2006.1.16

 NHKの午後4時のNewsで『証券取引法違反でライブドアを強制捜査』が流れて大騒ぎになった。当初のNHKの報道では東京地検特捜部が今日証券取引法違反の疑い(株式分割を巡る不正)でライブドアの捜索に乗り出した」と報じている。「堀江氏などが虚偽の事実を公表してライブドアなどの株価を吊り上げていた『風説の流布』の疑いがある」とされる。東京地検特捜部はライブドア本社などの捜索令状を取り、今日夕方(18時半頃)家宅捜索に着手した。家宅捜索はライブドア本社、ライブドア・マーケティング、堀江氏自宅など10数ヶ所で行なわれている。思わぬところからライブドア、堀江氏などに司法の手が入り、突然の思わぬ展開に驚いている。

 どの様な『風説の流布』なのだろうか?その後の報道から要約すると次の通り。2004年10月ライブドアの子会社
バリュークリック・ジャパン(現ライブドア・マーケティング)は株式交換により(株)マネーライフを完全子会社にしている(こちら 参照)。マネーライフ社買収に際して堀江氏などが虚偽の情報を公表してライブドア、バリュークリック・ジャパンの株価を吊り上げた『風説の流布』の疑いが持たれている。『風説の流布』は相場を変動させるために虚偽や未確認の情報を流す行為が該当し、違反すれば5年以下の懲役か500万円以下の罰金が科せられる。

 具体的にはどの様な疑惑があるのだろうか?まず株式交換については『マネーライフ社株主に対して自社株式の代わりに契約時に定めた株価から算出した現金を渡した』とされる。つまり”
株式交換の事実は無い”との疑いが持たれている。またマネーライフ社はそれ以前にライブドアが実質支配する投資ファンド「VLMA2号投資事業組合」により既に買収されており、子会社化発表の際にはこれを隠して虚偽の事実を公表した『偽計』の疑いが持たれている。更に2004年11月ライブドア・マーケティングはマネーライフ社に架空売上げを計上で利益を偽装し「完全黒字化」と虚偽の事実を公表したとされる。ところでこれらのことが事実とすれば上場廃止基準(マザーズ)に抵触するのではなかろうか?

 突然の強制捜査に見えるが、実際には数ヶ月前から東京地検特捜部が用意周到に極秘捜査を進めていた。そして何らかの手段(内部告発?)で裏付けをとり容疑を固めたに違いない。ところで果たして強制捜査の狙いはこれだけだろうか?
今回の容疑を突破口にして「何か大物を釣り上げ様としているのでは?」とは考え過ぎ・・・?何にせよ今後の捜査の進展が注目される。

 プロ野球参入騒動、ニッポン放送乗っ取り騒動などで抜群となった知名度を活用して業績を順調に伸ばして来たライブドアだが、調子に乗り過ぎて”
出る杭は打たれた”様にも見える。「時価総額で世界一を目指す」と自信溢れる堀江氏の進退問題に波及する可能性が高い。今回の一件で堀江氏の信用は著しく失墜することになり、順風満帆に見えた成長戦略に暗い影を落とすことは間違いない。

 ところでライブドアグループはライブドアなど5社上場しているが、明日以降の株価はどうなるのか注目される。明日は機関投資家の見切り売り、個人の狼狽売りなどが殺到してストップ安の可能性もある。それに加えて
ライブドア・ショック”が好調な新興市場、更には市場全体に大きな影響を与えることも考えられる。これでまたライブドア周辺から目が放せなくなった。事実関係が明確になるまで当面追跡する。

 
ペイントハウスの株価は先日の『特定調停不成立』を受けて前場は、893円で寄り付き直後1000円まで上昇と荒っぽい動きを示した。後場は950円前後の小幅な動きのまま終値は前日比75円安の948円で取引を終えている。ストップ安(200円安)にならなかったのが不思議に思えるほどペイントハウスの状況は追い込まれている。そもそも「借金返せないから棒引きしてくれ」とはあまりにも自己中心の身勝手な言い草・・・債務超過は必至で上場廃止どころか企業存続の危機もあり得る。果たして”火中の栗”を拾ってくれる助っ人が現われるのだろうか?

 2006.1.17

 
堀江氏は記者会見で今後の事業運営について「事業に問題はない。今まで通り事業の拡大に努めたい」との認識を示した。一応強気の姿勢を示しているが、本音はどうなのだろうか?ライブドア・グループ、堀江氏の社会的信用は大きく失墜しているので、少なくとも新しい事業分野への拡大は難しいと思われる。既存分野についても堀江氏が用いた(脱法行為すれすれの)強引な手法に対する風当たりは益々強まると考えられるので、ライブドア・グループとあるだけで何かと営業がやり難くなる事態が充分に予想される。何にせよ”時代の寵児”ともてはやされた堀江氏も流石に今度ばかりは苦境に立たされている。

 
事態の進展によっては堀江氏自身に捜査の手が及ぶ可能性がある。ライブドア・グループは実質的に堀江氏の独裁支配であり、経営に関する重要な決定が堀江氏抜きで行なわれたとは到底考えられない。ライブドア本体の重要な決定は堀江氏などのごく一部の幹部による投資委員会が行なっている。更に子会社の重要事項の決定には堀江氏の意向確認が必要不可欠とされる。これらの体制、意思決定のプロセスなどはかつての西武グループの堤独裁体制と同じであり、全く歯止めが利かず暴走を止められない悪しき結果を導き出す可能性が高い。そんな状況下で堀江氏が「部下がやったこと」として知らぬ存ぜぬで通用するはずがない。”トカゲの尻尾切り”の如く他の幹部に責任を押し付けて逃げ切ることは出来ない。近々今回の容疑の主導的役割を果たしたとされる堀江氏、側近の宮内氏、岡本氏からの事情聴取が行なわれる。その行方も注目される。

 
東京地検特捜部が摘発に乗り出すのはそれだけで並の事件ではないことを物語っている。ロッキード事件、リクルート事件など東京地検特捜部が関わった重大事件を思い出して頂きたい。どれも世の中を揺るがす大事件に発展している。特捜部が先の見通しもなく闇雲に突っ走るとは考え難い。今回まずは子会社の不祥事の摘発で始まったが、これでだけで全てが終わるとは思えない。何かとてつもなく大きい本命が飛び出して来ると見ている。果たしてどこまで発展するのか今後の展開は如何に・・・?

 昨日の予想通り
ライブドア・グループの株式には売りが殺到し5社全てストップ安となった。ライブドア100円安(終値:596円)、ライブドア・マーケティング1000円安(終値:5150円)、ライブドアオート80円安(終値:293円)、ターボ・リナックス5万円安(終値:37万9000円)、セシール200円安(終値:1000円)と総崩れ・・・。特に今回直接の摘発対象のライブドア・マーケティングとライブドア本体は非常に厳しく、どこまで株価が下落するのか予測が難しい。それにライブドアの不祥事によるマイナスイメージが(現時点では直接関係のない)ライブドアオートなど3社の株価にも悪影響を与えている。

 ライブドアのストップ安は取引が成立したのではなく、大引けで80万5786株が比例配分された。
2億5934万株の売り注文残とは何とも凄まじい。この売り残しは半端ではなく簡単に捌けるものではない。明日のストップ安は言うまでもなく少なくとも今週一杯のストップ安の可能性すらある。近頃の株価上昇で調子に乗っていた方々は今頃”泣きの涙”と思われる。ライブドア・マーケティングは直近の上場廃止の可能性もあり更に危ない。堀江氏を盲目的に支持して来た方々はどんな心境なのだろうか?堀江氏のブログにはこの期に及んでも「頑張ってください」などの応援の声が多数寄せられている。救い様のない”懲りない面々”の多さにはただただ呆れるばかり・・・。

 更に
追い討ちをかける動きがある。マネックス証券はライブドア・グループの5銘柄の代用有価証券掛目をゼロに引き下げると発表した。今日の大引け後の評価から即実施された。明日以降これらの5銘柄を担保に信用取引を行なっている投資家は、担保価値に見合う現金を差し入れるか、あるいは建玉(=決済が未了である約定に係る数量)の整理を迫られる。今のところマネックス証券1社のみだが、他の証券会社が追随することも充分に考えられる。そうなれば信用取引に絡む投売りがより一層加速することも考えられる。5銘柄の株式を保有している方々には”眠れない夜”が続くかもしれない。

 ライブドア・グループが第三者割当増資、あるいはMSCBを引き受けている銘柄もモロに”ライブドアショック”の煽りを受けてストップ安となった。メディア・エクスチェンジは26万3000円売り気配で取引成立せず、Yozan4000円安(終値:3万6750円)、ダイナシティ4400円安(終値:3万6600円)、ドリームテクノロジー3000円安(終値:2万3310円)とこちらも惨憺たる有様・・・。ライブドアが日の出の勢い時にはライブドアの関与を歓迎し『ライブドア銘柄』としてもてはやされ株価が上昇したが、不祥事が発覚して一転『ライブドア銘柄』が逆に重荷となってずしりと圧し掛かって来ている。もしかしたら明日以降も当面厳しいかもしれない。

 今回の不祥事が
セシールの社長人事にも大きな影響を与えている。ライブドア・マーケティングが過半数超のセシール株式を取得して子会社としており、1月20日付けで岡本氏の社長就任が内定していた。ところが捜査対象がライブドア・マーケティング、更に岡本氏にまで及ぶのでは事情が変化した。この時期岡本氏の社長就任とはあまりにも具合が悪過ぎる。セシールは1月20日に臨時株主総会、取締役会を開催して社長交代を決める予定になっているが、この不測の事態を受けてどの様に対応するのだろうか?猪瀬現社長など現経営陣が対応を協議しているが、かなり苦慮していることが容易に想像出来る。もしかしたらライブドア・グループからの役員送り込みの中止、及び社長以下経営陣の続投となる可能性が高いと推察している。

 このところのライブドア株価の大幅上昇で
フジテレビには500億円を超える含み益が出ていた。ところが今回のライブドアの不祥事で状況が激変、もしかしたら更に下落が続き取得価格(=329円)を下回り含み損になる可能性がある。ちなみに約1億3400万株保有しているので、今日だけで約134億円!目減りしたことになる。おまけに和解時の契約で2007年9月末までライブドア株式を(同意無しには)売却出来ない。『ライブドア株価の急落による損失懸念に加えて、(業務提携の中身はともかく)ライブドアとの業務提携がフジテレビにとりマイナスに働く』との観測(中堅証券関係者)がある。フジテレビの株価は1月に入ってから30万円以上を維持して好調で昨日の終値は32万1000円をつけていたが、今日はと2万9000円下げて29万2000円で取引を終えている。明日以降”ライブドアショック”のここへの影響がどこまで続くのか読み難い状況になっている。

 ライブドア強制捜査から一夜明けて、
東京株式市場には”ライブドアショック”の大波が押し寄せほぼ全面安の展開となった。東証1部の日経平均株価終値は前日比462円08銭安の1万5805円95銭で、2004年5月10日(554円安)に次ぐ大きな下げ幅となった。またTOPIXも38.4ポイント安の1631.61と大きく下げている。同様に新興市場マザーズの株価指数は前日比329・17ポイント安の2469.89と、2003年9月に指数算出を始めて以降最大の下げを記録した。またJASDAQの株価指数も前日比230.07ポイント安の2812.80と大きく下げた。ライブドアの不祥事は”バブル状態”かの如く好調だった市場全般に冷水を浴びせる結果となった。今回のダメージの深さはまだ分からないが、もしかしたら立ち直るのには暫く時間を要するかもしれない。

 2006.1.18

 ライブドアの疑惑が更に広がりを見せている。『
2004年9月期決算で実質的に傘下にある複数の会社の利益を自社の利益に付け替え、経常赤字のライブドア単独決算を約14億円の経常黒字に粉飾』と報じられている。昨日東京地検特捜部はライブドアの会計監査を担当していた港陽監査法人の家宅捜索を行なっている。直接の容疑はライブドア・マーケティングの件だが、当然ライブドア本体の粉飾決算も視野に入れている。この報道を見て『やはりこちらが本命では?』との感を強く持つ。

 ライブドアの2004年9月期単独決算では実際には10億円程度の経常赤字だった。ところが消費者金融会社「ロイヤル信販」(現ライブドアクレジット)、結婚仲介サイト運営「キューズ・ネット」などの利益の一部をライブドア本体に利益付け替えして約14億円の経常黒字を計上した。ライブドア・グループ全体では黒字で問題はなかったが、
何故この様な粉飾決算に手を染めたのだろうか?当時ライブドアはプロ野球新規参入を巡り楽天と激しく争っていた。審査では「親会社の経営の安定性」が重要視されるが、ライブドア本体が赤字では具合が悪く楽天相手に不利になると考えたと推測される。更にライブドア本体の株価が下落に繋がってはまずいと考えたのかもしれない。あまりにも激しい急成長で常に無理な背伸びをしなければならない状況に追い込まれていたのだろうか?

 今日東証はこの報道を受け、「投資家の投資判断に重大な影響を与える恐れがある」としてライブドアに詳細な事実関係の説明を求めている。今後の捜査の進展にもよるが、
東証は上場廃止も含めて検討する方針を示している。東証の西室社長は記者会見で「規定に抵触するなら上場廃止を即日決定せざるを得ない」と述べた。間違いなくライブドアは厳しい状況に追い込まれつつある。

 
東証は14時40分自らの判断で全銘柄(2409銘柄)の取引を停止した。”ライブドアショック”により個人投資家などの小口売り注文が殺到して、14時25分頃には約定件数が400万件とシステムの処理能力を超える緊急事態となった。証券取引所が自らの判断で株式売買を全面的に途中停止するのは取引所開設以来初めての異常事態・・・。こんなことでは回復の兆しが見える日本の株式市場の足を引っ張ることになりかねない。それでだけではなく昨今の証券取引所のシステム関連のトラブル続出とあっては、日本の株式取引制度への信用低下は免れない。東証のみならず全ての証券取引所は信頼回復の為に腰を据えてコトにあたらなければならない。ここに来て”ライブドアショック”とのダブルショックなど幾つかの要因が重なり、海外投資家の『日本売り』が加速することも予想される。株式市場を巡る状況は厳しく予断を許さない情勢になりつつある。

 ライブドアと共同出資でインターネット専業銀行の設立を計画している
西京銀行は、『捜査の状況次第ではライブドアとの業務提携解消』の方針を明らかにした。ライブドアを巡る不祥事が大きな社会問題となっている現状では極めて当然の判断と言える。最終的には捜査の進展を待たなければならないが、恐らく提携解消となる可能性が高くライブドアは念願の『銀行業への参入による業績拡大』は露と消える。 尤もライブドア・グループはグループの存続が危ぶまれる現状では銀行設立どころではないが・・・。

 現在金融庁は両者のネット銀行設立申請に対して非公式のヒアリングを実施している。銀行法では
第4条第2項で新規免許申請があった場合の適合基準を定めている。適合基準は1〜3あり詳しくは銀行法を参照されたい。要件2の二の最後に『十分な社会的信用を有するもの』とある。東京地検特捜部の捜査状況を睨みながら金融庁はライブドアが銀行業者として適格か否かを判断することになる。となれば金融庁の最終判断が下されるのはかなり先になると見られる。尤もそれ以前に西京銀行がライブドアとの業務提携解消を決断し申請を取り下げる可能性が高いが・・・。

 
ライブドア・グループの5銘柄は全てストップ安売り気配のまま終了している。果たして(比例配分ではなく)いつ値がつくのだろうか?特に疑惑の渦中にあるライブドア、ライブドア・マーケティングは上場廃止の懸念があり、現段階ではどうなるのか予測出来ない。また昨日に引き続きダイナシティ、ドリームテクノロジー、Yozan3社はストップ安、メディアエクスチェンジがストップ安売り気配とは・・・想像を絶する影響の大きさを物語っている。

 2006.1.19

 『
フジテレビがライブドアの証券取引法違反事件を受け同社との業務提携を解消する方針』と報じられている。また昨年12月フジテレビの山田常務(番組制作・編成担当)がにライブドアの非常勤取締役に就任しているが、「株主代表訴訟などに巻き込まれるリスクが高く、公共性が問われる放送事業者として影響が大きい」として1月中に取締役辞任を申し入れる。フジテレビは(はっきり言えば)嫌々ながら資本・業務提携に応じていたので、今回の疑惑の浮上でライブドアが”歓迎されざる客”として排除の動きに出ることは充分に予想される。下手に関わりを持っていると、今後思わぬ”火の粉”が飛んで来てフジテレビに災難が降りかかる恐れもある。早い内に関係を断ち切っておくのが得策と考える。

 フジテレビは昨年の和解でライブドア株式1億3374万株を取得している。その際の契約で2007年9月末まで(同意無しには)売却出来ない。今回の不測の事態にも関わらず、フジテレビは資本提携に関して如何ともし難いと思っていたが必ずしもそうではないことが分かった。両者間の資本・業務提携契約には『
表明・保証』がある。『表明・保証』とは聞きなれない用語だが何だろうか?『契約の当事者が当該契約に関して「法令等の違反がないこと」などを互いに表明し保証する』ことを意味する。もし片方に重大な違反行為があれば『表明・保証』違反となり、相手側は契約を解消することが出来る。となると今回の場合ライブドアに重大な違反行為ありとなれば和解時の契約全てを解除することが出来る。このままライブドアの株価が下落して329円(フジテレビの取得価格)を下回れば、フジテレビは含み損を抱えることになる。資本提携に関して今後フジテレビがどの様に動くか注目される。

 
この種の事件でまたもや犠牲者が出た。昨日午後那覇市内のホテルでHS証券の野口副社長が腕や手首を切り倒れているのを発見され約1時間後に出血多量で死亡した。那覇署は遺書が無くホテルの部屋に荒らされた様子がなかったことなどから自殺と見ている。ところでこの種の事件で犠牲者が出て自殺と報じられると、(へそ曲がりな私には)毎回「本当に自殺?」との疑念が湧く。人は自らの命を犠牲にしてまで誰か(その人にとり大事な人)をかばうものだろうか?どう考えても誤まった忠誠心以外の何物でもなく、そんなことをしても”無駄死”にしか思えない。(TVドラマのサスペンスの様に)実は何者かが裏から手を回して”口封じ”したのでは?と考えてしまう。

 野口氏の経歴を簡単に紹介する。国際証券(現三菱証券)を経て2000年「オン・ザ・エッヂ」(現ライブドア)に入社し、子会社キャピタリスタ(現ライブドアファイナンス)の社長を務めた。「オン・ザ・エッヂ」のマザーズへの上場準備に関わるなど堀江氏の側近の役割を果たしていた。その後2002年6月にHS証券へ入社後、HS証券系列のHSインベストメント社長就任、次いで昨年6月HS証券副社長に就任した。

 野口氏は、HS証券入社後もライブドアの堀江氏、宮内氏とは親交があり、ライブドアのM&Aについて主に宮内氏と連絡を取り合っていたとされる。HS証券系列の投資事業組合が今回のライブドアの疑惑に関与したと報じられている。野口氏は投資事業組合の運営に関与し、ライブドア側の指示を受け担当者に契約書の作成などを行わせていたとされる。
野口氏の経歴、携わった業務からすれば、当然ライブドアの疑惑に何らかの関与があったのでは?と疑われる。野口氏の死により野口氏への疑惑がより一層深まることになった。まさに”死人に口無し”で、永遠に野口氏の弁明の機会は失われた。何か重要な事実を知っているのであれば、誰かに義理立てせずに洗いざらい喋って欲しかった。

 今日の早朝
ライブドアとライブドアマーケティングは今回の疑惑に関する現時点での社内調査結果を発表した。買収を巡る情報公開、買収と同時期に実施の株式分割には問題がないとを主張している。現時点ではまさか事実と認めるはずがなく、予想された調査結果であり信用には値しない。随分と手際のよい発表だが、まさか今回の捜査が”想定内”・・・のはずはない。東証では説明不充分としているので追加で報告しなければならないが、どんな報告が出されるのか注目している。東京地検特捜部の捜査中でもあり迂闊なことも言えず、今頃ライブドアでは幹部が頭を突き合わせて苦慮しているのでは・・・?

 両社からの調査結果の提出を受けて、
東証の西室社長は「まだまだ不十分。追加の情報開示を求める」としている。更に「(幹部役員が)逮捕という事態になった場合、逮捕理由や罪名がクリアに説明いただければそれだけの情報でも動ける」として、違反事実が確認されれば上場廃止あり得るとの認識を示した。また「東証の原則は参加者からの報告に基づいてということになっているので、報告できない事態に陥っているという判断が1つあれば客観的な状況で判断することはあり得る」とした。何やらまわりくどい言い方で分かり難いが、早い話が(適切な)報告がなければ(出来なければ)上場廃止の判断もあると言っている。とにもかくにも両社は土俵際まで追い込まれ絶体絶命に近い状況にある。

 
メディア・エクスチェンジはライブドアの疑惑の煽りをモロに受け、『臨時株主総会の開催中止に関するお知らせ』を開示した。2月下旬の臨時株主総会にて新取締役選任を予定していたが、現状では親会社のライブドアから招請出来る状況ではない。当面現経営陣の継続になるが、将来的にライブドアとの関わりがどうなるか不透明では不安要素が多い。株価は”ライブドア・ショック”の煽りをまともに受け、3営業日で通算13万円と大きく下落している。3営業日ぶりに値がついたが、終値はストップ安(3万円安)の18万3000円で取引を終えている。尤もライブドアによる子会社化発表以前には株価が13万円前後だったことからすれば、”ライブドア効果”によるバブル状態から元に戻りつつあるとの見方が出来る。

 
ライブドア、ライブドア・マーケティング、ターボ・リナックス、ダイナシティ、Yozanの株価は3営業日連続のストップ安で取引を終えている。特に疑惑の対象になっているライブドア、ライブドア・マーケティングは圧倒的な売りの多さでは何時(比例配分以外で)値がつくのか予測がつかない。上場廃止の恐れを抱えていたのでは容易に手が出せない状況になっている。この様な状況下でもライブドアは19万1557株、ライブドア・マーケティング1万3396株の買い注文が入っているが、こんな危ない株式をいったい誰が買っているのか興味がある。

 
ライブドアオートは前場10時10分頃に3営業日ぶりに寄り付き、終値は164円で取引を終えている。ピークの12月29日の終値が463円からすれば大きく下落しているが、ここもメディア・エクスチェンジ同様”ライブドア銘柄”になる以前の水準にほぼ戻している。その様に見れば驚くべき下げ幅ではない。またセシールは前場9時40分頃に711円で寄り付き10時10分頃にはストップ高(100円高)の900円をつけるなど乱高下したが、終値は前日気配値に変わらず800円で取引を終えている。ここもまた”ライブドア銘柄”になる以前の水準に近づいている。両社共に事業基盤がしっかりしているので、仮に(実態の怪しい)ライブドア本体がコケても直ちにおかしくなることはないと考えられる。それ故両社の株価共に”バブル状態”から適正水準に戻ると推察している。

 2006.1.20

 東京地検特捜部の捜査がライブドア中枢に及ぶのも時間の問題となって来た。今日NO.2で財務担当の宮内氏、経営企画担当と熊谷氏など3名に対して任意の事情聴取が行なわれた。特に宮内氏は一連の疑惑に堀江氏の下で主導的役割を果たした疑いが強く、疑惑の全容解明の鍵となる可能性が高い。東京地検特捜部は出城(幹部)の事情聴取でまずしっかり地固めした後に本丸(堀江氏)を追求すると見られる。次々と様々な事実が明るみになり、表面上強気の姿勢を示しているライブドアも愈々断崖絶壁に追い詰められている。落城の日が近いのでは・・・。

 
セシールの臨時株主総会が今日開催され、ライブドア・グループからの佐谷氏(ライブドアコミュニケーションズ社長)など6人を含む計9人を取締役に選んだ。当初はライブドアの岡本氏の社長就任が予定されていたが、疑惑の渦中の人物では如何にもまずい。結局岡本氏「一身上の都合」との適当な理由で辞退でせざるを得なかった。代わりに佐谷氏が社長に就任するが、この人物とてライブドアの一員では何やら大きな不安が残る。ライブドアがセシール株式の過半数を押さえる状況下では仕方がない。皮肉なことに岡本氏の社長就任辞退が歓迎されセシールの株価は一時前日比70円高の870円まで急反発したが、その後売りが優勢となり終値は前日比26円高の826円とプラスで取引を終えている

 
ダイナシティも宮内氏を社長に迎える予定だったが、やはりここに来ての一連の疑惑発覚により白紙にする方向で検討している。同様にメディア・エクスチェンジも代表取締役受け入れを見直すことを表明している。両社共にライブドアとの関わりが仇となり4営業日連続のストップ安の惨状になっている。本音は即刻ライブドアとの関係を断ち切りたいところだろうが、現実には直ちにとは行かず現経営陣の頭痛の種は簡単に消えそうにもない。それでも随所でライブドア外しの動きは益々加速するものと思われる。

 今日時点でライブドア、ライブドア・マーケティングから東証が要求する追加の情報開示がなかった。そこで東証は投資家の注意を喚起する為に『
開示注意銘柄』にした。果たして両社から東証が納得する情報開示が出て来るのだろうか?もしこのまま情報開示がなされなければ、上場廃止を視野に入れた『監理ポスト』に割り当てられる。そしてその先は終焉が待っているのだろうか?

 マネックス・ビーンズ証券に次いで岩井証券もライブドア、ライブドアマーケティングの株式について1月23日から信用取引の担保として認めないことを決めた。岩井証券は「粉飾決算の疑いがありRiskを考慮した」としている。加えてターボ・リナックス、ライブドアオート、ダイナシティ株式について保証金代用有価証券掛目を80%から40%に引き下げている。5社株式を担保に信用取引を行なっている投資家は担保の差替え、あるいは追証の支払いが必要となる.。また昨日マネックス証券はライブドアオートについて保証金代用有価証券掛目を0%から80%に再度引き上げた。今後については株価動向などを見て検討するとしている。

 ところで与謝野金融担当相が「混乱に拍車をかけたと一部が疑うのは当然。他の証券会社がマネックス・ビーンズ証券に追随しなかったのは賢明な判断」と述べるなど批判が一部に出ている。更に金融庁は投資者保護の観点で問題があったと判断した場合には行政処分なども検討すると圧力をかけている。 果たしてこの様な動きは妥当なのだろうか?確かにマネックス証券がいきなりライブドア関連の5社の保証金代用有価証券掛目を0にしたのもいささか乱暴だったかもしれない。確かに投資家の保護も必要だが、一方では株式取引のRisk管理の重要さを認識させる為にもある程度まではお灸を据えることも許されると考える。従って「株式取引は自己責任が原則」であればなお更今回の様な場合でも投資家がかなり部分のRiskを負うべきではなかろうか?


 2006.1.21

 Yozanは昨日『ライブドアとの現状及び今後の関係について』の開示を出し、ライブドアとは親密な関係にないとして自社への悪影響の回避に必死になっている。資本関係については2005年9月末時点ではライブドアの保有比率は1.79%にとどまり「ライブドアの傘下ではない」と強調している。また業務提携契約も結んでいないとしている。更にYozanはライブドア・ファイナンスが保有する(第3回)MSCB60億円について『当社指定の第三者への速やかな譲渡』交渉中とある。第2回MSCB60億円についてはライブドア証券は既に昨年の内に全額株式転換売却している。第3回MSCBは1月5日に払い込んだばかりでまだ株式転換されていない。このまま保有されていてはライブドアとの関係ありと疑われYozanとしてはたまったものではない。一刻も早くを関係を断ち切りたいとの思いがこの開示から読み取れる。

 
フジテレビは和解契約によりライブドアに440億円出資して(させられて)いる。連日のストップ安で一時600億円を超える含み益が昨日時点では9億3400万円までに減少している。約2億7680万株を超える売り注文が残っているのでは更なる暴落は必至・・・最悪の場合はモロ損になる可能性すらある。通常株式取引で損すること自体問題にはならない。ところがライブドアが違法行為を隠して第三者割当増資をしていたとなれば状況が一変する。引受け先が相手先の不正事実の隠蔽により損失を被れば損害賠償請求を起こすのは当然の行為・・・。お互いの信義関係を踏み躙る悪質な行為は厳しく糾弾しなければならない。

 
東証の売買システムの処理能力は注文で900万件、約定で450万件とその脆弱さで問題になっている。日本は世界第2位の市場規模を誇るが、これでは世界から笑い者にされても仕方がない。東証は今週末に処理能力を(約定ベースで)50万件増強する。更にできるだけ早い時期に700〜800万件までにシステムを増強するとしている。但し当面後場の開始時間を30分遅らせる措置は継続するとしている。そんなことはあくまでも一時凌ぎの暫定対応に過ぎない。昨年からの証券取引所の醜態の連続は見るに耐えない。一刻も早く信用を取り戻すべく、抜本的な対策を早急に実施して頂きたい。

 世の中がすっかりライブドアに目を奪われている間に
村上氏がこれを機とばかりに怪しい動きをしている可能性もある。阪神電鉄の株式を少しずつ買い増し、1月6日時点では1億8288万7421株(発行済み株式の43.37%)保有している。村上氏の従来のやり口は”短期の高値売却”だが、都内で開催した機関投資家向けカンファレンスでのスピーチでは別の考え方を示している。阪神電鉄株式について「ファンドの投資形態を変えて5〜10年の長期保有をしても良い。コーポレート・ガバナンスファンドの様なものだ」と述べた。

 阪神電鉄に1000億円以上の巨額資金を注ぎ込み株式を大量保有しているが、長期保有した場合投資ファンドとしてどの様に利益を出そうとしているのだろうか?投資家に高利回りの配当を保証している投資ファンドとしては投資資金を塩漬けにする訳には行かない。長期保有するにしても短期で利益を出さないと投資ファンドは成り立たない。『
コーポレート・ガバナンス(=企業統治)ファンド』と表現しているが、具体的にどの様にして利益を出すのかよく分からない。『コーポレート・ガバナンス』との表現から類推すると、大株主として阪神電鉄経営陣を自らの思い通りに操ろうとしている様に思える。つまり背後から実質支配して阪神電鉄の資産運用などで利益を出すことにより、結果として株価の上昇、配当の増額を目論んでいるのだろうか?

 とすれば何か可笑しいのでは・・・?村上ファンドは阪神電鉄への投資目的を『純投資』としている。ところが村上ファンドは(過半数を超えてはいないものの)阪神電鉄株式の1/3超を保有しているが、『純投資』であればこれほど大量の株式を取得する必要性が感じられない。阪神電鉄経営陣は村上ファンドの同意無しには経営上の重要事項を決められない。つまり首根っこを押さえられているも同然であり、実質的に経営権を握っているのと同義と看做せる。この期に及んでも村上氏はあくまでも『純投資』と主張するのだろうか?何を考え何を企んでいるのか分かったものではない。
投資ファンドに与えられた特権をずる賢く活用して”脱法的行為”を行なっている様にしか見えない。

 さて今のところ東京地検特捜部のTargetは堀江氏だが、村上氏は大丈夫なのだろうか?村上氏も堀江氏同様好き勝手にやりたい放題・・・自信過剰が仇になりボロを出すことがあるかもしれない。市場に巣喰う”▼▼”を何とかして一掃出来ないものかと常々思っている。堀江氏は”時代の寵児”と周りからもてはやされ、調子に乗り過ぎて勇み足で自滅の道を歩んでいる様に見える。一方の村上氏も必ず”叩けば埃”が出るのでは・・・?もしかしたら既にその筋が村上氏周辺の内偵を進めているかもしれない。そんな噂もちらほら(何処からともなく)聞こえて来る。

 2006.1.22 

 1月16日夕刻東京地検特捜部によるライブドア強制捜査の速報が駆け巡り、世の中には驚きが充満しその後この話題で持ち切りとなっている。ライブドア・グループの株価は軒並み暴落し凄まじい惨状を呈している。”ライブドア・ショック”は上昇基調にある株式市場をも席捲し、(その後持ち直したが)痛烈な打撃を受けて日経平均株価は大きく下げた。ライブドアを巡る様々な疑惑が次々と浮上し、宮内氏などライブドア幹部に対する任意の事情聴取も始まった。週明けには疑惑の中心人物堀江氏への事情聴取が予想される。加えて新たな疑惑が浮上する可能性もあり事態の急展開もあり得る。週明けから1月末にかけて捜査のヤマ場が訪れると思われるが、もしかしたら今回の疑惑で逮捕者が出るかもしれない。

 ライブドア疑惑の陰に隠れて目立たないが、1月20日に
TBSと楽天の業務提携委員会の初会合が開催された。両社の実務担当者各7名が出席し、「TV番組のIntenet配信」及び「放送と連動したネットショッピング」の2つの分科会にて協議を進めることを確認した。昨年11月末の一時停戦から2ヶ月経過し、両者が重い腰をようやく上げた様に見える。実は3月末の交渉期限が迫り、楽天がTBS株式の一部を銀行に信託する手続きを完了しないままの見切り発車となった。楽天が手続きをすれば済むだけのことと思うが・・・?この程度の約束が守られない様では交渉がまとまるかどうか疑わしい。

 楽天保有のTBS株式の扱いが焦点となるが、何せ両者の主張の隔たりがあまりにも大きく交渉の行方の障害になる可能性が高い。TBSとしては何としても楽天に自社株式を手離して欲しい。一方”資本提携無しにはTBSに袖にされる”危惧を持つ楽天とは”最後の切り札”としてあくまでもTBS株式保有に固執する。両者に妥協点が見出せるかどうか先行き不透明であり、資本・業務提携が合意に至るか否かは全く予断を許さない。
全面戦争の火種をくすぶらせながら事態は進行している。

 1月20日の臨時株主総会にて
セシールはライブドア・マーケティングを引受け先として新株予約権の有利発行を承認した。新株予約権の発効日:2月1日、発行株数:807万株、初期設定価額:460円/株、但し月1回VMAP方式で行使価額変更、下限行使価額:230円となっている。確かに1月20日の終値826円と比較して大幅な安価であり有利発行そのもの・・・。有利発行には株主総会で2/3超の賛成が必要だが、ライブドア・マーケティング単独で2/3超保有している状況では何の障害もない。上場企業とは名ばかりで他の株主のことなど無視して好き勝手なことが出来る。よくもまあこんな時期にこの様な決議を承認したと呆れ果てる。ところで臨時株主総会には新しく選出されたライブドアからの6名の取締役が欠席とは開いた口が塞がらない。とても真面目にセシールのことを考えているとは思えない。ライブドアは(自らが致命傷を受ける前に)セシールから禿鷹の如く資金をむしり取るつもりなのだろうか?

 『
堀江氏が「命を狙われている」と周囲に漏らしている』と伝えられている。この報道に対しライブドア広報(乙部氏?)は「堀江がそう言ったんですか?そのような情報は確認しておりません」と否定した。かつてニッポン放送乗っ取り騒動の時には、「身の危険を感じる」として歩きながらのぶら下がり取材を拒否している。今回は1月17日早朝の記者会見以降、密着取材の報道陣の前に姿を現わしていない。どうやら六本木ヒルズのオフィスに潜伏しているらしい。乾坤一擲巻き返しの作戦を練っているのか、あるいはいずれ来襲するであろう恐怖に怯えているのか?何にせよTVなどでは強気一辺倒に見える堀江氏も臆病で神経質な一面があると見える。

 ライブドア・グループの株価が連日のストップ安とあっては株主の怒りは凄まじいものがある。中には何をしでかすか分からない人種が存在するかもしれない。堀江氏には支持者も多数いるが敵が多いとも言われる。それこそ命を狙う者が現われても何の不思議はない。堀江氏の脳裏には『豊田商事事件』があるのでは・・・?プラチナのペーパー商法で摘発された永野会長が、自宅マンションにて衆人監視の中自称右翼の男に刺殺されたことを衝撃的に記憶している方が多いはず。とにもかくにも現状では堀江氏はおいそれと人前に姿を現わすことは出来ない。自ら振り撒いた災いの種は自分自身で受け止めるしかないが・・・。暫らく堀江氏の苦悩は続く。

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