2007.6.25

 昨日の
ブルドックソースの定時株主総会にで買収防衛策が議決権総数の80%超の賛同で承認された。敵対的TOBを仕掛けているSPJの強引な手法への反発が強く特別決議承認に必要な2/3を大きく上回った。第1Rはブルドックソースの圧勝に終わり7月4日迄にSPJがTOBを撤回しない場合には買収防衛策が発動される。当然SPJはこの事態に強く反発している。そうなると次は新株予約権発行差し止め仮処分申請の行方が焦点となる。東京地裁では既に両者からの聞き取りを終了している。今週中には司法判断が下されると見られる。もし仮処分が認められればブルドックソースは買収防衛策を発動出来ない。仮にそうなってもSPJ批判の株主が圧倒的に多い状況ではTOB失敗に終わる可能性が高い。

 2007.6.26

 6月25日付けで上場廃止になったサンライズ・テクノロジーの最終株価は1円で取引を終えた。まさにボロ株式・・・敢え無く終焉となった。上場廃止に先立ち6月22日にはサンテクが大阪地裁に求めていた上場廃止無効仮処分申立が却下された(こちら 参照)。大阪高裁に上訴するかもしれないが恐らく無駄に違いない。又同日付けで上場廃止となったIRIの最終株価は1万9050円で取引を終えている。こちらはオリックスによる完全子会社化の予定があるが・・・。まだ波乱の目はある。さて・・・?

 6月22日
ダイナシティは『業務提携、及び資本提携に関する協議開始に関するお知らせ』を開示した。開示によると米国DBZ社との協議を開始したとある。あくまでも協議開始であって先行き交渉成立するかどうかは定かではない。何せ足下がおぼつかないダイナシティとあってはどうなることやら・・・。とにもかくにも長期低迷に喘いでいるダイナシティの株価はこの開示が材料視されて翌25日、そして今日と2日続けて上昇した。終値は前日比640円高の9330円で取引を終えている。さて、明日は・・・?

 現在苦しい状況に追い込まれている
グッドウイル・グループ「最低資金調達金額保証型」Financeの実施を発表した。ドイツ銀行ロンドン支店を割当先として新株予約権(40万株)を発行する。7月6日の終値の60%で40万株の金額が払い込まれる。行使価額については7月11日から10月11日迄順次行使価額が修正される。グッドウイルは7月10日に払い込まれる分について確実に確保出来る。確かに資金調達側としては最低保証されている。

 まずは7月6日のグッドウイルの株価が焦点になる。今日の終値は前日比4700円安の4万6000円と大きく下げて取引を終えている。現状では明日以降も下げる可能性がある。となれば当初の目論見よりも7月10日に得られる資金が減少することになる。さて今後株価上昇となればグッドウイルの資金調達額が増加することになるが・・・。グッドウイルを巡る状況を考えればそんなに甘くはない。最終的な資金調達額は当初の目論見よりも大きく減少するのでは・・・。結局は
苦境にあるグッドウイルに不利な苦し紛れのFinanceと看做せる。まあ”身から出た錆”では致し方無い。

 2007.6.27

 昨日グットウイル・グループのFinanceについて”不利な苦し紛れ”と書いたが、株式に詳しい方から「ドイツ銀行にとっては極めて厳しい(稼ぎが少ないという意味ではない)代物になっています。短期決戦が強要されますので」と教えて頂いた。7月6日の終値の60%で40万株分の金額を払い込み、その後3ヶ月以内に(グッドウイルの買入償却がない限り)新株予約権を行使しなければドイツ銀行は多大な損失を蒙る。期間内にグッドウイルの介護事業の売却完了→買入消却はかなり困難と思われる。となればドイツ銀行による権利行使→株式売却が急速に行なわれる可能性がある。株価動向如何では損失を蒙ることになる。現状ではグッドウイルを取り巻く経営環境は厳しく株価上昇を望める状況には無い。つまりはドイツ銀行も大きなRiskを負っている。ちなみにグッドウイルの株価は今日も引き続き下げた。 終値は前日比1800円安の4万4200円で取引を終えている。

 昨日茨城県内の不二家FC経営会社と他の2店の個人経営者が
不二家に対し約4億2600万円の損害賠償を求め東京地裁に提訴した。「不祥事はFC店への背信行為で安全な品質の商品を提供する義務を怠った」と主張・・・今後5年間で見込める営業(逸失)利益、異業種への変更費用、建物の解体費用等の補償を求めている。一連の不祥事でFC店からの提訴は初めて。もし不二家の敗北が確定すれば廃業した他のFC店からも同様の訴訟を起こされ損害賠償の責務を負う可能性が高い。そうなれば不二家の経営を圧迫することになるが・・・。訴訟の結末が注目される。

 今日楽天がTBSの会計帳簿閲覧を求めた仮処分申請につき東京高裁は即時抗告を棄却した。決定理由として「楽
天側とTBSの業務は実質的に競争関係にありTBSは閲覧請求を拒絶出来る」とある。楽天の言い掛かり的な要求は退けられた。”極悪人”の言い分など通る筈もない。それでも本訴に持ち込むつもりらしい。あまりにも見苦しい態度には辟易とする。さて明日注目のTBS定時株主総会を迎える。TBSが議決権の60%超を押さえたとされる。楽天の敗色濃厚・・・まあ順当な結果になりそう。

 2007.6.28

 TBS定時株主総会にてTBS提案の買収防衛策が77.1%の賛同を得て承認された。三木谷氏の策謀は敢え無く潰えた。形勢不利と見たのか三木谷氏は欠席(国重副社長が出席)ではどうにもならない。それでも楽天は20%を超える買い増しとの強気の姿勢を崩していないが・・・。さて次は「企業価値評価特別委員会」での買収防衛策発動の是非判断が焦点となる。恐らく発動可との判断になると見られる。もし楽天が20%超取得すればTBSは取締役会の決議で発動を実行に移す。そうなれば楽天は発動差し止め仮処分申請となり司法判断を仰ぐことになる。三木谷氏が突っ張っている限り両者の確執はまだ収まりそうにもない。

 今日の定時株主総会で天龍製鋸は約90.8%の圧倒的多数の賛同を得て買収防衛策が承認された(こちら 参照)。こちらも形勢不利と見たのか敵対的TOBを仕掛けているSPJは欠席した。また
SPJのブルドックソースの新株予約権発行による買収防衛策の差し止め仮処分申請に対し東京地裁は(大方の予想通り)却下の決定を下した(こちら 参照)。当然SPJは即時抗告すると見られる。今回のブルドックの買収防衛策の法律面からの有効性が認められることになれば今後多くの企業が同じ手法を採用する状況があり得る。果たして・・・?

 ところで今日SPJが行なった株主提案は全て否決された。逆にSPJが大株主の三精輸送機、日清食品でも会社提案の買収防衛策が承認された。
株主総会、更には法廷闘争でも苦戦続きではSPJは相当頭に来ているに違いない。リヒテンシュタイン代表の緊急来日で梃入れを図ったが全て裏目に出ている。 どうやら記者会見での発言が日本国内での更なる反発を呼んでいると見られる。自分が登場すれば事態が好転すると考えていたのに違いない。日本を甘く見ていたのでは・・・?さてリヒテンシュタイン代表はその後どうしているのだろうか?何か巻き返しの秘策を練っているのだろうか?

 昨日ダヴィンチ・アドバイザーズはTOCに対するTOB価格1100円→1308円引上げを発表した(こちら 参照)。創業者一族はMBO失敗後に買い増す等強い抵抗の姿勢を示している。これに対しMBOを潰したダヴィンチは価格引上げとの強硬手段で意地でもTOB成功を目指す。今日のTOC定時株主総会直前の発表は株主にどの様な影響を与えたのだろうか?ちなみに昨日TOCの株価はTOB価格に鞘寄せする形で上昇した。しかしながら今日は前場寄付き後に1285円迄上昇したものの、終値は前日比11円高の1259円で取引を終えている。

 2007.6.29

 
TBSの井上社長は昨日株主総会後の記者会見にて楽天側に対し譲歩を求めた。買収防衛策の圧倒的多数の賛同を受けTBSからは歩み寄る考えは無い。楽天との和解条件はTBS株式の放出が前提としている。一方三木谷氏としては堀江氏がニッポン放送株式を手放した後にどの様な末路を歩んだか痛いほど頭に擦り込まれている。TBS株式を手放せばTBSからまともには相手にされないことを承知している。TBS株式を買い増そうにも買収防衛策が待ち構えている。裁判に持ち込んでも勝ち目は薄い。それに既に1000億円以上注ぎ込み更なる資金調達はかなり無理が生じる。無論財務体質悪化にも繋がる。TBSはその辺りを見越し長期戦に持ち込み楽天を攻めている。両者のBattlleの結論は見えている。無駄な抵抗はやめた方が良いが・・・。

 昨日
フジテレビは『業績予想の修正に関するお知らせ』を開示した。開示によるとアメリカの音楽出版会社等の売却で約77億円の特別利益を計上することにより2008年3月期連結の最終利益予想:265億円(従来予想:210億円)に上方修正した。つまりは一時的な儲けによるもので本業が好調な訳ではない。それでもここのところ株価低迷に喘いでいたとあれば餌を目の前に差し出されて直ちに反応した。尤も週明け直ちに上昇トレンドに乗るとは思えないが・・・。ちなみに今日の終値は前日比7000円高の24万8000円で取引を終えている。

 2007.6.30〜7.1

 都合により休載します。

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