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第50段 * ハルウララ そして 高知競馬 *

 ハルウララは8月3日の出走を最後に那須で長期休養に入っている。その為もあり高知競馬は2004年度の収支見通しは7900万円の赤字、2003年度の黒字8100万を全て吐き出してしまいそうだ。この事実は高知競馬が依然として
”ハルウララにおんぶにだっこ”状況を脱していないことを如実に示している。ハルウララは年明けで9歳、競走馬としてはかなりの高齢でいつまでも期待をかけ過ぎるのは酷と言うものである。

 
9月ハルウララの那須への移動を巡っては大きなトラブルが発生した。ドル箱を手放したくない調教師、管理者など高知競馬側と、宗石調教師からハルウララを譲り受けた馬主安西氏との間に意見の食違いが生じた。詳細は読む人に誤解を与えない為にもここには書かないが、端的に言えば次の様にとらえることができる。高知競馬としては現状の苦しい状況を凌ぐ為にもハルウララには少しでも多く出走して欲しい。一方、安西氏はハルウララの長期間に亘る走りづめの状況を憂慮し健康状態回復を目指し休養が必要と考えた。結局両者の話が合わず結果から見れば安西氏側の強行突破(強制移動)という形になってしまった。

 その後の安西氏側から発表されたハルウララの健康診断の諸数値を見ると、明らかに長期間の酷使によりまともな状態ではない。
客観的に判断すれば間違いなくハルウララは休養が必要。ハルウララの場合休養しても年齢的にも上がり目があるとは言えないが、少なくともこのまま走らせれば寿命を縮める可能性があったことは否定できない。ところが高知競馬など地方競馬のおかれている現状からすれば、とにかく走させないことには経営が成り立たない。休養などさせる余裕がない地方競馬が圧倒的に多い。ハルウララの場合も同様で、高知競馬関係者からすればその体調云々よりもまずは走らせたいのが本音であろう。その本音が宗石調教師や管理者などの発言の節々に出てきている。特にハルウララの場合は高知競馬の期待を一身に背負っている様な状況におかれているので話がややこしい。苦しい時には藁にもすがりたい気持ちがよく現われている。それに加えて一部Internetサイトでの無責任な発言や一部マスコミの煽る様な無責任な報道が混乱を増幅している。

 このままゴタゴタが続けばハルウララが高知に戻ることなく引退することもあり得るのではないか・・・。 感情的になっている両者を同じ土俵に戻し平和的な解決を図る
術はないのだろうか?ハルウララ1頭が高知競馬全てではないが、このまま終焉を迎えては功労馬ハルウララが浮かばれない。
関係者の努力で全ての人に祝福される形でターフを去るプロセスをハルウララに用意して欲しい。このままゴタゴタが続くのであれば、ハルウララが高知に戻ることなく引退するのもやむを得ない。

 両者の確執があからさまに表面化したことは高知競馬にとって大きなマイナス要因になったことは否めない。それぞれがお互いへの不信感を募らせる一方で、現段階では歩みよる気配が見えてこない。この様な相互不信のスパイラルに陥ってしまっては、少なくとも現段階では冷静な話合いなどできる状況にはない。それ故安西氏は自サイトで自分の主張を述べ、また一方高知競馬側はいろいろな場で自分達の意見を主張している。これだけ話がこじれてくると果たして解決への道筋が開けてくるのだろうか?お互いに遠くから相手を眺めて非難しているだけで、積極的に接点を持ち問題解決への努力を怠っている様にしか見えない。これでは単にファン不在の泥試合を、しかも場外乱闘を行なっているだけではないか。こんなことでは高知競馬に嫌気をさす人が増えるのでは・・・?

 一方
明るい話題もある。11月になりプロ野球参入問題で話題になったライブドアが高知競馬の経営参入の話が急浮上してきた。2005年1月の競馬法改正で、競馬業務への民間参入の道が開かれた。この時期ライブドアは他にも高崎競馬、笠松競馬、名古屋競馬などにも同様の働きかけをしている。結局高崎競馬は県知事の廃止の意向が固く合意には至らなかったが、高知競馬との間では話がまとまり業務提携の合意にこぎつけた。堀江社長はインターネットでの馬券発売、トーナメントによる勝ち上がり方式などいくつかのアイデアを持っているようだ。また「ハルウララの馬主にも早期復帰を働きかけたい」とも言っている。まさか堀江社長がハルウララ1頭に過大な期待をかけていることはないと思うが・・・。

 ”ハルウララ云々”はともかくとして、再建への道筋の根本は”面白い競馬”を実現できるかどうかが集客の鍵となる。その為にはやはり少しでも強い馬を集め、
層の厚い競馬で観客をエクサイティングな状態にヒートアップさせなければならない。実績のないハルウララが話題になったのは競馬の本質から言えば極めて例外的と考えるべき・・・。但し層の厚い競馬の為には高い賞金が出せる様な経営体質の強化が必要となる。それで関係者が安心して競馬に投資できる環境が整う。やはり何のかんのと言ってもまずは”先立つもの”が充分でなければどうしようもないのが現実なのだ。謂わば”鶏と卵”問題の様なものでこの難問の解決に堀江社長の手腕が発揮されることを期待している。

 堀江社長の登場で高知競馬がどの様になるか、救世主になるかどうかは現段階では皆目見当がつかない。ライブドアの登場で一挙に高知競馬の現状が改善されるわけではない。 しかしながら
硬直化した高知競馬の経営姿勢に新風を吹き込むと思われるから、今後の堀江社長の動向には注目していきたい。地方競馬、競輪など公営ギャンブルは多くは巨額の累積赤字を抱え、次々と廃止、あるいは廃止の検討がなされている。ライブドアの力で高知競馬が再建できて将来存続していくことができれば、今後を見据えての一つのモデルケースにもなり得る。道営北海道競馬、岩手競馬などでも馬券販売業務などの民間委託を検討しており、ライブドアも選択肢の一つと報じられている。高知競馬でうまく行けば他にも手を挙げる企業などが出現するかもしれない。ライブドアの事業参画には批判的な意見もあるが批判するのはいつでも誰にでもできる。状況は楽観視できるほど甘くはないが、批判する前にまずはライブドアの成否を見守っていこう。
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