2006.3.13
証券取引等監視委員会(SEC)は堀江氏含む5名とライブドアを証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で東京地検特捜部に告発した。これを受けて明日東京地検特捜部はライブドア、及び堀江氏含む5名を起訴・追起訴する。さて東証はSECの告発を受けてライブドア株式の上場廃止を決定する。整理ポストに割り当てられ1ヶ月後には市場での取引が不可能になる。果たして明日から1ヶ月間のマネーゲーム勃発となるのだろうか?1ヶ月も市場での取引が行なわれるのかと思うと不愉快な感じがする。こんな極悪企業の株式は市場から即刻”一発退場”願いたいが・・・。まあ1ヶ月の辛抱すれば4月14日には市場から消え去るので良しとしよう。とにもかくにもようやくすっきりした気分になれる。
もう一つの当事者ライブドア・マーケティングも同時に上場廃止が決定した。事実上共同正犯なので市場からの退場処分は当然・・・。ライブドア・マーケティング上場廃止の件で名前が出て来ないので”上場廃止はない”との楽観的な見方が支配したかどうかは分からないが、今日は一旦ストップ高(80円高)の430円まで上昇した。結局終値は前日比64円高の414円で取引を終えている。さて上場廃止が決定してライブドア共々株価の推移が注目される。
ライブドア証券が今日提出した大量保有報告書によると、保有するドリームテクノロジーのMSCBを株式転換して3月2日以降懸命に売却している。ドリテクの株価は3月1日からの5連続ストップ高で大きく戻している。今日は9営業日ぶりの下落により終値は前日比1960円安の2万6700円で取引を終えている。ライブドア証券は1万3668円40銭/株で権利行使して高値売却で利益確保を図っている。大量保有報告書によると3月10日時点でライブドア証券はドリテク現物株式2万4332株、及び21万9484株分のMSCBを保有している。3月10日までの履歴しか分からないが、今日も権利行使して市場で売却しているものと思われる。ライブドア証券は何時までも持っていても仕方がないので明日以降も売り捌くと考えられる。大きな売り圧力となり株価下落に繋がると見ている。
阪神電鉄の株価は何か思惑が錯綜している如き動きを示し高い水準になっている。今日の終値は前日比21円高の1054円で取引を終えている。どう見ても阪神電鉄の企業価値をはるかに上回る高値にしか思えない。株価が上昇すればするほど村上ファンドの含み益は膨れ上がる。しかしながらこれほどの高値で売却出来る筈がない。恐らく水面下では(相手がどこかは分からないが)売却交渉が進められていると思われるが、価格面での折り合いをつけるのが難しいのでは・・・?買取る方としても下手に高値で入手するととたんに暴落で含み損との事態にもなり兼ねない。3月末の株主名簿確定まであと半月あまり・・・村上ファンドの思惑通りの決着になるのだろうか?個人的には”どこにも売却出来ず”塩漬け”になった方が面白い展開になりそう”と期待している。
”村上銘柄”の一つホシデンの株価は地味な動きながら6営業日連続で上昇(上げ幅:73円)している。今日の終値は前日比18円高の1405円で取引を終えている。「安価仕入れ、高値売却」が全ての村上ファンドの目から見れば利益確保の為にはまだまだ上げ方が不足している。”あの手この手”で株価吊り上げを画策して来るものと思われる。ただ単に”村上銘柄”と言うことだけでは株価の動きは小幅でしかない。さて村上氏が何を仕掛けて来るのか注目している。
2006.3.14
ライブドアの平松氏は昨日の記者会見で「守秘義務があるので具体的には話せない」としながら複数の企業から支援申し出があることを明らかにした。一方では自主再建も選択肢の一つとしている。しかしながら昨日ライブドアの上場廃止が決定したこともあり著しい信用失墜と考え合わせればいずれの道にせよ(自業自得とは言っても)非常に厳しい。思わぬ形で表舞台に登場した平松氏の苦難は更に続く。
フジテレビや投資家からの損害賠償請求が起こされる可能性が高く、しかも請求額が巨額になることも予想される。更に法人としてのライブドアが証券取引法違反で有罪が確定すれば”虎の子”のライブドア証券を手放さざるを得ない。平松氏はポータルサイトなどメディア事業、ライブドア証券を含む金融事業、「弥生」を中心とする法人事業の3事業をコアビジネスとする事業展開を目論んでいる。(元々危うい構想なのに)その一角が崩れれば目論みも砂上の楼閣に過ぎない。また傘下の企業が相次いでグループ離脱を表明しているとあっては目論み通りの事業展開はおぼつかない。当面は手元にある現預金で凌げるが、損害賠償請求の行方、今後の事業展開の行方次第ではあっと言う間に行き詰まる可能性がある。危険性の高いライブドアに救いの手を差し伸べるところがあるのだろうか?結局は”二の足”を踏むことになるかもしれない。そうかと言って自主再建の道はより困難に思える。さて・・・?
昨夜フジテレビの日枝氏は『ライブドアの支援企業への保有株式売却を検討』していることを明らかにした。もし支援企業が現われれば有力な選択肢の一つになる。売却してもフジテレビの損失は莫大な額になる。ライブドアのインチキによる損害に対して早ければ3月中にも賠償請求を行なう可能性がある。 インチキを行なった企業には当然鉄槌が下されなければならない。ライブドアが不当に得た利得を手元に残すことは許されない。
ライブドアの株価は上場廃止決定早々マネーゲームの様相を呈している。終値は前日比10円高の76円で取引を終えている。何せ単価が安い上におまけに1株単位で売買出来るとあれば遊ぶには格好のおもちゃになる。株価の上げ下げを上手く利用すれば利鞘を稼ぐことが出来る。整理ポストに割り当てられ上場廃止までの1ヶ月間、株価は賑やかに飛び跳ねることが予想される。一方ライブドア・マーケティングの株価は上場廃止決定を受けての狼狽売りが殺到したと見られる。実際に取引があったのは14時すぎの10分程度、終値はストップ安(80円安)の334円で取引を終えている。ここは中身が乏しく企業存続に?マークがつく。上場廃止企業の株式によくあるマネーゲームになるかもしれないが、ここに手を出すのはライブドアよりはるかに危うい。
イオンは『オリジン東秀株式へのTOBが成立し1696万7270株を取得する』と発表した。取得予定の890万株を大幅に上回りイオンの保有比率は95.67%となる。敵対的TOBを仕掛けたドン・キホーテがあっさり投了してイオンに協力する状況下では充分に予想出来る結末と言える。このまま行けばオリジン東秀株式は上場廃止となる。そんな背景もありオリジン東秀の株価は値を下げている。終値は前日比55円安の2955円とTOB価格3100円を下回わって取引を終えている。こうなると残された興味は「何時上場廃止になるか」だけに絞られる。
アドテックスの株価は不可解なストップ高(500円高)の4450円で取引を終えている。前場は昨日より安い3800円前後で始まったが10時15分頃から出来高を伴い一気に4400円位まで上昇した。この不自然な動きは明らかにどこぞの誰かが仕掛けたのに違いない。もしかしたら今日大引け後に発表予定の決算発表に期待を持たせる様な策動があったのかもしれない。
またもや予想通りアドテックスの決算発表が延期となった(こちら 参照)。これで3度目の延期・・・どう見ても現時点で発表したくない(出来ない)悪い事情があるとしか考えられない。はっきり言ってこれはあまりにも見苦しい。どこまで醜態を晒したら気が済むのだろうか?開示にある遅延理由は「今さら何を言っているのか」と腹立たしい。ただ単にやましいところがあるから発表出来ないとしか思えない。これからアドテックスにとり事態が好転するとは到底思えない。”百害あって一利なし”の例えもある。こんないい加減な企業には早く引導を渡した方が良い。
2006.3.15
『有線放送の最大手USENがライブドアとInternet関連事業などで業務提携』と報じられている。 また『フジテレビ保有のライブドア株式買取り検討』とも伝えられている。USENが敢えて”火中の栗”を拾おうとする狙いは何だろうか?Usenは現在Internetによる無料の番組配信「GyaO」を中心に事業拡大を進めているのでネット事業の基盤強化を図る必要がある。またライブドアへ資本参加することでUSENの新事業分野の光通信事業、ネット動画配信とライブドアの得意分野のネット事業、金融事業を連携を狙うと見られる。つまり『ライブドア・ブランド』は泥に塗れて地に墜ちてはいるが、ライブドアの知名度の高さを活用して自らの収益につなげたいと推察される。但し今回の事件で『ライブドア』に対する世の中の抵抗感はかなり根強く存在する。そこはどの様に対処するつもりなのだろうか?
一方ではライブドアには(巨額の)損害賠償負担Riskを抱えている。フジテレビからライブドア株式を買取るにしてもいったい幾ら出すつもりなのだろうか?まさか現時点でフジテレビの取得価格329円/株とする訳にはいかない。そんなことをしたらUSEN経営陣が株主代表訴訟を起こされる恐れがある。とは言っても安く買い叩こうとすればフジテレビには損失が発生するので簡単には応じられない。当然フジテレビは損失が発生すれば損害賠償請求を起こすことになる。フジテレビの日枝氏は「USENへのライブドア株式の売却検討中」としているがどうなるのだろうか?また損害を蒙った投資家からの賠償請求もどこまで膨れ上がるのか見当がつかない。USENが資本提携に踏み切る場合にはこの辺りの扱いをクリアしなければいけない。とにもかくにもライブドア支援とは言ってもそう簡単なことではない。
この件に関してUSENは「ライブドアとの提携の可能性は検討しているが具体的に決定した事実はない」とのコメントを出している。それでもUSENによる支援を軸とした話が進んでいるのも事実であり、ライブドア・グループの株価は反応を示し様々な思惑も絡み複雑な動きを示している。もしライブドア傘下にある企業がUSEN傘下にでもなれば上がり目ありとの見方が出ているかもしれない。ライブドアは4月には上場廃止となるが、USENの支援により再建し将来的に再上場との思惑もある。ライブドアと同時に上場廃止になるライブドア・マーケティングは復活は難しいと見ているがどうなのだろうか?何にせよライブドア・グループの株価は当面様々な思惑が入り乱れ賑やかな動きで楽しませてくれる。
今日付けで大証ヘラクレスはアドテックスを開示注意銘柄に指定した(こちら 参照)。指定の理由は『2005年12月期に係る決算短信に関して、計算書類の信頼性の裏付けが確定していないことを理由に決算期末から2ケ月半を経過しているにもかかわらずいまだ開示がなされていない』ことによる。開示注意銘柄指定はちょっと見た目には整理ポスト(上場廃止)、監理ポストと比較すると軽い処分の様に受け取れる。しかしながらアドテックスが何時までもダラダラと決算発表を引き延ばしていると、大証が上場会社との上場契約違反と看做し上場廃止の厳罰が下される可能性が高い。言い換えれば大証はアドテックスに対して警告を発し上場廃止に向けての”最後通牒”を突き付けたと言える。これで断崖絶壁に追い詰められ後がなくなったアドテックスの対応が注目される。ちなみに今日の終値は予想通りストップ安(500円安)の3950円で取引を終えている。
2006.3.16
思いの外USENによるライブドア支援が急速に展開している。今日USENはライブドアとの『業務提携に関する契約締結のお知らせ』を開示した。3月末を目処に業務提携推進委員会を設置して4月末に具体的な業務提携の細目を決定する。またUSENは2名を限度として特別顧問を派遣するとしている。但書きには6月開催予定のライブドア臨時株主総会にて5名の取締役候補の内、USENは2名を指名することが可能とある。しかしながら資本提携が含まれていないがどうなっているのだろうか?
法人としてのUSENが取得すると思っていたが、宇野社長が自己資金で71円/株でフジテレビ保有のライブドア株式1億3374万株全てを取得する(こちら 参照)。宇野氏個人保有することで法人としてのライブドアに訴訟Riskが及ばない様に配慮したと考えられる。確かにライブドアを巡る損害賠償請求の先行きが不透明ではUSENが引き受けるのはRiskが大きい。将来的にライブドアを巡る損害賠償請求が一段落し、かつ資産査定に問題なしとなった段階で、宇野氏からUSENへライブドア株式が譲渡される。
フジテレビは不本意な和解により強いられた資本関係を断ち切りライブドアと絶縁出来る。残るはライブドアへの損害賠償請求が焦点になる。これでフジテレビは約345億円の損失が確定する。近々この損失額を基にライブドアに対して損害賠償を求める。フジテレビとUSEN(宇野氏)との間では何か話が出たのだろうか?損害額が大きいだけに結局は話合いがつかず訴訟になると見ているが・・・?ところでフジテレビは2006年3月期決算には約345億円の特別損失を計上しなければならない。保有する銀行株式の一部を売却して特別利益を計上するが、連結純利益は前期比56%減の100億円と従来予想を138億円下回る見込みとなっている。(こちら 参照)将来的にはライブドアに対する損害賠償が認められれば回復するが、極悪人に纏わりつかれ蒙った古傷は容易に癒えることはない。
ライブドアの株価は再建スポンサーへの期待から3営業日連続の上昇(上げ幅:21円)となり、終値は前日比2円高の87円で取引を終えている。宇野氏の取得価格71円/株に対して明日以降市場はどの様な反応を示すのだろうか?取得価格への失望感が出るかもしれない。法人としてのUSENではなく宇野氏個人の取得とは何を意味するのだろうか?Risk回避もあるのだろうが、見方を変えればUSENがライブドアをまだ本当に信用していないとも受け取れる。そんな雰囲気を察知したかどうかは分からないが、(ライブドアを含め)ライブドア・グループ傘下の企業の株価は大引けにかけて下げている。まずは明日の株価動向に注目している。今日の大引けに向けての流れを引き継いで苦しい展開になるのでは・・・?
ペイントハウスが東京高裁に行なっていた上場廃止禁止仮処分の命令に対する即時抗告申立が昨日却下された(こちら 参照)。この決定を不服として最高裁への特別抗告申立、又は東京高裁への許可抗告申立、あるいは双方を行なう予定としている。あくまでも徹底抗戦の構えを見せているが、どう転んでもペイントハウスに勝ち目はない。4月中には最終的な決定(却下)が出ると思われる。その時がペイントハウスの終焉となるのだろうか?本当に往生際が悪くどこまでも見苦しい。
昨日Yozanは『ライブドアより公衆無線LAN(構内情報通信網)サービスに関する契約の解除の申し入れを受けた』と発表した(こちら 参照)。これを受けてYozanは契約解除手続きを開始する。昨年9月両社は無線LAN接続サービスに関する基本契約を締結していた。ライブドアは東証の上場廃止処分を受けて無線LAN事業の見直しを行ない、Yozanに対して基本契約解除を申入れていた。昨日ライブドア・ファイナンス保有の60億円MSCB60億円の買い入れ消却を完了しているので、ライブドア・グループとは資本・業務面のいずれも名実共に完全に縁が切れた。
ライブドア・グループとの縁切り出来たのは好ましいことだが、今回の契約解除により2006年3月期業績を下方修正した。売上高:23億4200万円(前回予想:28億円、昨年度実績:56億900万円)、経常損失:51億4600万円(前回予想:45億8100万円、昨年度実績:50億6200万円)、当期純損失:66億1800万円(前回予想:60億5600万円、昨年度実績:66億6300万円)とある。この数値を見ると背筋が寒くなる。赤字(当期純損失)が売上高の約2.8倍!とは・・・。近々新たな60億円のファイナンスで資金調達するが、果たしてYozanの先行きは大丈夫なのだろうか?
2006.3.17
昨日の記者会見にてフジテレビの日枝氏は約345億円の特別損失に関して『瑕疵のない手続きで第三者割当増資を引き受けた。経営責任はない』と述べている。確かに堀江氏から無理やり強要された和解であり同情すべき点はあるが、経営最高責任者の日枝氏が全く何も責任を感じていないのは納得出来ない。将来的に損害賠償を勝ち取り損失の穴埋めは可能かもしれない。しかしながら無法者に隙を憑かれた経営者としての脇の甘さ、結果として判断を誤りライブドアに出資を強要されたことなど反省すべき点が多々ある。日枝氏は経営者としての面子にこだわり自らにも非があることを認めていない。今後のライブドアの交渉、あるいは訴訟を考えて強気の態度を示すのも分からないこともない。しかしながらやはり一言「反省の弁」があって然るべきと思うが・・・。
昨日のUSENによるライブドア支援発表を受けてライブドア・グループの株価がどの様な動きを示すのか注目していた。昨日の記者会見を見ていて何やらUSENには煮え切らない中途半端な印象を受けた。特に「ライブドアの資産査定が出来ていない」として(法人としてのUSENではなく)宇野氏個人の引き受けは印象が悪い。実質的には『ライブドアはまだ信用出来ない』と言っているのに等しい。それに宇野氏へのライブドア株式譲渡価格71円にも嫌気が刺されたと思われる。そんな雰囲気が市場を支配しているのかどうかは分からないが、歓迎するどころか失望したかの如く軒並み株価を下げている。
USENによるライブドア支援にはまだまだ不透明な部分がありこの先どうなるか予断を許さない。今回宇野氏(USEN)が取得するのはライブドア発行済み株式の12.75%にしか過ぎない。それに堀江氏に次ぐ第2位の株主になっただけ・・・。つまりUSEN支援とは言ってもその足下は磐石ではない。堀江氏は関係者に「(USEN支援)が上手く行くと良い」と話しているとはされるが心の奥底までは分からない。拘置所内に拘束されているとは言っても堀江氏は依然として筆頭株主であり(直接経営に携わらないとしても)影響力は残っている。それに宇野氏や現ライブドア経営陣を好ましく思わないが反旗を翻して動き出す可能性もある。加えて複数の外資ファンドがライブドア株式を保有しているのも何とも不気味・・・。昨日アメリカの The Baupost Group , L,.L,.C .が提出した大量保有報告書により5.62%→6.72%に買い増したことが分かった。いったい何を考えているのだろうか?USENがTOB実施で過半数超を確保し子会社化でもすればライブドア支援が一応磐石にはなるが・・・。とにもかくにも暫く局面が進まないとこの先どうなるかまだ読み切れない。
ペイントハウスはすっかりマネーゲームの玩具に成り下がっている。2月下旬からの株価の推移を見て頂きたい。400円を下回るところで動いているが、ある程度下げると突然の反発を繰り返している。3月8日のストップ高は全く理由が見当たらない。今日の出来高は145万9423株と昨日の7倍と非常に多く、前場には一時404円まで上昇したが終値は前日比45円高の377円で取引を終えている。上場廃止の影が背後に迫り材料など全く無関係なところでの株価の上げ下げに終始している。こんなところには早くとどめを刺した方が良い。
東証は今日午前の自民党・企業会計に関する小委員会にで『誤発注防止対策として上場株式数の30%超の注文を受け付けない』ことを明らかにした。4月中にもシステム対応を行ない実施を予定している。(30%が妥当かどうかの議論はあるが)実施されれば昨年12月のジェイコム株式誤発注の様な発行済み株式を超える馬鹿げた事態を防ぐことが出来る。また東証は『一定の基準を超える誤注文を確認した場合、誤発注の内容(売りと買いの別、値段、株式数)、経過(発注時間、取り消しなどの時間)、発注取引参加者の名前を東証のウェブサイトで公表する』としている。但し小委員会のメンバーから「すべての誤発注について公表すべき」との意見があり東証は検討するとしている。何にせよ全ての証券取引所は2度と馬鹿げた誤発注が起きない様に心して対策をとって頂きたい。
2006.3.18
ライブドアは東京地裁に対して一時取締役選任の申立てを行なっていたが、昨日付けで東京弁護士会倒産法改正対策協議会副議長の腰塚和夫氏が選任された(こちら 参照)。腰塚氏の経歴を見ると会社更生/民事再生などの事案に多くの関わりがある。一時取締役が選任されたことにより熊谷氏の取締役辞任が正式に受理された。6月の臨時株主総会で山崎氏、羽田氏の解任が決まれば経営陣から”堀江色”が一掃されることになる。しかしながら真の意味で”堀江色”が一掃されるのは堀江氏がライブドア株主名簿から消えた時・・・それまでは新しい経営陣が如何に”堀江離れ”を強調したところで素直には信用出来ない。”堀江色”が完全に一掃されてこそようやく初めて再生に向けてのスタートラインについたと言える。
ライブドアの監査を担当した公認会計士が粉飾を認識しながら適正意見を付けた疑いが強まり、東京地検特捜部は証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)で近々立件する方針と報じられている。港陽監査法人に所属するこの公認会計士は2004年9月期連結決算にて、ライブドアの説明を不適切との認識を持ちながら『適正意見』を添付したとされる。先のカネボウの粉飾決算では中央青山監査法人所属の公認会計士4名が逮捕されている。相次ぐ公認会計士が絡む事件により信頼が薄らいでいる。依頼主の企業の言い成りになるのでは公的資格の意味が無い。「何の為の公認会計士なのか」再確認して肝に銘じて頂きたい。
3月14日の記者会見終了後『オリジン東秀の顧問弁護士が一部記者に対して「ドン・キホーテが得た株式売却益の内短期売買分を返還請求するかどうかについて検討中」と述べた』と時事通信が報じている。証券取引法第164条には「上場会社等の役員又は主要株主が当該上場会社等の特定有価証券等について6ヶ月以内の売買で利益を得た場合、当該上場会社等は上場会社等の役員又は主要株主に対してその利益を上場会社等に返還請求することができる」とある。確かにドン・キホーテは短期間にオリジン東秀株式を取得しイオンのTOBに応じ売却している。どの位該当するかは分からないが証券取引法第164条に抵触する可能性が高いと思われる。オリジン東秀の顧問弁護士は具体的な言及を避けているが、法に触れるとの確信があれば当然追求すべきと考える。
2006.3.19
アドテックスは3月10日付けで代表取締役の交代、5名の新取締役の選任、引き続き3月17日付けで執行役員2名の選任と新人事を発表している。特筆すべきは「(株)ゆびとま」から3名、前田代表取締役(CEO)をアドテックスの代表取締役社長、下村副社長を執行役員・副社長、菊池取締役を執行役員・財務経理部長に迎えているところにある。何故「ゆびとま」は大変なこの時期にわざわざ”火中の栗”を拾うのだろうか?裏でVLIが1枚噛んでいるのだろうか?尤も新人事を相次いで繰り出したところで早急に資金調達しなければ苦境を脱出出来ない。資金調達と新人事に何か関係があるのだろうか?
ところで「ゆびとま」とは何者?「ゆびとま」のサイトには『小学校から大学まで全国6万校を網羅した同窓会支援の自主参加型コミュニティサイト「この指とまれ!」を運営し、Internet上での懐かしい再会と心温まるコミュニケーションの場を提供」とある。「ゆびとま」がいったい何を目論み”火の車”のアドテックスに手を出しているのか分からない。アドテックスとの接点はどこにあるのだろうか?この件に関してあるところで興味ある話を小耳に挟んだ。
それは ・・・ 『アドテックスの昨年度の有価証券報告書の資産、負債の売掛金を見ると日本スポーツ出版社に約16億円の売掛金がある。今年度に回収済みかどうかは不明だが、日本スポーツ出版社の年商は21億円程度なので常識的に考えれば容易に支払い出来るとは思えない。つまり債務者に頼んで社長になってもらったのかも知れない。』
確かに年商21億円程度の日本スポーツ出版社に対して売掛金16億円とは極めて不自然に思える。平成15年度の有価証券報告書には日本スポーツ出版社への売掛金の記載はない。とすれがば平成16年度に一気に売掛金が増加したことになるが、いったいどの様な取引があったのだろうか?日本スポーツ出版社は「ゆびとま」の株主構成欄には創業者グループに次いで2番目に記載されている。保有比率は分からないが主要株主に間違いない。更に日本スポーツ出版社の代表取締役社長は「ゆびとま」代表取締役の前田氏!・・・しかも平成16年7月平成16年7月に就任している。となれば疑いを抱くには充分な状況証拠が揃っている。「何か裏がある」との疑いが非常に濃い。「ゆびとま」の大株主が関わる負債ネタがアドテックスを(最後の)修羅場に引き擦り込んだとも考えられる。
阪神電鉄への支援が取り沙汰されている京阪鉄道の佐藤社長は阪神株式引取りの可能性を否定した。村上ファンドは「純投資」にしては買占めの程度が凄まじい。週末の終値は1072円と高い水準にあり阪神電鉄株式を買取るには巨額の資金を必要とする。佐藤氏としても危険を冒してまで(巨額の)投資するとは容易に言えない。他の企業も同じ・・・阪神電鉄に1000億円以上の資金を投入するのはRiskが大きく二の足を踏むと考えられる。3月末までに売却出来なければ村上ファンドはそのまま議決権を持つことになる。
となれば村上ファンドは阪神電鉄株式の過半数超を取得して経営陣を入れ替え”傀儡政権”を作るのだろうか?現在も買い増して着々と過半数に近づき、あるいは過半数を超えているかもしれない。ところで投資ファンドとして投資家への利回りを保証するには利益を確保する必要がある。しかしながら実質的に阪神電鉄の経営権を握ったところで充分な利益を確保出来る保証はない。とは言っても売却も儘ならないとすれば村上氏はいったいどの様な戦略で今後臨んで来るのだろうか?修羅場を潜り抜けて来た百戦錬磨の村上氏のことだから予期せぬ秘策を繰り出すかもしれない。果たしてどうなるのだろうか?それにしても村上氏の如き”ならず者”を何時までも市場にのさばらせておくのは気分が悪い。