2006.2.6
株式市場は全般的には”ライブドア・ショック”からの立ち直りを見せているが、一方では新興市場は低迷を脱せずもがき苦しんでいる。新興市場では企業の将来への(先行する)期待感、値動きの軽さ、IPO銘柄の新規上場直後の高騰などから人気を集め、短期的な利鞘稼ぎを狙った個人投資家が投機的思惑で殺到し(異常とも思える)相場を作り出した。企業の実力などそっちのけで目先の値動きにのみ気が奪われ、冷静さを欠いて闇雲に目立つ銘柄に手を出した方が多いと思われる。新興企業に対する過大評価が過熱状態を作り出したとも言えるが、”ライブドア事件”の勃発で一挙に冷や水を浴びせられ一気に萎んだ。もしかしたら(あってはいけないが)”第二のライブドア”が出て来ないとは言い切れない。新興市場が投資家の信用を回復するまでには暫く時間を要すると思われる。
新興市場の象徴、”勝ち組”の典型として持て囃されたライブドアだが、その実態は様々な不正により作り上げられた虚像だったことが明るみになっている。ライブドアは株価上昇を基調とした時価総額を指標とする成長戦略を掲げ、様々な不正工作で株価を吊り上げ見かけはバブルの如く膨らんだ。しかしながら実態のない”張子の虎”に一旦綻びが生じると、次から次と正体が暴露され今やライブドアの偽りの姿が世の中に晒されつつある。インチキで築いた牙城は所詮”砂上の楼閣”・・・そんなものがいつまでもまかり通るはずがない。今回の事件は現在世の中に蔓延っている何でも”金・金・金・・・”の拝金主義に警鐘を鳴らしているとの見方が出来る。
「メディア・エクスチェンジ (以降MEXと記す))が、ライブドア に対して資本関係を解消してグループからの離脱を認める様求めている」と報じられたことが材料視され、終値はストップ高の14万5000円で取引を終えている。この報道に対してMEXは「ライブドアとの資本関係についてあらゆる可能性を検討中」と微妙なコメントを出している。最終的にはライブドアはMEX株式を手離さざるを得ない状況に追い込まれると思われるが、市場がライブドアグループからの離脱を歓迎して更に株価上昇すれば売却価格を巡りMEXとライブドアの交渉が難航する事態が予想される。当面予断を許さない展開になるかもしれない。
”ライブドア・ショック”の煽りを受けて大きく下落しているので、ここにも少しでも良さそうな材料に飛び付きたいとの投資家心理が現われている。ターボ・リナックスもまたここに来て3営業日連続のストップ高と戻しているが、「開示内容は適正」、「監査法人変更検討」などが歓迎されライブドアの影響を打ち消す動きとなっている。セシール、ライブドアオートも株価を戻しつつあるが、ライブドア傘下にある企業は当面不安定な状況下に置かれることは間違いない。ライブドアとしても傘下の企業を簡単には手離したくはないはずだが、ライブドアの再生問題とも絡み将来どの様になるか予測がつけ難い。
フジテレビの株価はライブドアへの強制捜査直前には32万1000円をつけていたが、1月17日以降下落に転じ今日の終値は前日比7000円安の27万8000円で取引を終えている。このままライブドアの株価低迷が続けば2006年3月期決算では含み損を特別損失として計上しなければならず、そうなれば連結決算では赤字となる可能性が高い。そんな状況に嫌気が差されていると思われるが、ライブドア株式を無理やり買わされた代償がこれではたまったものではない。フジテレビはこの”厄介者”をどの様に対処するのだろうか?ライブドアにあまり深く関わりたくはないが、一方では押しつけられた440億円分のライブドア株式がネックになっている。さてどうしたものか・・・?
2006.2.7
ライブドア傘下企業の『ライブドア離れ』の動きが加速している。MEXは既にライブドアとの資本関係解消など提携の見直しを表明しているが、ライブドアオートも『2006年3月期第3四半期決算資料』の中で資本関係見直しや社名変更を検討するとしている。昨年9月にジャック・ホールディングスの発行済み株式の約51%を取得して子会社化し社名をライブドアオートに変更したばかり・・・。「毀損したライブドア・ブランドによる営業への影響力を最少に抑える」為に3月開催予定の臨時株主総会に社名変更を諮るとしている。更には「ライブドアに代わるネット・ビジネスパートナーの模索・提携推進』ともある。一刻も早く”落ちた偶像”ライブドアと決別したいとの意思表示とも受け取れる。ライブドアの平松氏は「グループ一体で再建を進める意向」を示してはいるが、如何せん求心力の低下は否めない。最早『ライブドア・ブランド』の下で再生を図るのは難しいのでは・・・?
ところで羽田社長は兼務するライブドア取締役の辞任を検討していることも明らかにしている。羽田氏も熊谷氏共々堀江氏と”同じ穴の狢”では?との疑念がある。そんな羽田氏が突然”ライブドアとの決別”などと言い出しても俄かに信じられるものではない。ライブドアの中枢に永らくいる人間であり、果たして今回のライブドアの疑惑に全く無関係と言い切れるだろうか?今のところ羽田氏のライブドア疑惑への関与があるかどうかは分からない。それはともかくとしてライブドアが纏わりついている内は明るい未来はあり得ない。社名をジャック・ホールディングスに戻し、ライブドアとの資本関係を断ち切り新しいパートナーとの再出発を目指すのが生き残る道と考えられる。
『昨年12月堀江氏が元グループ幹部から「東京地検特捜部の事情聴取を受けた」との報告を受けた直後に保有する自社株式約600万株を売却し約40億円の利益を得た』と報じられている。ライブドア・ファイナンスの中村前社長が堀江氏の指示を受けて、スイス系証券会社に保管していた事実上個人保有の自社株式約600万株を1株700円前後で売却したとされる。発行済み株式の5%以上を保有する大株主は1%以上の株式を売買した場合には報告義務が生じるが、600万株では約0.6%に過ぎず報告の必要はない。1%未満の取引に抑え表面で出ない様にするとは”確信犯”以外の何者でもない。ギリギリの線で勝負する堀江氏らしいと言えば堀江氏らしいが・・・。
事実とすればその後の強制捜査による株価暴落を予測して損失回避の為に事前に高値で売り抜けたと看做せる。加えて堀江氏などグループ幹部が国内で保有していた株式を売却した疑いもあり現在捜査中との情報もある。東京地検特捜部と証券取引等監視委員会は「投資家の判断に重大な影響を及ぼす情報を把握しながら隠蔽したまま株式取引」を行なったとして『インサイダー取引』容疑で立件する方針と伝えられている。偽計容疑、粉飾決算に始まったライブドア疑惑はマネーロンダリング、脱税、そしてインサイダー取引容疑と拡大の一途を辿っている。次に何が飛び出して来るのか予測がつかない状況になっている。
ドリームテクノロジーの株価は昨日まで理由不明の3営業日連続のストップ高と怪しげな動きを見せていた。恐らく村上ファンドとしては97億円のCBの行使価格(1万5930円)を下回っては如何にも拙いので何か仕掛けたのでは?と思われる。ある程度上げて一区切りつけたのか、今日の終値は前日比2100円安の1万9300円と大きく下げて取引を終えている。ここの株価は時々インチキ臭い動きを示すので明日がどうなるか読み難い。ここにはライブドア保有の40億円のMSCBもあり村上ファンドの97億円のCBと縺れ合って株価が複雑な動きを示す可能性が高い。ここもアドテックス同様”博打株式”であり、火遊びの好きな方以外は手を出すべきではない。
2006.2.8
ダイナシティは昨日の開示で『ライブドアグループと締結している資本・事業提携について役員派遣も含め解消を前提とした方向で協議中であり、転換社債型新株予約権付社債や新株予約権の割当、更には当社の筆頭株主としての所有株式についても第三者への転売等も含めて見直しを検討して行く事を双方合意』としている。ライブドアは事実上不動産事業からの撤退を決めているので、今更ダイナシティを傘下に収めても何らシナジー効果がなく子会社化する意味はない。一方ダイナシティとしてはライブドアの呪縛から一刻も早く逃れるべく縁切りを望んでいる。然るに両者の利害が一致して双方の合意に至ったものと考えられる。
さて資本関係解消となると新たな引受け先がどこになるかが焦点になる。200億円分のMSCB、200億円分の新株予約権(申込み時の払込みは5000万円)、更には第三者割当増資の21万1320株となると巨額の資金を必要とする。村上ファンドの如き国内の投資ファンド、日本の不動産事業に触手を伸ばしている外資系投資ファンド、あるいは不動産事業展開を目論んでいる国内の企業、それとも・・・?MSCB、新株予約権のいずれもどこが引き受けることになっても、単にライブドアから他者の手に渡るだけであり状況はほとんど変わらない。つまり権利行使されれば大量の株式が市場に出現し希薄化が進行する可能性が高い。ところで今日の株価は前述の動きを歓迎してストップ高をつけているが、先々希薄化に苦しめられる事態となるかもしれない。
ライブドア新経営陣は「グループ一体による再建」の方針としているが、世の中の趨勢には抗し切れず事業縮小に方針転換したものと見られる。ライブドア傘下の上場企業6社中4社は既に”薄汚れた『ライブドア』の看板を背負ってはダメージが大きい”としてグループ離脱の動きを示している。ライブドア新経営陣は2月24日にも経営再建に向けての新事業計画を公表するとしている。しかしながら現時点でどの程度ライブドア傘下に残るかどうかの見通しがハッキリせず、将来への展望をどれほど示すことが出来るのか極めて疑わしい。何せライブドア本体の実業は中身が無いに等しく、周辺の大半を引き剥がされる様な事態に陥ればまさに”抜け殻”同然・・・事実上グループ解体(空中分解)となる可能性すらある。
昨日ライブドアから『社内調査に関するお知らせ』が開示されたが、「多数の資料が押収された為、少なからず事実を把握するのが困難な部分がある」とあっては何ら特筆すべき内容が無い。但しマネーライフを巡る動きの中にライブドア100%出資の子会社『EFC投資事業組合』がある。注目すべきは代表者が羽田氏であり、役員として(今回逮捕された)堀江氏、宮内氏、中村氏が名を連ねている。これを見るとマネーライフを巡る疑惑に羽田氏が全く関与していないと言い切れるのだろうか?当然東京地検特捜部は事実関係を把握していて羽田氏の周辺にも捜査の手が伸びているのでは・・・?今後の捜査の行方に注目が集まる。
2月2日ペイントハウスの3営業日連続ストップ高後のストップ安を見て「明日の動き次第でその正体が見えて来るかもしれない」とコメントした。その後の4営業日連続の下落により、今日の終値は前日比33円安の612円で取引を終えている。ストップ安を含めると5営業日で205円下げている。この動きを見ると3営業日連続ストップ高は明らかなどこぞの誰かの嵌め込み・・・無論簡単に乗せられる方にも問題はあるが悪質な行為には憤りを感じる。無論こんな容易に見破れる様なインチキに引っかかる方にも大いに問題がある。もしかしたらまた同じ様な仕掛けがあるかもしれないので注意深く(冷ややかに)見守って行く。ところでここは何時扱けても可笑しくないが、さてどうなるのだろうか?
そう言えばライブドア・マーケティングの株価は2営業日連続ストップ高だが、これもまた明らかに異常な動きでマネーゲームにしか見えない。ライブドア同様上場廃止の可能性が高く、普通に考えればこんな株式を持つのは危険極まりない。(ペイントハウスの様に)思惑のみで株価を吊り上げておいて一気に吊り落としとの状況が予想される。浅ましい欲の皮の突っ張った方々が群がり呆れた”●●”騒ぎを繰り広げている。同様にライブドアも可笑しな動きを見せている。ライブドアの求心力低下は否めず苦しい展開になるとは思うが、逆にそうなればマネーゲームの対象として理に合わぬ動きを示すことがあるので要注意・・・。両社共に市場に放置しては”百害あって一利なし”・・・東証は出来る限り早期に退場処分を下すべきと考える。
2006.2.9
昨日ライブドアは『コンプライアンス強化委員会設立のお知らせ』を公表した。『取締役、監査役、執行役員、従業員から幅広くヒアリングを行ない、様々な立場から見た社内体制の問題点/改善点を洗い出す』としている。山崎取締役を委員長として、メンバーは今後山崎氏が選出する予定になっている。どの様な顔ぶれで活動するのだろうか?利害関係の無い社外の第三者がメンバーとして加わるかどうかで委員会活動の信憑性評価が大きく変わる可能性がある。ライブドア内部のみ、あるいは多数がライブドア内部の人間では”同じ穴の狢”との疑いがかかり、委員会からの報告が信頼に値するか疑念を招くことは容易に想像出来る。それに内部の人間が内部の人間にヒアリングしてもどれだけ本当のことが言えるのか疑問がある。メンバー次第では”委員会設置は単なるポーズ”と受け取られかねない。
今までおざなりになっていたコンプライアンス(法令遵守)を前面に打ち出したのは当然だが、”法令遵守”との極めて当たり前のことをないがしろにした罪は非常に重い。世の中で盛んに『コンプライアンス』の大切さが叫ばれているにも関わらず、堀江氏以下ライブドア経営陣の愚挙は愚鈍としか言えない。遅きに失したとの感は否めないが、完璧に信頼を失ったライブドアとしては全ての膿を曝け出し抜本的な大手術をしなければならない。尤も抜本的な大手術が成功しても、次々と明るみになるライブドアの疑惑を目の辺りにしては容易なことでは信頼回復は難しい。果たして企業存続は可能なのだろうか?
ライブドアは2004年4月の上場直後に投資家などに対して何ら説明もなく投資会社を設立し、主幹事をの大和証券SBCM(現・大和証券SMBC)から抗議を受けた事実が明らかになった。大和証券SBCMは堀江氏に対して「上場前、投資家に説明せず、本業以外の業務に乗り出すのは問題」と指摘したが、堀江氏は全く相手にせず無視したと言われる。Moralに無縁な人間に何を言っても無駄、他人が苦言を呈したところで”馬の耳に念仏”でしかない。その様な傲慢で不遜な人間が自壊の道を辿るのは極めて当然と言える。
マザーズ上場の5日後に100%出資の投資会社「キャピタリスタ」(ライブドア証券に吸収合併)を設立することを発表した。ちなみに堀江氏が会長、(先月死亡した)野口氏が社長に就任している。しかしながらライブドアが上場前に提出した「有価証券届出書」ではネット事業関連への展開は記述されているが投資事業への展開は全く触れていない。ずる賢いことに「有価証券届出書」には上場で得られる資金約55億円の使途として『子会社、関連会社の設立』を明記している。従って子会社として投資会社を設立しても証券取引法などに抵触する違法行為とは言えない。しかしながら投資家から資金を集める時に正確な情報を開示しないのはまさに不実と言わざるを得ない。これも堀江流に言えば「法律に違反してないからいいじゃないか」となる。世の中は様々な信義関係から成り立っているので、自己中心の考えで全てを蹂躙する如き態度は許されるものではない。
ライブドアオートは『ライブドアとの資本提携解消に関するお知らせ』を開示した。今日の臨時取締役会にてライブドアとの資本・業務提携を解消することを決議した。同時に羽田氏の社長解任と井上取締役の社長昇格を決めている(こちら 参照)。一部報道でMBOにより独立を目指すと報じられたが、資本提携解消の選択枝の一つとして検討中としている。今後両者の間で円満解決を目指して話合いが行なわれるが、果たしてスンナリ合意に至るのだろうか?何にせよライブドア離れを模索する企業の一つがが具体的な行動に出たことで、他のグループ企業でもグループ離れに向けてのActionに弾みがつくことは間違いない。平松氏以下ライブドア新経営陣はどこまで傘下企業のグループ離れを食い止めることが出来るのだろうか? 新経営陣の眼前には強烈な暗雲が不気味に漂っている。
ライブドア・マーケティングの株価は3営業日連続のストップ高で今日の終値は855円をつけている。株価上昇の理由など皆無のマネーゲーム真っ最中・・・。さて明日は週末の金曜日・・・そろそろ何かありそうな予感がする。あるいはもう少し株価を引き上げてから”吊り落とし”があるかもしれない。何にせよ仕手と思惑だけで上がったり下がったりを繰り返す。もし整理ポストにでも割り当てられることになったらもっと大暴れするかもしれない。当面株価がどの様な動きを示すのか、ライブドア共々注意深く観察して行く。
2006.2.10
今日午後証券取引等監視委員会(SEC)は既に逮捕されている堀江氏など4名を証券取引法違反(偽計取引、風説の流布)で東京地検特捜部に告発した。合わせてライブドア、及びライブドア・マーケティングの2社も同容疑で告発する。SECは『堀江氏など経営中枢幹部が一連の疑惑に関わっているのでは、一連の違法行為が会社の業務の一環として遂行された”と看做し、証券取引法の「両罰規定」を適用し法人2社の刑事責任追求も必要』と判断した。ここまでの事態進行は想定の範囲内”で特に驚くべきものではない。さて堀江氏などの拘留期限が間近に迫って来たが、まずは現在容疑が固まっている範囲で起訴、そして別の容疑で再逮捕される可能性が高い。ライブドア、ライブドア・マーケティングの経営責任者、加えて法人2社も告発される事態に及んでは監理ポスト割当→上場廃止は避けられない。
「熊谷(代表)取締役がライブドアが行なったとされる子会社利益の本体への付替などについて、経理担当の執行役員から報告を受け了承」と報じられている。事実とすれば既に逮捕されている4名と同罪・・・熊谷氏は無事では済まない。ライブドア経営の中枢にいる熊谷氏が一連の疑惑について全く関与せず何も知らないなどとは到底信じられない。恐らく東京地検特捜部は熊谷取締役の粉飾工作への関与の有無、それに指揮系統の解明を進めているものと見られる。もし捜査範囲が拡大して熊谷氏、更には羽田氏にまでが及ぶことになれば取締役会が機能せず、ライブドアの意思決定機能が麻痺して身動きが取れなくなるのではなかろうか?
昨日「もしかしたらライブドア・マーケティングの株価にそろそろ何かありそうな予感」と書いたが、予想が的中し今日早速一発ドカンとやってくれた(こちら 参照)。前場は寄り付かず後場13時45分に昨日に同じ855円で寄り付くと、いきなり755円まで急落しその後暫く揉み合ったものの結局ストップ安(100円安)の755円で取引を終えている。週明けも恐らく危うい動きを示すことは間違いない。ここに手を出しているのは危険を承知の火遊びの好きな方がばかり・・・特に何も言うことは無い。一方ライブドアの株価は全く冴えず、終値は前日比14円安の91円と大きく下げて取引を終えている。両社共にSECの告発を受けて上場廃止が目前に迫っては下手に手を出すと大怪我をする可能性が高い。
ドン・キホーテが総菜、持ち帰り弁当チェーン「オリジン東秀(東証2部上場)」に敵対的TOBを仕掛けていたが、今日締め切られ応募が僅か1件(100株)で不成立となった。『公開買付けの結果のお知らせ』の中で「市場の混乱をさけるため、公開買付価格の引き上げや期間の延長を行なわない。今後オリジン東秀株式に対する公開買付けを再度実施することも考えていない』としてTOBを断念した。大手スーパーのイオンが「ホワイトナイト」として登場したことにより敢え無く惨敗を喫した。ドン・キホーテは”敵対的買収者”として大きな反感を買い、更にはTOB価格が2800円とイオンのTOB価格3100円を下回ったのでは勝ち目は無い。
今後の焦点はイオンが3月1日までに50.01%以上買い付けることが出来るか否かとなる。ドン・キホーテのTOB不成立によりイオンのTOB成立の可能性が高くなった。一方ドン・キホーテは現在30.92%を保有する筆頭株主であり、(今のところどう出るかはわからないが)2.42%程度を買い増せばオリジン東秀の経営に大きな影響力を持つことが出来る。ところで仮に現状のままとしてイオンが過半数超のオリジン東秀株式を確保した場合、2社のみで80%を超える株式を保有することになる。東証の上場廃止基準では上位10株主の保有比率が75%を超える場合は1年間の猶予期間後に上場廃止、また90%を超える場合は即日上場廃止と規定されている。イオンのTOBが成立すれば上場廃止基準に抵触する可能性が極めて高い。ドン・キホーテが持ち株をどうするのか、またイオンが上場継続の意思があるのかどうか・・・。(イオンのTOBが成立したとして)3月1日以降の両社の動向が注目される。
2006.2.11
昨夜ライブドア・マーケティングの穂谷野社長は東証にて記者会見を行ない「ライブドアとは決別し独自の経営路線を歩む」としてグループから離脱する方針を表明した。今後ライブドアとの資本関係見直しや社名変更、セシールの株式売却などを検討するとしている。ライブドア・マーケティングはライブドアが29.3%の株式を保有する関連会社であり、グループの中ではライブドアと最も近い関係を保っていた。ところがライブドアの一連の疑惑に深く関与している疑いが持たれ、それに前社長の岡本氏が逮捕との状況では一挙に信頼を失い、上場廃止どころか企業存亡の危機に瀕している。コトここに至っては流石にライブドアと一線を画す姿勢を示さざるを得なかったと思われる。断崖絶壁に追い込まれての”窮余の一策”に見えるが、さて・・・?グループを離脱したところでライブドア共々上場廃止は免れない。
弁護士、公認会計士など社外の5名で構成する「経営諮問委員会」を設置し、取締役会に検討結果を報告し決定事項を3月末の定時株主総会に議案として提案する。経営諮問委員会の役割として以下の様に記載されている(原文のまま掲載)。社外の有識者との第三者の立場で正しい活動が行なわれることからすれば一応評価出来る。しかしながらライブドア色を一掃し新たな経営路線を歩み出しても、一度大きく傷ついたマイナスイメージは簡単に払拭出来るものではない。前途には”茨の道”が立ちはだかり再生は困難をきわめると考えられる。
(1) 順法経営:当社の取締役会及び代表取締役の職務が適法かつ適正に行われているか、
ひいては当社の企業活動自身が健全な企業倫理に照らして適切に行われているかを、
第三者的な立場から監督・指導する。
(2) 社内調査:当社の前経営陣三名が証券取引法違反の容疑で逮捕されるに至った事情及び
これに付随する事項を調査し、必要と判断する場合には、前経営陣を含むその他の関係者
の法律的・道義的責任を追及する。
(3) 助言・勧告:株式会社ライブドアから独立した経営管理体制の再構築その他当社の業務執行
に関する重要事項に対し、助言と勧告を行う。
ライブドア疑惑の波紋は思わぬところにまで広がっている。家宅捜索を受けた港陽監査法人の監査先企業が監査法人を変更したいが大手は受け入れに消極的な姿勢を示している。ベンチャー企業支援のドリームインキュベータは新日本、トーマツ、あずさの3大手監査法人に監査引き受けを申し入れたが、堀紘一社長は「市場の信頼が得られる大手にお願いしたが、当社自体の問題ではなく港陽が監査をしていたという理由で断られた」と述べている。ある大手監査法人関係者は「今はリスクが高いので、ライブドアや港陽監査法人絡みの案件が来ても断るよう指示している」としている。「こんな時期に”火中の栗”を拾う危険を冒してまで手を出す案件ではない」と言うのが本音・・・びっくり箱からどんでもないものが飛び出して来てはたまらない。
港陽監査法人の監査先企業の大半が変更を予定しているが、2社(エイジア、インタートレード)を除き新しい監査法人は決まっていない。無論ライブドアも変更を予定しているが、現状ではどの監査法人も好き好んで引き受けるはずがない。このまま監査法人不在が続けば監査報告書がなく決算報告書が出せない状況になる。その様な異常事態は如何にもまずいので、恐らく誰かが間に入って厳しい条件付きで監査法人を斡旋することになると思われる。ところで監査法人を巡る不祥事が今回の様に時折見受けられるが、公正中立の第三者の立場にあるべき監査法人が依頼主の言いなりで便宜を図ったのでは話にならない。監査法人の立場を再確認し己の襟をキチンと正さなければならない。
馬の『ホリエモン』が明日高知競馬第6R「ホリエモン頑張れ特別E6」に出走する。先週出走予定だったが堀江氏逮捕を受けて見送った経緯がある。その後堀江氏が共同馬主を辞退し、現在は中尾淳一氏が単独馬主になっている。1月9日に3勝目を上げてE級格上げ初戦となるが、メンバー的にも何ら遜色は無くスタートで先手を取れば勝機があると見ている。人間の「ホリエモン」はすっかり落ち目だが、馬の『ホリエモン』には上がり目を期待したい。
2006.2.12
ライブドアは明後日2006年3月期第3四半期決算をネット上の資料開示の形で発表する。今回は記者会見、投資家向け説明会は行なわない。財務責任者の宮内氏逮捕、家宅捜索による多数の財務資料押収で例年より遅れている。粉飾決算疑惑、度重なる決算データの修正などにより今までに公表されている財務情報の信憑性は皆無に等しい。果たして平松新経営陣は今回どこまでライブドアの真の姿を明らかに出来るのだろうか?どの程度の財務資料を集めたのだろうか?とにもかくにも何が出てくるのか今から楽しみにしている。
『三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行などライブドアの主力取引銀行が同社向け新規融資には一切応じない方針を固めた』と報じられている。現時点ではライブドアの銀行からの借入残高は数十億円と少ない上に、フジテレビとの和解で掠め取った巨額の資金があり直ぐに資金繰り悪化とはならないかもしれない。しかしながら本業のネット広告収入激減、ライブドアオート、MEXなどグループ企業の離脱表明などでライブドアの経営が立ち行かなくなる可能性が出て来ている。更には粉飾決算疑惑など正しい情報開示がなされていなかったことが明らかになれば、フジテレビ、一般投資家、買収先企業などから損害賠償請求されることが考えられる。(監理ポスト割当でも厳しいが)上場廃止となれば市場からの資金調達は出来ない。今後の展開次第ではライブドアの資金繰りが急速に悪化することもあり得る。
バーテックスリンクから大量保有報告書が提出され21万5453株のアドテックス株式の譲渡先が明らかになった。2月3日に23の個人/法人に分散して譲渡している。保有比率が5%を超えているのは法人2社のみで計6万2288株・・・。個人の持ち株については全て5%未満なので大量保有報告書提出の義務は無い。何やら意図的に細かく分散した様に見える。従って(この先アドテックスの株価がどうなるか見通しが不明ではさっさと処分した可能性はあるが)個人が市場で売却しても分からない。ここには3月16日払込み予定の60億円のMSCBがあり、株式転換されて89万1530株が市場に出たら・・・。何せ74億5000万円の多くは借金返済に充てられる。借金返済の為の苦し紛れの増資では将来の展望は開けて来ない。いずれ株式大量発行のツケが一般投資家に回って来る。
高知競馬第6R「ホリエモン頑張れ特別E6」に出走した『ホリエモン』は1馬身1/4差の3着に敗れた。3番手につけ直線で一旦先頭に立ったが惜しくも競り負けた。但し格上げ初戦でも全く問題なく、先行力を生かすことが出来れば次走以降も充分に勝負になる。何せまた明け4歳になったばかりでまだまだ上がり目がある。馬の『ホリエモン』には期待をかけて暖かく見守って行く。ところで単独馬主の中尾淳一氏は神奈川県馬主協会理事とのことだが堀江氏との接点は分からない。中尾氏は「『ホリエモン』という名前に気分を害するファンに配慮し競走馬の登録抹消を考えているが、温かく見守ってもらえるなら今後も走らせたい」と話している。「馬に罪はない」との意見が大勢と思われるので大丈夫では・・・?