騙された」と不快感を顕にした。諸井氏によると10月3日に三木谷氏に対して『業務提携はいいが、株式を買っての支配は避けるように』と指摘したのに対して三木谷氏は「それはしません。」と明言したという。更に諸井氏は「やりませんと言ってやった。企業支配じゃないか。買収防衛策として新株予約権発行も辞さない。」と強硬な姿勢を示している。これでTBSが防衛策として新株予約権発行の大技を繰り出せる可能性が出て来た。どうも当初は三木谷氏に吹いていた風向きが少しづつ逆風になりつつある様に思われる。
TBSは楽天の経営統合提案を検討する為に社内担当者や社外専門家による専門チームを設置した。楽天は専門チームへの参加を望んだがあっさり拒絶されている。楽天の115ページの膨大な提案を詳細に分析・検討した上で、検討結果を楽天に対して逆提案することになると考えられる。TBSとしても慎重な検討が必要で最低でも1ヶ月以上要すると見られるが、格好の時間稼ぎになり三木谷氏の焦りを誘い出すことが出来るかもしれない。何にせよ現時点では交渉の長期化が予想され、三木谷氏にとり苦しい場面が出現することも充分にあり得る。
そんな流れを汲んだかどうかは分からないがTBSの株価は一気に失速し、終値はストップ安(500円安)の3050円で取引を終えている。証券専門家からは「優良資産の赤坂の土地などを考慮しても株価は割高」との見解が広がり、楽天がTBSに経営統合を申し入れる前の水準に戻っている。今後三木谷氏や村上氏が買占めを始める前の2000円前後にまで近づくことになるのだろうか?更に下落が続いて安くなると三木谷氏や村上氏が買い増して再び上昇に転ずる可能性もある。敵対的買収者が20%を超えてTBSの新株予約権発行が現実のものになることも考えられる。場合によっては三木谷氏や村上氏の含み損・・・?無論TBS経営陣によるMBOの可能性すら考えられる。いずれにせよTBS株価の推移によっては楽天vsTBSのバトルの行方に大きな影響を与えると思われる。当面TBS株価の動向には目が離せない。ちなみに楽天の株価は前日比300円安の8万3600円で取引を終えている。
今日から阪神電鉄と村上ファンドによる『阪神グループの企業価値向上へ具体策』の実務者協議が始まった。簡単に結論が出るとは思えないので今後繰り返し協議が行なわれる。両者の考えに大きな隔たりがあり交渉の行方がどうなるか予断を許さない。村上ファンドは既に阪神電鉄株式の40%超を有しているが、交渉の進行如何によっては更に買い増すのだろうか?投資ファンドの性格からして長期保有、あるいは過半数超を取得して経営の実権を握るとは考え難い。村上氏は落としどころをどこにするつもりなのだろうか?必ずしも村上氏に追い風が吹いているとは思えない。そんな感触が市場にあるかどうかは分からないが阪神電鉄の株価は4営業日連続下落し、終値は前日比33円安の891円と900円を割り込んで取引を終えている。鍵を握るのは何と言っても村上氏・・・出方次第で株価が激しく揺れ動く可能性がある。果たして如何に・・・?
エフェクターの株価は更に下げ足を加速し上場以来の最安値13万1000円をつけ、終値は前日比6000円安の13万2000円で取引を終えている。果たしてSOの権利行使が進んでいるのだろうか?それにしてもよくもまあこれだけ市場の信頼がないと呆れ果てる。上場当時を知らない人が公開価格38万円と聞いたら驚くこと間違いなし・・・『史上最悪のIPO』として後世に語り継がれる(最低)傑作になる可能性が高い。ところで公開価格38万円を設定した証券会社はどこ?恥ずかしげもなく営業している○○○○○証券・・・ここに書くのもおぞましい醜悪な証券会社。その後ここが主幹事のIPOは一つもないが、仮に主幹事をしても手を出す方がいるとは到底思えない。
2005.10.19
TBSの発行済み株式に資金運用目的の外国人投資家が議決権のないまま保有する「失念株」が大量に含まれていることが明らかになっている。TV局などの放送局については外資規制により20%を超える分については、名義書換えされずに失念株として取り扱われる。言うまでもまく価格次第で失念株所有者は喜んで売却する。つまり失念株は敵対的M&Aが行なわれた場合格好の狙い目になり、防衛側には不利に働く可能性がある。敵対的M&Aを防衛する側にとっては失念株の存在は大きな不安材料になる。事実ライブドアのニッポン放送乗っ取り騒動の時にはニッポン放送の失念株が7%程度あり、外資系証券が保有していた失念株の多くをライブドアが取得している。
今年3月末のTBS株式の外国人の持ち株比率は規制上限の19.99%となっている。今回TBSからのコメントはないが、当然この他に外国人の保有株式があり(一部報道による)と失念株が17%程度あるとも言われる。楽天がTBS株式の買い増しを進めるに際し当然失念株は狙っているはずで、もしかしたらもう既に一部を取得しているかもしれない。もし楽天が更に買い増しを進め失念株全てを取得すれば、30%程度まで保有比率を高めることが出来る。それに村上ファンド保有の分が加われば・・・。とにもかくにも失念株の存在がTBS経営陣にとっては大きな脅威になることは間違いない。
(*)失念株・・・購入後名義書換えを行なっていない株式。配当金受取り、新株式の割当て、株主総会での議決権などの株主の権利を行使できない。TV局など放送会社の場合は電波法により外資規制を受けている。外国人が議決権総数の20%以上の株式を保有した場合、放送会社は株主名簿への記載拒否ができるので失念株が発生する。
TBSの株価は3営業日ぶりに反発し、終値は前日比210円高の3260円で取引を終えている。恐らく昨日のストップ安の反動で買いが厚めに入ったものと思われる。現在の微妙な状況では明日の株価がどちらに向かうのか読み難い。一方楽天の株価は交渉長期化による財務不安の懸念の為か連日下落し、終値は前日比1200円安の8万2400円で取引を終えている。筆頭株主とは言っても15.46%(+α?)では(極端に言えば)単に数が多いだけで決定打を繰り出すことが出来ない。場合によっては更なる買い増しの資金調達の為にエクイティファイナンス(直接、間接を問わず株式発行を伴う資金調達の総称)実施の可能性があり、市場では株式の希薄化の懸念が先行して株価に反映されている。
阪神電鉄と村上ファンドの交渉は水面下で行なわれていてさっぱり状況が分からない。そんな上場への不安を反映して阪神電鉄の株価は今日も下落し、終値は前日比16円安の875円で取引を終えている。ここもTBS同様先が読み難い展開になっている。暫くはそれほど劇的に動き出すとは思えないが、一旦動き出したら(どちらへ向かうかは分からないが)激しくなるのは間違いない。
ライブドアの株価は依然として全く勢いが感じられず、終値は前日比13円安の420円で取引を終えている。『スポーツ選手の移籍やスポンサー契約などを代行するビジネスへの参入』、『栄養成分を配合した清涼飲料水「ホリエナジー」の販売』などのネタを出して来ている。何やら行き当たりばったりに何にでも手を出している様にしか見えず、はっきり言ってこんなどうでもよいネタに株価が反応するはずがない。但しここは9月28日に410円まで下落した時には全く理由がないのに翌日何と34円高と理解不能の動きを示している。何にせよ低レベルの株式なので明日以降どこかで不可解な動きを見せる可能性がある。
ガンホー・オンラインの株価は子株還流を目前にして基準株価まで下落し、終値は前日比13万円安の312万で取引を終えている。7営業日連続の下落で下げ幅77万円・・・予想されたこととは言えそれにしても勢いがついた下げ足は速い。基準株価まで下落したことで振り出しに戻ったと言ってもよい。既に一部では子株還流が始まっているが、本格的に始まる明日以降どの様な動きを示すのだろうか?
ブロードバンドタワーの株価が10月17日にストップ高(10万円高)をつけた際、「明日以降真っ逆様に急降下があるかもしれない。」と記述した。どうやらその予想が当たっているらしい。2日で7万6000円と大きく下落し、終値な前日比2万7000円安の75万5000円で取引を終えている。やはりどこぞの誰か悪い輩が意図的に株価を吊り上げて高値売り抜けを画策しているのに違いない。不審な動きに吊られて高値で購入して損した方もいると思われるが、あくまでも株式取引は自己責任故不審な動きに引っかからない様に充分注意しなければいけない。
2005.10.20
村上氏が昨日都内の講演会で過激な発言を発言したと日刊スポーツが報じているが、どこまで真実なのかは定かではない。マスコミは時としておもしろおかしく事実を誇張(あるいは歪曲?)して書くことがあり、記載内容をそのまま鵜呑みには出来ない。しかしながら阪神電鉄との交渉の進展があまり見られなければ、数の上で圧倒的優位な村上氏が強硬な態度に出ることは充分に予想される。既に40%超の株式を保有している村上氏にとり過半数超まで買い増して経営権を奪取することは資金的にも難しいことではない。尤もあまり強引にコトを進めると世論の強烈な反発を受け、力づくで村上氏が阪神電鉄を乗っ取ったとしてもその後良いことはない。それに必ずしも村上ファンドとしての損得勘定にプラスに働くとは思えない。何にせよ村上氏の意図を見極めるべく、その言動には常時注意を払う必要がある。参考として日刊スポーツの記事を原文のまま掲載する。
阪神電鉄の筆頭株主となった「村上ファンド」の村上世彰氏(46)が19日、阪神電鉄経営陣に対して攻撃的な爆弾発言をした。同日に都内の講演会に出席し、過激発言を連発。日本テレビ系のニュースが報じた。村上氏は電鉄側との攻防戦について「9割方ぼくが勝つと思っている」とした上で「勝った瞬間(企業防衛に賛同した役員は)全員クビですよね」と豪語。「そっち(クビ)がいいのか、村上と仲良くしたふり方がいいのか、二択なんです」と言い放った。
現在追跡中のIPO銘柄の中で2つほど目立った動きが見られた。9月27日に新規上場した不動産業を営むノエルの株価は昨日のストップ高(20万円高)に続き今日も一時19万円高まで上昇したが、終値は前日比8万円高の146万円で取引を終えている。10月17日発表の2005年8月期決算短信によると、売上高331億3700万円(前年度比:25.6%増)、経常利益9億8100万円(同:110.4%増)と増収増益となっている。更に2006年8月期も連結ベースで売上高530億2600万円(前年度比:57.8%増)、経常利益14億1500万円(同:49.7%増)の強気の見通しを示している。『賃金水準の上昇や団塊ジュニア層を中心にした需要の喚起で、市場全体が引き続き拡大・活性化する』としているが、今から来年の話をすると”鬼が笑い”、結果として”取らぬ狸の皮算用”にならないとも限らない。それはともかく好決算を歓迎して株価が一気に高騰した。ところで110万円前後をウロウロしていた株価が決算発表の3営業日前から徐々に上げ、決算発表の翌日には一旦下げて再び昨日から高騰している。この動きには少々訝しさを感じるが・・・???
一方ノエルとは全く対照的な動きを示したのが、9月13日に上場したインターネットサイト運営、オンラインショッピングなどを主たる事業とするオールアバウト・・・終値はストップ安(20万円安)の94万円で取引を終えている。昨日発表した2006年3月期の中間決算短信によると、売上高13億6400万円(前年同期比:47.9%増)、経常利益4200万円(同:63.8%減)と増収減益、しかも大幅な減益となっている。株式公開費用の計上、広告宣伝費の増加が大幅な減益の要因となっている。通年では今期の一時的な経費負担増が軽減され、売上高32億〜35億円(前年度:22.12億円)、経常利益は3.25億〜4.25億円(同:3億円)と予測している。今日のストップ安は直接的には大幅な減益に嫌気を差した結果の表われと看做せる。またここは上場時異常とも思える人気を集め、公開価格26万円に対して初値202万円、初値倍率7.8倍の高値をつけている。その後の下落傾向の連続で今日上場以来初めて100万円を割り込んだが、初値倍率7.8倍の後遺症を引きずりまだ割高感があると考えられる。株価はまだ暫く下落傾向のまま推移すると思われる。
グローバリーの上場廃止まで残り7営業日まで迫って来たが、予想に反して大暴れすることなく静かに推移している。終値は前日比1円安の296円で取引を終えている。同じ時期に阪神電鉄、次いでTBSと巨大な話題が出現し、ちっぽけなグローバリーはすっかり影が薄く隅っこに追いやられてしまった感がある。このままお祭り騒ぎもなくひっそりと終焉を迎えることになるのだろうか?それにしても現在買っている方は何を考えているのだろうか?会社清算によるおこぼれ期待・・・?
平成電電の民事再生法適用の煽りで揺れに揺れているドリームテクノロジーズは、11営業日連続のストップ安が続いていたが昨日一転してストップ高にをつけた。これだけでも充分に怪しいが、加えて今日もっと怪しい動きを示している。昨日のストップ高を受けて10時少し前にストップ高(2000円高)の1万6200円で寄り付いた。ところが前場引け寸前に急降下し更に後場にも下落を続け、終値は前日比1000円安の1万3200円で取引を終えている(こちら 参照)。今日だけで高低差3000円・・・どう考えてもどこぞの誰かがどさくさに紛れて嵌め込みを狙ったとしか考えられない。混乱を利用して一儲けを企む悪い輩の動きには目が離せない。
2005.10.21
ライブドアはTBSと楽天の交渉が決裂して敵対的買収の危機に晒された場合、TBS株式を取得などによりTBSの買収防衛策に協力する用意があると報じられている。一応TBSから要請があった場合との前提条件をつけている。事実とすればニッポン放送乗っ取り騒動の時にSBIの北尾氏が買って出て一躍”時の人”になったが、今度は堀江氏が『ホワイト・ナイト』としてTBS支援に名乗りを上げて脚光を浴びるつもりかもしれない。ニッポン放送乗っ取り騒動の時には楽天がフジテレビに協力を申し入れているので、今回の堀江氏の動きはまさにこの時の”意趣返し”とも看做せる。堀江氏はニッポン放送、更にはフジテレビの実質支配し大手メディアへの参入を目論んだが敢無く撤退した。狙いは明らか・・・ライバル楽天がTBSを実質支配し(堀江氏が果たせなかった)大手メディアへの参入を阻止することしか考えられない。何にせよ堀江氏の今回の動きも単なるPerformanceにしか思えず白々しくすら感じる。ところでこの報道が歓迎されたかどうかは分からないが、TBSの株価はほぼストップ安の前のレベルまで戻している。
ライブドアは現時点ではTBS株式を保有していない。今後についてもTBSの了承なくしてTBS株式を取得しないと明言している。また取得した場合にはTBS取締役会に議決権行使を委任するとしている。これに対してTBSは「複数のIT企業から防衛策への協力の申し出がある」としている。現時点ではTBSは態度を明らかにしていない。しかしながらライブドアには”記憶にも新しい”ニッポン放送乗っ取りを仕掛けたとのダーティなイメージが付き纏っているので、ここで『ホワイト・ナイト』と突然言われてもTBSが警戒心を緩めておいそれと堀江氏の誘いに乗って来るとは考え難い。
今朝の東京新聞に『楽天の要請に応じて三井住友、みずほコーポレート、住友信託の3主力銀行が楽天に対する融資枠(コミットメントライン)を約800億円に拡大』との記事が掲載されている。既に約300億円の融資枠が設定されているが、楽天はTBS株式取得の為に上限まで借り入れていると見られる。追加融資が実行されれば多くがTBS株式取得に充てられるのは明らか・・・TBSとの交渉が難航することを視野に入れて資金調達目処をつけたものと考えられる。但し更なる融資枠拡大については「TBSが敵対的買収と判断するかどうかを見極めてからにしたい。」と慎重な姿勢を示している。事態の進行状況によっては楽天への風当たりが強くなる可能性があり、その場合には”ライブドアの時のリーマン・ブラザーズの様な悪者のされたくない”との意図が見え隠れする。銀行はずる賢いところがあるからその位のことは当然考えている。
約800億円の融資を全て受けた場合、事態が長期化するとそれだけでも楽天には金利負担が重く圧し掛かり経営を圧迫することになる。TBSとの交渉がこじれて楽天が本格的に買収攻勢をかけることになれば更に資金調達の必要に迫られる。そうなれば敵対的M&Aと言うことで銀行融資の望みはない。とすると第三者割当増資、あるいはMSCB発行による資金調達にせざるを得なくなる。それも半端な金額ではなく2000〜3000億円?もの巨額になる可能性がある。そうなれば楽天株式の希薄化は必至・・・それに財務不安を抱えることにもなる。その様な不安材料が懸念されたと見られ、楽天の終値は前日比3900円安の7万8700円で取引を終えている。加えて現状風向きが少しづつ変わり、必ずしも楽天に形勢が有利とは言えないことも投資家の心理的不安を大きくしているのでは・・・?
ライブドア・グループが通販大手のセシールを買収することが明らかになった。ライブドア・マーケティングは筆頭株主(セシールの創業者一族の資産管理会社)から発行済み株式の25.73%を取得する譲渡契約を締結している。セシール株式のTOBを10月24日から開始することが決まっている。買い付け価格は1000円、予定株式数は983万3800株(発行済み株式数の24.4%)で、応募株式数が買い付け予定数を超えた場合には全てを買い付ける。セシールは上場廃止を意図してはいないとしているが、買い付けの上限を設定していない為上場廃止基準に抵触する可能性がある。その場合セシールは必要な措置を講じて上場を維持するとしている。恐らくライブドア・マーケティングに取得した株式の一部売却を要請することが考えられる。加えてライブドア・マーケティングに有利な発行価額による新株予約権37億1220万円が発行される。払い込み期日は2006年1月31日、当初の転換価額は4万6000円で月1回修正される。(詳細は
こちら 参照)ちなみにライブドア・マーケティングが用意している買収資金は300億円でライブドアから借り入れている。借入期間5年、利率は借入期間総額3.5%で元本一括返済と利息を払う形になっている。形の上ではライブドア・マーケティングがセシールの親会社になるが、実質がどうかは誰が見ても明らか・・・。
創業者一族が持ち株全て(1386万8400株:約34.4%)TOBに応じることで同意している。創業者一族が翻意しない限りそれだけでTOBが成立する。事実上TOBが成功しととも言える。さてセシールは名の通った通販業者で婦人向け衣料品や家具、健康食品などを扱っている。ネット通販との競争が激化し3期連続の赤字と経営不振に陥っている。更に2005年12月期業績見通しによると、売上高:634億円、経常利益:▲9億円と赤字が見込まれる。ライブドアの”楽天に負けないような通販サイトを作る”との意欲とセシールのネット通販進出の狙いが今回の買収に繋がっている。
ライブドア・グループは今までの買収と比較すると名の通った企業の買収と言えるが、セシールは赤字に加えて約154億円固定負債を抱えている。2002年12月期の売上高は1031億5300万円、それが2005年12月期見通しでは634億円と約40%程度減少している。ライブドア・グループのてこ入れでネット通販が強化出来たとしても、競争の激化を考えると果たしてどの位の効果があるのだろうか?投資対効果の観点からすると疑問の余地がある。
ところでセシール買収でライブドア・グループの株価はどう動くのだろうか?ライブドアの終値は前日比6円安の419円、ライブドア・マーケティングの終値は前日比150円高の4730円で取引を終えている。セシール買収が目が覚める様な素晴らしいネタには到底思えない。それでも昨今の株価低迷にイライラしている方々が飛び付くことが充分に予想される。ここはこの様なネタが出た翌営業日には”お祭り騒ぎ”が起きることがよくある。もしかしたら来週月曜日には一時的に上昇するかもしれないが、グループ全体に勢いが感じらないので長続きはせず株価は下方へ向かうと見ている。
2005.10.22
ACCESSの修正転換価額は193万8000円と、前回の235万円2000円から大きく下方修正された。前回の修正転換価額の計算対象期間直前の9月12日に終値は284万円まで上昇したが、昨日の終値は216万円と大幅に下落している。然るに9月12日と言えば約358億円の大型M&A発表直後・・・その後は大型M&Aへの失望感からなのか、あるいは経営陣への不信感からなのか、下げ足を一気に加速して215万円付近で停滞している。昨日の開示によるとMSCB残高は依然として200億円・・・引受け先の野村證券は何を考えているのだろうか?『野村證券のMSCBは大丈夫』などと一般的には言われているが、さて野村證券は本当に信用に値するかどうか・・・?MSCB残高200億円をちらつかせてACCESSの首根っこを抑え付けている”性悪な存在”にしか思えない。
昨日のドリームテクノロジーの終値は予想通りストップ安(2000円安)の1万1200円で取引を終えている。週明けは1万円を割り込むのかどうかが注目される。ところで既に10月7日付けで社外取締役(平成電電代表取締役)1名が辞任しているが、更に昨日付けで(常勤)取締役2名が”一身上の都合”で退任している。実際には平成電電の件で責任をとらされたと思われる。平成電電の件によるダメージはかなり深く、もしかしたら企業存亡の危機状態かもしれない。平成電電への9月末時点での売掛金45億円が回収不能の恐れ、9月末に発行したばかりのMSCB20億円の繰り上げ償還、子会社2社の譲渡による1億5600万円の特別損失計上・・・次々と荒波に襲われている。10月14日に社長名で”何とか資金調達出来て無事危機を脱した”とのコメントを出してはいるが、事態はそれほど楽観視出来る状況にはなくかなり厳しい状況が続くのは間違いない。
マネックス・ビーンズ証券では国内唯一の私設取引システム『マネックスナイター』(通称:マネナイ)を運用している。これは通常の立ち合い時間外の17時30分から23時59分まで、マネックス・ビーンズ取扱銘柄の内マーケットメイク銘柄とソニー子会社連動株式を除く全ての銘柄の取引が出来る。取引価格は一本値で直近の終値±7%の範囲内でマネックス・ビーンズ証券が決定する。当然のことながら裏舞台での取引なので取引価格に自由度がないなど制限が多く厳しい。当然のことながらここでの取引状況が直ちに翌営業日の株価を物語るものではない。
マネナイの昨日22時20分時点の情報ではライブドアの取引状況は成立:51件、未成立:8万1402件となっている。マネナイに規約によると昨晩のライブドアの取引価格上限は448円となる。堀江氏の支持者の多くは昨日のセシール買収ですっかり舞い上がり週明けは爆上げと思い込んでいるので448円程度では売りたくない。つまり450円以上は軽く行くと思っていることがここに表われている。某掲示板ではこことライブドア・マーケティングが既に爆上げ、ストップ高が決まったかの如くはしゃいでいる方が何人も見受けられる。株価低迷によほどストレスがたまっていると思われるが、さて期待通りになるかどうか・・・?機関投資家がセシール買収をどの様に評価してどう動いて来るかにも注目が集まる。 とにもかくにも来週月曜日前場で幾らで寄り付きどの様な動きを示すのだろうか?高値で寄り付けば寄り天になる可能性があると見ている。果たして如何に・・・?
2005.10.23
楽天がTBSに対して経営統合提案してから10日間経過したが、両者の交渉は書面でのやり取りのみでまだほんの入口で軽いジャブの応酬程度に過ぎない。楽天の115ページに及ぶ提案書を受けて、経営統合の詳細説明を求める文書を週明けにも送付する方針を明らかにしている。早期決着を望む楽天に対して交渉引き延ばしを図る時間稼ぎの様にも思える。一方楽天は和戦両用の構えでいるが、TBSの露骨な引き延ばしなどの態度が顕著になれば強硬姿勢を打ち出すことは目に見えている。『三木谷氏がイライラして強硬姿勢を顕にすれば世論が自らの方へ傾く』との読みがTBSにあるかもしれない。両者共に相手の動きを探りつつ、同時に世論の動向にも気を配りつつ事態に対処していると考えられる。
10月21日プロ野球実行委員会が開催され、楽天は他の11球団からプロ協約183条違反と指摘を受け孤立している。横浜ベイスターズの親会社のTBS株式を楽天が大量に取得したことが問題視され、『球団の二重保有を禁止した第138条に抵触する』との見解が楽天を除く11球団の(実行委員会に於ける)総意となった。一方楽天は第183条の但書き『他球団との利害関係が認められない場合』に該当すると主張し一歩も譲る気配を見せていない。プロ野球機構は楽天に文書で回答を求め、更に11月4日のオーナー会議で三木谷氏から事情を聴くことにしている。プロ野球界内では楽天は他球団全て敵に回し圧倒的不利の形勢に追い込まれている。
巨人の清武球団代表は実行委員会で阪神電鉄の株式を買い占めている村上ファンドにオリックスが45%出資していると指摘した。更に村上ファンドが阪神電鉄の筆頭株主になったことによりオリックスによるオリックス・バファローズと阪神タイガースの二重支配の可能性を追求している。これに対しオリックスの小泉球団社長は村上ファンドの株式保有の有無について回答を拒否した。この件についても11月4日のオーナー会議で宮内氏に説明を求めることになる。宮内氏は一リーグ制推進論者でいろいろと画策している。今回も何を考えているか分かったものではない。胡散臭い人物で信用出来ない。
プロ野球球団の株式保有を巡っては一部に複雑な関係がある(こちら 参照)。ヤクルトスワローズについて親会社のヤクルト以外にフジテレビが約20%保有している。またフジテレビは完全子会社ニッポン放送を通じて横浜ベイスターズの株式を約30%保有している。フジテレビ自身は球団を経営していないが2つの球団に出資している。球団株式の二重保持、上場問題などで野球協約の不備が指摘されている。根来コミッショナーの協約の改正提言を受けて、オーナー会議で承認後「協約改正小委員会」(仮称)が設置される。それにしても経済の世界の出来事がプロ野球界に激震を与えるとは・・・(やり方には大いに問題があるが)今までぬるま湯に浸かっていたプロ野球界関係者に強烈な刺激を与え良い方向に改善されることを期待している。
アドテックスの転換価額は今回の修正により遂に下限(2万7221円)に到達してしまった。現在のライブドア証券との取り決めでは株価がこれ以上下落しても下方修正はない。現時点での苦しい状況では株価が反転して上昇傾向になるとは考え難い。そんな状況でライブドア証券が株式転換することは到底あり得ない。とすればやはりMSCB残高14億円の繰り上げ償還・・・そんな事態になればアドテックスは存亡の危機に陥る。ライブドア証券としては潰してしまっては債権回収不能の恐れがある。
アドテックスとしてはライブドア証券に対して第三者割当増資、あるいは繰り上げ償還→MSCB再発行との対応になるかもしれない。株価低迷の現状で第三者割当増資を行なう為には廉価・・・つまり引受け先にかなり有利な発行価額にせざるを得ない。MSCB再発行にしても低い発行価額、更に修正転換価額の低い下限設定とアドテックスにとり不利な条件にせざるを得ない。10月初めにリズデール相手に49億円の第三者割当増資を目論んだが払い込みがなく見事に失敗に終わっている。これに替わる資金調達の為に融資先を探していると思われるが、現状ではそう簡単に応じてくれるところがあるとは考え難い。もしどこかが応じるとしてもかなり分の悪い条件を呑まざるを得ない。何にせよアドテックスの将来にとり当面の資金調達が鍵になることは間違いない。