2006.3.27

 
野村ホールディングスはInternet専業の完全子会社『ジョインベスト証券』を5月28日開業と発表した(こちら 参照)。3月15日付けで証券業登録を受け、3月24日商号変更ならびに開業スケジュールなどを発表した。数値目標として50万口座開設(2007年3月末)、経常収支黒字化(2008年3月期)を掲げている。特筆すべきは『取引委託手数料:業界最低水準』としていること。ジョインベスト証券の福井社長は「野村グループの強固な支援で顧客に安心感を提供して差別化し、開業から1年間でマネックス証券(約60万口座)や楽天証券(約53万口座)など他社に追いつく」と表明した。更に「従来の証券業務に銀行業務などを加えて本格的にネットビジネスを展開する」としている。証券業界最大手の野村ホールディングスの新たなネットビジネスへの参入により競争激化は必至・・・今後の展開が注目される。

 イオンによるオリジン東秀株式のTOBは発行済み株式の95.50%(議決権ベース:96.01%)を集め成功した(こちら 参照)。少数特定者持ち株数が発行済み株式の90%を超えたことにより東証上場廃止基準に抵触する。オリジン東秀の開示によると『5月末までに東証に株式分布状況表を提出することにより監理ポスト割当て→6月末までに有価証券報告書提出→7月末上場廃止』の見込みとなっている。TOBに応じなかった株式は僅か4.50%(約80万株)に過ぎず、TOB終了の翌日以降当然の如く出来高は少ない。株価も3000円を少し下回るところで小幅に推移している。オリジン東秀株式再上場の可能性は皆無であり、現在保有している方々も結局は手離さざるを得ないと見ている。上場廃止時によく起きる”お祭り騒ぎ”にもならないと思われる。

 ”ライブドア事件”で証券取引法違反罪に問われた
堀江氏について東京地裁(小坂裁判長)は初公判前に争点や証拠を整理する『公判前整理手続き』を適用することを決めた。2009年5月までに導入される「裁判員制度」を睨み裁判の迅速化を狙いとしている。世の中の注目を集めている事件だけに裁判所としても裁判の長期化を避けたいとの意思が表われている。2005年11月1日施行の改正刑事訴訟法により『公判前手続き』が刑事裁判に導入された。裁判所主導で手続きは非公開で行なわれ、初公判前に検察側/弁護側が証拠を開示し争点を明らかにする。同時に採用する証拠/証人を決定するが、手続き終了後には新たな証拠請求は制限される。

 『公判前整理手続き』にて事件の争点と証拠が分かり易く整理されることは法律の素人の一般人を裁判員として重要な司法判断に参加させる為には必要と言える。それに一般人を裁判の為に長期拘束するのは問題があり裁判の迅速化は必要不可欠とされる。ところで『公判前整理手続き』の裁判全体に占めるウエイトは大きく、手続きの結果が裁判の流れを決めることにもなる。と言うことは
初公判前にほぼ裁判の行方が決まってしまう懸念がある。裁判の迅速化”の美名の下に裁判が形骸化しては何の意味もない。『裁判員制度』にせよ『公判前手続き』にせよ、司法改革に関して一般人には分からないことが多過ぎる。今後この辺りをじっくり調べることにする。

 2006.3.28

 昨日
証券保管振替機構(通称:ほふり)は株券のペーパーレス化に向けた「株券等の電子化に係る制度要綱」を発表した(株券の電子化:2009年6月までに開始)。新制度では放送局やNTT、航空会社など外資規制企業に関する外国人の保有株数/保有比率が(従来中間期、決算期の2度しか分からなかったが)毎日「ほふり」のサイトで公開される。昨年10月楽天は外国人投資家から大量のTBS株式を買い付けたとされるが、これにより外国人投資家の動きが丸見えとなり(外国人投資家を活用した)抜き打ち的な買収が仕掛け難くなる。

 加えて新制度では「ほふり」を利用する
全ての企業は正当な理由があれば個別の株主の保有状況について何時でも「ほふり」に情報提供を求めることが出来る。今まではこの様な情報開示制度がない為、村上ファンドの様な投資ファンド、などが極秘で株式を買い進めても容易には発覚しなかった。何か不審な動きを感じた企業が「ほふり」に情報開示を求め状況を把握することにより適切な対応をとることが可能になる。但しあくまでも企業側の開示要求が前提であり、企業側は常に全方向に感度の高いアンテナを張り巡らせ不審な動きを素早く察知する必要がある。

 昨日
ダイナシティから『第2回MSCBの転換状況に関するお知らせ』が開示された。第2回MSCBとはライブドア証券に割り当てた200億円・・・3月24日に5億円分を1万9613円70銭/株で株式転換(2万5492株)している。2月7日の開示では第2回MSCBの割当てについても第三者への転売を含めて見直し検討で双方合意とあるが、1ヶ月半経過してライブドア証券が一部を株式転換したのは何を意味するのだろうか?その後双方の話合いが進んでいないのだろうか?もしかしたらなかなか協議が進まないことに痺れを切らしたライブドア・グループが先に動いたのかもしれない。今後ライブドア証券が続けて動きを見せるかどうか注目される。

 3月27日の市場取引終了で
阪神電鉄の3月末の株主名簿が確定した。村上ファンドは2月22日時点で発行済み株式の45.73%を保有する筆頭株主であり、(その後売却を模索しているとの噂も出ていたが)ここ1ヶ月ほどの出来高からすると保有比率に変化があるとは考え難い。とすれば6月開催予定の阪神電鉄株主総会にて村上ファンドが議決権行使の可能性が高まった。議決権行使となれば当然の如く”数の力”を背景に様々な要求(提案)を繰り出すと考えられる。

 
5月1日施行の新会社法では『取締役の解任が普通決議(1/2超の賛成)に変更』される(こちら 参照)。従来は取締役選任は普通決議、解任は特別決議(2/3超の賛成)と決められていた。素早い企業経営実現の為に取締役会の権限が強化(株主総会決議なしで意思決定出来る範囲の拡大)されることに対して、歯止めをかける意味合いで株主が取締役を制御する必要が高まった為と考えられる。この会社法の改正が大きなポイントになるかもしれない。通常株主総会には全株主が出席することはなく、村上ファンドは実質的に株主総会当日には議決権の過半数を制する可能性が高い。それでなくても委任状などによる村上ファンドへの協力者が4.3%もあれば過半数を超える。そうなれば村上ファンドは現在の阪神電鉄取締役の解任、自らの息のかかった取締役の選任が可能になる。株主総会以前に(その様な状況を背景に)不動産の有効活用、阪神タイガースの上場など阪神電鉄に対して強い圧力をかけてくるかもしれない。とにもかくにも当面”極悪人”の動きには目が離せない。

 昨日
ライブドア・マーケティングは社名を「メディア・イノベーション」に変更すると発表した。4月末に開催予定の定時株主総会で正式決定する。既に社名変更の情報は明らかになっていて特に驚くべきことでもない。ライブドア・マーケティングは変更理由を「ライブドア依存経営と決別し、健全な業務運営を行う決意を明らかにする」としている。しかしながら社名変更した程度では1度失った信用は容易に回復することはない。ライブドアが保有する株式全て(約29%)を手離させる必要がある。資本関係を解消し更に業務関係を全て断ち切り”ライブドアの影”を一掃しなければならない。それにライブドアから送り込まれた穂谷野社長も速やかに”ライブドアへお帰り頂く”べき・・・。きれいさっぱり”ライブドアの影”を一掃し地道に歩んで行けば(僅かな可能性ながら)再生の道が開けるかもしれない。

 2006.3.29

 昨日
東証は西室社長名で上場会社に対して『業績予想の適切な開示』を要請した。お知らせには極めて当たり前のことが書かれているが、その様な要請をしなければならないとは実に嘆かわしい。カネボウ、ライブドアなど粉飾決算が相次ぎ上場企業の情報開示への投資家の不信感が高まっている。東証は「業績予想が極めて重要な投資判断情報として投資家に広く利用されている」と指摘している。業績予想は投資家が投資判断を行なう場合の重要な材料の一つであり、その信憑性が揺らいでは由々しき問題と言わざるを得ない。東証が企業経営陣に「情報開示の質向上」を促したのは当然の態度と言える。逆の見方をすれば企業経営陣の倫理観が強く問われている。

 ライブドアの平松氏が筆頭株主の堀江氏に対して(弁護士経由で)資本政策に協力して欲しいに要請』と朝日新聞が報じている。堀江氏は「分かりました」と返答したが、株式売却を承認したかどうかは定かではない。USENとの資本・業務提携による再建を目指すライブドアとしては堀江氏が筆頭株主のままでは如何にも具合が悪い。ライブドア株式を堀江氏が手離すことを望んでいる筈だが・・・。ライブドアは『現時点においてその様な要請をしていない』との(日経新聞の記事に対する)コメントを出している。一応否定はしているが水面下で何らかの画策があっても可笑しくはない。それはともかくとして堀江氏が”自分が築いた城”を簡単に明け渡すだろうか?ライブドアの行く末にも大きな関わりがあり、堀江氏がこの先どう出るのか興味がある。

 平松氏は
ライブドア・グループとの離脱を表明している子会社との関係について「USENとの提携で変化が出てきた」としている。USENとの協議で「セシール、MEX、ターボリナックについてはグループ内に残す方向」で検討中としている。当初3社共に生き残りをかけてライブドアに自らの運命を託すつもりでいたのが、”ライブドア事件”勃発で状況が一変し再び生き残りをかけてグループ離脱の道<新たなパートナー探し)を探ることになった。どこかにすがって延命を図る気持ちには変わりなく、要はパートナーとしてのUSENが信用に値するかどうかが鍵になる。伝え聞くところによると宇野氏の評判はあまり芳しいものではないが・・・。果たしてどうなのだろうか?またライブドアがUSENへの売却をライブドア証券の検討していることを明らかにした。ところでUSENとライブドアの資本・業務提携が磐石と言うにはまだ早過ぎる。堀江氏、外国投資ファンドなどの動向が両社の関係に大きな影響を与える。果たして如何に・・・?

 
サンライズ・テクノロジーは『2006年9月期業績予想(連結・単体)の修正に関するお知らせ』を開示した。中間期、通期共に業績予想を上方修正(増収増益)している。第一四半期は赤字計上していただけに「本当?」との驚きを隠せない。業績修正の理由として記述されている内容を見ると「見積もりが過大では?」との疑念を持つ。何せここは昨年12月27日大証ヘラクレスから有価証券報告書等の「虚偽記載」に該当と認められるとして監理ポストに割り当てられている。そんなところに増収増益の見込みと言われても素直には信用出来ない。まさか株価操作の為の仕掛けではないとは思うが・・・?

 上げの材料に飢えていたところに上方修正が飛び込んで来たものだから、(渦巻く懸念などにはお構いなく)サンライズ・テクノロジーの株価は反応を示した。
終値はストップ高(30円高)比例配分の102円で取引を終えている。某掲示板では”お祭ムード”が溢れている。12月1日の終値108円、そして3営業日連続のストップ高で12月6日には288円をつけ、その後下降線を辿り昨日は72円まで下げていた。永らく株価低迷していたところにこのNewsだからまたもや暴発する可能性がある。今回はどこまで上がるのか注目している。何にせよ”●●”騒ぎが演じられるのは間違いない。

 ところでロータス投資事業組合がここの新株予約権2000万株分(行使価格:107円)を取得している。今までに現物1000万株を取得しその内約410万株を安値で処分して大きな損失を出している。今後現物約590万株に加えて新株予約権1000万株分を株式転換して高値売却により(損失を取り戻すだけでなく)利益上積みを狙うことは間違いない。損したままでは投資事業組合としては面子が潰れる。このまま株価が上がればまさに”思う壺”・・・
ロータスがどの辺りで売りに出るのかその動きに注目している。

 3月6日以降7万1000円を挟んで目立つ動きのなかった
エフェクターの株価が突然動き出した。終値は前日比5500円高の7万7500円で取引を終えている。時折ここではインチキ株価上昇が見られる。今日の上げはその兆候かもしれない。もしかしたら近々インチキが出現することもあり得る。さて・・・?

 2006.3.30

 
フジテレビは保有していたライブドア株式売却時の損失約345億円について損害賠償を求める文書をライブドアへ送付した。フジテレビはライブドアの嘘に騙されて株式を買わされた訳であり、要求に応じない場合は訴訟を起こすとしている。フジテレビ側の主張が認められる可能性が高く、ライブドアは裁判で争ってもまずは勝ち目は皆無と考えられる。ライブドアとしても不正があったことは認めざるを得ず、焦点はフジテレビの要求全額を受け入れるかどうかになる。ライブドアが圧倒的に不利な状況では抵抗も難しいと見ている。ライブドアの対応は如何に・・・?

 
ライブドアは『西京銀行と設立に向けて準備を進めていたInternet専業銀行を断念し業務提携などの契約解除』を発表した(こちら 参照)。”ライブドア事件”での堀江氏など旧経営陣、法人としてのライブドアの起訴、更には東証の上場廃止決定との事態に到っては構想実現の見通しは全く無い。堀江氏は銀行業への進出に対して並々ならぬ強い意志を示していたが、自らが引き起こした不祥事によりその夢もはかなく露と消えた。開示では「銀行設立構想に関する今後の方向性は未定」としているが、将来(不祥事を起こした)ライブドアが絡んで銀行設立を申請したとしても認可される見込みは無いに等しい。 事実上ライブドアの銀行業への関与の道は閉ざされたと言える。

 
証券取引等監視委員会(SEC)はライブドアの粉飾決算に関連して公認会計士2名を証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)で東京地検特捜部に告発』した。これを受けて東京地検特捜部は明日にも2名を在宅起訴すると見られる。2名共に任意の事情聴取に対し事実関係を認めているとされる。既に逮捕されている堀江氏以外の4名も事実関係を大筋認めている。既に外濠は埋められたが堀江氏は否認したまま・・・たとえ如何に形勢不利であっても裁判では徹底抗戦を貫く構えと見られる。

 2004年9月期連結決算担当の港陽監査法人の公認会計士は粉飾との認識がありながら有価証券報告書に添付する監査報告書に「適正」との意見を記載したとされる。ライブドアと関係の深いコンサルタント会社「ゼネラル・コンサルティング・ファーム」の代表取締役を務めた公認会計士は消費者金融「ロイヤル信販」など子会社2社に対する架空売り上げ計上した時の送金手続きに関与したことが分かっている。いずれの場合も不正と認識しながらも依頼主の意向に沿う形で関わっている。
厳正中立の立場を貫かねばならない公的資格を有する者が圧力に屈して悪に手を染めることは断じて許せない

 ところで『
ライブドアの監査を担当した港陽監査法人の公認会計士3名の内2名が決算に疑問があるとして監査報告書への「適正意見」表明を拒否』していたことが分かった。驚いたことに『監査報告書の形式を整える為に(告発される2名の公認会計士とは別の)直接監査を担当していない公認会計士が署名』していた事実も判明した。公認会計士法では上場企業は複数の公認会計士で監査しなければならないので、急遽代わりの公認会計士を担当に仕立てライブドアへ監査報告書を提出した。名義を貸した形の公認会計士は「今は何も話せない」としている。”無理が通れば道理が引っ込む”とはまさにこれ・・・。この様な呆れた話を耳にすると、尚更「正論を退け邪悪な結論ありきで不正を通した愚挙」は断じて許せない。

 3月28日
プラネックス・コミュニケーションズは『会計監査人の異動に関するお知らせ』を開示した。開示によると2月16日に中央青山監査法人より定時株主総会終結時に退任するとの通知を受けた。3月24日に開催された定時株主総会で中央青山監査法人は辞任した為新たな監査法人を選定すべく打診中としている。ここで事前に監査法人から辞任の申し出があったにも関わらず株主総会開催後に開示したことをJASDAQは問題視している。企業の内部管理体制、及び重要な会社情報の適切な開示が行なわれなかったことは投資家の証券市場に対する信頼を揺るがす行為と判断した。JASDAQは適時開示を適切に行なう為の体制について改善の必要性が高いとしてプラネックスに対して改善報告書の提出を求めた(こちら 参照)。ところで改善報告書提出命令は重い処分であり、場合によっては上場廃止にまで発展する可能性がある(こちら 参照)

 
サンライズ・テクノロジーの今日の出来高は4451万3112株の大商いとなった。発行済み株式の62.6%に相当する取引が行なわれたことになる。ここは稀にこの様な大商いがあるが、それにしてもよく動いたものと感心する。前場140円まで上昇したがその後は下げに転じ、終値は前日比11円高の113円で取引を終えている(こちら 参照)。今日の株価変動を利用してロータス投資事業組合が派手に動いたのだろうか?もしそうであれば週明けには大量保有報告書が出るので明らかになる。

 
エフェクターの株価は前場10時少し前にストップ高(1万円高)となりそのまま比例配分で取引を終えている。ストップ高になる理由など何も出ていない。どこぞの誰かが悪さをしていることは間違いない。もしかしたら明日の大引け後にも”材料とはお世辞にも言えない”まがい物がエフェクターから飛び出して来るかもしれない。となれば毎度お馴染みのインチキのパターンとなるが・・・?

 2006.3.31

 昨日ライブドア傘下の
ライブドアオートライブドアに対し損害賠償請求を行なうと発表した。ライブドアオートは(ライブドアからの)虚偽の情報に基づき資本・業務提携など一連の契約を締結していたことが今回の”ライブドア事件”の発覚により明らかになったとしている。その上でライブドア・グループの一員としてのイメージ悪化による売上減少など多大な有形無形の被害を蒙ったと主張している。今後顧問弁護団による損害額算定を行ない「訴訟も辞さない」強い態度でライブドアに臨む。既にフジテレビが345億円の損害賠償を求めているが、グループ内の企業からも同様の動きが出て来たことはライブドアの経営陣にとりかなり手痛いと思われる。

 同時にライブドアオートは『ライブドアが保有する当社株式の当社による譲渡先選定に関するお知らせ』を開示した。ライブドアオートは2月10日にライブドアに対し資本提携解消を申し入れたが、未だに全く回答が得られていない。ライブドアの態度があまりにも不誠実として、
ライブドアに対して自らが選んだ譲渡先への自社株式譲渡を求めている。これに対しライブドアは「ライブドアオートとの資本関係などについての協議にて解決を図りたい」としている。(3月29日に記述しているが)ライブドアの平松氏からはUSENとの資本・業務提携構想の中にライブドアオートのことは語られていない。言い替えればライブドア再生に向けてライブドアオートは不要としているとも受け取れる。何せよ”ライブドア事件”発覚後ライブドアのライブドアオートへの一連の動きが強く刺激していることは間違いない。強硬な動きを見せているライブドアオートに対し親会社の立場にあるライブドアがどう出るか注目している。

 ところでライブドアオートの一連の行動は”自ら望んで擦り寄った恋人が不実な行状で破滅の危機に陥ったので訣別を言い渡した”とも看做せる。なりふり構わず自らの生き残りをかける必死な思いは一応伝わって来る。しかしながら自立出来ずに自ら頼み込んで”救いの手”を差し伸べてもらったのにも関わらず、(ライブドアの肩を持つつもりは全く無いが)状況が一変し手の平を返す如きライブドアオートの言動は業績不振の責任転嫁としか思えない。
自助努力の欠如を棚に上げて他者の非難に終始するのは見るに耐えない。かくの如き頼り甲斐の無い経営陣ではどこに縋ったところで業績が伸びるとは考え難い。尤もそれ以前にここに魅力を感じて手を差し伸べる”救いの神”が現われるかどうか・・・?

 一方ライブドア傘下の
セシールは昨日の定時株主総会にてライブドアから平松氏など3名を取締役として迎えることを正式決定した。株主からの「ライブドアとの関係が密接過ぎるのでは?」などの質問に対して経営陣からは「ライブドア・グループからノウハウを取り入れ相乗効果を生かしたい」との答弁があったと言う。ここは2005年12月期決算では約79億円の赤字を計上するほど業績低迷に苦しんでいることもあり、到底自力で泥沼から這い上がるのは不可能にまで追い込まれている。”相乗効果”とは一見すると響きが良いが、ライブドア以外に縋るべき相手が見つからず行き場を選べないのが実情と見られる。セシールの行く末は(良くも悪くも)ライブドアに委ねられている

 昨日
ドリームテクノロジーはライブドア証券を割当先として発行した第2回MSCBの繰上償還を発表した(こちら 参照)。償還期日は5月2日、3月30日時点での未償還金額は28億円となっている。開示では「ライブドア証券は消却を承諾」とあるが、償還期日までの1ヶ月間ライブドア証券がおとなしくしているかどうか分からない。どこにもライブドア証券が株式転換しないとの保証は無い。

 大引け後に
村上ファンドから大量保有報告書が提出され、3月24日以降ドリテク株式を売り捌いていることが判明した。3月24日以降株価が下降線を辿っている元凶は村上ファンド・・・。現物、及び新株予約権付社債券合わせて約37万株分も残っているのでは強烈な売り圧力になる。ドリテクには不安要素が多過ぎる.。今日の終値はまたもや2万円を割り込み前日比1930円安の1万9190円で取引を終えている。とにもかくにもドリテクには光明が差し込まず苦しい展開を強いられるに違いない。

 
エフェクターの株価が連日のストップ高とは・・・あまりのインチキぶりに何とも言い様がない。今のところ何も材料らしきものは出ていない。もし出たとしても恐ら材料とは言えない内容に違いない。(ほとんど可能性は無いが)もし目が覚める様な好材料であれば連日のストップ高はインサイダー取引の疑いが濃厚となる。いずれにせよロクなことではない。週明けにはその正体が白日の下に晒されると思われる。

 2006.4.1

 
アドテックスは2005年12月期決算を3月末を目処に発表予定していた。ところが昨日19時30分に決算短信ではなく『業績予想修正のお知らせ』を開示した。年度末の締めから3ヶ月も経過しているのに今更業績予想とは何事かと腹が立つ。よほど本決算を発表出来ない(したくない)事情があると見える。これ以上時間稼ぎで引き伸ばしたところで事態が好転する筈がない。ダメなことを認めたくないのだろうが、あまりの往生際の悪さには呆れ果てる。さてそうこうしていると・・・。

 その後昨日の22時45分に今度は『2005年12月期決算短信(連結)』を開示した。当初アドテックスは業績予想を出して時間稼ぎを目論んだが、大証から強く催促(警告)され渋々出したものと見られる。どうせいずれ分かるのだから腹を括って初めから素直に出せば良いと思うのだが・・・?更に大証から法定期間内(提出期限:3月31日)までに有価証券報告書を提出出来ないことに対して説明を求められた。アドテックスは同時に『有価証券報告書提出遅延のお知らせ』を開示した。
遅延の理由があまりにも酷く実に嘆かわしい(詳しくは開示を見て頂きたい)。

 そこで
大証は『決算発表の開示時期については事業年度経過後45〜60日以内が適当であると認識していたにも関わらず、その実現に向けた決算数値策定に係る人員体制の整備やスケジュール管理等が行われていない事実が判明』として、アドテックスの対し4月14日までに改善報告書提出を要求している(こちら 参照)。(3月30日に記述しているが)改善報告書提出要求命令は重い処分であり場合によっては上場廃止に発展することもあり得る。これで愈々”待ったなし”・・・アドテックスは土俵際にまで追い詰められた。今まで隠そうとしていたアドテックスの実態が近々白日の下に晒されることになる。

 ところで
今回の決算短信では昨年12月29日時点よりも下方修正している。連結ベースで売上高:58臆700万円←70億円(前年度売上高:129臆6200万円)、当期純損失:47臆7000万円←32億円(前年度純損失:7臆2600万円)とは何とも酷い数値が並んでいる。特筆すべきは昨年11月25日発表の第3四半期業績に於ける特別損失21億7000万円に対して更に12億7500万円を追加計上し合計で34億4500万円とあること。加えて新たな資金調達が困難とあれば返済が延び延びになっているスイスフラン建MSCB60億円の繰上償還が不可能になる。となれば整理ポスト割当て→上場廃止、更には”来るべき時”の到来が現実味を帯びて来る。醜悪な存在には出来るだけ早く引導を渡すべき・・・。

 これで
アドテックスは2005年12月期に於いて14億2000万円の債務超過に陥ったことが明らかになった。これで大証ヘラクレスの上場廃止基準の一つ『債務超過、かつ(株価×1単元の株式数)<1万円)」に抵触することは間違いない。長期の株価低迷で株価が1万円を回復する見込みはない。有価証券報告書の提出を待って上場廃止決定の可能性がある。そこで上場廃止回避の為に株式併合との”秘策?”の登場があるかもしれない。5:1の株式併合を行なえば(現時点の株価レベルが維持されるとして)株価は1万5000円を上回る。しかしながら”小手先のごまかし”で一時的に凌いだとしても上場廃止を免れる保証はどこにも無い。ましてそれ以前に借金返済が出来ずにアドテックスが資金繰りで行き詰まる可能性すらある。

 一昨日に続き昨日も
サンライズ・テクノロジーの株価動向に注目していた。3月28日の業績の上方修正を材料に29日のストップ高、30日と続けて暴れたが、昨日は勢いがなく下降線を辿り終値は前日比13円安の100円で取引を終えている。昨日の日経新聞は『市場では「買いが買いを呼ぶ展開。(株価は)同社の実態からかけ離れ始めた」とマネーゲーム化を懸念する声がある』と報じている。元々ここには低位で値動きの良さが仕手筋のTargetになり易い側面がある。やはりロータス投資事業組合辺りが何か仕掛けて高値売り抜けを目論んだのだろうか?

 昨日東和メックスの株式取引に関して「誤発注?」と一部で話題になった。9時40分頃に151円→121円と急落したが、30分後には同じ量が151円で買い戻されている(こちら 参照)。しかもその時点の取引量が突出している。これは
明らかに不自然な動きでありどう見ても「誤発注」としか考えられない。取引額は3000万円程度、損失額としても600万円程度とジェイコム株式と時とは比較にならないほど少額で特に騒ぎにはならなかった。普段気がつかないだけで目立たないところで結構この様な誤発注が起きているかもしれない。人間の注意力には限界がありミスが起きる。そう考えると恐ろしい。

 2006.4.2

 
金融庁は上場企業による粉飾決算が相次いでいる状況を重く見て、刑事罰の対象を個人に限定せず監査法人にまで拡大する方向で検討している。金融庁は4月中に監査制度などを議論する金融審議会(首相の諮問機関)を再開する。並行して自民党の企業会計小委員会も検討を始める。来年の通常国会に公認会計士法などの改正案を提出する。最終的には個々の公認会計士の責任に帰属するが、監督者としての監査法人には管理義務があり不正を未然に防止しなければならない。言い替えれば監査法人内で責任ある立場にある者はより高い倫理観を持って職務を全うしなければならない。必ずしも罰則強化のみで全てが解決する訳ではないが、不正が相次ぐ現状を変える為の意識改革の有用な手段として罰則強化が必要と考える。

 
ライブドアの平松氏は六本木ヒルズから本社機能を移転する意向を明らかにした。「入居費用負担が重くなって来ている」としているが、『ヒルズ族』のイメージ払拭の狙いがあると見られる。『ヒルズ族』には「勝ち組」と好感を持たれている一方では「拝金主義」とのダーティなイメージが付き纏っている。その最たる存在がライブドアであり堀江氏であり、平松氏としては”六本木ヒルズから抜け出すことでマイナスイメージから逃れたい”との意識が強く働いている。拠点変更だけではどうにもならないことは分かってはいるが、堀江氏と言う”過去の亡霊”と訣別を名実共に果たしたいとの想いが滲み出ている。そう言えば既にYahooが『ヒルズ族』と看做されるのを嫌い、六本木ヒルズからの脱出(本社機能移転)を検討している。今となっては六本木ヒルズが逆にマイナスイメージに繋がりつつある。

 また平松氏はフジテレビからの損害賠償請求について「
弁護士と相談し慎重かつ誠実に対応するが資産を最大限守るのも責務」としている。一方フジテレビの村上社長は6月開催の定時株主総会までに回答を求める考えを示唆した。さてライブドアは損害賠償請求には応じるとしているので焦点は賠償額に絞られる。請求額が345億円と巨額な為、ライブドアがすんなり賠償請求に応じるとは思えない。「資産を最大限守る」として強い抵抗を示す可能性もある。両者の話合いの行方は現時点では予断を許さない。

 
ライブドア、ライブドア・マーケティング両社の上場廃止まで残り9営業日と目前に迫っている。上場廃止に向けて最後の”お祭騒ぎ”が勃発するのだろうか?それとも静かに終焉の時を迎えるのだろうか?先週末の時点ではライブドアの終値106円と少し盛り返しているが、ライブドア・マーケティングの方は293円と5営業日連続の下落で上場以来の最安値を更新している。果たして最終取引日(4月13日)には両社の終値はいったい幾らになっているのだろうか?

 
阪神電鉄の株価は2月末から1000円台を維持していたが、3月末には久しぶりに1000円を割り込んだ。暫く高値圏を維持していたのは株主名簿確定に向けての何らかの思惑が交錯したのだろうか? 結局村上ファンドにも動きが見られず株価が下がって来ている。それでも先週末時点での株価収益率(PER)が69.13倍と割高では投資対象としての魅力はない。企業価値をはるかに上回る株価水準では容易には引き受け手が現われるとは考え難い。

 村上氏としては
高値で売却したいが止むを得ず”塩漬け”状態にしていると思われる。村上氏自ら経営者として阪神電鉄に乗り込んだところで直ちに投資に見合うreturnがあるとは考えらない。それに所詮ファンドマネージャー、つまり株式を回転させ利鞘を得る稼業であり、企業経営なんぞの流暢なことはやっていられない。投資家に対して約束した配当を払う為には短期的にも利益を出さなければならない。大量の資金を注ぎ込んだ阪神電鉄株式が身動きならない状態では他で利益を出す以外に方法は無い。3月下旬にドリテク株式を売却しているのもその一環に違いない。もしかしたら他の”村上銘柄”も売却しているかもしれない。とにもかくにも村上氏vs阪神電鉄の決着は新年度に持ち越しとなった。何時どの様な形で騒動が終息するのだろうか?

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