2005.11.28
新日本無線のTOBを実施している村上ファンドは日清紡が公開買付け価格を880円に引き上げた件に関して11月25日コメントを発表した。村上ファンドは自らの買付け価格が日清紡を上回っているとした上で『新日本無線や大株主の日本無線が上場企業として株主価値最大化をご検討頂き、今後の方針を決定されることを期待する』としている。更に『必要があれば如何なる質問にも答える準備があり、公開討論の様な形でTOBに関する考え方や今後の方針についての議論を歓迎する』としている。また新日本労組が反対を表明していることに関しては『労働組合は株主価値向上にとって欠かすことのできない重要なステークホルダーであるという認識を持っている為、今後是非とも労働組合の方々と協議をする機会を設けて頂きたい』としている。村上ファンドはまだ20円上回っていることに自信を示し、日清紡に対して更なる買付け価格引き上げを促しているとも受け取れる。村上氏はいろいろと言ってはいるが、結局は日清紡の最初の提示価格840円が低すぎるとしてクレームをつける形で介入したと考えられる。
日本無線は日清紡による価格引き上げ決定について、村上ファンドのTOBに応じるか日清紡のTOBに応じるかは「まだ決めていない」としている。価格差60円が20円に縮小されたことをどう評価するかがポイントになる。もしかしたら水面下ではこの辺りが日清紡、日本無線、新日本無線間で話し合われているかもしれない。日清紡のTOB〆切は12月9日に迫っている。遅くとも来週早々には最終的な結論を出すことになる。もしかしたら日清紡が買付け価格を900円に引き上げれば村上ファンドは撤退する可能性もある。ちなみに新日本無線の株価はこの辺りの事情を反映して900円を少し上回るレベルで推移し、今日の終値は前日比6安の900円で取引を終えている。
『TBSは経営統合を拒否するほか、業務提携についても楽天に示す回答書に盛り込まない方針』と毎日新聞が報じている。また『TBSは28日の常勤取締役会、次いで30日の臨時取締役会で正式決定後、同日中に回答書を楽天に手渡す』としている。事実とすれば楽天から見れば実質「ゼロ回答」・・・これでは三木谷氏の面子丸潰れとなり容認出来ない。となれば三木谷氏がTOBに打って出る可能性が高く全面対決は避けられない。一挙に緊迫した事態になることが予想される。ちなみにTBSの終値は前日比70円高の3260円で取引を終えている。楽天がTOB実施との事態にでもなればTBSの株価が大暴れする可能性がある。一方楽天の終値は前日比900円高の7万7300円で取引を終えている。逆にここはMSCB(+貸し株)による巨額の資金調達ともなれば暴落する可能性もある。
ドリームテクノロジーの株価は様々な思惑が入り乱れ見ていて実に面白い展開になっている。株価推移表を見て頂きたい。11月16日以降2営業日毎に上げ下げを繰り返している。2度共に終値3万2700円から翌2営業日続けて反発している。3万5000円を挟んで行ったり来たりしているが、順番からすると明日は下げることになるが・・・?さて明日はどちらへ向かうのだろうか・・・?ちなみに今日の終値は前日比3900円高の3万7800円で取引を終えている。
村上ファンドの参入と平成電電の再生スポンサー選定絡みの件が”駆引きの素”になっている。 村上ファンドが真に”信用に値する存在”かどうかには疑問がある。また(今月中に決定される)平成電電の再生スポンサーがどこになろうが、ここにとりどれほどプラス材料になるのか疑問がある。そんな不確実な状況下で株価は激しく揺れ動いている。取り敢えず平成電電の再生スポンサー決定を受けて株価がどこへ行くのか注目される。
2005.11.29
『TBSと楽天の両者が「楽天は一旦経営統合提案を撤回。TBSとの間で2006年3月末までに資本・業務提携の協議を進める」ことで大筋合意』と毎日新聞が報じている。早ければ今日中にも和解の覚書に調印するとのこと。両者の取引銀行のみずほコーポレート銀行が和解案を作成し協議を行なっている。(この記事を記述している21時45分時点では)両者の合意に向けて和解の詳細について最終調整が行なわれている。和解案の骨子は以下の通り。
1) 業務提携についての検討委員会を設置する。
2) 資本提携についても協議する。
3) 楽天保有のTBS株式19.09%のうち10%超を信託銀行に預託し議決権を凍結する。
4) 楽天は協議中はTBS株式の買い増しを自粛する。
合意が成立すれば『楽天は経営統合提案を撤回。一方TBSは明日に予定していた経営統合拒否の回答を保留』となる。両者共に全面対決を避けたいとの意思が働いたと見られる。しかしながらこれだけでは本質的な解決には至っていない。楽天はTBSへの議決権を部分的に凍結し、資本・業務提携については今後検討委員会で協議することが決まっただけに過ぎない。取り敢えず直近の全面対決回避を優先し、曖昧な合意で実質的に問題解決を先送りにしている。両者の主張に隔たりが大きい資本・業務提携の詳細についてはこれから詰めることになるが、(事態の進行によっては)協議が難航することも考えられる。
今後4ヶ月でどこまで両者の溝を埋めることが出来るかが鍵になる。フジテレビvsライブドアの時には業務提携推進委員会が設置されたが、11月末にライブドアにとってはさほどの成果無しに解散される。ライブドアがそれまでに取得した過半数を超えるニッポン放送株式を全て手離した時点で、元々業務提携に積極的ではないフジテレビが”お茶を濁す”程度の決着を図ることがの予想されていた。三木谷氏はこの点を充分に承知しているので”何の見返りも無しに”TBS株式を(例え一部でも)手離すことを了承するはずがない。とは言ってもこのまま突っ張って泥沼の長期戦に突入するのは得策ではないと判断し、取り敢えず自己の保有するTBS株式の議決権を一部凍結することによりまずは両者が協議出来る環境作りを選択したと思われる。とにもくにもこれですれ違いを繰り返していた両者が同じテーブルに座り”face
to face”で話をすることになる。この合意で事態が飛躍的に改善された訳けではないが、解決に向けて第一歩を踏み出したことは間違いない。
日本経済新聞の朝刊で『両者が和解の最終調整入り』」と報じたことを受けて楽天の株価は一時8万5900円まで急上昇し、終値は前日比6100円高の8万3400円で取引を終えている。フジテレビvsライブドアの和解は最終的な決着で”本当の”解決と言えるが、今回の和解は『協議の場を設定する』だけの謂わば”仮の”決着に過ぎない。解決に向けて大きく前進したことには違いないが、楽天の株価が更に上昇する要因にはならないと思われる。実際に和解内容が発表され上記の程度であれば、果たして明日以降ここの株価はどの様な反応を示すのだろうか?
一方のTBSの株価は『両者の和解が進めば楽天のTOB実施なし』との観測から売りが優勢になり、終値は前日比275円安の2985円で取引を終えている。実際に楽天のTOB実施の可能性が低くなれば(なくなれば)、より一層”2006年3月期中間決算の業績悪化”が浮き彫りになる。つまり株価を押し上げる要因が消え、逆に押し下げる要因が強調されることになる。事態の進行によってはここの株価は三木谷氏のTBS株式の大量取得会見以前の水準以下(2000円前後)に暴落することも考えられる。尤も”暴落”とは言っても現在の株価は楽天の買占めにより跳ね上がっているのに過ぎず、言い換えればただ単に”元に戻る”だけと言える。但し交渉が決裂して大荒れの状況になれば、両者の株価共に大荒れになる事態に陥ることが予想される。
ドリームテクノロジーの株価は昨日の記述通りに下落し、終値は前日比1800円安の3万6000円で取引を終えている。村上ファンドの参入により取り敢えずの安心感から、平成電電の民事再生法適用申請を受けて”ジェットコースター状態”になる寸前の水準近くで上げ下げを繰り返している。ここには平成電電の再生スポンサー決定、村上ファンドへの100億円のCB発行が次ぎの節目として控えている。節目でここの株価がどの様に推移するのか注目される。ところで(直近の話として)今日予想通り株価は下落したが、予想通りになれば明日も下落することになる。さて如何に・・・?
アドテックスの株価は11月24日大引け後に2005年12月期決算での大幅な赤字との見通しが発表されてから大変な状況に陥っている。2営業日連続のストップ安に続いて今日も一時ストップ安になったが、終値は前日比2980円安の2万3320円で取引を終えている。11月24日にはストップ高の3万4300円をつけたのだから、何と僅か3営業日で1万980円も下げている。現状では楽観出来る材料が皆無とあっては先行き不安以外の何者でもない。まさかある日突然”▼▼”の恐ろしい二文字が目に飛び込んで来るのでは?と危惧の念を懐く。資金繰り如何によっては最悪の状況も考えられるほど厳しく切迫しているかもしれない。
ところで11月21日時点で2万7721円で取得した1万1020株+新株予約権付債券7353株(=1万8373株)を保有しているライブドア証券はどうしているのだろうか?出来高の推移を見ると・・・11月18日(4306株)→11月21日(9731株))→11月22日(1万439株)→11月24日(3万1761株)→11月25日(1553株)→11月28日(3万5077株)→11月29日(2万8519株)。11月21日以降出来高が急増しているのが怪しい。ライブドア証券が関東財務局に提出した大量保有報告書によると11月21日には3698株処分(売却)している。11月22日以降の売却については大量保有報告書が提出されていないので処分状況が分からない。然るに5%以上の株式保有者の保有比率が1%以上変動した場合には5営業日以内に報告する義務がある。ライブドア証券が既に売却していれば近々大量保有報告書が提出されるので状況が明らかになる。果たして如何に・・・?
2005.11.30
今日の午後TBSと楽天は『和解交渉入りの覚書』に調印した。覚書調印後の記者会見が共同でないのも極めて不自然と言わざるを得ない。三木谷氏の”不本意ながら止むを得ない”との意思表示とも受け取れる。実際に両者の会見を見て何やらぎこちない印象を受けた。”和解交渉入り”がミソで今回の合意で和解が成立したのではない。あくまでもスタートラインに両者が揃っただけで肝心の具体的な資本・業務提携については何も決まっていない。楽天の議決権は来年3月末まで凍結され、提携交渉の進行状況によってはその後も延長出来る。つまり来年6月の定時株主総会に於ける楽天の影響力が大きく薄められたことになる。見方によってはTBSの時間稼ぎが功を奏したとも看做せる。
莫大な有利子負債を抱えている楽天は当初短期決着を目指していただけに、前哨戦はTBSがポイントを上げたと言っても良い。尤も前哨戦のジャブの応酬で僅かにTBSが有利と言うだけであり楽天が決定的なダメージを受けた訳けではない。楽天は議決権凍結とは言ってもTBS株式を手離してはいないのでまだまだ耐力がある。フジテレビがライブドアに対する”お茶を濁す”程度のおこぼれで決着をつけた様には上手くいかないと思われる。TBSと楽天の提携交渉には多くの関門が待ち構えているので、現時点では必ずしも『先の見通しが薔薇色』とは言えない。
提携交渉での最大の焦点は何と言っても『資本提携』の行方・・・両者の主張には大きな隔たりがある。楽天に大量のTBS株式を持たれたままではTBS経営陣に安息の日々はない。”喉元に匕首”を突きつけられて「仲良くお付き合いを」と言われても嫌に決まっている。それ故TBSは楽天のTBS株式保有比率の大幅低下を当然要求する。一方三木谷氏は安易に保有比率を下げて自らの影響力を薄めたのでは業務提携交渉の行方に暗雲が漂う・・・つまり”譲れない一線”として強く抵抗することが予想される。ここが最終合意に向けて最大の難関になる。”耐力勝負”を睨みつつ両者ギリギリのせめぎ合いが当面来年3月末まで続くと見ている。その時点で果たして完全決着となるのか、更に延長戦となるのか、あるいは決裂して泥沼化しているのか・・・今後交渉が本格化してどの様に進展するのか予断を許さない。
楽天の株価は和解交渉入りを受けて今日も上昇を続け、終値は前日比3600円高の8万7000円で取引を終えている。三木谷氏が記者会見でTBS株式大量取得を発表する直前の株価レベルにあっという間に戻った。TBSとのバトル継続による巨額の増資、財務体質への不安が取り敢えず避けられたことに対して好感が持たれている。株価低迷にイライラしていた方々が”好材料”とばかりに一挙に飛び付いた結果の表われと見ている。確かに好材料には違いないが過剰反応の様にも思える。この程度の話での株価高騰には何やら危険な香りが漂う。一方TBSの株価はTOBへの期待感が遠のき失望感?が溢れ、終値は前日比210円安の2775円と大きく下げて取引を終えている。このまま”バブルが弾け”当面下落が続くかもしれない。
阪神電鉄と村上ファンドの交渉はいったいどうなっているのだろうか?11月25日に阪神電鉄は実務者協議の一環として村上ファンドに対して今年9月の中間連結決算の内容を説明している。尤もこれは約40%保有する(巨大な)筆頭株主への儀礼的な挨拶とも考えられる。村上氏の阪神タイガース上場要求などの肝心な事項については全く何も出て来ない。経営権奪取が目的でないとする村上氏が現時点では直ちに強引な動きを示すとは考え難い。さりとて巨額資金を注ぎ込んでいるファンドマネージャーとしては長期間”塩漬け”にすることが可能なのだろうか?年末から年明けにかけて何らかの大きな動きがあるかもしれない。ちなみに阪神電鉄の株価は事態の膠着を受けて10月下旬以降(2度怪しい動きがあったものの)小幅な動きを示し、終値は前日比1円高の900円で取引を終えている。
野村證券が11月18日時点でACCESSのMSCB残高130億円分保有していたが、今日ACCESSは『MSCB130億円を12月22日繰り上げ償還』と発表した。アメリカでのM&Aが370億円で完了した為としている。ところがこれで(単純に)喜んではいけない。一方で『第三者割当による新株式発行及び主要株主異動に関するお知らせ』を発表した。『NTT Docomoの提案による共同開発提案等の協業強化を前提』とある。236万円/株で6356株の新株式発行・・・約150億円がNTT
Docomoから12月20日に払い込まれる。MSCBによる転換株式1万8241株を加えると、増資完了後には2万4597株(発行済み株式数:13万0013)の増加となる。これでNTT
Docomoは11.66%保有する第2位の大株主(現在7.12%で第3位)になる。
さてMSCBよりも(理由のはっきりしている)第三者割当増資だから歓迎出来るのだろうか?何故わざわざMSCBを繰り上げ償還して第三者割当増資に切り替えたのだろうか?仮にNTT
Docomoが割当て先で信頼出来るとしても、株式数増加による希薄化進行の懸念があることには変わりはない。怪しげな(印象の悪い)MSCBよりも引受け先としてNTT Docomoの名を出す方が”目くらまし”になると考えたのかもしれない。何にせよ長期的には増資に対する投資効果が先々あるかどうかが評価のポイントになる。ちなみに今日の終値は前日比1万円安の235万円で取引を終えている。終値ベースで眺めると11月度内の最高値は242万円、最安値は216万円となっている。とにもかくにも今日の2つの開示を受けて株価が明日以降どの様に反応するのか興味がある。
2005.12.01
昨日ライブドア証券が提出した大量保有報告書によると、予想通りアドックス株式保有数が0になっている。どの時点で処分したのか記載がないので分からないが、恐らく暴落する前に高値で売り抜けていると考えられる。『危険を事前に察知した阿漕な行動、まさかインサイダー取引では?』との疑念がある。金儲けの為に目が血走っている輩なら平気でやり兼ねない。ところで連日の激しい下落を目の辺りにするとつい”▼▼”の二文字が脳裏に浮かぶ。やはり資金繰りの現状が気になる。もし資金調達の目処がつかなければ年末には・・・?
アドテックスの株価は様々な思惑が交錯して激しく揺れ動き、終値は前日比2150円高の2万2800円と5営業日ぶりの上昇で取引を終えている。ドリームテクノロジーの様なジェットーコースター状態が再現するのだろうか?その時は村上ファンドの出現で急降下から一転して急上昇に転じたが、もしかしたら今回も”村上氏の参入?”との期待を込めている方がいるかもしれない。ここはまさに危険な株式の典型であり、現在手を出している方々は”丁半博打”に首を突っ込んでいることを承知しているはず・・・。さて吉と出るか、凶と出るか・・・。果たして如何に・・・?
それではドリームテクノロジーはどうなっているのだろうか?11月18日以降は3万5000円を挟んで上げ下げを繰り返している。望掲示板では平成電電の再生スポンサー決定を心待ちしている書き込みが多数ある。上昇理由を見つけたいとの気持ちが滲み出ているが、果たして爆上げするほどの決定的な材料なのだろうか?もしかしたら買い煽りかもしれない。次のポイントは12月20日の村上ファンドによる100億円のCB払い込み・・・50億円の第三者割当増資を合算すると150億円の投資となるが、ここの命運は実質的に村上氏の掌中にあると言っても過言ではない。ドリームテクノロジーの株価はやはり様子見の感が強く、終値は前日比900円安の3万4250円で取引を終えている。
昨日の和解交渉入りを受けて楽天とTBSの株価がどの様に動くか注目している。楽天の株価については「現時点では期待過剰では?」と昨日記述した。”和解”の言葉が先に一人歩きして歓迎ムードで一挙に上げたが、実際に合意内容を見て手離しで喜べる状況ではないことを理解した方が多いと思われる。両者の主張の溝は全く埋まっていないので、今後の交渉次第では大波乱の展開もあり得る。そんな危うい状況に楽天の株価は早速反応を示し一時8万4100円まで下落したが、終値は前日比1500円安の8万5500円で取引を終えている。楽天に分の良い決着となれば上昇することもあるが、現状の不確かな状況下では急上昇することなど考えられない。一方のTBSの株価も下がり目しか見えない現状には抵抗出来ず、終値は前日比450円安の2630円で取引を終えている。3営業日連続の下落による値下げ幅は530円と大きい。この先の展開を考えて顔面蒼白になっている方が多いのでは・・・?
11月29日の衆議院国土交通委員会の参考人質疑に於けるイーホームズ藤田社長の「1年前に日本ERIで姉歯建築設計事務所の構造計算書偽造問題を隠蔽していた」との発言が波紋を引き起こしている。これに対して日本ERIは直ちに記者会見を行い『全くの事実無根。イーホームズ藤田社長を刑事・民事告訴を検討』と表明している。ところが日本ERIは自らのサイトにて『16案件中ホテル3件の強度不足、8件のデータ改竄、1件精査中』と公表している。民間の建築確認最大手がこの有様では、『事実無根』と言われても素直に言い分を信用出来ない。
日本ERIの株価はこの情報の影響をモロに受けて暴落している。11月28日(58万2000円)→11月29日(49万円)→11月30日(44万円)→12月1日(41万2000円)・・・流石に下げ幅は徐々に縮小しているが苦しい状況には変わりはない。ここの責任問題は司直の捜査を待たないと分からないが、直接的な責任の有無に関わらず自らの業務を責任を持って全うしていないことは明らか。他の関係者同様信用失墜は著しく、この先の企業としての活動に多大な影響を与えることになる。”身から出た錆”と言えばそれまで・・・他の企業は”他山の石”とはせずに自らへの戒めとして身を引き締める必要がある。
2005.12.02
阪神電鉄の株価は世間の関心が他所へ行っている間にどさくさに紛れ上昇している。11月30日(900円)→12月1日(914円)→12月2日(926円)・・・尤も上昇とは言っても大したことはない。村上氏がほとんど表面に出て来なくなってからさっぱり状況が分からない。1000億円以上の巨額の資金を注ぎ込んでただ黙って指を銜えてじっとしているとは考えられない。現状は膠着状態に陥っている様にも見えるが、果たして村上氏はどの様な(収束に向けての)シナリオを用意しているのだろうか?ライブドアや楽天が他者に手を出しているのを横から眺め天秤に架けて”漁夫の利”を得た時とは話が全く異なる。今回は村上氏自ら当事者として約40%もの阪神電鉄株式を保有しているので、最終的な落とし前は自分で責任を持ってつけなければならない。株式を高値売却しようとしてもそう簡単に買い手が見つかるかどうか分からない。交渉が長期化して株式が”塩漬け”になるのも負担が大きい。さて如何に・・・?
新日本無線の株価は日清紡がTOB価格を880円に引き上げて以降下落を続けている。11月25日村上ファンドはコメントを発表しているが、それに対する目立った動きもなく時が過ぎている。来週末に日清紡のTOB期限が迫っているのでこの時点で成否の結論が出る。村上氏は手をこまぬいて来週末を迎えるのだろうか?それとも村上ファンドのTOB価格が20円上回っているので「勝算あり」との自信を持っているのだろうか?ところで今日の終値は前日比15円安の865円と日清紡のTOB価格を15円も下回っている。ニッポン放送乗っ取り騒動の時にも株価がフジテレビのTOB価格を下回ることがあった。この時も訝しく思ったが、何故わざわざ高く買うと言っているのに安く手離すのだろうか?誰か緊急に換金が必要になったのかもしれない。それとも何らかの意図がある株価操作・・・?
値嵩株の代表的存在ガンホー・オンラインの株価は1:5の株式分割以降大きく下げている。分割基準日(8月31日)の直後の9月2日に685万円で引けたのを頂点に下落に転じ、今日の終値は前日比5万円安の198万円と遂に200万円を割り込んで取引を終えている。僅か3ヶ月で71.1%の下落とは凄まじい。2005年12月期の連結決算業績予想によると、売上高:57億3000万円、経常利益:7億9000万円と目を見張る様な素晴らしい企業とは言えない。それ故198万円でもまだ高過ぎる思うが・・・如何なものだろうか?
ここは分割前には最高で2310万円との途方もない高値をつけるほどの(異常とも言える)超人気を集めた。オンラインサービスを手掛けるガンホーが何故その様な人気を集めたのだろうか?然るに『ここの会長がソフトバンクの孫正義氏の弟の孫泰蔵氏との信頼感』、更には『上場時点の浮動株式が僅か1000株と発行済み株式数1万6360株と比較して非常に少ない』ことからマネーゲーム化して株価が吊り上げられた。それに株式分割も加わって異常な状況が演出された。スリル満点の”危険な香り”に溢れる株式の見本の様な存在と言える。
11月30日外食チェーンを展開する(株)宮は「子会社の建設取引を仮装したもの、「割引優待券」を利用したもの、広告宣伝費の取引事業者への付回し、有形固定資産の架空計上などの不適切な会計処理が行なわれた結果約15億円の損失計上が見込まれる』と発表した。経理担当の専務(即日解任)の独断によるものとしている。JASDAQは複数年度に亘り不適切な会計処理が行われてきたという疑義が生じた為上場廃止基準に該当する可能性がある』として監理ポストに割り当てた。
(株)宮は『損失計上後も50億円以上の資産超過にあり当面資金繰りに支障はない。当該損失は修正仕訳によるもので新たな現金支出を伴わない』と財務体質に不安がないことを強調している。しかしながら監理ポストへの割当てが強い懸念材料となり、昨日から2日続けてのストップ安で440円(11月30日の終値:640円)まで下落している。企業の不祥事は関係する多方面に悪影響を与える。この場合も経理担当専務が『業績不振を公表すれば株価に影響を与え円滑な資金繰りを妨げる』として不正を働いたとされる。経営を預かる者が「企業の為に」と考えて事実を隠蔽したことが、逆に株主などのステークホルダーに多大な迷惑をかける結果になった。如何なる企業の経営陣も『清く正しい経営を心がけることが全てのステークホルダーの期待に応える術』と言うことを自覚しなければならない。
2005.12.03
新日本無線に関して”音なしの構え”の如く見えた村上氏が昨夜遂に動いた。村上ファンドは「新日本無線への公開買付条件等の変更」を発表した。公開買付け価格価格を900円から950円に引き上げる。これにより日清紡との価格差が70円に大きく広がることになる。村上氏も流石に20円差では勝算が薄いと見たらしい。開示の中で『当社の総合的な条件の優位性を圧倒的なものとする為に、買付け価格を1株当たり900円から950円に変更する』としている。村上氏は本気でTOB成立を目指している様にも見える。それとも日清紡に対して更なる買付け価格引き上げを促しているのだろうか?
今回のTOB対象は実質的に新日本無株式の50%強を保有する日清紡1社・・・結局ここから取得出来た方が勝者となる。一般の株主は全く”蚊帳の外”に置かれているに等しい。片方の当事者の日清紡は買付け価格を880円に引き上げた際に「20円の差は事業の相乗効果で埋められるので、これ以上の引再き上げはしない」と表明している。しかしながら70円との大きな格差は無視出来る範囲を超えているので、日清紡経営陣は週末返上で対策に苦慮することになる。仮に日本無線が880円で日清紡に売却した場合、日本無線経営陣に対して間違いなく株主代表訴訟が起こされる。その場合日本無線経営陣は『売却の正当性』を主張出来るのだろうか?日清紡がTOBを成功させる為には買付け価格を再度引き上げなければ勝ち目がないと考えられる。どう贔屓目に見てもこのままでは日清紡不利と言わざるを得ない。ところで今回の村上氏の仕掛けにより、7営業日続けて下落していた新日本無線の株価は週明けには大暴れする可能性が高い果たして如何に・・・?
楽天とTBSは一応停戦協定を結んで和解交渉の入口には姿を現わしたものの、お互いの不信感、特にTBSの楽天への不信感が根強くあり先行きの見通しは必ずしも明るくない。市場の専門家からも「TBSとの実効性のある提携が展望できない。負けたのは楽天で、今後は敗戦処理をしていくしかないのではないか。(和解・業務提携交渉入りは)買い材料にはならない。」との冷めた見方が出ている。楽天には『TBSとは横の関係ではなく縦の関係にしたい(=TBSを傘下に置く)』との強硬意見が燻っている。そんな声が根強く残っている様では交渉が上手く進むのだろうか?TBSとの交渉の成り行き次第では強硬論が復活して不穏な流れになる可能性がある。
楽天の株価は11月30日には8万7000円(終値)まで急騰したが、その様な不確かな状況を察知して2日続けて下落し昨日の終値は前日比1600円安の8万3900円で取引を終えている。以前の様に株価が大きく下げることはないとは思うが、もう少々下げて落ち着き様子見が続くと推察している。一方TBSの株価は11月29日に和解報道が出てから2営業日続けて急激に下げたが、ここに来て”和解合意ではない”ことが分かり落ち着いて来ている。昨日の終値は前日比20円高の2750円で取引を終えているが、楽天同様”模様眺め”の感が強くこの辺りで当面推移すると推察している。
今年2月から5月にかけてライブドアを含めて5件の『ホリエモン』商標登録出願があり話題になったことを覚えておられるだろうか?最近この件に関して特許庁はライブドア以外の出願者に対して登録拒絶を通知した。拒絶理由通知書の中で『堀江氏のニックネームと認定。かつ他者は堀江氏の承諾なし』としている。他の四者からの異議申し立てが認められなければ、年明けには『ホリエモン』はライブドアが所有者として正式に商標登録される。ライブドアは「これまでもホリエモンの名称が商品宣伝などに勝手に使用される被害があった。我々の意向が認められほっとしている。」とのコメントを出している。
『ホリエモン』が全国的に堀江氏と関連づけられて認知されている現状からすれば当然の決着と言える。しかしながらライブドアの出願が後手を踏んでいただけにどうなるのか注目していた。ある登録商標サイトには『同一商標や類似商標が先に出願、登録されていれば自分は商標登録ができませんし、他人が商標登録している権利を侵害することもできません。』との記述がある。これからは先願優先と読み取れる。然るに今回の事例により諸般の事情を勘案するケースもあることが分かった。この辺りの事情をまだ理解出来ていないので、詳しく調べて別途考察を加えることにする。
2005.12.04
直近IPOに誰もがCMなどでお馴染みの聞き覚えのある企業が登場した。「アースノーマット」、「ごきぶりホイホイ」、「モンダミン」、「ポリデント」などの商品名を聞けばすぐにどこの商品か分かる。身近な商品がずらりと並んでいて企業名も昔からよく知っていたが、ここが非上場とは気がつかなかった。家庭用殺虫剤の最大手(2004年度の国内シェア:48%)アース製薬は11月30日東証2部に新規上場した。 1925年木村製薬所として創業し1964年にアース製薬に社名変更した。1970年には大塚製薬が資本参加し、現在は同社の持分法適用関連会社になっている。
11月30日に発表した2006年3月期の業績予想(連結)では売上高:827億200万円(前年同期:801億8800万円)、経常利益:51億5900万円(前年同期:49億2400万円)となっている。この数値、伸び方、業務内容などを見ると堅実な企業との感がある。新しい企業に時として見受けられる危うさはなく安定感が感じられるが、反面今後の飛躍的な成長が見込まれるかどうかは分からない。株価も同様に将来大化けするかどうかは現時点では分からない。公開価格2000円に対して初値3000円をつけ、その後11月30日(2760円)→12月1日(2945円)→12月2日(3110円)と比較的おとなしく推移している。さて今後どの様に展開して行くのか興味が惹かれる。
Yozanの株価が11月下旬から急に上げているので訝しく思っていたが、11月30日大引け後『ライブドア証券に割当てられたMSCB60億円の全額株式転換終了』の発表があった。これで25万7189株増加して発行済み株式は130万9034株となった。ライブドア証券が11月30日に提出した大量保有報告書によると『11月29日に3万3000株(2万9225円で処分)、11月30日9万株(3万1067円で処分)売却し手元に2万2319株保有』している。権利行使価額2万3045円なのでこれだけでもしっかりと利益を確保している。昨日までに残りの2万2319株も高値で売却済みと思われる。ライブドア証券は60億円投資して3ヶ月間で少なくとも20億円程度の利益を得たと推察される。『MSCBとは引受け先が確実に儲かる仕組み』と言うことを如実に示している。
ライブドアはニッポン放送乗っ取り騒動時にリーマン・ブラザーズがMSCBを活用して短期間に巨額の利益を得た事実からしっかりと悪知恵を学んでいる。悪知恵を修得して即座に応用するとは・・・呆れたことに学習効果?がここにも表われている。ところでYozanにはまだ権利行使されていないMSCBが60億円ある。ライブドア・ファイナンスは引き受け先として2006年2月23日から(当初転換価額2万6680円で)権利行使出来る。またここでもライブドア・ファイナンスがしっかりと利益を得ることは明らか・・・いやはやMSCBは引受け先にとっては好都合な”金の生る木”とうんざりする。世の中に”良い”MSCBが存在するとはどうしても考えられない。
マルマンの株価は一時900円付近まで落ち込んでいたが、11月末には1000円近辺まで戻している。11月7日には『2005年9月期の普通配当の20円への増額修正(前回予想:9円)、並びに上場記念配当15円を加えて計35円にする』と発表している。更に11月21日発表の決算短信では、2006年9月期業績見通しとして『売上高:100億円(前年同期:89億5400万円)、経常利益13億900万円(前年同期:12億6200万円)』を出している。この辺りが材料視されて戻していると思われる。とは言っても12月2日の終値は997円と公開価格1300円を依然として大きく下回っている。やはり少なくとも公開価格まで回復しなければマルマンに対する信頼が回復したとは言えない。
増収増益の見込みとは言っても、マルマンを取り巻く環境にはかなり厳しいものがありより一層の経営努力が要求される。近年宮里藍選手など女子ゴルフ界に新星が誕生によりゴルフへの注目度がUPしゴルフ場への来場者数が増加するなど復活への明るい兆しが見えている。直ちにはゴルフ用品業界の需要拡大には繋がってはいないが、ゴルフブームの復活に今後への期待をかけている。もう一つの柱の健康食品と共に、果たして今後業績がどの様に変化して行くのか注目している。