2005.10.31

 
楽天はTBSに対して『安定株主対策は過剰防衛』として抗議する方針と報じられている。安定株主としてTBS株式購入を要請された企業にとり、将来株価が下がれば損失を被る可能性がありその場合TBSはどう対応するのかとの疑問を呈している。またTBSが日興プリンシパル・インベストメンツなどとアドバイザー契約を結ぶとしていることに対し、契約金額が数億円と試算した上で『経営者の保身に為にTBSの財産を消費しているに過ぎず、TBS株主の財産/利益を損なう』可能性があるとしている。ライブドアがニッポン放送乗っ取りを仕掛けた時にも、両者間でいろいろな場面で様々な駆引きが繰り広げられたことが思い出される。この様なところにも事態が思う様に進まない三木谷氏の焦りが感じられる。

 
楽天はアメリカの大手投資銀行ゴールドマン・サックスがアドバイザーとしてついているが、いったいどれほどの契約金を支払っているのだろうか?そんなに低い金額とは思えないが・・・。三木谷氏はいろいろ理由をつけるだろうが、結局TBS乗っ取りの個人的な野心達成の為に楽天の財産を浪費しているに過ぎない。それに元々有利子負債が多く財務不安を抱えているが、更にTBS乗っ取りの為の巨額の借金により財務体質への不安がより広がっている。明らかに自らの行為で株価を下げているがどう考えているのだろうか?三木谷氏は堀江氏同様自らの野望達成の為には平気で株主を足蹴にするタイプと思われるので、口では”株主の利益”とは言いながら実は何とも思っていないだろうが・・・。堀江氏同様身勝手な人間にしか見えない。三木谷氏はTBSを非難する前に自らの行為が楽天株主の財産/利益を侵害する可能性があることを認識しなければならない。

 
楽天の株価は前場は昨日の終値を下回っていたが、後場13時頃から上昇を始め一時7万6200円をつけた。終値は前日比2700円高の7万5400円で取引を終えている。現在の状況では上げる材料は何も見当たらない。10月28日後場、そして今日の株価の動きは明らかに不自然であり、下がり過ぎたと考えているどこぞの誰かが買い支えで値を吊り上げていると思われる。一方TBSの株価は特に目立つ動きもなく、終値は前日比10円安の3300円で取引を終えている。

 
ライブドアの株価は「どうした?」と余計な心配するほど全く元気がなく、終値は前日比4円安の425円で取引を終えている。堀江氏は10月27日からアメリカ滞在中・・・ロサンゼルスからニューヨークへと飛び回っている。堀江氏の社長日記には『The World Shipという超豪華客船上でミーティング中です。いろいろエキサイティングなPRIZEが進行中』とある。今度はいったい何をしているのだろうか?ライブドアの本業?それともまたもや個人的な趣味の領域?近頃は宇宙旅行企画など本業以外にご執心と見受けられ、周りからは「本業は大丈夫?」と陰口を囁かれている堀江氏あってのライブドア・・・堀江氏が本腰を入れて本業に当たらないと腑抜けの幹部連中だけでは先行き見通しが暗い。堀江氏を擁護するつもりなど毛頭ないが、相変らず浮ついている様に思える堀江氏を見ると「しっかりせい!」と言いたくなる。

 ライブドア・マーケティングには親(ライブドア)の元気が無い時に、時折鬱積したエネルギーが集中することがある。今日も親は下落したが、こちらは後場に上昇し終値は前日比300円高の4700円で取引を終えている。株価を押し上げる材料など何もないが・・・。ところで9月末からの株価推移を眺めるとある現象に気づく。4700円台になったのはこれで3度目・・・これまでの2度共にそこを頂点に4300円台まで下落している。その流れからすると今度もまたもや株価は逆戻りすることになるが・・・。株価を上下させて利鞘を稼いでいる輩の姿が背後に見え隠れしている。親よりもはるかに少ない株式数が株価操作しやすい要因の一つにもなっていると考えられる。

 
ガンホー・オンラインの株価は前場ストップ安(40万円安)での寄り付く苦しい展開となり、終値は前日比39万円安と辛うじてストップ安を免れて取引を終えている。これは10月28日に開示された2005年12月期の第3四半期業績によると『広告宣伝活動の展開や先行費用の発生により経費が(一時的な)大幅増加で経常利益が前年同期比77%減、また繰税金資産に対して計上していた評価性引当金の取り崩しにより純利益が前年同期比97.3%減』に対して嫌気が差され売り込まれたことによる。2005年12月期の通期での業績予想(非連結)では経常利益が前年度比3.4%減、純利益は前年度比31.2%減まで回復するとしている。そうは言われても投資家にすれば「僅か3ヶ月で本当に大丈夫?」との心理面での不安が大きくて当たり前・・・やはり急激な下落に繋がるのは必然の成り行きと思われる。それにここの株価は身の丈以上をはるかに超えて膨れ上がりバブルの様にも見えるので、いずれどこかで弾け飛ぶのでは?と危惧している。

 
ドリームテクノロジーの株価の勢いは衰えず5営業日連続のストップ高(2000円高)で、終値は2万1700円で取引を終えている。今日の大引け後ヘラクレスの開示を見て驚いた(こちら 参照)。50億円の第三者割当増資(発行価額:1万5930円)、100億円の新株予約権付社債発行(転換価額:1万5930円)・・・更に驚いたことにいずれも引受け先に村上氏が名を連ねている。村上氏がドリームテクノロジーに目をつけたと言うことは、ここが苦境を脱して再生することを意味するのだろうか?

 ここに来ての5営業日連続のストップ高とは増資情報の先取りなのだろうか?まさかどこかから情報が漏れたと言うことはないだろが・・・。とにもかくにも村上氏が投資するので安心感が漂い、『村上ファンド銘柄』となれば暫くは上昇が続くことになると思われる。そして時期を見て巧みに売り抜ける。まさに村上ファンドの思う壷・・・株価が上昇すればするほど村上氏の得る利益は雪達磨の如く膨れ上がる。美味しい話には素早く目をつける”先見の明”には恐れ入る。別な見方をすれば
他者の弱みを素早く見抜き、えげつなく喰らい付き貪欲に儲けを貪る市場に巣食う”◆◆”の様な存在とも言える。村上氏はどこに出て来ても気分の悪い存在でしかない。

 
グローバリーの上場廃止がいよいよ明日となったが、取引最終日の今日は一時330円まで高騰するなど予想通り面白い動きを見せてくれた。結局終値は前日比16円高の289円で取引を終えている。さて今日取引をした方々はいったい何を考え何を目論んでいたのだろうか?会社清算によるおこぼれ期待?それとも再上場による爆上げ?それとも単なる紙屑?結論は先々グローバリーがどうなっているかにかかっている。乞う、ご期待!と言うところか・・・。

 2005.11.1

 
阪神電鉄は老朽化が進んでいる甲子園球場を100億〜200億円かけて大規模な改修を行なう方針を固め近く正式に発表する。筆頭株主の村上氏から具体的な企業価値向上策を求められていることを強く意識したものと見られる。計画によると(甲子園球場と言えばまず誰もが思い浮かべる)球場外壁のツタを残し、老朽化が進むコンクリートを煉瓦造りに替える。また観客席の間隔、通路の幅の拡張などにより快適性/利便性を高める。無論甲子園球場の持つ伝統的な風格を維持するとしている。早ければ2006年のシーズン終了後に着工を予定している。築80年以上の甲子園球場の改修は長期課題の一つでありちょうど良い機会と思われる。

 阪神電鉄には
村上氏の要求する阪神タイガースの上場にはあくまでも反対するが、ファンサービス向上につながる大規模改修を全面に打ち出すことで(世論の)幅広い支持を得る狙いがあると考えられる。筆頭株主の要求だからと言って全て呑む必要はないが、(費用対効果の観点からの検討は必要との前提はあるが)合理性/必然性のある要求で良い方向に改善されるのであれば積極的に取り入れるべき・・・。言うまでもなく阪神電鉄にとっても大きなプラスになる。結果として村上氏の求める企業価値向上に繋がる。ちなみに阪神電鉄の株価は前日比25円安の925円で取引を終えている。

 
楽天vsTBSのバトルには特に表立った動きが見られない。世論はすっかり三木谷氏には逆風となり、「何故(TBSの)株式を買いましてはダメなのか理解できない。」と力んではいるが実際には逡巡しているのでは・・・?先週水曜日にわざわざ大袈裟な記者会見を開き、『19.09%まで買い進めている』ことを強調してTBSに圧力をかけている。「こちらの言うことを聞かないとTOB(乗っ取り)を仕掛けますよ。どうしますか?」と脅しをかけつつ催促している。一見強気で押している様にも見えるが、見方を変えれば更に強く突っ走るかどうかためらいがある様にも見える。

 TBSが三木谷氏の要求を呑むとは考えられない状況下では、三木谷氏には強引に突き進むしか道は残されていない。事態の長期化を不利と看做せば、(大きなRiskを背負うが)TOBを仕掛けるしかない。 但し更に巨額に資金調達が必要になり、まかり間違えば最悪三木谷氏の破滅にもなりかねない。一か八かの大勝負を避けるとすれば、(堀江氏同様)”グリーンメーラー”としてTBS株式を手離し撤退する道しかない。ちなみに
楽天の終値は前日比1400円安の7万4000円、一方TBSの終値は前日比20円安の3280円で取引を終えている。

 今日午後
グローバリーの山田社長を含む幹部4人が商品取引所法違反(虚偽報告)容疑で逮捕された。山田社長らは2004年11月22日経済産業省と農林水産省が取引内容に関して出した報告徴収命令に対し、トラブル件数を少なく見せかけたり自社取引を顧客の取引と偽わるなど虚偽の報告をしたとされる。顧客名義での自己取引で得た利益を、別の顧客とのトラブルの和解金にあてていたという。

 どうも警察の手入れは上場廃止を待っていた様に思われる。もしかしたら警察の余計な親切・・・?上場廃止前に逮捕劇があったらどうなっていたのだろうか?ストップ安の連続で買い手がつかなかったかもしれない。ところで
この様な事態に至ってはグローバリーの存続はかなり厳しいと思われる。これだけ信用を失ってしまえば最早まともに付き合ってくれるところがあるだろうか?最後までここの株式を持っていた方にとり紙屑になることが現実味を帯びて来るかもしれない。

 2005.11.2

 楽天はTBSに対して『安定株主工作を進めないことを条件に、TBS株式をこれ以上買い増ししない方針』を伝えた。TBSの質問書に対する回答文書に明記し、条件付きながら事実上休戦協定を提案したと看做せる。早期に協議を開始したい楽天が態度を軟化させた様にも見えるが、もしかしたら一種の陽動戦術かも知れず素直には信用できない。あるいは本当は苦しい状況に追い込まれている楽天が何とかして膠着状態を打開し早期決着を図りたいのかもしれない。何にせよ楽天の言い分は自己本位の身勝手な”虫のいい話”にしか感じられない。

 一方これに対し
TBSは「まずは楽天が経営統合提案を取り下げるべき」としている。協議入りの前提として(1)統合提案の撤回、(2)TBS株式保有割合の引下げ、(3)新たな業務提携案の提示などを楽天に求めるとしている。またTBSの井上社長は「理解ある株主に株を買ってもらうのは当然のことで、やめろと指摘されるようなものではない。」と安定株主対策を継続する意向を示している。やはり楽天の”虫のいい”提案に対してTBSは否定的に思える。

 今回の騒動は『
楽天がいきなり相手の家に土足で踏み込んだ』ことが原因となっている。明らかに汚い手を使った楽天に非がある。相手の喉元に匕首を突きつけて迫るやり方は最低と断じる。TBSの要求は当然のことであり、楽天に全てを元に戻して対等の立場で交渉する意思がなければ何も始まらない。「条件付きでTBS株式買い増しをしない」と言われても、三木谷氏の今までのやり口を見れば誰も素直に信用するはずがない。まずは三木谷氏が”自らの非を認め全てを白紙に戻す”誠意を見せないと話は進展しない。今のところ事態は深く静かに潜航しているが、話がこじれて紛糾し再び大噴火する可能性もあり予断を許さない。

 
ニッポン放送乗っ取り騒動、TBS乗っ取り騒動、阪神電鉄株式の買占め・・・いずれも市場に巣食う”◆◆村上氏が何食わぬ顔をして出現している。流石”先見の明”がある村上氏は金の臭いを素早く嗅ぎ付けて美味しいところを浚っていく。ニッポン放送の時には騒動のどさくさに紛れて上手く高値で株式を売り抜けぼろ儲けした。今回も当事者間の喧嘩の様子を見ながら、どこかでTBS株式を高値で売りつけるに違いない。阪神電鉄には直接手を出して過半数に迫る勢いで株式を取得し、様々な要求を突き付け充分痛めつけてからどこかへ高値売却する魂胆は見え透いている。

 ニッポン放送乗っ取り騒動に登場人物の一人としてすっかり有名になった村上氏・・・
抜群の知名度を活かしてまさにやりたい放題と言わざるを得ない。大阪証券取引所の筆頭株主に躍り出た村上氏が内部留保が多過ぎるとして配当金2万円を要求したことは記憶に新しい。昨今村上氏が絡んで来ると株価が上昇する。TBSは2000円前後だった株価が今は3000円台前半で推移している。阪神電鉄は400円前後だった株価が、一時1200円位まで上昇し今は900円前後で推移している。村上氏はいずれも安く入手しているので売却すればぼろ儲けは間違いない。ちなみにTBSの終値は前日比80円安の3200円、阪神電鉄の終値は前日比28円安の897円で取引を終えている。

 最近の村上ファンド銘柄としてはドリームテクノロジーがある。11営業日連続のストップ安が続きどうなることかと思ったら、一転して7営業日連続のストップ高で終値は2万7700円で取引を終えている。ストップ高が始まった当初は何も材料がなく訝しく思っていた。10月31日の開示で村上ファンドが50億円の第三者割当増資、それに100億円の新株予約権付社債(CB)中97億円を引き受けることが判明し、ストップ高は開示の先取りでは?との疑念を持っている。それはさておいてこの開示で『村上ファンドが投資するなら大丈夫』との安心感が一挙に投資家間に広がり、ドリームテクノロジーの株価上昇に拍車をかけたことは間違いない。それもこれも村上氏の影響力が多大(過大?)なことによる。益々図に乗って何を仕掛けてくるか分かったものではない。

 ところで
村上ファンドが引き受ける第三者割当増資、CB共に1万5930円なので、株価が上昇すればするほど利益幅が拡大することを忘れてはならない。第三者割当増資の払い込みは11月18日、CBの払い込みは12月19日となっている。現在の発行済み株式数は77万9823・・・第三者割当増資で31万3873株増加し希薄化が確実に進行する。更にCBが株式転換されれば(転換価額1万5930円として)最大62万7746株増加することになる。つまり現在の発行済み株式数をはるかに上回る新株式が発行される。村上ファンドが長期保有することはありえないので、今後の村上氏の動向に注目が集まる。ただでさえ希薄化必至なのに増資に見合う収益が得られなければどうなるかは火を見るより明らか・・・。現在浮かれている方々が泣きを見る事態になる可能性がある。結局ほくそ笑むのは村上氏ただ一人と言うことになるかもしれない。

 平成電電が民事再生法適用申請する前日にはメリル・リンチ証券からMSCBの対価20億円がドリームテクノロジーに払い込まれている。また同日メリル・リンチ証券に対して30億円の新株予約権付社債の発行が発表された。その後平成電電の破綻を受けてMSCBは10月12日に繰上償還、更に新株予約権付社債は11月15日に消却となった。この様な経緯があるのに村上ファンドは本気で投資するつもりなのだろうか?それほど魅力的な投資対象なのだろうか?村上氏が
土壇場でCancelしてご破算になる可能性がないとは言えない。まずは11月18日に実際に50億円が払い込まれるかどうかが注目される。

 2005.11.3

 『
楽天が11月度中に1000億円規模の増資を実施する方針』と報じられている。既に主幹事の大和証券SMBC、フィナンシャルアドバイザーのゴールドマン・サックス証券と発行条件面での最終調整段階とのこと。当然TBS株式の追加取得を視野に入れての動きと思われる。今年6月の2006年3月期中間決算の有利子負債は4843億円だったが、現時点では少なくとも6000億円程度に膨れ上がり楽天の財務体質に大きな不安を与えている。苦境に追い込まれている楽天が今回の資金調達による債務削減で財務体質強化を図り、何とかして株価の下落を防ぎたいとの狙いがあると思われる。いずれTBS株式のTOB実施に踏み切ることを視野に入れ、経営体力を強化し長期戦への備えを固めるとの意思の表われとも看做せる。まずは足元を固める『守り』の意味合いの方が強いと見ている。それにしても借金減らしの為の増資とは・・・窮余の一策で感心出来ない。

 1000億円の増資が実行されると約135万株(昨日の株価で換算)増加することになる。発行済み株式の約11.4%に相当する。これだけでも希薄化の懸念が増えることになるが、事態が長期化(泥沼化)すればTBS株式のTOBの為に更なる巨額の資金調達が必要・・・となれば追加の増資となり希薄化がより一層進行することもあり得る。ところで1000億円の増資はどの様な発行形態になるのだろうか?第三者割当増資?それともMSCB?いずれにせよ
近々楽天は既存株主を足蹴にする行為を平気で行なうことになると思われる。さてこの情報を受けて楽天の株価は明日以降どの様な反応を示すのだろうか?

 『安定株主工作を進めないことを条件に、TBS株式をこれ以上買い増ししない方針』と和平の道を探る姿勢を見せる一方で、この様にいつでも戦争を仕掛ける為の準備を着々と進めているのであれば全く話にならない。堀江氏がニッポン放送を力づくで押さえつけ様としたが、
三木谷氏も口では上手いことを言っても結局堀江氏と同じことをやろうとしているだけにしか見えない。これではTBSがそう簡単に楽天の提案に乗って来るとは思えない。最終的には三木谷氏は堀江氏同様(形だけの業務提携のみで)”グリーンメーラー”としてTBSから撤退することになると見ている。

 今回のTBS乗っ取り騒動の主役は無論三木谷氏だが、記者会見などでも常に傍で発言している
キーマン国重副社長の存在が気になる。形勢が楽天不利に傾いて来てからは三木谷氏は表面にほとんど顔を出さなくなり、国重氏がTBSとの質問状のやりとりなど交渉の重要な場面や記者団への対応など矢面に立って動いている。(堀江氏の?マークのつく側近とは異なり)経験豊富なやり手国重氏の存在はTBSにとり手強い相手かもしれない。

 国重氏は住友銀行出身で三木谷氏より19歳年上の59歳・・・金融業界ではその敏腕は広く知れ渡っている。国重氏は2003年11月当時社長を務めていたDLJディレクトSFG証券(現楽天証券)が楽天に買収された時から楽天グループに関与している。現在は楽天副社長として三木谷氏の軍師的存在であり、今回のTBSの件でも基本方針を決定するのは三木谷氏だが具体的な行動については恐らく国重氏が案を提示しているものと思われる。ところでTBSへの仕掛けには国重氏はどれだけ成算があってバトルに臨んでいるのだろうか?かなり無理な仕掛けにも思えるが果たして・・・?


 2005.11.4

 楽天は『TBS株式取得の為の銀行からの借入金約1100億円の利率が年利0.7〜0.8%で、TBSの2006年3月期の配当が22円であれば配当収入で金利負担を賄える』としている。年間8億円程度の金利負担では”TBS株式を長期保有しても当社の業績に何ら影響はない”として、仮に長期戦になったとしても充分対抗出来るとの強気の見方を示した。借入金の金利負担による業績圧迫、それに1000億円増資報道を受けて財務体質への不安が囁かれていることに対して、楽天としては『まだまだ余力があり徹底的にやる』との意思の固さを世の中に知らしめる狙いがあると見られる。しかしながら強気に見せれば見せるほど逆に「本当?」と更に疑念が湧いて来る。何やら虚勢を張っている様にも見受けられる。実際には楽天はギリギリの状況にあり、押すも引くもかなり早い時期に決断を迫られることになると推察しているが・・・?

 ところで年利0.7〜0.8%とは一般の貸出金利と比べて安過ぎるが、こんなことを公表したら世間の反発を買うことになるのではないだろうか?それに銀行との相対契約を簡単にばらして良いのだろうか? 信用問題にはならないのだろうか?それはともかく現在幾ら低金利時代だからと言ってこれほど低金利で銀行が貸し付けるとは・・・。そんなに楽天には(現物)担保と信用があるのだろうか?

 
楽天の株価は投資家の心理的不安を反映したかの如き動きを示し、終値は前日比2800円安の7万1500円で取引を終えている。1000億円増資された場合の需給悪化のの懸念、楽天の『TBSが安定株主工作を停止すれば楽天側もTBS株式の買い増しはしない』との申入れに対するTBS井上社長の拒否発言など楽天にとり芳しくない材料ばかりではどうにもならない。一方TBSの株価は相変らず様子見の感があり、終値は前日比50円安の3150円で取引を終えている。ここは楽天がTOBを仕掛ける、あるいは止める様な状況になれば大きく動く可能性があるが、暫くは凡そ3000円台前半で推移すると見ている。

 
ライブドアの株価は前場寄りつき直後432円をつけたもののその後は力なく下落し、終値は前日比7円安の423円で取引を終えている。現在のライブドアは所謂”旬の過ぎた食材”で美味しさが失われている。ライブドアに対する注目度はここに来て一気に低くなっているので、近頃は反発する力も大したことはなく株価低迷が続いている。11月中旬の2005年9月期決算発表で少々動くかもしれないが、仮に動いても一過性のものですぐに終息して冴えない展開が続くと推察している。

 
ライブドア・マーケティングの株価は11月2日大引け後の子会社設立発表には特に反応せず、終値は前日比10円高の4790円で取引を終えている。11月7日投資銀行業務、金融サービス事業を展開するライブドア・マーケティング・ファイナンス(LDMファイナンス)を資本金1000万円で設立する。大まかに言えばライブドア・グループのM&Aの中核に位置付ける狙いがあると思われる。まあ早い話がLDMファイナンスを拠点にパックマン(他人の作ったものを横から手を出し金の力で自分のものにする)を繰り返し、ライブドア・グループを太らせて行くことを狙っている。それはともかく今まで既にあった機能を分離独立したに過ぎず、取り立てて目新しく画期的な子会社設立と言うほどのこともない。先週末から11月1日にかけて株価が390円上昇しているが、もしかしたら子会社設立情報の先取りかもしれない。尤もこの手の怪しげな動きは過去に何度もあり今に始まったことではない。一応新しい材料が出たので週明けにはまた下落に転じるかも・・・?

 
ドリームテクノロジーの株価の勢いは留まる所をを知らず8営業日連続のストップ高をつけ、終値は3万700円で取引を終えている。某掲示板では熱病に浮かされた方々が我を忘れて舞い上がってしまっている。市場に巣食う”◆◆村上氏がここに首を突っ込んで来たら様相が一変した。まさに村上効果?村上氏は廉価で株式を手に入れ手はずが整っているので笑いが止まらない・・・。

 さてストップ高がどこまで続くのか興味津々と言ったところ・・・。無限に続くはずがないので必ずどこかで天井に突き当たる。どこを天井と見るのか、渦中にいる方々にとっては見極めが非常に難しい。
まさかずっとストップ高が続くことはあり得ないが、(ストップ高が続いた場合)試算すると11月18日には8万700円、12月20日には161万円となる。ちなみに11月18日は第三者割当増資50億円の払込日、12月20日はCBの払込日にあたる。村上ファンドへの割当てが実施されれば株式数が増加しとてつもない希薄化に繋がり、(凄まじい)業績向上がなければ株価上昇どころか下落する可能性が高い。まさにマネーゲームの様相を呈している。当面株価の推移には目が離せない。

 ところで某掲示板にドリテク『株価100万円を夢見る会』との書き込みがあるので調べると実際にサイトが存在した。会員は無論現ホルダー・・・勝手に夢見る分には人畜無害なので好きに楽しめばよい。計算上12月15日にはストップ高28連荘!で101万円となり会員の夢が実現する。無責任な第三者として外野席から高見の見物と洒落込むことにする。いざ11月18日になって”村上ファンドから50億円払い込まれず”なんて勝手に想像するだけでも楽しくなる。はてさて如何に・・・?


 2005.11.5

 昨日TBSの平本常務が楽天の国重副社長に会い『今月中をめどに提案内容の検討結果をまとめ回答する方針』を伝えたと報じられている。楽天はTBSからの回答まではTOBなどの強硬策を行なわないとしている。確かにそんなことをしたらたちまち楽天への非難が集中し、ただでさえ現状不利?と伝えられているのに更に決定的なダメージを受けるのでやれるはずがない。国重氏はTBSが回答時期を示したことを『比較的まじめに検討していると前向きに受け止めたい』としている。しかしながらTBSは楽天の提案に対して強い拒否反応を示している。TBSが提案修正しなければ(したところで同意することは難しいが)検討に値せずとしている。TBSの回答までは取り敢えず結論が先送りされただけで、依然として火種がくすぶっている状況には変わりなく何時”火薬庫”が爆発しても可笑しくない

 TBSとしては『共同持ち株会社による経営統合提案』は、時価総額の大きい楽天が実質経営権を握ることになるので受け入れることはあり得ない。また平本氏は国重氏に対して「新たな提案があるなら、いったん統合提案を取り下げて文書で改めて示すなどして欲しい。」と求めている。楽天が『経営統合の形にはこだわらない』のであれば当然口で言うだけではダメであり、
既出の提案を撤回し改めて新しい提案を示すのが筋と考えられる。既出の提案を取り下げずに「乗っ取るぞ!」との姿勢が見えたままでは、TBSとしてもおいそれと話合いのテーブルにつく訳けにもいかない。土足で自宅にいきなり踏み込まれた方としては、”歓迎されざる”来訪者には一旦外に出て改めて行儀良く靴を脱いで家に上がってもらわないことには筋が通らない

 『
楽天に対し新生、あおぞらの2行が600億円程度の融資枠(コミットメントライン)を設定していたことが明らかになった。』と報じられている。楽天が提出した大量保有報告書によると、保有するTBS株式のほぼ半分1671万株(発行済み株式総数の8.79%)を両行に担保として差し入れたことが判明した。既に三井住友、みずほコーポレート、住友信託の3主力行も800億円の融資枠を設定している。楽天はほぼ上限まで借り入れたと見られるが、3主力行は『敵対的買収であればこれ以上融資しない』と楽天に通告したとされる(国重氏はこの報道を否定しているが・・・)。事態の進行によってはTBS株式買い増し資金が更に必要になるが、今後に備えて資金枠を確保する動きとも看做せる。結局楽天が和戦両用の構えで臨んできているので、TBSとしては楽天の言動がどこまで信用できるのか測りかねていと思われる。有体に言えば依然として『楽天は信用出来ない』のが本音と思われるが・・・?

 
阪神電鉄の西川社長は村上ファンドから提案された阪神タイガースの株式上場の是非をファンに問う調査について、「ファンの意見もここまで各マスコミのアンケートや(球団)公式サイトのご意見などで十分にお聞きしたと思う。」としてファン投票を実施する必要はないとの認を示している。更に昨日のプロ野球オーナー会議でも『阪神タイガースの上場について反対意見が主流』であり、プロ野球界の意向をバックに村上氏に上場提案拒否を伝える。村上氏の要求を真っ向から否定することになる。

 週明けには両者の協議が再開されるが、
実質的にはゼロ回答を示される村上氏がどう出るか対応が注目される。既に阪神電鉄株式を40%超保有している筆大株主、それに「モノ言う株主」として名を轟かせている村上氏が黙ってこのまま引き下がるとは到底思えない。「モノ言う株主」が1000億円も投資しておいて(株価上昇による差益以外に)何も収穫無しで終わらせるだろうか?大阪証券取引所の件でも(要求よりは少ないが)しっかりと増配を勝ち取っている。阪神電鉄に対しても当然何らかの実質獲得を狙っている。村上氏の立場からすれば今回の最大の目玉は「阪神タイガース上場」・・・上場益で親会社の阪神電鉄の連結利益の増加に繋がり、阪神電鉄の株価上昇、更には増配で村上氏の懐が潤うとの図式が見える。さてそんな大きな目玉で何の収穫もなく村上氏がすごすごと撤退するとは思えない想像を絶する大波乱の展開が待ち構えているかもしれない。

 村上ファンドの運用資産は4000億円程度と言われるが、約1000億円が阪神電鉄1社に投入されている。1/4と言えばかなり大きなウエイトを占めるが、そんなに集中させて大丈夫なのだろうか?大手ファンド関係者によると『ヘッジファンドは分散投資が基本』・・・確かに今回失敗して阪神電鉄の株価が大幅な下落すれば村上氏は大きな損失を被る。しかしながら村上氏はそんなことは承知で阪神電鉄に投資しているはず・・・村上氏にはそれなりの勝算があって仕掛けていると考えられる。但し今までに数々の成果を上げて来た村上氏と言えども絶対はない。何時どこで誤算が生じるか分からない。思わぬ伏兵に足を掬われる可能性もある。場合によっては損失を被って撤退との状況もあり得る。とにもかくにも予断を許さない展開で、現時点では結果は”神のみぞ知る”としか言えない。

 ところで明日高知競馬第6R(ダート:1000m)に『ホリエモン』が8頭立ての1番枠で出走する。高知に移籍してから6戦1勝、2着2回、3着1回、4着2回・・・勝った時は2着に1秒3の大差、また負けた時も僅差でそこそこに走っている。何やらもう一歩勝ちきれないところがあるが、2勝目はそれほど遠くはないと見ている。そう言えば第7R『ハルウララ』の妹『ミツイシフラワー』が出走する。『ミツイシフラワー』はこれがラストラン・・・引退後は北海道苫小牧市のノーザンホースパークに引取られる。乗馬用の馬として余生を過ごすと思われる。高知競馬に移籍後28戦して1勝上げている。

 近頃『
ハルウララ』の話が全く聞こえて来ない。那須で復帰に向けてトレーニングを積んでいて順調と言うところまでは分かっているが、いざ高知競馬復帰となると全く見通し不明と言わざるを得ない。現在の馬主安西氏のサイトには『中央競馬との交流レースにて引退レースを行った後に現役を引退』とはあるが、恐らく高知競馬との対立が続き実現の目処が立っていないと思われる。また引退後は苦境にある地方競馬に活気を取り戻す為に『ハルウララ』の披露巡業を企画しているとのこと。それはさておいて個人的には黄門様風に言えば「もう、いいでしょう!」と考えている。どうしても高知競馬との折り合いがつかず事態を長引かせても何の意味も無い。最早引退レースにこだわる必要はなく、『ハルウララ』に一刻も早く別な道を歩ませた方が良い

 2005.11.6

 本当かどうか分からないが、『
村上氏には「阪神から手を引け」という声が、表の世界からだけでなく裏の世界からも寄せられているらしい。裏の世界?何とも物騒な話だが、怖〜い世界の”その筋”からのドスの利いた圧力?日本シリーズで阪神タイガースがまさかの4連敗してからより一層村上氏への風当たりが強くなっている。『大切な日本シリーズの時期に余計なことをしてくれた。阪神タイガースが惨敗したのは村上が悪い。』・・・こんな恨み辛みが阪神ファンの間には渦巻いている。物騒な話はともかくとして村上氏が阪神ファンから”目の敵”にされている。計算高い村上氏にとっても阪神タイガースのまさかの4連敗は流石に大誤算だったのに違いない。近頃村上氏に表立った動きが見られないが、周囲の冷ややかな目を意識しているのかもしれない。それとも実は強かで身を潜めて機会を窺っているのだろうか? 百戦錬磨の村上氏だけにそんなに柔には思えない。次に村上氏がどう動いて来るか注目される。

 
身の危険を感じている村上氏は身辺にかなり気を遣っているらしい。記者のぶら下がり取材・・・公式の記者会見ではなく例えば歩きながらの質疑応答など・・・誰が近づいて来るか分からないので『一切やめていただきたい』とのこと。家族の身辺にも気を使っていると言われる。確かに最近TVなどで村上氏が話している場面はほとんど見ない。やはり身辺に怪しい雰囲気を感じて警戒しているのだろうか?1985年6月豊田商事の永野会長が自室マンションで(ドアの前には約30人の取材陣やガードマンが張り込んでいる目の前で)2人の男に刺殺されたのは記憶に残っている。この場合は明らかに豊田商事事件と言う犯罪絡みであり、村上氏の場合は事情は異なるが世の中には何をしでかすか分からない不逞の輩がいるので充分に気をつけた方が良い。

 
元ライブドア取締役で投資家の榎本氏が、『ロシアの国際宇宙ステーションに1週間滞在する』ことを自らのブログで正式に発表した。昨年11月アメリカの宇宙旅行会社スペースアドベンチャーズと2000万$で契約し、国際宇宙ステーションに滞在する『宇宙への観光旅行者』としては世界で4人目、日本人初となる。既に医学検査と初期トレーニングを終了し、年明けには1000時間の本格的な訓練が開始される。2006年秋カザフスタンのバイコヌール宇宙基地からロシアのソユーズロケットで出発し、国際宇宙ステーションには約1週間滞在する予定になっている。これで同じく宇宙に関心の深い堀江氏の先を越して宇宙へ行くことが確実になった。

 それにしても『ポケットマネー!』でポンと2000万$支払うとは・・・!榎本氏は自ら起こした企業を堀江氏に売却しているが、その時に巨額の資金を手にしていると思われる。いったい幾らなんだろうとつい考えてしまう。34歳で巨万の富を掌中に収め、好きなことを自由に出来るとは(ある意味)何ともうらやましい限り・・・。宇宙旅行の次は何をするのだろうか?世の中金が全てではない・・・と強がりを言いつつやはり金は幾らあっても良い。改めて自分が俗人なことを実感した(笑)。やはり煩悩は断ち切れない。

 ところで高知競馬第6R(ダート:1000m)に『
ホリエモン』が出走し、果敢に先行したが第4コーナーで勝った『ハクリュウヒット』に交わされ0秒2差の2着となった。これで高知の不良馬場での成績は4戦1勝、2着3回と連対率100%と不良馬場が向いていると思われる。今回も僅差の2着でなかなか勝ちに結びつかない。今一つスピードが不足しているのかもしれない。またミツイシフラワーは同日第7Rミツイシ元気でね特別(ダート:1300m)に出走し、これも果敢に逃げを打ったが第4コーナーで他馬に交わされ直線馬群に沈み8着に敗れた。やはり力の差は歴然としていて敗戦は仕方がない。これで北海道に移り乗馬用の馬としての余生を送ることになる。無事ラストランを終えて一言、「お疲れ様」とのねぎらいの声をかけてあげたい。

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