トップ アイコン
次の段ヘ

トップ アイコン
ペンペン草
トップヘ

トップ アイコン
前の段ヘ

第47段  イラクでの日本人人質殺害 

 イラクで民間人の香田さんが国際テロ集団ザルカウイ一派に拉致され、「日本が自衛隊を48時間以内に撤退しなければ人質を殺す」と通告されていた。その予告期限が過ぎた10月31日未明、バグダッドで日本人と思われる遺体が発見され香田さんと確認されたとNewsで報じている。

 首を切断という残忍な手口で最悪の結果になってしまった。それにしても悪い時期にイラクに行って、ザルカウイ一派という最悪のグループに拉致された。一時はイラクにかなり多くいたマスコミ関係者でさえ現在は危険でほんの数名しかいないそうだ。そんなに危険なことを香田さんはどれだけ把握していたのだろうか?今年の4月に日本人3人が拉致され大きな問題になった。この時は拉致したグループがザルカウイなどのアルカイダとは繋がりがないことが幸いし、人質が無事解放され事なきをえた。しかしながらイラクの情勢は当時よりも更に悪化している。凶悪なグループによる外国人の拉致が頻発し、多くの外国人が殺されている。凶悪な連中は一方的に自分達の主張を期限付きで通告し、期限が過ぎて要求が通らないと殺戮するという残忍さである。おそらく連中は交渉する気持ちなど全くなく、相手に対してはYes or Noの2者択一を迫っている。まさに問答無用、自分達の主張が通らなければ答えは一つしかない・・・。

 バックパッカーと言われるリュック一つで世界中を歩いている若者が多くいる。香田さんもその一人・・・。今年1月青少年が働きながら旅行する「ワーキングホリデー」制度を利用しニュージーランドに出かけ、その後10月下旬にアンマン経由でバクダッドへ入っている。アンマンでは多くの人にイラク行きを止めるよう香田さんは言われたそうだ。たまたま居合わせた日本人映画監督や現地の人達もあまりにも危険だから行かないようにと説得したが、それらの制止を振り切ってバスに乗ってバクダッドへ向かった。アンマンのホテルのマネジャーに「イラクに行って、何が起きているのかを自分の目で見たい。サマワに行きたい」と相談した。香田さんは何故それほどまでしてイラクに行きたかったもだろうか?イラク情勢の深刻さをどう感じていたのだろうか?いかにせよ無謀の一言につきる。

 アンマンから約1000Kmの長距離バスでバクダットに到着したが、外国人は宿泊させて襲撃されたホテルが相次いだこともあり香田さんはホテル宿泊を何ヶ所も断られた。どこでどのように過ごしたかはわからないが、バクダッドでうろうろしている日本人はやたら目についたらしい。そんな中どこかで凶悪グループに目につけられ拉致されたのだろう。

 中越地震の直後でもあり、こちらの拉致事件については以前の拉致事件ほどマスコミの取り上げ方も大きくはない。また朝日新聞の社説でも自衛隊の派遣は問題としながらも香田さんの行動は軽率と論じている。死者に鞭打つ様な言い方はどうかと思うが、やはり自分の行動に責任を持たなければいけない。

 私は自衛隊のイラク派遣は問題ありと考えている。アメリカが主張した大量破壊兵器、生物化学兵器などが見つからずイラク派兵根拠は崩れている。何の大義名分もなくただ単にフセイン潰しが目的、強いて言えば+(石油)利権が目当て・・・?イラクのフセイン独裁政権は容認できるものではない。しかしながらあそこは危険だからと何かと理由をつけて潰しにかかるアメリカのやり口には危惧、更には恐ろしさすら感じる。そのアメリカに盲目的に追随する日本政府の姿勢はいかがなものか?日本は国連安全保障理事会の常任理事国を目指している。とすれば
日本はアメリカへの盲目的追随ではなく自らの意見を強く主張すべきであろう。でなければ日本は単なるアメリカのイエスマンにしかすぎない。それでは国際世界の理解は得られないだろう。

 アメリカ、イギリスが昨年イラク攻撃してから既に1年半以上経過している。あっという間にイラク全土を制圧し、フセイン元大統領はあっさり捕縛され一件落着かに見えた・・・がそう簡単には事はおさまらない。やはり自分の国によその国が踏み込んできて「自分の言う通りにやれ」と言われても、必ず面白くなく思う勢力は出現するものである。更にイラクのあちらこちらで紛争が起きており、その混乱に乗じて国際テロ組織が暗躍している。イラク国内での犠牲者は増える一方・・・アメリカの言う『安全』が確保できているとは到底思えない。今やイラクは世界で最も危険な地域と言えるのではないか。

 
香田さんが救出されず最悪な結果に終わったことは誠に残念でお気の毒・・・ご冥福を祈る
しかしながら多くの人に迷惑をかけるような軽挙は慎むべき、まして今回のように何の為に危険な地域に行ったかわからないのであれば尚更である。これ以上新たな犠牲者が出してはいけない。その為には無謀な行為は2度として欲しくないと節に願う。一つしかない命は大切にしなければ・・・
ペンペン草