トップ アイコン
次の段ヘ

トップ アイコン
ペンペン草
トップヘ

トップ アイコン
前の段ヘ

第66段   * 西武グループの不祥事その1 − 華麗なる?一族の終焉 −

 
西武鉄道による大株主保有比率の虚偽記載問題を発端に、コクドは堤義明前会長の指示を受けて西武鉄道株の大量売却を行ない大問題になっている。法人株主に売却した分については不正取引として全て契約無効として、売却値で引き取ることで決着している。何故契約無効にしたのか?売却値で買い戻しにすると、下落した最終株価との差が売却益と看做され課税対象になってしまう。一方一般株主からは上場廃止、株価下落で損失を被ったとして訴訟が起こされている。こちらは最終決着まではまだまだ時間がかかりそうだ。

 堤前会長は当初西武鉄道株式の大量売却について自らの関与を否定している。しかしながらその後
堤前会長が積極的に大量売却を指示していた疑いが強まり、東京地検特捜部と証券取引等監視委員会(SEC)は証券取引法違反(虚偽記載、インサイダー取引)で調査(捜査)を進めている。堤前会長、及び周辺に司法の手が伸びるのは時間の問題とされている。だがもっと迅速に進められないのかとじれったく感じる。

 2004年5月には既に堤前会長は名義偽装株を大量保有していた事実や問題点についてコクドから報告を受けていたとされる。同年8月の西武鉄道取締役会直後、
堤前会長はコクドやプリンスホテルなどグループ各社の幹部らに直接”4000万株の売却”を指示した。この時点で4000万株売却すれば上位10株主の持ち株比率が80%を下回り、上場廃止の危機を免れることができる。この時点で堤前会長は既に売却交渉を進めており、グループの幹部にも売却交渉を指示したと言う。更にコクドの顧問弁護士から「もっと売却すべき」とのアドバイスを受け、最終的に約7000万株売却することになった。顧問弁護士は”正義”に基づいて行動すべきなのに不正行為に加担するとは・・・。

 もはや
堤前会長は過去の人、世界経済界のプリンスとして華々しく闊歩していた面影は全くない。それまでの栄光は今回の不祥事で全て吹き飛ばしてしまった。頂点を究めると世俗(一般社会)から遊離して”正しい道”を見誤ってしまうのだろうか?金は人を狂わせると言うがこの人もすっかり狂ってしまったのだろうか?日本財界、いや日本全体にとり”恥さらし”、”落ちた偶像”と言っても過言ではない。

 
呆れた出来事はこれだけではない。2月15日堤前会長の実弟猶二氏が「コクド株の大半は堤家の財産であり1/3は自らの持分」として、現在の名義人コクド役員ら27人に対し名義確認の訴訟を起こした。

 
また実弟康弘氏は2月18日の記者会見で次の様に自らの主張を展開している。私に言わせれば自分勝手な理屈を並べている様にしか思えない

 西武グループの創始者で堤前会長らの実父の故康次郎氏はほぼ100%近いコクドの株式を所有していた。生前康次郎氏は相続税対策、株式散逸の防止を狙い、架空名義、あるいは自分の側近や社員の他人名義を使用していた。1964年に康次郎氏が亡くなった時には正式な遺産相続を行なっていない。それ以降長男の堤前会長が自ら他人名義株をしている。これらの株は父康次郎氏からの相続対象であり堤家の3兄弟に所有権がある。その内「1/3は自らの持分」となる。

 これに対し経営改革委員会(以下改革委と記す)が外部の法律事務所に委託して調査したところ、
コクドの株式の内役員や社員などの名義にはなっているが実際の所有者が不明確な株式は48〜52%程度にもなった。何とでたらめな話かと呆れる。改革委は故康二郎氏が死去した時点で保有していたコクド株は全て売却済みとしている。問題のコクド株が堤家の財産であるとする決定的な物的証拠はないとして、名義人を株主として扱うほかない」との考えを示している。更に所有者と主張する人と名義人とで話し合い解決して頂く問題」としている。

 もし康弘氏の主張通りとすれば
故康次郎氏の行為は脱税行為、不法行為そのものではないか!堤家の財産を守る為に汚い手を使ったと言うことになる。そんな不法状態を長期間放置しておいて今更何を言い出すのか。本来払うべき相続税を堤3兄弟はうまいことごまかしただけではないか。康次郎氏は41年前に亡くなっておりもう既に時効、誰も刑事責任、民事責任は問われないからそれで良いのか?

 改革委は現在の名義人を株主とみなし、実質的所有者を特定せずに株主総会を開いて再建策の了承を得る方針を示している。これに対し康弘氏は実質的所有者を特定せずに株主総会を開くのは”株主の権利の侵害”にあたると批判している。

 康弘氏は権利ばかり主張している。何かおかしくないか?
権利と義務を必ず対で考えるべきではないか。今回は本来国庫に納めるべき相続税(=義務)を不正な行為で払わなかった。そんな義務を果たしていない”不逞の輩”が権利だけを主張するなんて許せない。堤3兄弟は潔く非を認め、既に時効にはなっているが1964年当時に遡り相続税を延滞利子(年率14%)込みで納める位のことは考えなくてはいけない。まずは義務を果たすことが肝要。義務を果たせば権利の主張が説得力を持つ

 株式の名義問題がどう決着するかまだ分からない。もし康弘氏、猶二氏の主張通り名義貸しとすれば、堤一族は今までの不祥事全てについて国民に謝罪し過去に遡って延滞利子込みで相続税を納める義務がある。そして堤一族が保有する株式を全て売却しグループへの影響力を皆無にしなければならない。

 改革委はコクドの会社分割や西武鉄道との合併、大幅増資を核とした再編方針を示している。これに対し康弘氏は改革委の改革案を西武グループを銀行の支配下におく”堤家からの強奪”と批判している。彼らとしては西武グループが体よく乗っ取られるとでも言いたいのだろう。更に「コクド株の相続人である私たちを無視してグループ再編を進めている」として
改革委の解散と諸井委員長の辞任を求めている。自分達の置かれている立場をわきまえず、康弘氏の一連の発言は不遜としか言い様がない。康弘氏の行為は西武グループの経営健全化にブレーキをかけている様にしか思えない。

 本来であれば”堤家の恥部”を世間に晒したくないところだろうが、背に腹は代えられずそんなことを言ってられない状況に追い込まれたと考えられる。涼しい顔をして恥ずかしげもなく堂々と自らの要求を主張する。いやはや
見事な”厚顔無恥”の典型・・・。
ペンペン草