第6段 * 箱根駅伝 ‐お正月の楽しみ‐ *
2004年1月2日〜3日恒例の箱根駅伝が”快晴、風も弱い、但し気温が高い”コンディションで行われた。駒澤大が圧倒的な強さをみせ、往路、復路共に優勝、つまり完全優勝となった。これで3連覇、更に今回のメンバーから4年生が2人抜けるだけとのこと、来年もまた駒澤旋風が吹きまくりそうだ。まさに黄金時代の到来と言っても過言ではない。
箱根駅伝の面白さは何か?まず距離が長い、東京〜箱根芦ノ湖畔間往復なんと216.4Km!それだけではない。1区間20Kmを超える変化に富んだ長丁場、ごまかしのきかないタフなコース。それに何と言っても5区、6区の箱根の山上りと下り、これがこの駅伝を一際面白くしている。往路は小田原の中継点標高100mから国道1号線の最高点標高875mの標高差775mを駆け上がり芦の湖畔のゴールまで下っていく。このコースをバスで何度か通っているが、このものすごい急坂を選手達が自前の脚で上り下りするのかと思うとゾッとする。下りは選手達は走るというよりは天狗の様に飛んでいくと言った方が相応しい。相当鍛えていないとこのような所は走れるものではない。TVに旭化成の谷口さんがゲスト出演して、「箱根の下りで最高どの位で走ったことがあるか?」と尋ねられて「1Km2分22秒で走った」と答えた。通常駅伝では平らな所で1Km2分50秒から3分前後で走るのだから、いかにすごいかがよくわかる。それに駅伝の魅力は多くの選手(箱根駅伝は10人)の総合力の結集、たすきによるリレーに凝縮されていると思う。
下馬評では駒大の昨年のエース松下ら主力が抜け各大学の戦力が拮抗しており混戦模様とのこと。事実出雲駅伝では日大、大東文化大、全日本大学駅伝では東海大、大東文化大がそれぞれ1、2位であった。駒大は出雲は3位、全日本は4位と不振にあえいでいる。今回の箱根駅伝は駒大、東海大、大東文化大、山梨学院大の優勝争いと見られていた。
往路にスピードランナーを揃えた山梨学院大が先手をとり他を引き離していくとの見方が多かった。スタート直後1区で橋ノ口が飛び出し引き離しにかかったが、レース中盤で急激に失速し1位と1分31秒差の区間11位に沈んだ。2区でモカンバが5位まで盛り返したが、その後レースの流れに乗れず結局総合12位とシード権を失うことになった。1区の橋ノ口は気負いがあったのか前半ハイペースで突っ込みすぎ後半のスタミナを失った。私は山梨学院大がある程度先行して駒大が追いかける展開になればレースがおもしろくなると考えていた。その期待はもろくも崩れ、3区中途で早くも駒大が先頭に立った。大東文化大の5区での大ブレーキ、東海大も思ったほど伸びないなど駒大独走の要因が揃ってしまった。駒大が2位東海大に3分26秒差をつけてゴールした時点で、私はよほどのハプニングがない限り駒大の総合優勝を確信した。
駒大の独走で勝負の興味が激減したが、一方ではいくつかの話題がある。今年は日本学連選抜がオープン参加した。箱根駅伝は関東学生陸上競技連盟が主催の為、関東以外の大学には出場の機会はない。例外的に40年前の記念大会に立命館大と福岡大が参加したことがある。言い換えれば関東地区のローカル大会、それが今や全国にTV中継され国民的行事となっている。
第一回が開催された1920年頃大学といえばまずは関東、全国各地に私立大学が設立されるのは後日のこと。従ってここで言う「関東」は必ずしも関東地方を指していたわけではない。つまり当時の事情からみて、「関東」=「日本」的な感覚であったと言える。その後の状況の変化にもかかわらず、「関東」=「関東地方」と言う構図だけが残ったのだろう。そう言えば山梨学院大は山梨県、関東ではないが?私個人の意見としてはこれだけ国民的行事と言うならオープン参加ではなく正式参加の道を探っても良いと思うのだが・・・。関東学生陸上競技連盟の主催、また歴史的な経緯もあり難しい点もあるのだろうが、時代も変化してきており関係者には検討して頂きたい。
その日本学連選抜が5区筑波大鐘ケ江の区間賞の好走もあり、総合6位にあたる順位でFinishした。彼らの好走は今回の大会を大いに盛り上げた。シード圏内でのFinishに大きな意味がある。私はスカッとさわやかな気分になった。今回創設された金栗四三賞(MVP賞)に鐘ケ江が選出された。彼は2年連続の5区山登りで見事な走りを見せてくれたのでなるほど納得。彼の競技生活は今回で終わり、子供の頃からの夢の整備士になるとのこと。頑張って欲しい。
栄枯盛衰は世の常、今回は優勝経験校の山梨学院大、大東文化大、早稲田大がシード落ち、日大が10位、、日体大が9位と下位に低迷。特に早稲田大はかつての栄光の面影が全く失せている。どうした、早稲田!一方東海大が2位、亜細亜大が3位と過去最高の順位を記録した。私の自宅から最も近くにある東海大、優勝を狙えるチームに成長してきた。東海大もかつての山梨学院大、神奈川大の様に大化けしてくれるかもしれない。
駒大の天下も未来永劫続くわけではなく、いずれ勢力分布は大きく変動する。各大学が切磋琢磨して更にレベルアップしていくことを願っている。