2006.3.20

 
阪神電鉄の株価は一時1108円まで上昇する勢いがあり、終値は前日比27円高の1099円で取引を終えている。特に3月中旬になってからの上昇トレンドには結構強さが感じられる。村上ファンドの売却相手探しの報道を受けて何やら思惑が働いている様にも見える。それにしても株価があまり上昇すると村上ファンドが売却し難くなる。取得する立場からすれば費用が莫大で手を出すのに躊躇するかもしれない。村上ファンドもある程度まではdiscountすると思われるが、とは言ってもあまり安くする訳にも行かない。 さて村上氏はどうするなのだろうか?

 ”村上銘柄”の一つ
ホシデンの株価も3月6日から上昇トレンドにあり、終値は前日比11円高の1434円で取引を終えている。これと言った材料が無いのに3月6日からの上昇幅は100円を超えている。村上ファンドの含み益は更に増加しているが、どのタイミングでの売却を狙っているのだろうか?ここ1年間では結構高い水準に達しているので頃合いを見計らっているかもしれない。何せ大量保有報告の特例により村上ファンドの動きが容易に分からない。近々証券取引法が今通常国会で改正される予定なので今よりは分かるは易くなるが・・・極悪人にあまりにも好き勝手にされると腹が立つ。

 
ペイントハウスは『上場廃止禁止仮処分命令申立に対する特別抗告ならびに許可抗告申立に関するお知らせ』を開示した。東京高裁より却下の決定が下されたことに対して、不服申立て期限の今日最高裁へ特別抗告、東京高裁へ許可抗告の申立てを行なったが、いずれも却下される可能性が高い。 最後の悪あがき・・・時間稼ぎの感が強い。ペイントハウスが必死に抵抗している間は東証も上場廃止の決定は出せない。しかしながら4月半ばには最高裁、東京高裁の決定が出ると思われるので、その後まもなくペイントハウスは終焉の時を迎えることになると考えられる。こんな見苦しいところは一刻も早く市場に残しておく必要は無い。

 
サンライズ・テクノロジーの株価は2月2日に100円を割り込んで以降低迷を続けている。今日の終値は前日比1円安の75円で取引を終えている。ロータス投資事業組合が払い込んだ2000万株分の新株予約権がある。3月1日に提出した大量保有報告書によると株式転換した1000万株の内410万3670株を処分しているが、行使価格107円を下回る価格で売却を続けている。売却履歴は2月24日までしか分からないが、その後処分しても更に下回る価格で処分することになる。つまりロータスは大きな損失を蒙ることになるが・・・。この状態では残り1000万株分の新株予約権を行使する筈がない。もしこのまま行使されなければサンライズ・テクノロジーに資金が入って来ないが資金繰りは大丈夫なのだろうか? 既にここは”苦しい時のロータス頼み”状況に追い込まれ決して楽観出来る情勢ではない

 2006.3.21

 
楽天は今日付けでUSENの宇野氏の社外取締役辞任を発表した。宇野氏は表向きは一身上の都合とはしているが、USENが楽天と競合するライブドアとInternet事業で業務提携すればそのまま取締役でいることは出来ない。宇野氏は親交のある三木谷氏の要請で2003年3月社外取締役に就任し2期目の途中だった。2001年11月USENと楽天はネット上で有料動画を配信する「ショウタイム」を合弁で設立し、2002年2月にサービスを開始した。これについて楽天は当該事業を継続するとしている。何にせよ今後USENと楽天の関係は微妙なものになることは間違いない。

 昨日
ペイントハウスは『塗装事業に関する特約代理店契約締結についての合意のお知らせ』を開示した。特約代理店契約締結の相手はユアサ建材工業、契約締結日が3月28日とある。よくぞこんな時にペイントハウスと契約を結ぶ企業があると驚いた。ユアサ建材工業の大株主構成及び持ち株比率を見て更にビックリ・・・サンライズ・テクノロジー:99%!とある。サンライズ・テクノロジーの子会社とペイントハウスが手を組んだ。何と驚くべきことに何かと危ういペイントハウスとサンライズ・テクノロジーが協力すると言う。”同じ穴の狢”の類にも思えるが上手く行くのだろうか?それにしてもJASDAQへのペイントハウスの恨み辛みが開示の中に色濃く滲み出ている。敗色濃厚の無念さすら垣間見ることが出来る。とは言っても実質的に117億円の借金を踏み倒したのは許し難い愚挙であり、ペイントハウスが今後どうなろうとも同情すべき余地はない。

 一方
サンライズ・テクノロジーも『子会社の塗装事業に関する特約代理店契約締結合意並びに新規販売事業のお知らせ』を開示した。これには塗装事業に関する特約代理店契約締結に加えて健康食品販売の新規事業展開がある。ペイントハウスとの特約代理店契約の合意を受け、ペイントハウスの訪問営業部隊を使って塗装事業の営業と青汁等の健康食品販売の訪問販売を抱き合わせで行なう。ペイントハウスの営業が訪ねて来て塗装の話をしていて突然健康食品の話を持ち出されたらお客はどの様な感じを受けるのだろうか?もし私がお客の立場であれば胡散臭い感じを抱き警戒するかもしれない。それこそ上手く行くのだろうか?追い詰められた両社が捻り出した苦肉の策と思われる。それでも何やら苦し紛れの感は否めない。算数の世界では1+1=2だが、ビジネスの世界では1+1>2となることもある。しかしながらこの場合は1+1<2(最悪は1+1=0)になるかも・・・?

 公開価格割れをしている
マルマンは相変らず株価低迷で苦しんでいる。1月16日には1228円と公開価格(1300円)に迫る勢いがあったが、”ライブドア・ショック”の煽りを受けたのか徐々に力を失い下落に転じている。昨日の終値は前日比6円安の942円で取引を終えている。7月21日の新規上場から7ヶ月経過したが、現時点では公開価格超えの展望は開けていない。2月9日に開示した『2006年9月期 第一四半期財務・業績の概況(非連結)』によると、第一四半期の実績は対予算比で売上高:111%、経常利益:104%とまずまずの結果を出している。それでもゴルフ業界全体の業績に対する見方が厳しいのか、またかつて破綻寸前に陥ったマルマンが2001年4月に再生したとは言ってもまだまだ信用が回復していないのか・・・。何にせよマルマンがあと何年か業績が順調に伸びて先の見通しが開けるまでは容易に株価が回復するとは考え難い

 2006.3.22

 まもなく3月末になるのにも関わらず
アドテックス、ライブドア・マーケティング共に2005年12月期決算発表が未だに行なわれていない。ライブドア・マーケティングは一時監査人の変更を理由に4月中旬の発表を予定している。またアドテックスは苦しい言い訳をしつつ3度も延期しているが、延期の理由を見ると「何を今更ふざけたことを!」を言わざるを得ない。債務超過回避工作の時間稼ぎの為の引き伸ばしとしか思えない。決算の締めから3ヶ月も経過して決算が確定出来ないのは明らかに異常・・・。 そんな不埒な企業にはペナルティがあって然るべきと考える。

 3月20日
東証の「決算短信に関する研究会」は上場企業の決算短信の公表期限を決算期末から45日以内とする報告書をまとめた。決算期末締め後30日以内の開示が望ましいとする一方、50日以内に開示出来ない場合には(正当な)理由を明らかにすることを求めている。東証は『007年3月期決算から45日以内に発表するよう上場企業に要請』する方針としている。ちなみに2005年3月期決算では該当する1754社の内819社(46.7%)が45日以内に開示している。

 ところで
要請とは生温いのでは?強制力のない単なる要請では不埒な怠け者が(意図的に)守らないことがある。厳しい罰がなければダメな輩は容易に自ら動こうとはしない。現在東証では決算短信の開示時期は「60日以内」を原則としているが、証券取引法を改正し正当な理由無く「45日以内」の開示を守らない場合には上場廃止等の厳しい処分を下しても良いと考える。出来ないのはやる気があるのかどうか疑わしい。まともな企業なら通常45日もあれば充分に決算確定出来る。どこかにやましいところがあるから発表を渋るとしか思えない。毅然とした態度で臨めば怠惰な輩も従わざるを得ない。

 
ライブドアオートの大株主「翼システム」は同社を相手取りライブドアへの第三者割当増資などの無効確認を求める訴訟を東京地裁に起こした。昨年9月ライブドアオートは約135億円調達してライブドアの子会社となっている。翼システムは「資金調達に必然性がなく具体的な使途も検討されていない。明らかにライブドアによるライブドアオートの支配権獲得が狙いであり”著しい不公正”にあたる」と主張している。更に「既存株主は持ち株比率の低下により著しい不利益を蒙った」としている。ライブドアオートは約135億円調達後にライブドア・グループへ100億円貸し出している。”ライブドア事件”発覚後の3月20日までに全額返還されているが、それまでの金の流れには何やら怪しい臭いが感じられる。初めから邪悪な意図があったかもしれない。(今のところ裁判の行方は分からないが)この類の疑わしい点は裁判で事実関係が究明されることが必要・・・。

 
アドテックスの株価は少々揺さぶりがあるものの3営業日連続で3800円近辺で収まっている。”嵐の前の静けさ”と言ったところ・・・。次に”山が動く”のは何か決定打が出る時・・・。最も重要な鍵を握るのは何と言っても既に3度も延期して東証からイエローカードを喰らっている2005年12月期決算であり、最早正当な理由無くしてこれ以上延期出来るはずがない。借金返済の為のフィナンスを行なうことが出来なければその先は見えている。「債務超過、上場廃止、そして●●」との最悪のシナリオが大きな口を開けて待っている

 2006.3.23

 
日本公認会計士協会の増田副会長は『複数の監査先を抱える中小監査法人の主任会計士が同一企業の監査を継続して担当する場合、監査期間を現行の7年→5年に短縮』することを自主規制ルールで義務付ける考えを示した。既にカネボウの粉飾決算事件を受け4大監査法人に適用しているが、中小監査法人については人員が手薄なことなどに配慮して今までは「奨励」するとしていた。しかしながら”ライブドア事件”では公認会計士が10人程度の港陽監査法人が問題を起こした。これでは日本公認会計士協会としても中小監査法人を放っておくことも出来ず規制範囲の拡大を決めたと思われる。

 無論問題を引き起こさぬ様に規制を強化することは重要だが、個々の公認会計士が己の業務に関して高い倫理観を持ち職務を遂行しなければならない。加えて監査を依頼する企業側にも監査に関する高い倫理観がなければ不正を断ち切ることは難しい。だからと言って公認会計士が依頼主の圧力に屈しては話にならない。仕事を失うことを恐れずに断固不正と戦う強い意志を示す必要がある。
公認会計士側、企業側双方の強い意志が揃ってこそ初めて不正を撲滅出来る

 昨日
東証はジェイコム株式の誤発注の件についてみずほ証券に対し過怠金1000万円の支払いと業務改善報告書の提出を求めた。処分理由について「みずほ証券の現場担当者に対する研修が不十分で大量発注ミスへの危機対応策もないなど「経営管理上の問題がある」としている。これで東証としては一応けじめをつけたことにはなるがこれで全て終わりではない。東証のシステムの問題が被害拡大に繋がったことが明らかになっている。そこで強制決済により発生した損失約400億円の負担割合が焦点になる。みずほ証券、東証、それに東証システム担当の富士通の3者の責任割合をどの様にして決めるのか非常に難しい。決着がどうつくのか注目している。もしかしたら凄まじい責任の擦り合いが勃発して”底なし沼の大乱闘”が展開するかもしれない。

 『
村上ファンド保有の阪神電鉄株式が3月末までに売却できない見通し』と報じられている。最近は阪神電鉄の株価が高い水準(今日の終値:1058円)で推移していることもあり交渉相手との売却価格で折り合いをつけるのが困難になっていた。それ故ここまでは予想通りの展開といえる。とにもかくにも村上ファンドは当面保有し続けることになり6月の株主総会にて45%を超える議決権を行使する。村上氏のことだから圧倒的な数の力にモノ言わせて阪神経営陣に無理難題を突きつけることは充分に予想される。意に反して高値売り抜けが出来ず”塩漬け”状態になれば投資ファンドとして何か見返りを求める必要がある。村上氏の傍若無人な振る舞いには毎度のことながら怒りを覚える。”極悪人”の一挙手一投足を注意深く監視しつつ悪行を糾弾して行く。

 
ライブドアの株価は宇野氏への期待感が高まり29営業日ぶりに100円を超えた。終値は前日比19円高の117円で取引を終えている。上場廃止の4月14日以降は市場での売買が出来なくなるが、将来的に宇野氏率いるUSEN傘下での経営再建→再上場まで見据えた思惑買いが入っていると思われる。(先日記述したが)宇野氏がライブドア株式を取得して大株主になったとは言ってもまだ12.75%を押さえる第2位に過ぎない。それに筆頭株主の堀江氏、複数の外資ファンドの出方も分からない。つまり宇野氏の基盤は磐石とは言えずまだまだ波乱の要素を抱えている。様々な思惑に上場廃止前のお祭り騒ぎが絡み合いここの株価が踊り狂うことも考えられる。”火遊び”の好きな方には格好の狙い目になるかもしれない。

 2006.3.24

 企業経営を外部から監視する意味も込めて「お目付け役」として社外取締役を登用している企業が増えている。今年5月に施行される
会社法には社外監査役の賠償責任に上限を設定する「責任限定契約」が新たに導入される。社外監査役就任時に会社と契約を結ぶことにより賠償責任額を最大年間報酬の2年分までなどに限定出来る。(社外取締役就任も自己責任と言えるが)下手に取締役に就任したばかりに不祥事に巻き込まれて多額の損害賠償を背負わされたのではたまらない。一定の歯止めがかかれば社外取締役を引き受け易くなる

 とは言っても社外取締役に選任された方は有限責任に限定されるとしても企業(経営陣)に迎合してはならない。あくまでも
社外の第三者として企業内部を厳重に監視しなければならない。社外取締役と言えども経営に関わることでは一般の取締役と同じ立場にあり己の果たす責任の重要性を肝に銘ずる必要がある。今月末の株主総会ライオン、トレンドマイクロなど10社以上が定款変更提案を行ない会社法施行後に契約を締結する。コンプライアンス(法令遵守)は企業の重要な命題の一つであり、今後この動きは他企業にも拡大することは間違いない。

 昨日
USENはライブドアとの「業務提携推進委員会」の初会合に臨み提携の相乗効果を引き出す具体策の検討を開始した。ライブドアのポータル事業とUSENのInternet動画配信サービス「GyaO」の連携を中心に具体策が煉られる。初会合にはUSENから宇野氏、ライブドアから平松氏などが出席した。USENが窮地に陥っているライブドアに手を差し伸べただけに、楽天vsTBSの場合とは事情が異なり(ライブドアの再生が上手く行くかどうかは別として)話がすんなりまとまる公算が大きい。三木谷氏の如く大上段に刀を振りかざし”交際”を迫っても相手が拒否反応を示すのは当然・・・。逆に片や大ピンチに遭遇している時に現われた『救世主』となれば相手も快く”交際申し込み”を受け入れる

 『
日興コーディアル(以降日興CGと記す)グループが米投資ファンド「ローンスター」傘下の東京スター銀行買収を提案』と報じられている。日興CGはTOBを実施により発行済み株式の過半数超を取得するとしている。一方ローンスターは発行済み株式の70%弱の保有株式を売却する方針とされる。事実とすればTOB成立は確実であり、日興CGは東京スター銀行の経営権を取得する。この事例が証券会社による初の銀行買収となり、金融業界の(業態の垣根を越えた)再編の動き本格化のきっかけになると考えられる。日興CGは事前に金融庁に認可申請するが、初の事例故証券業務のリスクが銀行業務に及ぼす影響など慎重な審査が行なわれるものと思われる。

 この報道に対して
日興CG、ローンスター共に「その様な提案を受けた事実はない」とのコメントを出した。(”火の無いところに煙は立たぬ”と言うが)この類な報道がなされると概ね当事者は一応否定する。東証はこの報道を受けて前場開始時点から東京スター銀行株式の売買停止していたが、両社のコメントが発表されたことを受け10時1分に取引が再開された(こちら 参照))。

 ところで昨年10月25日東京スター銀行は東証1部に新規上場して以来公開価格43万円を下回って推移(昨日の終値:39万1000円)している。日経新聞の報道を受け株価がどの様な反応を示すのか注目していた。予想通り
好材料と歓迎され東京スター銀行の株価は敏感な反応を示した。終値は前日比4万円高の43万1000円と新規上場以来初めて公開価格を上回って取引を終えている。一方対照的に日興CGの株価は巨額と推測される買収費用による財務体質悪化の懸念から軟調に推移した。終値は前日比30円安の1944円で取引を終えている。さて週明けは両社の株価はどうなるだろうか?

 昨日
ドリームテクノロジーの株価は前場寄り付きから2万5200円前後を推移していたが、後場に不自然な動きを示した(こちら 参照)。13時過ぎ突然出来高増を伴い2万8000円付近まで跳ね上がり、終値はストップ高(3000円高)の2万8220円で取引を終えている。1日の株価の動きをチャートで見ると一目瞭然・・・。何か情報が漏れたのではとの疑いの目を向けた。それでなくても元々ここには胡散臭さが充満しているが・・・。

 すると大引け後にドリテクから『連結子会社平成電電コミュニケーションズによる日本テレコムへのマイライン営業業務に関するお知らせ』が開示された。利用者数の減少や回線利用量の縮小で業績回復が望めず、不採算事業を日本テレコムへ約75億円で売却し今期の特別利益として計上する。結局は
ただ単に儲からない事業を切り売りして一時的に利益計上しただけで将来に向けての展望など何もない。言い換えれば業績が振るわず一部身売りして補填しただけと言える。この程度の情報が事前に漏れたとしてもストップ高になるとは考え難い。となればここでは元々インチキ臭い動きが頻繁にあるのでまたもやどこぞの誰かが仕掛けたのかもしれない。

 明けて今日早
ドリテク株式はインチキを露呈し、終値はストップ安(3000円安)の2万5220円で取引を終えている。それにしてもここはあまりにも醜い。どこぞの誰かが提灯に火をつけると大勢の”蟻”が群がりお祭り騒ぎを演じる。そして大きく盛り上がったところに冷や水を浴びせる毎度お馴染みのパターンを繰り返す。マネーゲームの格好のTarget・・・市場にとってはここは”害虫”の如き存在でしかない。

 2006.3.25

 昨日
エフェクターが『メディシスサイエンスの完全子会社化のお知らせ』を開示した。エフェクターはメディシスサイエンス(以降MSSと記す)の親会社メディカルシステムネットワーク(以降MSNWと記す)の保有するMSS株式全てを9000万円で取得する。開示には「当社の研究開発力とMSSの販売力の融合による相乗効果を発揮することが、当社の企業価値向上に資するものと判断」と何やら仰々しく記載されている。MSSの2005年9月期の売上高は僅か100万円、営業損失:1800万円、当期純損失:2000万円とは情けない数値が並んでいる。こんな将来の見込みのないところを買収してもMeritがありそうにもないが・・・。果たしてどうなのだろうか?いろいろ調べている内に面白いことが分かった。

 2005年6月21日MSNWは完全子会社として資本金9000万円でMSSを設立した。この時MSSは日本国内における肝細胞様細胞「MDヘパ細胞」の独占供給権をエフェクターから5億円で取得している。MSSの計画では3ヶ月で1億3000万円の売上げを見込んでいた(こちら 参照)。ところが売上高が1億3000万円→100万円と計画に対して大幅な未達になっているが、計画vs実績の乖離があまりにも大きく疑念を抱く。ところで日経BPの取材に対し
MSNWは「5億円は月内に回収する予定」としている。MSSの譲渡価格は9000万円・・・となると残り4億1000万円はどの様な形で回収するのだろうか?5億円の損失を蒙ったMSNWの強硬な申入れを受けて、エフェクターはMSSを丸ごと9000万円で引受け更に不足分を何らかの形で補填するものと推察される。

 昨年の5月31日エフェクターは『MDヘパ細胞にかかる独占供給権に関する契約締結のお知らせ』を開示している。次いで昨年7月21日に開示した2005年5月期決算短信には売上げ5億円を計上し利益を出している。ところが今年2月28日開示の『2006年5月期通期業績予想』では業績を大幅に下方修正、それも赤字決算になるとしている。この開示の中でMDヘパ細胞供給事業が振るわないことへの言い訳を記述しているが、この時点では昨日発表のMSS買収が事実上決まっていてその損失を業績予想に織り込んだものと見られる。エフェクターとしてはMSNWに”MDヘパ細胞による儲け話”を持ち込み子会社(MSS)を作らせて5億円せしめたところまでは良かった。ところが
MDヘパ細胞がほとんど売れず(責任を取らされる形で)MSNWからMSSを買い取る破目に陥ったと考えられる。この辺りにもエフェクターのいい加減な体質が如実に現われている。

 これ以外にも『動物健康食品の共同開発計画契約締結』、『マレーシア政府との契約締結』、『海外メガファーマーとの共同研究契約締結』がありいずれも売上げが伸びるとしている。いずれも実態はどの様なものか疑わしく、エフェクターの目論み通りになるとの保証はない。確かにバイオ・ベンチャーが利益を上げるのは容易ではないのは分かるが、エフェクターの場合は先行きの展望が見えて来ない。これでは”
エフェクター関係者が上場益を稼ぐ為の新規上場”と非難されて当然と言える。

 
楽天とTBSの業務提携交渉に一向に進展がなく期間延長は必至になった。楽天保有のTBS株式の信託手続きが進まないことがネックになっている。ここに来て「独占禁止法や銀行法では原則として金融機関は事業会社の株式を議決権ベースで5%を超えて保有することは出来ない」と報じられている。楽天がみずほ信託銀行にTBS株式を預託することに問題が生じて交渉の進展の妨げになっている。両社共に以前の敵対的な関係への逆戻りは避けたいのは同じであり、合意内容の一部変更などの対応により交渉を前進させたいとの意向がある。但し依然として先行き不透明なことに変わりはない。

 ところで両社のブレインには法律の専門家が入っているにも関わらず「何を今更言ってるのか」と訝しさを覚える。専門家であればこの位のことは当然知っていなければならない。今頃になって「問題あり」などと言われても「弛んでいる」としか言い様がない。(参考文書 : 公正取引委員会のガイドライン

 
独占禁止法第11条は,金融会社が他の国内の会社の株式を5%(保険会社の場合は10%)を
 超えて保有することを原則として禁止しているが,あらかじめ同条に基づく公正取引委員会の
 認可を受けた場合等は,5%を超えて保有することが出来る。


 今日の高知競馬第7RE4(ダート:1300m)に『ホリエモン』が出走した。好スタートからハナを奪って逃げたが、直線を向いて2番手につけていた『ギャラハッド』に差され3/4馬身差の2着に敗れた。 敗れはしたものの近頃の『ホリエモン』の先行力には粘りに力強さが加わりなかなか見どころがある。 Eクラスを勝ち上がるのも時間の問題と思われる。

 2006.3.26

 ライブドアの監査を担当した港陽監査法人が自主解散を検討している。ライブドアの2004年9月期連結決算について港陽監査法人の公認会計士が深く関与したとして、東京地検特捜部は証券取引等監視委員会と協力し立件する方向で捜査を進めている。ここに到っては信頼回復は不可能であり業務継続は難しい。契約している取引先を他の監査法人への移し替えを行なっている。ところで港陽監査法人には今年1月時点では12名の公認会計士が在籍しているが、監査法人が自主解散しても公認会計士の資格が剥奪されることはない。しかしながら”ライブドア事件”に関与した監査法人に所属していたことは(直接事件に関わらなくても)一生重荷として彼らの背中に圧し掛かる。それだけ一度失った信頼を回復するのは極めて難しい

 カネボウの決算粉飾では中央青山監査法人の公認会計士が逮捕された。今回は
監査法人解散との異常事態にまで発展し『監査法人のあるべき姿』が問われている。監査法人が粉飾決算に関与した事件が相次いでは監査法人業界全体への信頼が薄らいでいる。監査法人が取引先との業務契約の下にある限り、取引先を監視する立場にありながらどうしても依頼主(顧客)と受注者の関係になってしまう。言い換えれば(本来そうあってはいけないが)監査法人の立場が弱くなり易い。依頼主からの干渉を排除し独立した第三者機関的立場を強化しなければ(忘れた頃に)また同種の事件が再発する可能性がある。根本的な再発防止策を検討する必要がある。

 EDINETで”
ライブドア証券”と指定すると関東財務局に提出した大量保有報告書を検索出来る。そこでちょいと調べてみるとライブドア証券は3月になってからもYOZANドリームテクノロジーなどの株式を懸命に売り捌いている。恐らく全て処分する予定と見ている。親会社のライブドアが証券取引法違反で有罪が確定すれば証券会社を傘下に保有することが出来ない。その前にライブドアとしては出来るだけライブドア証券を活用し儲けられるところで儲けようと言うことなのだろうか?あるいは先に備えて現有資産の内処分可能なものを現金化しておく狙いがあるのだろうか?

 まずは
YOZAN・・・一時(潜在株式を含め)保有持ち株比率が1/3を超えていたが、3月15日時点では0.23%(現物:3000株)のみとなった。恐らく残り3000株も全て処分して0になると思われる。次にドリテク・・・昨年12月20日にMSCB40億円20万株の新株予約権を引き受けている。20万株の新株予約権の権利行使はしていないが、MSCBは順次株式転換し売り捌いている。3月23日時点で(潜在株式を含め)15.34%(22万5484株)保有しているがこれも順次処分すると見ている。こちらは当面大きな売り圧力になると思われる。

 そう言えば
ダイナシティ2月7日の開示では『ライブドアと資本・業務提携について解消を前提とした方向で協議中』としている。それから1ヶ月半ほど経過したが今のところ何も伝わって来ない。当初ライブドアはダイナシティを傘下に収めるべく200億円分のMSCB、200億円分の新株予約権(申込み時の払込みは5000万円)、更には第三者割当増資の21万1320株を引き受けている。ライブドアも見直しを検討することで合意しているのでダイナシティは引受け先を探しているが、第三者へ引き渡すにしても巨額の資金が必要となりかなり大変と思われる。果たしてどの様に決着がつくのか注目している。

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