2005.12.05
村上ファンドの公開買付け価格引き上げを受けて、新日本無線の株価は前場開始早々ストップ高965円の買い気配で開始した。950円まで引き上げれば株価が高騰するのは予想通り・・・終値は前日比85円高)の950円で取引が終了している。村上氏が仕手筋との観点からすれば、果たしてどこまで本気でTOB成功を目論んでいるか疑念がある。株価上昇は村上ファンドの狙いであり、このまま日清紡が880円で買い付けるのは無理がある。さりとて再引き上げすればまんまと村上氏の術中に嵌る怖れがある。再び村上ファンドが買付け価格値上げ合戦を仕掛けて来る可能性がある。
70円の価格差、更には実勢とかけ離れた価格で買い付けたのでは、新日本無線の株主から『会社に損害を与えた』として代表訴訟を起こされる可能性が高い。今頃日清紡、日本無線、新日本無線の経営陣は頭を突き合わせて頃対応策を検討しているはず・・・そんなに時間が残されていないので悩みが深いと思われる。場合によっては日本無線が『TOB拒否』の”奥の手”もあり得る。そうなれば全てご破算(TOB不成立)になり株価は暴落・・・?何せ日本無線が50%超保有しているのだから全てはここの対応で決まる。とにもくかくにも水面下では激しい駆引きが行なわれていると見られるが、果たしてどの様な展開になるだろうか?予想が難しい局面になっている。さて次の一手は如何に・・・?
ドリームテクノロジーの株価は多くの方々の思惑とは裏腹に5営業日連続で下落している。終値は前日比1800円安の3万1600円で取引を終えている。下げ幅が5営業日で6200円とは大きく、流石に”ドリテク信者”の間にも(信じつつも)動揺が広がっている。”ドリテク信者”の方々は『平成電電の再生スポンサー決定』を心待ちにしている様子が某掲示板の書き込みによく表われている。本当に株価上げとなるのかどうか興味が惹かれる。
もう一つは村上ファンドの動向が気になる。既に50億円の第三者割当増資に応じて払い込んでいるが、12月20日に予定されている97億円のCBが払い込まれるのだろうか?自ら経営に携わる気など皆無の村上氏はいったい何を考えているのだろうか?既に取得している31万3873株をどう(処分)するのだろうか?(97億円が払い込まれたとして)1万5930円/株で株式転換出来るCBをどのタイミングで権利行使するのだろうか?大量の株式を取得する村上ファンドのさじ加減一つでドリームテクノロジーの株価はどうにでもなる様に思える。村上氏の正体が仕手筋と分かっていても実に気分が悪い。
12月14日マザーズ上場を予定していたマンション業者のリビングコーポレーションは上場延期を発表した。11月24日『姉歯建築設計事務所、及び構造計算書偽造問題に関連する建築主、設計者、指定検査機関、施工者とは一切関係ない』と発表していた。ところが同社が主に建築確認を委託している日本ERIがデータ改竄を見落としていたことが判明して状況が一変した。上場延期の理由について「投資家の投資判断を誤らせる懸念を排除する為に、指定確認検査機関における建築確認体制についての確認が必要」などと説明している。同社の物件には構造上の問題はないとしているが、建築業界を巡る疑惑が払拭されない限り上場するのは得策(Merit)ではないと判断したと見られる。今回の問題は建築業界全体の信頼を根幹から揺るがす大変な事態に発展している。既に上場している建設業界関連企業、これから新規上場を考えている企業にとって、建設業界の信頼回復されるまで苦難の道が続くと思われる。
2005.12.06
阪神電鉄は西宮市にある遊休資産の工場跡地1万4000uを活用する計画を立てている。ここでは解散した子会社の武庫川車両工業が1983年まで鉄道車両を製造していた。計画では保有地の内約8900uに1戸建て住宅を約60戸建設して、来年春3000万円台で三菱商事と共同で分譲する予定になっている。筆頭株主の村上ファンドが収益向上策の一環として保有資産の有効活用を求めていることへの対応だが、怠慢な阪神電鉄経営陣が村上氏に突っつかれ慌てふためいて急遽対策立案した様子が目に浮かぶ。それにしても阪神武庫川線の武庫川団地前駅に隣接して利便性が高い資産を何故20年以上も遊ばせておいたのか理解に苦しむ。利用価値のある不動産も放置してあるだけでは何の利益にもならず、ただ単に固定資産税支出のマイナスにしかならない。他にもこの様な有効活用出来る資産があるのに何もしなかった阪神電鉄経営陣の無策を村上氏に咎められる結果となっている。
新日本無線の株価は流石に今日は下げ、終値は前日比14円安の936円で取引を終えている。昨日村上ファンドの提示した950円よりも高いストップ高の965円で買った方は何を考えているのだろうか?日清紡と村上ファンド間で買付け価格引き上げ合戦になりもっと高く売れると踏んでいるのかもしれない。果たしてそうだろうか?これ以上買付け価格を上げてまでも何が何でもTOBを成立させなければならないほどの企業価値が新日本無線にはあるとは思えない。両者共に馬鹿ではないのでむきになって買付け価格を引き上げるとは考えられない。日清紡が買付け価格を引き上げるかどうか、仮に上げたとして日本無線がどう判断するか・・・さてその先は?まずは近々出ると思われる日清紡の対応が注目される。
今年9月JASDAQに上場した農業資材、鉄鋼建設資材メーカー朝日工業が『1:3の株式分割実施』を発表した。株式分割自体は別に珍しいことではないが、分割基準日が2006年1月10日、効力発生日が翌1月11日になっていることに注目している。一方マザーズに上場しているPCメーカーMCJも『1:3の株式分割実施』を発表している。こちらは分割基準日が2005年12月31日、効力発生日が翌年2月20日と間隔が長い従来のパターンになっている。
現状の株式分割には大きく2つの問題があり、1つは1:100などの大型分割だがこれは現在は1:5までに規制されている。もう1点は分割基準日から効力発生日までの期間が平均約50日と長く、株式分割のマネーゲーム化の要因の一つになっている。これについては現在規制が検討されていると伝え聞く。 朝日工業の場合の様に”やれば出来る”のだから直ちに出来ないはずがない。証券取引法、及び証券取引所の上場規則として『分割基準日の翌営業日を効力発生日』と定めればそれで済む。即刻実施しても何ら問題無しと思うが・・・。
2005.12.07
新日本無線は『日清紡のTOBへ賛同、村上ファンドのTOBへは反対』の意向に変わりがないことを表明した。『日清紡との間にはTOBが企業価値や株主利益の向上に資するという点で共通認識があるが、村上ファンドとの間に信頼関係を築くのは難しい』としている。日清紡からは今のところ村上ファンドへの対応策は出ていない。日清紡によるTOB期限が明日に迫っている。このまま買付け価格880円で押し切る自信があるのだろうか?日本無線が日清紡のTOBに応ずれば、当然の如く村上ファンドは株主代表訴訟で対抗すると考えられる。とすると法廷闘争となるが・・・?ちなみに新日本無線の株価はこの動きに敏感に反応し、終値は前日比51円安の885円と大きく下げて取引を終了している。こうなると(ムードに煽られて)目の前が見えなくなり一昨日ストップ高(965円)で飛び付いた方々が哀れに見えて来る。この世界に手を染める方々には常に冷静さが求められる。
姉歯設計士の構造計算偽造問題の渦中にあるシノケンは『福岡銀行から25億円調達のお知らせ』を開示した。シノケンには”姉歯物件”が8棟あり、既に5棟の解体を決めている。残り3棟については『1棟:正常、2棟調査中』としている。解体決定している5棟に加えて調査中の2棟の合わせて7棟分の買い戻し、及び解体費用として29億円を見込んでいる。4億円を自己資金にて賄い、残り25億円を福岡銀行からの融資を受ける。これで当座は凌げるがその先が問題・・・シノケンの刑事責任が追求されるかどうか不明だが、マンション販売業者としてのシノケンの信用が著しく損なわれたことは間違いない。今後シノケンが経営を立て直して再び軌道に乗せるのは容易なことではない。ちなみにシノケンの株価は様々な思惑から昨日ストップ高(5万円高)の35万7000円をつけたが、今日の終値は前日比1万5000円安の34万2000円で取引を終えている。今日の資金調達の開示を受けて明日株価はどの様な反応を示すのだろうか?
”姉歯物件”の建築確認を行なった日本ERIも刑事責任を追求されるかどうかは現段階では分からない。しかしながらプロの設計士であれば”簡単にインチキを見抜くことが出来た”案件を見過ごした責任は重大と言える。国会の参考人質疑でも鈴木社長は言い訳けに終始していた様に見受けられる。鈴木氏が何と釈明しても『プロの仕事をしていたかどうか』には大いに疑問がある。民間の建築確認検査業務のシェアNo.1の日本ERIがこの有様では何とも頼りない。自治体の建築確認でも見落としが多々あるのでは話にならない。建築確認検査業務の仕組み全体の見直しが図られるのは必至・・・日本ERIにも大きな影響が出ることは間違いない。ちなみに日本ERIの株価もシノケン同様様々な思惑から昨日ストップ高(5万円高)の47万8000円をつけたが、今日の終値は前日比1万8000円安の46万円で取引を終えている。今後の事態の進行如何で株価がどうなるのか予想が難しい。
2005.12.08
11月16日に金融庁から業務改善命令を受けている楽天証券がまたもや昨日、一昨日と続けて『システム接続困難、注文執行の遅延』などのシステム障害を引き起こしている。今年に入ってから多数のシステム障害を発生させているのも関わらず改善の進捗があまりにも遅すぎる。当事者が危機意識を持って問題に対処しているのか甚だ疑問がある。楽天証券は楽天に買収されてからシステム障害が多発している。これは三木谷氏がひたすら”儲け優先”に走っていることによる弊害の表われとも思われる。直接利益に繋がらないシステム改善費用をあまり投じたくないのではとの疑念がある。流石に子会社のあまりのテイタラクは楽天の株価にも影響を与え、今日の終値は前日比2000円安の8万3000円で取引を終えている。
経済原理からすれば企業の経営者が儲けを指向するのは悪いことではない。しかしながら事業の拡大にばかり気を奪われお客様へのサービス、品質保証などの(金が出て行くが目に見えて利益には結びつかない)企業存続の為の重要事項をついないがしろにしてしまうことがある。昨今の幾多の事例にも見られる様にこの辺りをないがしろにすると痛烈なしっぺ返しを喰らうことになる。世の中の経営者の大半はそんなことは充分承知しているはずだが、それでもいつの間にかどこかへ吹っ飛んでしまうことがある。世の中の経営者は常に充分留意しなければならない。
阪神電鉄の株価が後場14時頃から一気に急上昇し久しぶりに1000円を超え、終値は前日比50円高の1005円で取引を終えている。11月末から徐々に上げていたので訝しく思っていたが、ここに来ての材料無しの高騰の背後には明らかに作為的な動きが見える。村上ファンドがこの時期高値で買い付けるとは考え難いので、どこぞの誰かの仕手筋が一儲け企んで値を吊り上げていると見ている。こんな時に調子に乗って手を出すと痛い目に遭う可能性が高い。とにもかくにも危険な動きを示しているので注意深く監視して行くことにする。
などと書いていたら村上ファンドが今日提出した大量保有報告書により阪神電鉄の株式の保有比率が42.36%に増加していることが判明した。経営権取得の意図があるかについては「ノーコメント」としているが、果たして村上氏は何を考えているのだろうか?TOBによらずこの様な方法で買い進めるとは何と汚いやり方と虫唾が走る。経営権奪取が目的でないとすれば何の為にここまで買い増しているのだろうか?世間の注目を集めたのをいいことに好き勝手な悪行の数々には嫌悪感を覚える。やはり市場に救う”★★”としか思えず、こんな醜悪な存在を何とかして排除したいものだが・・・。
アドテックスの株価は長く低迷を続けているが、今日遂に2万円を割り込み危険ゾーンに突入した。終値は前日比810円安の1万9890円で取引を終えている。恐らく今頃は経営陣が資金調達に走り回っていると思われるが、未だに資金繰りの目処がついたとの情報はない。ここはどこかスポンサーが出現して第三者割当増資、あるいはMSCBでも引き受けてくれないことには資金繰りが苦しいと見ている。果たして”救いの神”が出現するのだろうか?かつての『(株)リズデール』の如き得体の知れぬ”胡散臭い偽者”ではなく、真の”救いの神”が手を差し伸べればここにも復活の目があるかもしれない。
みずほ証券が株式の売買注文を入力する際の誤りにより大失態を犯して大騒ぎになっている。今日マザーズに上場したジェイコムの前場の取引で初値67万2000円をつけた直後に異常事態が発生した。みずほ証券の入力担当者が間違えて『とてつもなく安い売値で発行済み株式1万4500株の何十倍もの売り注文を出してしまった』ことが原因と伝えられている。東証関係者はジェイコム株式取引の大量誤発注問題について『誤った注文によって約定された分を取り消すことは民法や商法などの法律を考慮して絶対にしない』と明らかにしている。さてどの様に決着がつくか注目している。
無論間違えてとんでもないデータを入力することにも問題があるが、一方ではそんな異常データを受け付けるコンピュターシステムにも欠陥がある。”人は(故意、過失によらず)ミスを犯す”との前提に立ってシステムを構築しなければならない。基本的な注意事項を疎かにした初歩的なミスが引き起こした異常事態とも言える。この件については状況が明らかになった時点で改めて考察を加える。
2005.12.09
日清紡は『新日本無線に対して実施したTOBが成立』と発表した。11月9日から12月8日まで880円/株で募集し、買い付け予定数1975万6000株を上回る1975万8000株の応募があった。日清紡は予定通り1975万6000株を取得して新日本無線の発行済み株式の52.7%を保有する。約175億1300万円を投入して新日本無線の連結子会社化することに成功した。尤も経営権取得目的なのでTOBの形をとったが、実質的に相手は日本無線ただ1社でここが応諾するかどうかだけが成否の鍵だった。そこへ村上ファンドが横槍を入れて紛糾したが、今回の日本無線の対応で一応の決着が着いた。ちなみに新日本無線の株価は取り敢えずの”一件落着”を受け今後の買いが期待でないとして続落している。終値は前日比14円安の867円で取引を終えている。
日清紡の買付け価格を70円上回る価格を提示しながら日本無線から全く無視された村上氏がこのまま黙っているとは考えられない。結局村上氏が送付した質問書に対する回答は無く、また再三に亘る話合いの申入れにも応ずることはなかった。完璧に”面子を潰された”形の村上氏の次の一手に注目が集まる。このままでは”凄腕の”相場師としては引っ込みがつかない。さて派手に喧嘩を吹っ掛けた村上氏は落とし前をどの様につけるのだろうか?
昨日村上ファンドは『日本無線取締役会の決定はまさに驚天動地であり、日本無線株主の利益を無視した決定は、取締役による株主への裏切り行為であり絶対に許されてはならない。今後も日本無線取締会に対して納得のゆく説明を求めると共に、取締役の責任追及も含めて徹底的に戦っていく。』と日本無線を強烈に批判した。謂わば村上ファンドの「宣戦布告」とも言える意思表示で株主の権利を主張している。だがちょっと待てよ・・・何か可笑しいのでは?
以前にも記述したが、 金融庁の見解では『投資ファンドの実質的な株主はファンド出資者。議決権はファンドに無い。ファンドは窓口に過ぎないから主要株主とは見なされない。だから規制も適用されない』とある。とすれば村上ファンドは株主ではなく”単なる仲介人”に過ぎない。株主の権利行使は村上ファンドへの出資者にあり、村上ファンドには何ら権限がないと言うことになる。そんな権利の無い者が声高に権利を主張することには矛盾がある。権利を主張する時は「株主の権限を利用」しているのも関わらず、一方では都合が悪くなると「窓口だから」と逃げるのでは最低と言わざるを得ない。あくまでも村上ファンドが窓口と言うことであれば当然株主としての権利行使が制限されて当然と考える。
3万円そこそこに貼り付いていたドリームテクノロジーの株価が後場13時30分頃から急上昇して一時3万3850円をつけた。どこぞの誰か仕手筋が仕掛けたのか、はたまた”平成電電スポンサー決定”の噂でも駆け巡ったのか・・・何にせよ現在のドリームテクノロジーは幾らでも罠を仕掛けることが可能な状況にある。こんな時にうっかり誘いの隙に乗ると大怪我することがあるので用心が肝要・・・。ちなみに大引け20分ほど前にドカンと急落したが、それでも終値は前日比1450円高の3万2550円で取引を終えている。
昨日のみずほ証券の大失態による異常な取引で市場を大混乱に陥れたジェイコムの株式取引は終日売買停止となった。更に週明けの取引も白紙になっている。『みずほ証券が市場から少しでも多くの株式を取得すると見た投資家が投機的な買い注文を集中すれば市場の混乱が続きかねない』としている。こんな異常事態ではまともな取引が出来るはずがなく当然の処置と言える。少なくとも昨日の異常な取引の清算が終了しなければ取引再開などあり得ない。馬鹿げた取引を遡って無効にするのは難しいのだろうか?こんなことが何度も繰り返されると何か割り切れない感じがある。
みずほ証券は誤まってジェイコムの発行済み株式数の42倍!に相当する61万株もの売り注文を出してしまった。その後気がついて買い戻しを行なったが、正確には分からないが10万株以上買戻し出来なかったと伝え聞く。実際には存在しない株式取引が成立しているのだから、みずほ証券が昨日買い戻し出来なかった分の株券を決済日(12月13日)に買い手に渡せるはずがない。みずほ証券と東証は『(相場の変動などで決済不能になった場合に適用される)買い手に売買契約を一定の値段を決めて差金決済(強制決済)する方法』の適用を検討している。
コノピューターシステムの不備と人間の(愚かな)ミスの連鎖が引き起こした不祥事の代償はあまりにも大きい。Man-Machine Interfaceを考慮して抜本的な仕組みの改善を図る必要がある。さもないと”愚かな”人間は何度も同じ過ちを繰り返す。”人間とは頼りなく危うい存在”と言うことを肝に銘じなければならない。
2005.12.10
12月8日ダイナシティは『ライブドア・グループとの資本・業務提携に関する基本合意及び主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ』を開示した。12月中旬にライブドアの組成するファンド「EFC投資事業組合」が中山諭前社長、中山豊現社長の保有株式21万1320株(発行済み株式の21.52%)を取得し筆頭株主になる。現状ではライブドアから”役員を送り込むが社長の交代はない”としている。加えてライブドアから200億5000万円が資金投入される。6月末に中山諭社長(当時)が覚醒剤取締法違反で逮捕されるとの不祥事があり、資金繰り悪化で早急にスポンサーを必要としていた。そこに(フジサンケイ・グループから掠め取った巨額資金で懐が潤沢な)ライブドアが”救いの神”としてダイナシティの前に現われた。尤も今回の資本提携は両者にとってはMeritがあるかもしれないが、株主にははた迷惑な存在になる可能性の方が高い。
200億5000万円の内訳はMSCB200億円、修正条項付新株予約権5000万円となっている。12月26日にライブドア証券、EFC投資事業組合が各々100億円払い込み、翌12月27日以降2008年12月25日までに権利行使出来る。当初転換価額は3万3300円だが、毎週VMAP方式で転換価額が修正される。また下限転換価額9900円、上限転換価額3万6330円と定められている。毎度のことながらMSCB引受け先には有利な条件・・・つまり確実に儲かることになっている。ライブドアは自ら発行したMSCBでリーマン・ブラザーズに巨額の利益を提供している。それ以降次々にMSCB引受け先となり利益を捻出している。アドテックス:15億円、プラネッケックス・コミュニケーションズ:20億円、Yozan:120億円、そしてダイナシティ:200億円・・・引受け金額が増大しそれに伴い利益も大きくなる。極めて不愉快なことにライブドアは見事な?学習効果を今後も活用し、既存株主に犠牲を強いてMSCB引受け先として活躍?の場を拡げて行く。
ところでダイナシティの昨日時点の時価総額は282億4300万円・・・そこに200億円のMSCBが株式転換されて市場で売却されたらどうなるかは明白。既存株式の大幅な希薄化が進行する可能性が極めて高い。即ち既存株主に対して大きな犠牲を強いる罪作りなMSCBの本性が剥き出しになる。ちなみにダイナシティの株価は既存株式の大幅な希薄化への懸念が強く、終値は前日比2650円安の3万650円と大きく下げて取引を終えている。週明けからの株価動向が注目される(株価推移に追加)。
発行済み株式をはるかに上回る取引が行なわれたジェイコムには、結果として実在しない株式を保有する”架空の大株主”が存在する。誤発注したみずほ証券が慌てて買い戻しを行なったものの、未だに10万株以上もの大量の株式が売買成立状態にある。ところがジェイコブの発行済み株式は1万4500株、そして初日に流通している株式は最大3000株に過ぎない。然るに大量の”幽霊株式”を保有する大株主が”雨後の筍”の如くあちらこちらから出現したのだから何とも奇妙としか言い様がない。
12月8日の取引状況によると、みずほ証券が47万株を買い戻した9時37分までに1000株以上の買い注文が約60件成立している。多くは証券会社のトレーディング部門が短期の利鞘を稼ぐ為に買い注文を入れたと見られる。この他に情報をいち早く察知した個人投資家も買い注文を出していると見られる。大量売買の実態の一部が大量保有報告書の提出で明らかになって来ている。アメリカの投資会社モルガン・スタンレーが4522株(発行済み株式の31.19%)、野村證券が1000株(同6.90%)、また株数は不明だがインターネット証券取得している。呆れたことに”架空の大株主”の保有比率を全て合算すると100%をはるかに超える。
野村證券、モルガン・スタンレーなどがみずほ証券の発行済み株式/流通株式の数量を知らなかったとは言わせない。何時でもどこでも常にアンテナを張り巡らせている証券会社がこんな基本的事項を知らないはすがない。みずほ証券の異常な売り注文が出た時点でモルガン・スタンレーなどは即座にミスに気がついたが、知らん顔をして平然と大量の買い注文を入れたと考えられる。
無論一義的には最初に重大なミスを犯したみずほ証券に責任がある。しかしながら同業の他証券会社のミスに乗じて暴利を貪るとは何と阿漕なやり方…モルガン・スタンレーなどはまさに『確信犯』以外の何者でもない。ライブドアのニッポン放送乗っ取り騒動、楽天のTBS乗っ取り騒動の時にも感じたが、”火事場泥棒的”な行為の背景には『法に触れなければ何をやっても良い』との思考が根底にある。恐らく差金決済により金銭での決着が図られることになると思われるが、こんな阿漕な輩に金銭補償とは”泥棒に追い銭”の様に思えて気分が悪い。
そもそもこんな異常な取引が成立すること自体がおかしい。人間のミスが介在したとは言ってもこの様な異常事態発生を防止できなかったのは『取引の仕組みの構造的欠陥』と断じる。人間の愚かさを露呈した典型的な出来事と言える。さて週明け早々に東証は異常事態への具体的な対応を決定する。まずは緊急に異常事態の収束を図り、次に恒久的な再発防止策の立案/実施が求められる。
ところで事態を何とか収束できたとして、その後まともな取引が出来るかどうか?マークがつく。投機的な動きが出て株価が異常な動きを示して大混乱することもあり得る。そこで一旦ジェイコムを上場廃止にすることは出来ないのだろうか?そこであるストーリーを考えてみた。さて・・・?
@ 既に市場に出回っている株式についてはみずほ証券が77万2000円+αで全て買取る。
A 公募で入手した方々の手元にある株式もみずほ証券が同値で全て買取る。
B みずほ証券は回収した公開株式(最大3000株)を無償でジェイコムに返還する。
C この時点で市場に流通するジェイコム株式は0・・・つまり上場廃止基準に抵触する。
D 一旦ジェイコムを上場廃止にする。
E 然るべき冷却期間をおいて再上場を検討する。
2005.12.11
証券取引法により『東証の子会社の日本クリアリング機構に証券取引の決済に関する権限』が与えられている。同機構の規定には「天災や経済情勢の激変が起こった場合には機構の取締役会の決議で決済条件を変更出来る」と定められている。今までにこの規定を適用したことはない。しかしながら今回のみずほ証券の大失態はあまりにも規模が大き過ぎて、同機構は収束させるのが困難と判断していると見られる。どうやら証券取引史上初めてこの規定が適用される可能性が高い。東証、日本クリアリング機構、みずほ証券の三者はジェイコム株の決済日である12月13日に向け、『非常時条項』に基づく現金決済の具体的な仕組みや決済価格の決め方を協議している。具体案が固まり次第早ければ今日にもみずほ証券が同機構に適用申請する。明日には同機構から実施を正式決定する。どの様な内容になるのか注目が集まる。
今回の有力な収束策として検討されているのは『強制解け合い』と伝え聞く。解け合い・・・天変地異などによる相場の激変や、仕手戦の激化により市場の収拾が付かなくなった場合、混乱を収拾するために売買当事者の協議や監督官庁の命令や取引所の仲介などによって一定の価格を設定して決済すること。話し合いによる任意解け合いや当局の命令による強制解け合いなどがある。今回の混乱の大きさからすれば”上意下達”で何人にも有無を言わさず強権発動する可能性が高い。任意の場合では+α次第では株主らが同意しない可能性もあるが、強制となれば同意がなくても執行出来る。今回任意にすれば買取り価格で紛糾することは必至・・・。一刀両断の速攻で事態の早期収束を図り、然る後に責任追及、再発防止を進める必要がある。
強制差金決済になった場合にはやはり決済価格をどうするかが問題になる。基準になるのは12月8日の終値77万2000円になるが、まさかこのまま決済価格にすることは出来ない。迷惑料(慰謝料?)的な金額を上乗せしないと決済に応じる方としては納得出来ない。みずほ証券の損失が+αが大きくなればなるほど膨らむことになるので、実際に+αをどの程度にするか非常に難しい。値幅制限の上限10万円、あるいは2営業日ストップ高の20万円分上乗せとの案が出ているとされるが、正式発表があるまではどうなるか見当がつかない。仮に10万円の上乗せで10万株対象となると、それだけでみずほ証券の損失は100億円膨らむことになる。何にせよみずほ証券は自らのミスで『巨額の損失に加え企業としての信用喪失』との手痛い打撃を蒙った。みずほフィナンシャル・グループが全面的に支援するとはしているが、みずほ証券の今後には”茨の道”が待ち構えている。
それではこの規定が適用されない場合はどうなるのだろうか?決済期限までに有価証券の引渡しが行なわれない『フェイル(証券決済未了)』状態になる。この場合日本クリアリング機構は決済日の翌日(今回は12月14日)以降、買い手の請求に応じてジェイコム株式を市場外取引にて購入して引き渡さなければならない。みずほ証券は購入代金に加えて全ての買い手に株式が引き渡されるまで、100円当たり4銭/日の遅延損害金を同機構に対して支払わなければならない。ところが発行済み株式数(1万4500株)をはるかに上回る10万株を超えるフェイル状態とあっては決済手続き完了は事実上不可能と言える。こんな状況を放置する訳けにも行かず、東証、同機構は(緊急避難的にはなるが)強制決済による対応を検討している。とにもかくにも異常事態への対応策が決まるまではジェイコブ株式の売買停止が解除されることはない。
『平成電電の再建支援企業にドリームテクノロジーが内定』と日本経済新聞が報じている。事実とすれば親子関係が逆転することになる。最終入札でソフトバンクよりも高額を提示したとされる。『平成電電はドリームテクノロジーとともに来年1月までに再生計画案を固め、来年3月ごろに開く債権者集会で再生計画案の可否を問う』とある。問題になっている平成電電匿名組合については何も触れられていないが、この取扱いも再生に向けての大きな焦点の一つになる。今のところ日経の報道しかないが、どこぞの関係筋からのリークがあったのだろうか?時としてこの様なスクープ?記事は取材した記者の推測/思い込みなどにより、結果として”ガセ”になる可能性もある。正式発表があるまでは正確には分からない。
それにしても2005年12月期の連結売上高:197億6100万円、最終損益:213億600万円と赤字見通しの企業が再生スポンサーとは奇異な感じがする。そこでここにも昨今世間を騒がせている村上氏が登場すると思わず「なるほど、そう言うことか」と妙なところで納得する。嗅覚鋭く何かを嗅ぎ付けた村上ファドが50億円の第三者割当増資に応じて出資比率27%の筆頭株主になっている。更にまもなくCB97億円を引き受け、合わせて147億円が投入される。(日経報道が事実と仮定して)ドリームテクノロジーが平成電電の再生スポンサーになることを予め掴んでいた村上氏が「ここに手を出せば必ず儲かる」と目をつけたのでは?と勘繰りたくなる。村上氏登場のタイミングが良過ぎて益々胡散臭く感じる。ドリームテクノロジーが再生スポンサーに決定で株価上昇となれば、予め安く仕込んでいる村上氏の更なる大儲けと相成る。また某掲示板では”欲の皮の突っ張った”方々が日経報道に舞い上がり早くも”取らぬ狸の皮算用”をしている。さて目論み通りになるかどうか・・・興味が惹かれる。
堀江氏の持ち馬『ホリエモン』が高知競馬第5R(ダート:1000m)に出走し、好スタートからハナを奪い1分5秒0、2着に3馬身差をつけて力強く押し切った。これで2勝となるが、今日の勝ち方からするとクラスが上がっても当面は充分に戦える。人間の「ホリエモン」を応援することは全くあり得ないが、馬の『ホリエモン』はこれからも応援して行く。高知競馬振興の為にも勝利を重ねて早くスターホースになって欲しい。ところで堀江氏が高知競馬支援に名乗り出てから1年経過したが、未だに何も具体的な取組みが出て来ていない。あまりにも遅すぎる進行状況では堀江氏に本気で支援するのかどうか疑わしい。真面目に取り組めば直ぐに結果が出せるはず・・・打算的な堀江氏が”高知競馬に美味しさ無し”として放置しているとしか思えない。