2006.10.23

 10月18日
Yozan国際通信サービスのスパークワンとの業務提携を発表した(こちら 参照)。2003年11月設立のスパークワンは資本金:1億4500万円、社員5名(2006年1月時点)で年商900万円と聞く。こんな小さな企業と業務提携したところでYozanの業績向上に貢献するとは到底考えられない。この程度の情報で株価が踊らされる筈がない。今日の終値は前日比100円安の4900円で取引を終えている。今年の大発会の終値が3万9050円・・・株価が10ヶ月ほどで約1/8まで下落とは恐ろしい。

 8月15日に開示したYozanの2007年3月期業績予想では売上高:24億円、経常損失:38億2200万円、当期純損失:39億5700万円と大赤字になっている。売上高は2004年3月期の85億1100万円をピークに2005年3月期:56億900万円→2006年3月期:23億4900万円と急降下している。一方当期純損失は2004年3月期:52億8000万円→2005年3月期:66億6300万円→2004年3月期:73億5500万円と増加している。売上高が減少して赤字幅が拡大では如何にも心許ない。今年度は赤字幅が前年度よりも縮小する見通しだが、開示を読むと思いっ切り甘いのではとの疑いを持つ。加えて4期連続の大赤字とあっては経営陣の能力に疑問符がつく。

 2006年9月末の発行済み株式(155万71株)は2004年3月末の発行済み株式(42万1254株)の3.68倍に相当する。財務状況の悪さ故に目先の資金調達が必要となり増資を繰り返したことがここからも読み取れる。増資しても一向に財務体質が改善されなければ株価低迷も当然・・・。業績改善が進まなければまたもやどこかで資金調達の必要性からMSCBなどにより発行済み株式数が膨れ上がり株価下落の恐れが生じる。悪循環の連鎖、そして”●●”となれば最悪のパターンだが・・・?とにもかくにもYozanには危険な香りが漂っている。さて・・・?


 村上ファンドが関東財務局に提出した大量保有報告書により保有する
中村屋株式全て(発行済み株式の5.76%)日興シティグループ証券に売却したことが判明した。10月18日552円/株で361万7000株売却して19億9681万4000円を得た。取得には22億円超投じているので収支はマイナスとなる。またウッドランド株式の保有比率は23.21%に低下したことも判明した。村上氏逮捕直前には33.99%保有していたので4ヶ月弱の間に10%強処分したことになる。これらのことからも村上ファンドの手仕舞い売りが加速していることが窺える(村上銘柄リスト 参照)。

 2006.10.24

 昨日USENが突然のストップ高(100円高)、次いで今日の終値は前日比133円高の1180円と2日連続で急激に値を上げて取引を終えている。10月19日に発表した連結決算は2期連続の赤字と惨憺たる有様では上昇要因など無いと訝しさを感じた。どうやら先週末に新興株安からの影響を脱するためにヘラクレスから東証1部へ鞍替え上場の準備を進めている」との宇野氏の発言が報じられたことが手掛かりになったらしい。「低迷している株価操作の為に意図的に発言したのでは?」と勘繰りたくなるが・・・。尤も(どこに上場していても)小手先(子供騙し)の株価対策を取ったところで業績が良くなければ話にならない。

 USENの様に
2期連続赤字の企業が東証1部に上場出来るのだろうか?東証の上場基準を改めて見返した。形式基準(1)〜(5)、(8)、(9)を満たした上で形式基準の(6)利益の額、(7)時価総額の項はいずれかをクリアすれば良い。(6)はクリア出来ないが(今日時点では)時価総額が1000億円をギリギリ超えている。このまま時価総額1000億円を超えていれば形式基準には適合することになる。宇野氏が(本気で)東証1部上場を考えていれば何としても時価総額1000億円超の手立てを取ると思われる。となれば形式基準はクリアする可能性が高い。

 形式基準に適合すれば次に適格要件の審査がある。(1)企業の継続性及び収益性、(2)企業経営の健全性などが厳格にチェックされる。LDの件などで新興市場への見方が厳しくなっている状況ではUSENが東証1部への鞍替え上場を申請した場合は当然厳しい見方が為されることが予想される。果たして宇野氏の思惑通りすんなりコトが運ぶのだろうか?


 先週
5営業日連続の不可解なストップ高を演じたターボ・リナックス
の株価は今日になって下げに転じた。今日の終値は前日比7800円安の6万7100円で取引を終えている。先週は2万4000円もの上昇、そして昨日は一時ストップ高(1000円高)の8万3300円まで上昇、その後は6万9000円まで下落、終値は7万4900円と激しく揺れ動いた。昨日は出来高(4376株)が急激に増加、今日も1963株と多い。何せここは”お祭騒ぎ”を仕掛けるには格好の三流銘柄・・・どこぞ誰かが仕掛けて高値売り抜けを図ったのかもしれない。元々何も材料が無いのに上げたのだから下げて当然と言えば当然・・・。果たして明日はどう動くのだろうか?

 2006.10.25

 東証1部上場のヤフーの井上社長は昨日JASDAQへの年度内の上場を検討している」ことを明らかにした。現在東証とJASDAQに重複上場している企業は日本駐車場開発など11社ある。何故今この時期に重複上場・・・?ソフトバンク、米ヤフーの2社でヤフー株式の約74・5%を保有している。と言うことはどこかが0.5%以上を取得すれば少数特定者持ち株数が75%を超えて東証の上場廃止基準に抵触する。つまり上場廃止の危機が目前に迫っているので上場廃止回避策として他市場への上場を早急に検討する必要に迫られた。そこで上場廃止基準の甘い新興市場に目を向けた(JASDAQの上場廃止基準)。LDの一件を機に信頼の低下した新興市場の低迷が続いている。ヤフーがJASDAQに上場することになれば新興市場の活性化に繋がるのだろうか?ちなみにヤフーの株価は昨日のストップ高(5000円高)から一転して利益確定売りに終始押され、終値は前日比2300円安の4万7200円で取引を終えている。

 2006.10.26

 2度の自社株式買いで少々勢いを取り戻していたドリームテクノロジーの株価はまたもや下降線を辿っている。自社株買いと小細工したところで何も良くなっていなければ元に戻るのは当然の摂理・・・株価が下落しても何の不思議も無い。昨日までの5営業日続落で1万円を割り込んだが、今日の終値は前日比580円高の1万570円と1万円台を回復して取引を終えている。この先下降線を辿ると予測しているが・・・。何せここは今までに何度もインチキ臭い動きを繰り返している。さて・・・?

 10月23日ドリテクは『熱匠株式会社への出資のお知らせ』を開示した。ドリテクは熱匠の保有する面状電気ヒーターに関する技術・ノウハウを高く評価し資本提携を決定とある。熱匠の資本金はドリテクからの2000万円の出資を加えて7000万円・・・第三者割当増資引き受け後の保有比率は19.98%となる。将来的には(熱匠の業績を睨みつつ)ドリテクは子会社化を考えているかもしれない。熱匠の売上高がどの程度かは不明だが恐らく大したことはないと思われる。それに開示にある様な将来性がその程度見込まれるのか定かではない。この程度の材料に株価が反応することはない。


 10月25日北海道を中心に総合リース業を営むユニコ・コーポレーションは東京地裁へ会社更生法の適用を申請した。過去数年に渡って不良債権の不適切な処理が行われていたとの監査法人の指摘を受けて8月9日JASDAQはユニコを監理ポストに割り当てた。その後の精査にて2004年12月期、2005年12月期と2期連続債務超過が判明するに至っては自力再生は不可能・・・事実上の倒産(負債総額:891億円)は致し方が無い。今年になって上場企業の倒産は4月のアドテックスに次いで2社目となる。

 今回の会社更生法適用申請を受け
JASDAQはユニコの11月26日付けの上場廃止を決定した。となれば早速上場廃止日までのお祭り騒ぎが始まる。ユニコの今日1日の株価の推移を見て頂きたい。株価は前場寄り付きから100円未満で推移(安値:79円)していたが、14時頃に突然跳ね上がりストップ高(30円高)の128円で取引を終えている。上場廃止が決まった銘柄の株価が個人投資家によるマネーゲーム感覚の売買により乱高下を繰り返す。結局は”紙屑”争奪戦を繰り広げたあげく最後に誰かが”ババ”を掴みゲームが終了する。世の中には”火遊び”が好きな方が多くいて毎度繰り返される”●●”騒ぎには呆れ果てる。それはさておいて(興味本位に)上場廃止までどの様に推移するのか追跡を行なうことにする(株式推移その9 参照)。

 2006.10.27

 昨日Yozanは『第三者割当による新株式発行のお知らせ』を開示した。AMU投資事業有限組合なる怪しげなところを引受け先として4354円/株で68万9021株発行、約30億円を調達する。これで発行済み株式は236万762株に増加する。僅か1年ほどの間に100億円を大きく超える資金調達の為にMSCB、第三者割当増資を行なっている。今回の増資後の発行済み株式は2004年3月末の42万1254株と比べると僅か2年7ヶ月で5.6倍!に膨れ上がるこれほど資金調達しながらYozanの業績は一向に改善されていない。これでは希薄化は必至・・・。それにも拘らず今日の終値はストップ高(1000円高)の6000円で取引を終えている。今回の増資が歓迎すべき材料とは思えないが・・・。何やら浮かれ過ぎにも見える。週明けには怪しげな動きを示すかもしれない。

 10月25日TBSの井上社長は楽天との業務提携交渉を来月末まで1ヶ月延長する考えを明らかにした。楽天の不同意がなければこれで6度目の延長となる。TBSの交渉の大前提は楽天保有のTBS株式の放出・・・。TBSの株価は今日時点で2690円・・・楽天の取得価格から約10%低いところにある。 これでは三木谷氏としてもTBSの要求を受け入れることは出来ない。むざむざ100億円超もの損失を出したのでは楽天の株主への説明に窮する。このまま延長を繰り返してもただ時間が経過するだけで交渉がまとまる見通しは立っていない。そうかと言って楽天には交渉打開の有効な手段が見当たらない。何にせよ楽天が苦しい状況にあることには変わりはない

 2006.10.28

 昨日みずほ証券は東証を相手取って約415億円の損害賠償を求め東京地裁に提訴した(こちら 参照)。損失総額407億円の内404億円分は東証のシステムの不備によるとした上で弁護士費用などを加算して総額415億円を請求金額とした。昨年12月のジェイコム株式誤発注以降両者は10回以上の話合いを行なった。しかしながら両者の主張には大きな隔たりがあり、みずほ証券は当事者間での決着は困難としている。株式売買を巡るトラブルとしては前代未聞の法廷闘争が始まる。

 
東証は「損害賠償の必要な取引参加者規定の”重大な過失”には当たらない」としてみずほ証券の要求を一貫して拒否している。東証の責任はゼロではないと考えるが、みずほ証券が主張する様に99%東証の責任とする傲慢な態度は許容出来ない。何故みずほ証券は強攻策に踏み切ったのだろうか?一つにはは株主対策として(自らの責任を棚に上げてでも)東証の責任を強硬に追及する姿勢を示す必要がある。それに恐らく裁判所が賠償額を値切ると踏んで思い切り吹っ掛けたと見ている。争点は東証の重過失の程度判断の一点にあると言っても過言ではない。今後裁判の動向を注意深く見守って行く。


 昨日村上銘柄リストに保有比率(最新)を追加した。5社については全てを手離し残りの大半も保有比率を減らしている。村上氏の名前では商売出来ない現状では手仕舞いが更に加速する。全ての銘柄の保有比率が0になる日もそう遠くはない。かつては得意の絶頂にあった村上氏も現在は刑事被告人として法廷に立っている。まさに”身から出た錆”・・・現在は地獄の辛酸を舐めている。但し村上氏はこのまま転んで起きないほど軟ではない。皆の記憶が薄れた頃には別の形でしたたかに復活しているかもしれない。もしかしたら堀江氏も・・・。

 2006.10.29

 「
北越製紙への敵対的TOBに失敗した王子製紙へのツケ(特別損失)は9億7600万円と高くついた」ことが10月27日王子製紙が発表した2006年9月中間決算で明らかになった。発生した費用は財務アドバイザーの野村證券へのコンサルタント料、弁護士費用、買収資金の調達枠確保にて発生した費用など・・・。発生費用の半分以上は野村證券への支払いとのこと。証券会社は他社を動かしておいて失敗しても”貰う物ははしっかり頂くボロい商売”と妙なところで感心する。

 10月27日米系投資ファンドのスティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンド(SPJ)は東証2部上場の明星食品に対するTOB実施を発表した。TOB価格は700円/株、買い付け期間は11月27日迄、買い付け予定株式数は4259万3739株で下限と上限を設定していない。応募された株式は全て買取るとしている。TOBの状況次第では明星食品は上場廃止になる可能性が高い。これに対し明星食品は「聞いていないし賛同出来ない」としている。暫く前に世間を騒がせた王子製紙による北越製紙への敵対的TOBの再来となる可能性が高い。(この続きはぺんぺん草第84段 参照)

 同様に10月19日には米系投資ファンドのダルトン・インベストメンツを問い合わせ先にジェイムムビーオー・ファンド・リミテッド(ケイマン諸島)が東証1部上場のサンテレホン株式へのTOB実施を発表している。TOB価格1100円/株、買い付け期間は11月8日迄、買い付け予定株式数は280万8000株を予定している。翌日サンテレホンの山西社長は「TOBは企業価値と株主利益を損なう危険性が高い」として反対を表明した。一方ダルトンの佐野社長は「我々は敵対的とは考えていない。企業価値を高める提案を粘り強く交渉したい」と述べたが、山西氏には話合いに応ずる意思はなくこれもまた敵対的TOBとなった。全面対決の行方はどうなるのだろうか?

 当面騒動の渦中にある明星食品、サンテレホンの株価がどの様に推移するのか株価推移表その9に追加して追跡する。

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