2007.4.30

 「
JASDAQは上場企業が暴力団等反社会勢力との関係が判明した場合には上場廃止基準に該当する新規則を6月から適用」と日本経済新聞が報じている。證券新報のサイトにはこれしか書いてないので詳しいことは分からない。ところで「上場廃止基準に該当する新規則」とは何を指すのだろうか?より具体的に明確化するには上場廃止基準に明記すれば良い。今の上場廃止基準でもその他を運用の解釈で適用することも可能と考えられる。何にせよ当然のことを当然の如く実施して頂きたい。

 直近ではアドテックスの経営陣に暴力団関係者が入り込み食い物にしようと企んだ。アドテックスの場合は既に末期状態で程なく自滅した。他にも密かに潜り込んでいる可能性もある。さて各証券取引所は企業と反社会勢力との関わりが明らかになった場合には即刻退場処分(=上場廃止)との毅然たる態度で臨む必要がある。報復を恐れて及び腰になってはいけない。

 2007.5.1

 本日休載。

 2007.5.2

 4月19日LDの完全子会社LDファイナンスが東京地裁から特別清算開始の決定(負債総額:約200億円)を受けた(こちら 参照)。かつてはLDグループの中の金融事業部門として稼ぎ頭の一翼を握るほど隆盛を極めた。昨年1月のLD事件発覚後にはモロに影響を受け収益が悪化、2006年9月期末には52億6800万円の債務超過に陥っていた。昨年11月の株主総会にて解散決議を採択、そして今回の特別清算決定に至った。これにてLDの悪しき産物もまた一つこの世から消え去って行く

 
日興CGの株価はシティグループによるTOB終了後もTOB価格を上回り推移している。今日の終値は前日比18円安の1729円で取引を終えている。通常TOB終了後にはプレミアが消滅して株価下落に繋がることが多い。今回はシティグループが日興CGの完全子会社化を目論んでいる。そこで更なる高値での追加取得への期待感が働いているものと見られる。果たしてそうなるだろうか?一旦1700円で買い取っておきながらその後それ以上の価格で買取ることなど出来る筈がない。そんなことをしたら投資家を裏切る背信行為となる。社会的/経済的信用の著しい毀損は必至・・・加えて損害賠償請求訴訟に発展することは間違いない。シティグループは愚かな行為に走るほど馬鹿ではないと思うが・・・。

 2007.5.3

 昨日不二家は『ISO9001登録失効(停止)について』を開示した。登録失効対象は湘南工場、品質保証部など。1月の臨時審査での是正処置要求書を受け実施した是正処置についての検証のフォローアップ審査が4月19日〜24日実施された。再審査の結果「管理体制不充分」として認証が認められなかった。この結果を受けセブン&アイ・ホールディングス、ファミリーマートは販売再開の見送りを決めた。但しイオン、ローソン、西友、サークルKサンクスは販売を続ける方針とされる。取り敢えずは登録失効の影響は限定的だが・・・早期の信頼回復の為にも出来るだけ早く認証を復活させなければならない。

 昨日大引け後にトライアイズ(旧ドリーム・テクノロジー)は『2007年12月期 第一四半期財務・業績の概要(連結)』を開示した。開示によると売上高:5億9000万円(前年同期:43億7700万円)、営業損失:3300万円(同利益:4900万円)、経常利益:2700万円(同:1900万円)、当期純利益:3000万円(同損失:300万円)と一応黒字転換している。それにしても売上高が前年同期比13.48%とは事業規模の大幅縮小を物語っている。更に営業赤字とあっては黒字転換とは言っても全く話にならない。早い話が本業で損失が出て他で埋め合わせして無理やり黒字にしただけのこと・・・。これから先を考えると発展性が全く感じられない。ところでトライアイズの株価は”お得意の”騙し上げで2日続けて急上昇した。尤も典型的な”○○○○”株式のこと、週明けにはメッキが剥げ落ちて元に戻ると見ている。

 東証マザーズ上場のモックは2008年満期円貨建転換社債型新株予約権付社債について社債権者の選択による繰上償還権行使により40億1000万円の繰上償還を行なうことになった(こちら 参照)。2007 年4月26日(スイス時間)にその償還期日を迎えた。引受証券会社は5月4日以降に債務不履行(デフォルト)宣言出来るが、モックの現状からすれば間違いなくデフォルト宣言を行なう。ところでモックの今日時点での時価総額は17億5900万円・・・40億円の資金調達は困難に違いない。

 と思っていたところに昨日モックから『繰上償還に関するお知らせ』が開示された。
昨日時点で34億円の支払いを完了、更に残り6億1000万円についても資金調達の目処が立ち5月10日迄に支払う予定とある。いったいどこからどの様にして支払金を調達したのだろうか?こんなところに黙って34億円を融資するところがあるとは思えない。とするとなけなしの自腹を切ったのだろうか?残りは手持ちの財産を処分して調達するのだろうか?さて開示にはヌケヌケと「繰上償還による業績への影響は無い」とある。モックの財務状況からすると俄かには信じ難い。実情は相当苦しいと見られる。

 とここまで書いた時点である方から頂いた情報によりモックが既に資金調達していた事実が判明した。
今年2月に子会社(プリモ・ジャパン)を55億円で譲渡している(こちら 参照)。開示によるとプリモ・ジャパンはしっかりと利益を出している。それにも拘らず売却するとは台所事情が窺える。「子会社を含む事業の集中と選択により直営のスリム化を図る方針」などと能書きを言っているが、繰上償還用の資金調達の必要性が2月の時点で既に分かっていたものと思われる。それにしては全額を一括で支払わないのは何故・・・?やはり何か苦しい事情があるのに違いない。

 2007.5.4

 5月2日楽天はTBSからの質問状に対する回答書を提出した。「TBS株式の保有比率20%超取得しても乱用的買収には該当しない」との従来の主張を繰り返したと見られる。TBSは即日「企業価値評価特別委員会」に回答書を送付した。連休明けにも買収防衛策発動の是非を諮問する。特別委員会にて委員が一人でも楽天を乱用的買収者と判断すれば防衛策の導入と発動を株主総会に諮ることになる。とにもかくにもこれで事態は一気に動き出す。6月28日の定時株主総会に向けて壮絶なBattleが繰り広げられる可能性が高い。この際一つ派手にやってくれた方がやじ馬としては面白い。

 さて楽天幹部は「(訴訟になれば)勝てると弁護士は言っている」として法廷闘争の可能性を示唆した。随分と自信を持っているが・・・それとも単なる強がりか?ところで楽天はTBSとの全面対決を行なってもMeritがあるとは思えない。
法廷闘争の結果がどうあれTBSが楽天を敵対的買収者と認識している限り(楽天の望む)業務提携実現はあり得ない。それこそ本気でTBS乗っ取りを画策、言い換えればTBS株式を50%超取得しなければ三木谷氏の狙いは実現しない。尤もそんな暴挙に走る余力があるとは到底思えない。とにもかくにも三木谷氏が強硬策に走れば走るほど出口が遠ざかる。さて、どうする・・・?

 「
米Oracle、IBM、NEC等10社以上が無償OSのlinuxを日本で本格販売する為の企業連合発足」と報じられている。政府調達でLinuxの採用を促す方針への対応、かつOSでは圧倒的なシェアを誇るMicrosoftへの対抗の意味合いもある。無償OSの本格販売・・・とは何とも分かり難い。無償なのにどこで儲けるのだろうか?昨今組み込みOSへのLinuxの採用が増加している。Linuxが無償となればLicens料不要→製品のコストダウン、更にはシェア拡大への期待が膨らむ。今回発足の企業連合ではサーバーOSが対象となる。いったいどの程度のシェア、利益の確保を見込んでいるのだろうか?

 さて日本でLinuxを取扱っている
ターボリナックスはどうなのだろうか?2006年12月期決算(連結)では売上高:9億2000万円、経常損失:1億5400万円、当期純損失:2億900万円とある。LD事件の影響があるとは言え極めて心許ない。大企業の本格的参入はどの様な影響を与えるのだろうか?”大が小を飲み込む”状況になるのだろうか?ところで親会社のLDはターボリナックスの売却の検討を開始している。厳しい状況下ではかなり難航すると思うが・・・。

 2007.5.5

 「みずほコーポレート銀行等国内外の大手金融機関19行がシティグループに対し1兆4500億円の協調融資(シンジケートローン)枠を設定」と日本経済新聞が報じている。昨年のソフトバンクへの融資枠(1兆2800億円)を上回り国内での最大の融資枠となる。(SBの時にも驚いたが)回収が確実と見るといとも簡単に巨額融資が行なわれる。途方もない金額を聞かされても何やら別世界の出来事にしか思えない。ところでボーダーフォンを買収して携帯電話に参入したSBはトラブル続きですこぶる評判が悪い。もしかしたら融資した金融機関はヒヤヒヤしているのでは・・・?

 さてシティグループが今回のTOBに要する資金は約9200億円・・・残りは5300億円となる。それで完全子会社化を目指すが果たしてスンナリと望み通りになるかどうか・・・?特にTOBに応じなかった海外投資ファンド4社はTOB価格に不満を持っている。だからと言って言い値で1700円を超える価格で取得するのは如何にも拙い。5月2日にも記述したがTOBに応じた株主への明らかな背信行為になる。今後シティグループがTOBに応じなかった株主へどの様な対応を採るのか注目している。

 ところで現在のシティグループの保有比率は61%・・・となれば海外投資ファンド4社の保有分と併せると75%を超える。日興CGは東証1部上場・・・少数特定者持ち株比率が75%超えれば1年の猶予期間の後上場廃止となる。近々
東証から猶予期間入り銘柄の指定があると思われる。TOBに応じなかった株主としても頑張り過ぎて上場廃止になったのでは元も子もない。海外投資ファンド4社はギリギリの鬩ぎ合いをしつつ結局は1700円で売却せざるを得ない状況に追い込まれると見ている。さて・・・?

 2007.5.6 (株価推移表は こちら

 5月4日「米MicrosoftとYohooが合併を含む提携交渉を進めている」と一斉に報じられた。Internet検索サービス分野ではGoogleの独走が続き局面打開の為に両社が共同で対抗する狙いとある。両社の提携が実現すればGoogleの売上高にほぼ匹敵する規模となる。一方でウォールストリート・ジャーナルは『両社の合併交渉について関係者の話として「もはや動きがない」として交渉が事実上終了した』と報じている。全く相反する情報が流れているが・・・。いったいどうなっているのだろうか?

 金融情報サービス大手の英ロイター・グループが買収に向けた予備的な打診を受けたことを明らかになった。ロイターは買収提案者を明らかにしていない。また英音楽大手EMIグループは複数の相手から買収の予備的打診を受けたことを明らかにした。次から次と大規模なM&Aの話が持ち上がっている。世界的な規模での再編が更に加速するとの見方が出来る。

トップ アイコン
次の記事へ

トップ アイコン
やじ馬見聞録
トップヘ

トップ アイコン
前の記事へ

トップ アイコン
サイトトップヘ

やじ馬見聞録