2006.2.20

 
ライブドア新経営陣による新経営方針の発表が2月24日に予定されている。MEX株式の新たな提携先への売却方針、ライブドアオートとの資本・業務提携解消の検討開始、ダイナシティ株式の売却方針などグループ内企業からの離脱要求に抗し切れない状況に陥っている。2月24日の発表ではグループがどの様な姿になるのだろうか?近々堀江氏の粉飾決算疑惑での再逮捕、熊谷氏にも捜査の手が及ぶ可能性があるとあってはライブドアの求心力の極端な低下は否めない。ここまで『ライブドア』の旗印が泥に塗れては『ライブドア』の名の下での再生は困難を窮めると考えられる。ライブドア本体(若干の+α)で名前を変えて細々と継続するしかないのでは・・・?週末のライブドアの発表が注目される。

 ライブドア・グループ各社の株価は「ライブドア上場廃止不可避」との報道を受けて軒並み苦しんでいるライブドア本体の終値は前日比19円安の68円、ライブドア・マーケティングの終値はストップ安(80円安)の381円、ライブドアオートの終値は前日比19円安の142円、セシールの終値は前日比26円安の733円、ターボ・リナックスの終値は前日比1万8000円安の17万3000円、ダイナシティの終値は前日比1410円安の2万140円といずれも大きく下げて取引を終えている。唯一MEXの株価のみプラスの前日比3000円高の11万1000円で引けている。この期に及んではライブドア・グループから離脱しないことには無論株価の回復のみならず本業の業績回復も望めない。株価の面から見てもライブドア新経営陣は傘下企業のグループ離脱を喰い止めるのはかなり困難と言える。

 エフェクターの株価は遂に10万円を大きく割り込み、終値は前日比1万3000円安の8万7000円で取引を終えている。地合いが悪かったにしてもよくここまで下げたと妙なところで感心する。公開価格38万円と比較するとあまりの惨状に改めて驚かされる。初めから無理な上場とあっては株価下落は致し方がない。
こんな企業を上場させた監査法人と主幹事証券会社の罪は重い。それに1万円で権利行使出来る大量のSOの存在も許し難い。公開価格38万円で新規上場する一方でこんな悪質なSOは投資家を馬鹿にしている。尤もむやみやたらにIPOに飛び付かずに目論見書をキチンと読めば危険性が直ぐに分かった筈だが・・・。それはともかく一刻も早く市場から消えるべき銘柄の一つと言える。

 
ペイントハウスは上場廃止禁止仮処分申請が却下されたことを不服として東京高裁に対して即時抗告を申し立てた開示の中でグダグダと自らの主張を書き連ねているが、(即時抗告は権利だが)あまりの往生際の悪さには呆れ果てる。事実上借金を踏み倒しておきながら厚顔無恥なペイントハウス経営陣の態度は許し難い。必死に抵抗しているがこんな企業は一刻も早く退場処分にすべきと考える。ちなみにそんな状況に嫌気を差したのか、終値はストップ安(100円安)の480円で取引を終えている。

 2006.2.21

 東証の西室会長は昨日の記者会見で『
ライブドア前社長の堀江氏など当時の経営陣が証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)で再逮捕された場合上場廃止の可能性がある』ことを示唆した。「検察や証券取引等監視委員会の発表の中で虚偽記載だと信じるに足る内容があれば上場廃止基準に抵触する」と述べた。西室氏は慎重な姿勢ながらも東京地検特捜部、証券取引等監視委員会の動向を睨みつつ早期の判断に含みを残している。近々粉飾決算での堀江氏などの再逮捕が想定されるに至っては、最早ライブドア(+ライブドア・マーケティング)の整理ポスト割当→上場廃止は時間の問題と言える。不愉快な存在は一刻も早く市場から除去されることを望む

 
ライブドアの株価は上場廃止の懸念があっては今のところお祭りムードの”●●”騒ぎにはならないらしい。出来高も1713万574株と冴えず終値は前日比4円安の64円で取引を終えている。一方ライブドア・マーケティングの株価も上場廃止の懸念を抱えていては上がるべくもなく、終値は前日比72円安の309円まで大きく下げて取引を終えている。これで強制捜査直前の終値の1/20・・・当然の報いとは言え派手に下落している。さて上場廃止が決まり整理ポスト割当になると、”●●”騒ぎが始まり株価が激しく上下降を繰り返すことがある。両社共にその可能性は充分にある。果たして如何に・・・?

 
村上ファンドが保有する阪神電鉄株式の買い手として野村証券グループの投資会社「野村プリンシパル・ファイナンス」が名乗りを上げていると報じられている。また京阪電鉄、南海電鉄、近畿日本鉄道など関西の私鉄大手など中心に出資を呼びかける案が浮上とも伝えられている。南海に近鉄?そう言えばこの両社はかつてプロ野球球団を保有していたことがあった。もしこの話が実現すれば”歴史は巡る”ことになるが・・・。それはさておいて村上ファンドは「長期保有で企業価値向上を目指す」などと格好をつけてほざいているが、投資ファンドとしては出資者に対して利益を確保する義務があり高値売り抜けを画策しているものと思われる。結局株式を取得したところで村上氏は経営への関心は薄く、ただ単に相手企業に難癖をつけて株価を吊り上げを狙っているだけに過ぎない。

 ところでこの情報を受けて阪神電鉄の株価は一時1000円付近まで上げていた。そこに場中(14時)に阪神電鉄から『2006年3月期 第3四半期財務・業績の概要(連結)』が開示された。増収増益との好調さが歓迎され株価は一気に上昇し、終値は前日比72円高の1041円で取引を終えている。さぞや村上氏は喜んでいることと思われる。このまま株価を高値で推移させて売り抜けることが出来れば投資ファンドマネージャーとして言うことはない。村上氏の本音は「
このまま塩漬けでは困る。スポンサーが決まればさっさと売り払いたい」に違いない。

 2006.2.22

 遂に
堀江氏など4名の再逮捕に加えて予想通り熊谷代表取締役も証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)で逮捕された。東京地検特捜部は連結ベースで総額50億円を超す粉飾決算の全容解明を目指す。ようやく大型経済事犯”ライブドア事件”の本丸攻略が始まったと言える。当初から経営中枢の熊谷氏の粉飾決算への関与は指摘されていたが、堀江氏など4名の最初の逮捕容疑への関与が薄く1ヶ月近く時間が経過した。熊谷氏を含むライブドア幹部5名を徹底的に追求し、一刻も早く世間を欺いたライブドアの諸悪を白日の下に曝け出して欲しい

 ライブドアは2月14日の取締役会で「代表取締役が逮捕された場合代表権を異動する」ことを決議している。この決議に沿って
熊谷氏逮捕直後に山崎取締役に代表権を異動した(こちら 参照)。既に熊谷氏は「逮捕されたら(会社に迷惑をかけるので)辞任する」との意向を示しているが、現時点では熊谷氏からは取締役辞任届は出ていない。もし熊谷氏が取締役辞任となると(今のところ無事な)取締役は2名となり、商法の規定『株式会社の取締役は3名以上』を満たさない状況に陥る。とは言っても現状では臨時株主総会を開催して取締役を選任出来る状況にはない。取締役に欠員が生じる場合には裁判所が暫定的に取締役を選任することになる。果たして誰を指名するのだろうか?

 堀江氏などが粉飾決算容疑で逮捕されたことを受けて、愈々ライブドア(+ライブドア・マーケティング)の上場廃止が現時味を帯びてきた。東証は東京地検特捜部、証券取引等監視委員会の捜査状況を睨みつつ粉飾決算の確証が得られた時点で最終判断を下すものと見られる。さて今日のライブドア、ライブドア・マーケティングの株価は反発しているが、堀江氏などの粉飾決算容疑での逮捕を受けて明日以降どの様に反応するのだろうか?上場廃止濃厚との見方から大荒れの展開になることも考えられる。

 
アメリカの投資会社オン・ファンズグループの関連ファンド4社が1月25日から2月15日にかけてライブドア株式5794万7881株(発行済み株式の5.52%)を取得している。取得総額は約62億円、1株平均107円だが、昨日の終値は64円では計算上約25億円の損失となる。取得目的は「投資」としているが、損失を出したのでは洒落にもならない。わざわざ”ライブドア・ショック”後に危険な株式に手を出しているが、いったい何を目論んでいるのだろうか?それとも単なる見込み違い?投資ファンドと言えども失敗することもある。果たして如何に・・・?

 
Yozanは『ライブドア・フィナンス保有のMSCB60億円の繰上償還日決定のお知らせ』を開示した。 3月22日繰上償還予定で2月22日時点での必要資金は61億2000万円となっている。ところでライブドア・ファイナンスは2月23日以降MSCBの株式転換の行使請求出来るので残存金額が変動する可能性がある。つまりライブドアがその気になって繰上償還予定日までの1ヶ月の間に権利行使すればこの開示が”絵に描いた餅”になる。場合によってはこの開示が無意味になる。(両社間でどの様な話になっているか分からないが)2月23日以降のライブドアの動向が注目される。

 同時に『第4回MSCBに関するお知らせ』を開示している。前述のMSCB60億円について引受け先を変更したものでほとんど条件は変わっていない。引受け先はBear,Stearns International Limitedで払い込み期日は3月13日、当初転換価額は1万9540円となっている。(前述の不安要素はあるものの)
取り敢えずライブドアの呪縛から逃れることにはなるが、60億円のMSCBの存在が既存株主を苦しめる状況に何ら変わりはない

 2006.2.23

 
フジテレビは前回の2006年3月期業績見通しではライブドア疑惑の事態推移を見守るとして含み損の取扱いを保留していた。堀江氏などライブドア旧経営陣の粉飾容疑での再逮捕との状況に至っては上場廃止は最早避けられず、年度末までにライブドアの株価回復は望むべくもなく巨額の含み損計上は必至となった。フジテレビ株主の間からはライブドアへの出資の責任を追及する声が出始めている。フジテレビ経営陣は半ば脅しをかけられて無理やり出資させられたとでも言い訳をするかもしれない。それはともかくフジテレビは含み損解消への何らかのActionを取らざるを得ない状況に追い込まれつある。損害賠償請求、契約無効として買戻し請求などにより損を取り戻す方法が考えられる。(財務資料が粉飾疑惑で当てにはならないが)ライブドアに資金が残っている内に回収を模索するのが賢明と思われる。 何にせよフジテレビはライブドアとは一刻も早く縁を断ち切り身辺から”厄病神”を追い払う必要がある。

 
ターボ・リナックスは「港陽監査法人から東京北斗監査法人への変更」を3月27日の定期株主総会に付議することを決めた。何かと疑わしい港陽監査法人からの変更は当然だが、何せ少しでも明るい材料に飢えている方々が多いのでこの程度のは話で株価が過剰に反応する。今日の終値はストップ高(3万円高)の22万1000円で取引を終えている。大発会(1月4日)にはストップ高(5万円高)の44万1000円で引けたことからすると随分と下げている。ライブドア傘下の企業の株価はどこも低迷で苦しんでいるが、ライブドアの呪縛から解き放たれなければ業績向上/株価上昇の目は小さい。

 
オリジン東秀株式を巡ってドン・キホーテとイオンが過半数超を巡って争っている。現時点ではドン・キホーテの保有比率は46.21%で過半数には届いていない。イオンのTOB締め切りは3月1日で成否はまだ分からない。この間に割って入った形のタワー投資顧問は2月15日時点で1766万3144株(発行済み株式の12.65%)と従来の11.23%から買い増している。当然イオンはタワー投資顧問の持ち株を手に入れないことには話にならない。一方ドン・キホーテやイオンよりは余裕があるが、それでも手に入れることが出来れば決定打のなる。但し資金面での余裕があればの話だが・・・。さて6日後にははっきりと決着が着く。ドン・キホーテが有利に思えるが果たしてどうなるのだろうか?

 2006.2.24

 ライブドア今後の経営方針を発表したが、何ら特筆すべき内容はなく先の見通しは依然として見えて来ない。今後の事業展開については『インターネット上のポータルサイト「livedoor」を中心とし、メディア、ファイナンス、ビジネス・ソリューションの事業ドメイン間で最大限のシナジーを生み出しながら、オンラインサービスのNo.1インフラを目指す』としている。具体的に何をどうするのか示されていないのでこれだけ見ても何とも言い様がない。しかしながらこれだけ信用失墜した『ライブドア』ブランドの下では果たして実現可能なのだろうか?平松氏は記者会見で「グループ各社の離脱の混乱はそう長くは続かない」と述べている。果たして現在の状況下で離脱を喰い止めることは出来るのだろうか?状況によっては新経営方針はそれこそ
絵に描いた餅”にしか過ぎないかもしれない。

 記者会見配布資料の前半には事件を受けて設置したコンプライアンス強化委員会のレポート概要が記載されている。これを見ても
ライブドアがコーポレート・ガバナンス(企業統治)やコンプライアンス(法令遵守)に無縁だったことを露呈している。堀江氏と言う独裁者が率いて急成長を遂げたが、その陰に企業として果たすべき社会的責任の履行が欠如していたと言える。堀江氏の周りには”YES Man”ばかりが群がり暴走に歯止めが効かず転落への道を辿る結果となった。その意味では”堤天皇”と言われた独裁者が率いて不祥事を引き起こしたコクドに類似している。ところでコンプライアンス強化委員会からの提言は尤もな事項が列挙されている。裏返せば今までは企業として当然行なうべきことをやっていなかっただけ・・・。これからしっかり行なっていけば何とかなるが、さてライブドアが企業として存続出来るかどうかの問題の方が大きい。

 『
ライブドアの2004年9月期の連結決算粉飾に伴う不正経理操作について、一部の公認会計士が「法律上問題あり」と指摘していた』と報じられている。堀江氏など旧経営陣はこの意見を無視して連結売上高を約53億円水増しした虚偽の有価証券報告書を提出したとされる。犯罪行為を阻止出来なかった監査法人も情けない。何故監査報告書にて「適正」と評価するに至ったのか徹底的に究明しなければならない。事実とすれば堀江氏は初めから粉飾の違法性を認識していたことになり、現時点で取り調べに一切を否定しているに対する突破口になるかもしれない。堀江氏は「赤字はダメ、黒字にしろと言ったことはあるが、粉飾しろとは言ってない」とうそぶいている。(状況にもよるが)露骨に粉飾との表現を使わなくとも実質的に同義と受け取ることが出来る。堀江氏の如き独裁者の発する言葉は重い。企業財務に関する重要事項を「知らぬ存ぜぬ」で通用すると思っているのだろうか?

 
ドン・キホーテとイオンのオリジン東秀争奪合戦は(あまりにも突然)意外な形での決着となった。過半数超を目指すと言っていたドン・キホーテが何と張り合っていたイオンのTOBに応募する。つまり保有するオリジン東秀株式全て(発行済み株式の47.82%)イオンに売却する。今月21日と23日の2日に亘りイオンの岡田社長とドン・キホーテの安田会長が話し合い、ドン・キホーテイオンがイオンのTOBに応募することが双方の利益に繋がると判断したとされる。ドン・キホーテが敵対的買収に動いてからの会社一丸となってのオリジン東秀の強烈な反発を受け、このまま強引に買収を進めるよりもイオンを通じた提携関係構築を目指す方が得策と判断したと思われる。結局ドン・キホーテは60億円近い売却益と引き換えにオリジン東秀争奪戦に敗退することになる。またもや敵対的買収が失敗となり、結果として日本の風土には馴染まないことを立証した。

 今回のドン・キホーテの応募でイオンによるTOB成立は確実になった。イオンはTOB期限を3月20日まで延長したが、次なる焦点は3月20日までにいったいどの程度の応募があるかに移る。イオンは買付予定株式数(890万株)を超えた時は全て買い付けるとしている。47.82%保有するドン・キホーテがTOBに応ずることにより、イオンの保有比率は過半数をはるかに超える可能性が高まった。恐らく少数特定者持株数(上位10の大株主の累積保有比率)が75%を超える可能性が高く、更には90%を超えるかもしれない。つまり状況によってはオリジン東秀が上場している東証(2部)の上場廃止基準に抵触する可能性がある。イオンとしてはドン・キホーテがTOB応募を決めた段階で上場廃止、更には完全子会社化を視野に入れているかもしれない。

 2006.2.25

 昨日の記者会見で
ライブドアの平松社長は『東京地裁に対して「職務代行者」(仮取締役)の選任を要請した』ことを明らかにした。現時点では取締役が商法上の最低充足数3名の為、先日逮捕された熊谷氏を退任させることが出来ない。そこで商法上の特例に基づいて暫定的に取締役が選任された時点に熊谷氏は辞任することになる。6月までに開催予定の臨時株主総会には社外取締役の設置、平松氏自身の取締役就任などを提案する。承認されれば平松氏は晴れて『代表取締役社長』となる。ところで株主総会には幾つかの興味ある議案が提案されることになると思われる。それまでに上場廃止になっている可能性が高い。またグループ傘下の企業との資本・業務提携関係の行方も注目される。とにもかくにも株主総会がどの様になるのか興味深い。

 昨日
セシールの佐谷社長は改めて「グループの中で業績回復を目指す方向に変わりはない」として資本・業務提携を維持する考えを表明した。一方ではライブドアのポータルサイトからのセシール通販サイトへの顧客誘導は見込めないとして提携による相乗効果は期待していない。『ライブドア』ブランドイメージの悪化のセシールへの影響は小さいとしている。それならば別にライブドアにこだわる必要がない筈だが、この期に及んで何故ライブドアに必死にしがみつこうとしているのだろうか?

 セシールは2003年度から3期連続の赤字続きと苦しい状態にあり、企業存続の為にはスポンサーに頼らざるを得ない状況にあった。そこに昨年当時絶好調のライブドアが手を差し伸べ、TOBを実施して創業者一族が保有する株式全てを含めて約69%を取得し子会社化した。昨日発表した2005年12月期業績予想(修正)によると当期損失は79億5700万円で依然として苦しい状況にある。また2006年月次売上高速報を見ても1月度の実績は43億2700万円と対前年同月比80.2%と苦しいスタートを切っている。明らかにどこかにすがりつかなければ経営が立ち行かなくなる恐れがある。現状では仮にライブドアとの縁切りを目論んだところで、累積赤字に苦しんでいるセシールに手を差し伸べるスポンサーが出現するとは考え難い。つまり
落ち目のライブドアとは言え”腐っても鯛”?振り落とされない様にしがみついて生き残る道を探るしかセシールには手が無い

 現在セシールはライブドア・マーケティングの子会社になっている。ライブドア・マーケテイングは今回の疑惑の渦中にあり上場廃止の可能性が高い。更にライブドア・グループからの離脱も検討している。そんな状況からすると元々脆弱な財務基盤が更に弱くなる可能性があり、
セシール株式を手離さざるを得ないとの見方が出ている。『セシール株式をライブドア本体が買い取る方向で調整』と報じられている。実はライブドア・マーケティングはセシール買収時にライブドアから300億円借り入れている(こちら 参照)。昨日の終値は741円とセシール買収時のTOB価格(1000円)からはかなり下落しているので、ライブドア・マーケティングが保有株式を全て売却しても欠損が出る可能性が高い。欠損をどうするのかは分からないが、ライブドアが貸付金回収の為にもセシール株式を買取る可能性は高い

 2006.2.26

 今月15日
野村證券は上場廃止が決定して整理ポストに割り当てられた株式の口座振替を停止した。対象となるのは野村證券以外の証券会社を通じて購入した整理ポスト銘柄の株式。野村證券は「特定の株式を想定した措置ではない」と説明しているが、この時期のこの措置は明らかにライブドア株式の上場廃止を意識している。ある大手証券関係者によると「整理ポストの株式の口座振替を拒否するのは異例の措置」とのこと。こんなところにも今回の”ライブドア・ショック”の波紋が広がっている。余分な負担を避けたい他の証券会社も追随するかもしれない

 投資家が証券会社を通して購入した株式は普通はその証券会社の証券口座に入れるが、何らかの事情により他の証券会社の口座に移し変えることも出来る。さて上場廃止となるとその時点の口座を管理している証券会社を通して現物株券が返還される。もしライブドア株式が上場廃止となると、証券会社は自社管理口座にあるライブドアの現物株式を株主に送付しなければならない。(現在は何名かは不明だが)22万人もの個人投資家への返還作業は膨大な手間がかかる。証券会社としては整理ポストに割り当てられた後に株式の口座振替を利用して自社の管理口座にライブドア株式を移されたのではたまったものではない。大量のライブドア株式が自社の管理口座にあると株券の返還作業が大きな負担になる。ある大手証券関係者は株式売買は手数料の安いインターネット証券で行ない、返還だけ押し付けられるのは避けたい』のが野村證券の本音と見ている。

 株式の口座振替とは・・・株券を預かる証券保管振替機構を利用し、帳簿上で別の証券会社の口座へ株を移すこと。売買手数料が安いインターネット専業の証券会社の口座に投資家が株式を移したり、株式を担保にした取引などで利用される。

 
アドテックスの2005年12月期決算報告が2月28日に予定されている。赤字決算の業績見通しが既に示されているが、それよりも債務超過か否かに注目が集まる。もし債務超過であればヘラクレスの上場廃止基準に抵触する可能性が出て来る。規定によると『債務超過、かつ(株価x1単元の株式数)<1万円』に該当すると上場廃止となる。「株価x1単元の株式数」は月間の平均株価(日々の最終株価に1単元の株式数を乗じて得た額から算出)より得られる。アドテックスの株価は2月13日に1万円を割り込み、一昨日の終値は7300円と大きく低迷している。このまま1万円を大きく割り込んだまま推移すれば「株価x1単元の株式数」<1万円に該当する。決算発表、株価推移共に注目される。果たして・・・?

 
村上ファンドが保有する阪神電鉄株式を巡って様々な話が飛び交っている。折角大量の株式を買い占めたにも関わらず阪神電鉄との交渉は全く進んでいない。村上氏は口では「長期保有」などと強気な姿勢を崩していないが、ファンド・マネージャーの立場からすれば内心は穏やかではないと思われる。このまま塩漬けになったのでは村上ファンドへの出資者に対する説明に窮する。そんな事情からも撤退論が囁かれているのでは・・・。

 
村上ファンドは阪神電鉄株式を大量に取得しているので売却先を探すのも容易ではない。2月24日時点の終値972円で算出すると現時点の時価は約1825億円となる。村上ファンドの平均取得価格は630円/株と推定される。売却する場合には現時点の株価からdiscountされるが、(当たり前だが)村上ファンドとしては取得価格よりもはるかに高いところで売りたい。ところで村上ファンドが買占めを始める前には400円程度だった株価が一気に1000円位まで上昇した(こちら 参照)。大手証券関係者によると「現在の株価水準は実態に比べて高すぎる」とされる。阪神電鉄の企業価値向上で株価が上昇したのではなく、ただ単に買占めにより吊り上げられただけに過ぎない。阪神電鉄はその後企業価値向上策を打ち出してはいるものの、現在の高水準の株価に見合う策にはほど遠い。迂闊に高値で取得するとたちまち巨額の含み損を抱えることにもなりかねない。

 
6月の株主総会に向けての株主名簿の確定(議決権の確定)が3月末に迫っている。株式を取得するからには直近の株主総会で議決権を行使出来る方が良いのに決まっている。とすれば3月末の時点が大きな意味を持つ。村上氏が売却を考えているとすれば、3月末までに売却が出来なければ難しい立場に置かれる可能性がある。買う方からすれば何も慌てて買う必要はなく村上氏の足下を見て買い叩けば良い。村上氏にどれほどの余裕があるかが鍵になる。撤退するのか、あるいは長期戦になるかどうかは近々明らかになる。

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