2006.8.21
本日休載。
2006.8.22
みずほ証券の誤発注問題の後始末を巡って動きが表面化した。今日午後東証の西室社長は記者会見にて「みずほ証券から東証に対して404億円の損失負担を求める催告書が送付されて来た」ことを明らかにした。みずほ証券のジェイコム株式の誤発注による損失額は407億円・・・。つまり東証への負担要求割合は何と99.7%にも及ぶ。と言うことはみずほ証券は「誤発注の責任はほぼ全て東証にあり」としている。はてさて何とも呆れ果てたみずほ証券の愚行と言うべきか・・・。
みずほ証券は「東証のシステム不備により注文取消が出来なかったことが損失拡大の最大の理由」として東証の責任を主張している。確かに東証のシステムの不備が損失の拡大を招いたことは否定出来ない。だからと言ってこれが原因の全てではない。最初にミスを犯したのはみずほ証券・・・売買注文の入力担当者が画面上の警告を無視して処理を継続したことが大問題の発端となった。このことを全て棚に上げて東証の責任のみを追求するのはあまりにも身勝手と言わざるを得ない。自らは非がないとはよくぞ言えたもの・・・厚顔無恥としか言い様がない。みずほ証券はまずは自らの非を認めた上で東証に対して責任の一部を分担することを求めるのが筋と言える。
西室氏は東証には重過失はないとして「催告に応じるつもりはない」と明言している。一方的に悪者にされては到底受け入れることは出来ない。今までに両者は11回の話合いを行なっているが全く論点が絡み合わなかったと言う。当初から関係者の損失負担割合を巡り紛糾することは充分予想出来た。どう考えても第一の責任はみずほ証券、次の責任は東証、そして東証システム担当の富士通にある。みずほ証券がこれほど馬鹿げた要求をするとは・・・。ここまでこじれると話合いでの決着はない。みずほ証券が損害賠償請求訴訟を起こすのは間違いない。司法がどの様な判断を下すのか注目している。
2006.8.23
楽天は全国地方競馬(16主催者、22競馬場)の馬券ネット販売の決済業務の年内開始を目指している。昨日この件に関して新銀行東京と提携を発表した。馬券購入者は新銀行東京に預金口座を開設すれば馬券代の支払いや配当金の受取りを一括で行なえる。利用者は「楽天市場」の専用ページから全国全ての地方競馬の馬券を購入出来る。
さて地方競馬の馬券が手軽に購入出来る様になったからと言って果たして売上げ増にどれほど寄与するのだろうか?高知競馬など廃止の危機に瀕している地方競馬が数多くある。高知競馬は『ハルウララ』ブームが去り積立金を使い果たして存亡の瀬戸際に立たされている。『ハルウララ』がいた頃には全国的に注目を集め一時的に売上げが増加して高知競馬の懐は潤った。その後はこれと言った目玉もなく苦しい状況に追い込まれている。その様な状況下ではネットで馬券が買えることになっても即座に売上げ増に繋がるとは考え難い。それはともかく口先だけのライブドアとは異なり姿の見える提携となる。この先どうなるのか見守って行く。
王子製紙は北越製紙に対し敵対的TOBを仕掛けていたが、ここに来てどうやら敗色濃厚の情勢になった。王子製紙は8月2日に開始したTOBにて北越製紙株式の50.0004%取得を目指し、更にTOB成立後は株式交換にて完全子会社化することを予定していた。しかしながら大株主の三菱商事、日本製紙、更には北越製紙の取引金融機関などが相次いでTOBを拒否を表明している。王子製紙の強引な仕掛けは功を奏することなくTOB撤退となる公算が大きい。王子製紙がどんなに尤もらしく理由を並べたところで結局は乗っ取りを仕掛けたことに他ならない。
2006.8.24
8月15日松坂屋は『自社株式の公開買い付けに関するお知らせ』を開示した。応募株式総数:423万2641株(応募株主数:20社)と買い付け予定数の24.8%と未達だったが、予定通り741円/株で全株式を取得した。松坂屋は取得した自社株式を消却する。狙いは筆頭株主の村上ファンド・・・持ち株式の一部を応募したと見られる。(微妙な応募数だが)741円/株では損失覚悟で全て手放す気にもなれないと思われる。その後松坂屋の株価は勢いを盛り返し一時900円に手が届いたが、昨日の終値は前日比3円高の846円で取引を終えている。村上ファンドは頃合いを計って平均取得価格よりも高い価格での売却を目論んでいると見ている。
昨日村上ファンドが関東財務局に提出した大量保有報告書によりUSEN、GMOインターネット株式の一部を売却していたことが明らかになった。持ち株比率はUSEN:5.21%→3.28%、GMOインターネット:7.80%→6.28%に低下している。村上氏不在、かつの名が地に墜ちた現状では到底村上ファンドとして営業活動を続けることは難しい。恐らくこの様な形で保有株式を徐々に処分して手仕舞いすることになると思われる。時代の寵児と持て囃された村上氏は自らの大失策により市場から退場した。
2006.8.25
本日休載。
2006.8.26
ライブドアが申請していた「ホリエモン」の商標権について特許庁により承認された。「ホリエモン」の商標登録がライブドア以外にも4件の申請があり、特許庁は昨年12月までに全て却下している。今回「ホリエモン」は晴れてライブドアの商標となったが、ライブドアとしてはすっかりイメージダウンした名称は今更使えない。それでも恐らく他者に「ホリエモン」が勝手に使われる事態を防ぐ為に実際に登録することになると思われる。
ところで昨年の今頃は堀江氏の衆議院選挙出馬で良くも悪くも世間を賑わせていた。その時点では年が明けて堀江氏が墓穴を掘り退場するとは”想定外”だったが、とにもかくにも今となっては堀江氏は最早過去の遺物でしかない。ライブドアの再生にUSENが勢いよく名乗りを上げたもののその後さっぱり進展が見られない。尤もライブドアが消滅したところで別に何と言うこともないが・・・。
8月24日松坂屋は『持ち株会社設立に反対の株主から保有株式の買い取り価格決定について名古屋地方裁判所に申請が行なわれた(こちら 参照)』と発表した。579万6000株(発行済み株式の3.39%)が対象となっている。開示では株主の名前を明らかにしていないが、今この時期この様な申請を行なうのは村上ファンド以外では考えられない。
松坂屋の取締役会で持ち株会社移行を決議に対し反対の立場の村上ファンドから株式買取請求が行なわれた。しかしながら買取り価格について60日以内に両者の合意に至らず司法の判断に委ねることになった。今後松坂屋は裁判所の決定に従い村上ファンド保有の株式を買取ることになる。さて買取り価格はどの程度になるのだろうか?昨日の終値は840円と村上ファンドの平均取得価格841円にほぼ等しい。週明け以降の株価変動を見なければ確かなことは言えないが、恐らく840円を少し上回る程度で決着すると見ている。何にせよ村上ファンドvs松坂屋はまもなく終局を迎えることになる。
2006.8.27
8月25日インボイスは『ライブドアグループのマンション分譲のダイナシティを連結子会社化する』と発表した(こちら 参照)。インボイスは公開買付けを実施してライブドア・グループが保有するダイナシティ発行の新株引受権、新株予約権を取得する。取得費用は28億2942万7011円・・・ダイナシティの賛同は得ている。LDは既にInternet関連事業以外の子会社売却方針を決めている。ダイナシティについても既に売却を決めているのでTOBは確実に成立する。
インボイスのTOB成立後に全て株式転換すれば発行済み株式数はどの程度増加するのだろうか?現在有効な行使価額にて換算すると190万6795株の新株式が発行される。現時点の発行済み株式は103万9464株・・・つまり約1.8倍もの新株式大量発行と言うことになる。元々ダイナシティは資金調達に難渋しての苦し紛れの新株予約権発行であり既存株主にとり良い訳がない。LDの不祥事発覚により株式転換が為されていなかったが、インボイスが入手すれば早期に株式転換されることは間違いない。となればダイナシティの業績が画期的に上昇しない限り希薄化は確実に進行する。現状ではインボイスと提携しても容易に業績が向上するとは思えない。さて週明けにはダイナシティの株価はどの様に変動するのだろうか?普通に考えればマイナス材料にこそなってもプラス材料になんぞなりえない。
近頃TVでカーチスのCMをよく見る(こちら 参照)。もしかしたら「カーチス」と聞いてもピンと来ない方がいるかもしれない。旧ライブドア・オートと言えばお分かりになる筈・・・。昨年には9月当時破竹の勢いのLD傘下に収まり、社名をジャック・ホールディングスからLDオートに社名変更した。LDグループ入りが材料となり株価は昨年12月27日には一時497円の高値をつけた。株価は”ライブドア・ショック”の影響をまともに受け大きく値を崩し、8月25日の終値は前日比4円安の138円で取引を終えている。尤もLDグループとの提携前の株価水準とは大差ない。つまりある意味”バブル的”に一時的に吊り上げられた(元に戻っただけ)とも言える。
LD傘下での業績拡大を図ったものの”ライブドア・ショック”により見事に期待を裏切られたLDオートは何とかしてLDグループからの離脱を求めて一時LDの間で紛糾した。その後両者はLDオートのLDグループから離脱では基本合意したが、今のところ売却先が決定したとの話は一向に聞こえて来ない。LDオートは『ライブドア』の看板が災いして業績が悪化して社名を『カーチス』に変更した。社名変更後の業績がどうなっているかは分からない。中古自動車販売業界はかなり大変な状況と伝わって来る。11月に発表されるカーチスの9月末までの状況(中間決算)の数値が注目される。