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第75段  * ライブドア証券のほろ苦い主幹事デビュー − 証券会社のモラルとは? −* 

 
ライブドアの子会社ライブドア証券が初の主幹事案件として、名証セントレックスに新規株式公開上場(IPO:Initial Public Offering)するエフェクター細胞研究所を手掛けた上場直後の状況を見る限りでは大失敗で、ライブドア証券の信用を著しく失墜させている。初日(3月29日)は公募価格38万円では売り1色で買い手がつかず、ようやく3月30日初めて24万円で取引が成立した。その後も売り気配が強く一時ストップ安の20万円まで値を下げたが終値21万円で取引を終えた。抽選で同社株式を手に入れた一般投資家は大損の危険性に晒されている。既に1株あたり17万円の損となっている。証券会社がこんなにいとも簡単に顧客に損をさせてよいものだろうか?顧客あっての企業と言うことを忘れているとしか思えない。証券会社は手数料が入ればそれでよいではすまされない。改めて証券会社のモラルが問われる

 ここで証券会社のモラルを問う前に
一つの大きな前提があることを忘れてはならない。株式取引は基本的には投資家の自己責任で行なわれるべきであり、全ての結果を証券会社に押し付けてはいけない。証券会社やマスコミなどの言うことを鵜呑みにして言いなりになっている様では投資家の資格はない。自分で情報を収集/分析し正しい判断をしなければならない。マスコミの情報が全て正しいとは限らない。また証券会社は基本的には顧客との取引が成立すればよいとの立場故、美味しい話のみで臭いものには蓋をして明らかにしないかもしれない。人間素直なことも大事だが、場合によっては”何事にも疑問を持つ”ことも大切・・・。また株式取引は一種のギャンブルとも言える。知っての通りギャンブルには損も得も憑き物で、参加する以上当然それなりの覚悟が必要。株式取引に参加するのであれば、然るべき覚悟を持ち情報収集/分析能力を磨かなければならない

 エフェクター細胞研究所(以降エフェクターと記す)の場合、同社が提出した『新株式発行並びに株式売出届目論見書』をよく読めば今回の”儲け話”の実態が見えてくる。今回の上場が如何にきな臭いものかが容易に分かる。裏を返せば他者の言うことを盲目的に信用せずに、今回の場合少なくとも目論見書を読めば状況を正しく理解できた可能性があったとも言える。そこで株式取引は自己責任との前提で、今回の場合の証券会社と新規上場企業の在り方の問題点に触れることにする。

 最近のバイオ関連株式の人気低迷などの不安要因もあるが、加えて投資顧問会社CSKベンチャーキャピタル社の保有株式や役員、従業員のストックオプション権利行使による株式売却が強い懸念材料として存在する。ちなみにCSKベンチャーキャピタル社の保有株式は2万5800株(発行済み株式の29.3%)、また現時点でストックオプション権利行使可能な(潜在)株式は1万2540株となっている。併せて3万7340株で今回の公開株式1万9500株の約1.9倍にもなり、市場で売却されることになれば株式の希薄化が進み株価が下落することは容易に推測できる。

 エフェクターが提出した『新株式発行並びに株式売出届目論見書』(2005年2月23日発行)によると、「
発行済み株式8万8050株に対して新株引受権、及び新株予約権による発行予定が合計5万40株ある。」とのこと。もしこれらの権利が実行されれば、1株益から計算される株価が現在の半分になる。注目すべきは4月9日から権利行使、それも何と僅か10000円で行使できる株式が31800株もある。もしこの株式が市場に放出されたらどの様なことになるだろうか?
もともと公募・売却株式数が多く、加えて市場に放出される可能性のある株式が多く存在すれば誰しも不安を持って当たり前・・・。もしかしたらCSKベンチャーキャピタル社などが既に市場で売却を進めている可能性がある。当初から38万円では売れないと考えているかもしれない。

 3月31日も少々の買い気配があったものの依然として売りが優勢で、終値は前日比2万2000円安の18万8000円で取引を終えた。3日間累積の出来高は1万9348株となり、公募・売却合計1万9500株がほぼ1回転したことになる。明日以降株価がどの様な動きを示すかは不透明だが、今のところ買い気配はほとんど見られない。
新規上場後僅か3日で公募価格38万円の約半分に暴落するとは何ともひどい話でではないか?顧客を馬鹿にした不埒な悪行と断じてもよい。様々な状況を見ても明るい材料は全く見受けられない。このまま株価低迷、あるいは下落が続けば主幹事のライブドア証券、及び日興シティグループ証券他8社の顧客をないがしろにした責任は問われなければならない


 
この出来事は「IPOは儲かる」との安易な風潮にお灸を据えたかの如く思える。今までに新規上場後大幅に値上がりしたケースが多い。ところがこの場合は当初からエフェクターのIPOについて基礎研究が中心で利益に繋がりにくいとの懸念があり、仮条件(公募予定価格)が22万〜38万円と幅広く主幹事のライブドア証券も手探りだったことが窺える。公募・放出合計1万9500株と規模が大きかったが、個人投資家などを中心に多くの応募があり上限の公募価格は38万円に設定された。上限一杯の38万円で応じた投資家の見通しの甘さ、及びライブドア証券の価格設定などの見通しの甘さが今回の出来事の主たる要因と断じてもよい。この1件でIPOへの見方が厳しくなり、特に主幹事証券会社の条件設定に厳しさが求められることになったとも言える。同時に投資家も自己責任でIPOを慎重に精査し投資することが求められる。

 
エフェクター細胞研究所とは初めて聞く名前だが、東京大学出身者によるバイオベンチャーで癌治療への応用や抗アレルギー剤の開発を手掛けている。現在の金ヶ崎社長が東京大学医学研究所教授時代に得た研究成果を基盤として1999年6月に設立した。社員数は39名(2005年1月31日時点)、2003年5月期の売上高も2000万円台(その後共同開発実施権・独占販売権の一部を4億500万円で売却、上場直前の売上高4億7800万円)、経常収支は赤字と小規模の企業にも関わらず、公募価格ベースで時価総額が350億円を超えている。はっきり言えば儲かっていない会社”、”将来伸びるかどうか不明の会社”と看做せる。これは日本ケミファなどの中堅医薬品企業を上回っていて、公募価格設定の段階で既に企業価値の過大評価と指摘されていた。東京大学の名前に酔わされたと言ったら言い過ぎだろうか?東京大学からは無関係と抗議があったとか・・・。

 エフェクターはバイオベンチャーとして将来性があり成長が見込まれる企業かもしれないが、はっきり言えば今回の高すぎる公募価格設定によるIPOは異常ではないか?創立から6年ほどでまだ結果を出していない企業が上場できるなんてどう考えても納得がいかない。証券取引所の上場基準、及び審査に疑いを持ってしまう。何か裏があるのではないかと勘繰ってしまう。

 
ライブドア証券はニッポン放送株式の『時間外取引』や短期間の合計1000分割の株式分割などで注目を集めるなど、市場ではどちらかと言うとアウトサイダー的な存在とされている。そのライブドア証券初のの主幹事銘柄と言うことで注目されたが、大方の予想通りいきなり大幅に値を下げている。ライブドア証券は鳴り物入りで顧客を集めたので、抽選でエフェクター株式を入手した株主からは「公募価格高すぎ」、「主幹事は何をしてるのか」などと批判の声を上がっている。でもよくよく考えると”自分でよく確かめもしないでライブドア証券の美辞麗句に乗せられた”のではないか・・・?儲かった時は大喜びで証券会社に感謝し、損した時になじるだけでは自己管理能力がないことを暴露しているに過ぎない。

 しかしながら
株式売買は顧客の”自己責任”とは言っても、今回の様な場合には主幹事のライブドア証券の責任は極めて重い。新規上場銘柄では公募価格の何倍もの値がつくことも珍しくないが、初値が公募価格を割るのは稀な上に初日に初値がつかないことは極めて異例。「主幹事として審査能力が甘い」との指摘に対してライブドア証券はどう答えるのか?ライブドア証券では「エフェクター細胞研究所は価値のある会社と思っているが、今のところ市場に評価されず残念。今後、投資家の方に理解していただける様に努める」としている。これでは答えになっていない。具体的にどうするのか全く見えない。こんな有様では世間の信用を失い、ライブドア証券の存続が危うくなるのではないか?ひいては堀江氏の今までの業績に泥を塗ることになるかもしれない。堀江氏はこの問題に関してどう考えているのだろうか?いまだに一言も触れていない。”臭いものには蓋”なのだろうか?


 
ところでエフェクターでは自社の役員、従業員に対してストック・オプション制度を利用して新株式を取得する権利を付与している。役員、従業員には10000円で自社株式を取得できる権利が与えられており、株価が上昇した時点で権利行使して株式を取得・売却すれば差益(報酬)が得られる。もしある社員が100株所有していたと仮定すると、株価が100万円まで上昇した時点で権利行使すれば1億円!を手にすることができる。謂わば”取らぬ狸の皮算用”と言ったところだが、今のところ今回はそこまでうまくは行っていない。それでももし20万円で権利行使すれば2000万円になる。一種の成功報酬とも看做せる。もっともまだ成功した訳けではないのに”成功報酬”とはおかしな話だが?一般投資家に犠牲を強いておいて自分達だけ得しようとは全くいい気なもの・・・”開いた口”が塞がらない。東京大学名誉教授の金ヶ崎社長にご登場願いたいが、こんな状況ではまあ当面出てこれないだろう。

(*)ストック・オプション制度・・・企業が役員や従業員に対して予め決められた価額(権利行使価額)でその企業の株式取得権利を付与する。将来株価が上昇した任意の時点で権利を行使して株式の取得・売却することにより差益が得られる。企業の業績が向上し株価が上昇すればその差益は更に大きくなる。役員や従業員の意識向上に繋がり更に、業績向上に繋がると言うスパイラルアップを狙う。但し権利行使により時価より低い価額で新株式が発行され、既存株主にとっては株価下落による損失を被る可能性がある。また経営者が株価の上昇を意識する余り、不当な決算処理や株価対策などモラルの低下に繋がる可能性の指摘がある。この制度は1997年5月の商法改正で導入され、2002年4月の商法改正で「新株予約権」の無償発行として整備された。

 別にストック・オプションが悪いと言ってる訳けではない。ストック・オプション自体は商法で認められた権利であり、その使い方に誤りがなければ問題はない。しかしながらややもすると一部の特定の人達への利益供与に使われていると看做せることがあり、本来の趣旨に沿っているのかどうか疑わしい場合も多く見受けられる。今回の場合エフェクター細胞研究所の企業価値がIPOに値するものであるか疑念があり、何故このタイミングにIPOなのかと勘繰りたくなる。証券会社の甘言に乗せられたのか、ストック・オプションの権利行使を見定めるタイミングと見たのか?「エフェクター細胞研究所の役員、社員がそろそろ自分達に利益を・・・と考えている」とはあまりにも意地悪な見方が過ぎるだろうか?

 そう言えば近頃
ストックオプションで得た利益に対する課税を巡る訴訟が多発している。日本国内企業が国内の役員、従業員に対するストック・オプションは原則”給与所得”と税法で定めている。ところが海外企業が日本にある子会社の役員、従業員がストック・オプションで得た利益が問題になっている。1998年まではほとんど”一時所得”と認定していた。”一時所得”では1/2が控除され税額が約1/2となるので、”給与所得”と認定されるのとは税額に大きな違いが生じる。1999年以降国税当局が”給与所得”とする統一見解を示し、それ以降ストック・オプションで得た利益が”給与所得”か、”一時所得”なのかを巡り全国各地で約100件争われている。

 過去に地裁、高裁レベルでは”給与所得”、”一時所得”の両者の判断が示された。2005年1月最高裁は”給与所得”との決定を示しこの論争に一応終止符を打った。但し決定理由ではストック・オプションによる利益が「雇用契約又はこれに類する原因に基づき提供された非独立的な労務の対価として給付されたもの」としている。過去の最高裁の判断の中で給与所得を「雇用契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付」と定義づけている。これに比べると今回の決定理由は曖昧な感じを受ける。

 専門家の間では日本の子会社の役員、従業員とストックオプションを付与した海外の親会社との間に直接の雇用関係がないのに”労務の対価”の認定には無理があるとの指摘がある。この議論の是非はともかくとして、国税当局が”給与所得”に方針転換した時点で税法に定めるべきではなかったか。今からでも遅くはない。
最高裁の判断が出たからと言っていつまでも放置するのではなく、行政府、立法府は早々に法律に規定すべきと考える。

(2005.04.10追記)

 エフェクターが自責の念にかられたのかどうかは分からないが、4月6日疑念を持たれている
「新株予約権」について役員・従業員に対してストック・オプション行使による取得株式の継続保有(ロックアップ)を要請すると発表した。上場後に新規のロックアップがなされるのは極めて異例で、株価の暴落・低迷にさすがに気がひけたのだろうか?ところがロックアップが実施されても全ての取得株式が凍結される訳けではなく、34140株は売却できないが4月9日行使分を含め残りの14650株は対象外となっている。つまり「14650株は自由に処分してもよい。」と言っているに等しい。更にロックアップ期間終了後については何も触れておらずどうなるか全く分からない。こんな状況では何やらきな臭い匂いが漂ってくる。これではどうせポーズ?と疑われても仕方がない。

 「新株予約権」行使で取得した株式を証券会社に預託し、代表取締役は2年、取締役と監査役は1年、従業員とその他は6ヶ月売却しないとの覚書を4月7日付けで締結するとしている。4月8日に覚書を締結したとのプレスリリースされた。尤も覚書には法的拘束力なく破っても罰則はない。覚書によると既に4月8日以前にストック・オプションの権利が行使され発行済み株式数が増加している。1999年8月27日付与分(行使価格5万円)と200年9月27日付与分(行使価格10万円)の合計11540株の中から4140株が行使されている。ちなみに金ヶ先社長が5000株、村井氏が3500株、鈴木副社長が1140株保有している。仮に4140株が20万円で売却、行使価格10万円とすれば、何と売却益が4億1400万円!にもなる。実際に売却したかどうかは分からないが”濡れ手に粟”のボロ儲けになるが・・・?まさに合法的な錬金術そのものと言える。

 ロックアップの発表があったのが市場終了後の午後4時・・・ところが発表前にも関わらず
株価は午後に入って不審な動きを示した。午後の取引開始時には174000円だった株価が一気に19万円台にまで上昇した。この時点では特に買いが入る材料もなくどう考えても不自然な動きに思える。それに発表のタイミングが市場終了後とは極めて怪しい。内部事情に詳しい者によるインサイダー取引の疑いはないのだろうか?証券取引等監視委員会、各証券取引所はしっかり監視して欲しい。状況によっては事実関係を調査する必要がある。

(2005.04.16追記)

 エフェクターの株価は4月15日の終値18万5000円で取引を終えている。何も買い材料が見当たらないが誰かが一生懸命買い支えているものと思われる。4月14日市場終了後東証の適時開示情報閲覧サービスに「業績予想の修正に関するお知らせ」を掲示している。3月29日の発表では2005年5月期の純損益が1059万4000円の赤字だったのが、1870万8000円の黒字と上方修正された。売上高7億8961万円と変わらないが、販売管理費、及び株式上場費用の経費削減の結果とのこと。

 最初の発表から僅か半月あまりでいとも簡単に業績見通しが変更できるなんて明らかに怪しい。3月29日の新規上場直後から株価は下落を続け公開価格の半分以下にまで落ち込んでいる。エフェクター、主幹事のライブドア証券にはあまりのいい加減さに非難が殺到している。その非難をかわす為か、業績が赤字ではまずいと考えたのか急遽黒字の予想にしたものと推測される。

 それにしても4月から5月にかけて一気に販売管理費、及び株式上場費用を2930万2000円も削減できるとは・・・?削減対象とした費目も怪しい。何を削減したのかまるで分からない。如何にも後から取ってつけた理由と言わざるを得ない。何ともいい加減な企業なことか・・・。株価対策の為に無理やりに計算上はじき出したものと思われる。こんな情報でも一応市場は反応を示し、4月15日は前日比5000円高をつけている。しかしながら本質的に問題を抱えた企業の株価は下落はあっても上昇するはずがない。

(2005.04.30追記)

 Internetで検索していたら興味深いデータ(こちら参照)を見つけた。2月8日から4月21日までに新規上場した企業の公募価格と公開初値が掲載されている。よく見て頂きたい。
公開初値が公募価格を下回っているのはエフェクターただ1件のみ。仮条件の価格設定とは言うがこのデータでは全て上限値が公募価格になっている。”IPOは美味しい”との実情から応募者は上限値で申込まないと抽選にすら残れないと考えて、恐らく多くの応募者は上限値を指定すると考えられる。とすると事実上仮条件設定が大きな意味を持ってくる。

 エフェクターは任意監査を中央青山監査法人としていたが、会計処理を巡って意見が対立し監査法人を交代した。また上場の相談役はUFJつばさ証券だったが、”2004年5月期決算を基準に上場できる”主幹事としてライブドア証券に交代した。結局エフェクターは自分に都合の良い、言い換えれば何でも言うことを聞く監査法人と主幹事を指名したことになる。もともといい加減な企業・・・
突けば幾らでも埃が出るが、そこに目をつぶってくれる単なる”ゴマスリ”をエフェクターは必要としたと思われる。

 主幹事のライブドア証券はエフェクターの公募価格を20万円と値踏みしていた。ところがエフェクター側の要請で22万〜38万円に引き上げた。ライブドア証券は初の主幹事で、今までに公募価格を設定した経験はない。20万円と値踏みはしたものの自信がなく、エフェクターにあっさり押し切られて高値設定になったと考えられる。

 バイオベンチャーの事業内容や成長力の見極めが難しいのかもしれない。しかしながら今回の場合は直前の主幹事、監査法人の交代、公募価格設定の経緯が投資家の不信を募らせたのではないか?IPOで公開後株価が大きく値上がりする銘柄が多数を占める。ただ中にはエフェクターの様な怪しい場合もあるので、
IPOだからと言って”闇雲に飛びつくのは危険”との警鐘を投資家に対して鳴らしている

(2005.06.01追記)

 エフェクターの株価が5月28日から3日続けて上昇し、その上昇額は2万4000円と5月31日時点の終値は17万5000円で取引を終えた。何の材料もなくいぶかしく思っていたが、昨日の16時東証適時情報開示に『業績予想修正のお知らせ(詳細は こちら  と こちら 参照)』が出た。売上高を8億3200万円(5.4%増)、経常利益を7400万円(370.5%増)に上方修正している。3日間の株価上昇はこの情報を事前に知り得た者の不正取引、即ちインサイダー取引ではとの疑念を持った。

 ところで情報開示を読むと情報修正の理由が”MDへのパ細胞の日本国内での独占販売権の付与”とある。それで経常利益が5400万円増えるとしている。この程度の利益増で株価が急上昇するのも何やらおかしいと思うが・・・?所詮ダメなレベルに変わりはない。それに
今回で業績の大幅修正は2度目だが、短期間に大幅修正を繰り返すとは・・・。この企業のいい加減な体質を物語っている

 やはりこの程度の情報ではカンフル剤にはならず、今日の前場寄り付きで18万3000円まで上げたもののその後下がり、終値は前日比1000円高の17万6000円で取引を終えた。昨日の『業績予想修正のお知らせ』が全く効果がなかったことを示している。この程度の情報で株価が上昇するほど甘くはない。
一時凌ぎの苦し紛れの対応は更にエフェクターの不信が増すばかりではないだろうか?それに主幹事を務めたライブドア証券の信用は地に落ちていて容易なことでは回復不可能と見ている。

(2005.07.26追記)

 7月21日エフェクターは『平成17年5月期決算短信』を発表した。平成17年5月期の売上高は8億3300万円、経常利益は7900万円とある。また平成18年5月期の業績見通しでは中間期の売上高が3億1200万円、経常利益が▲4億4200万円と赤字になっている。それにも関わらず通期では売上高16億円、経常利益1億4500万円と強気の見通しを示している。

 ところが呆れたことに7月22日に『一部訂正』、更に7月25日には『一部訂正の一部訂正』と2度も修正している。こんな重要なDocumentを短期間に3度も修正とは・・・こんなテイタラクでは内容そのものの信憑性まで疑念が生じる。それに8月30日に定期株主総会が予定されている。今年度の強気の見通しは株主総会を意識したものではないだろうか?そして株価上昇を狙った対策ではないだろうか?しかしながら本当に実現可能な業績見通しなのだろうか?
こんないい加減な企業に増収増益と言われても、とても素直には信用できない

 おまけに決算短信発表を挟んで
ここの株価がまたまた不審な動きを示している。7月21日までの前7営業日連続のプラスで2万1000円上昇した後に、決算短信発表の翌営業日から連続のマイナスで僅か3日で1万2000円下落している。この様な不審な動きは今までに3度も起きている。今回も含めていずれも「インサイダー取引を目論んでいる悪い輩が背後にいるのでは?」と疑わせるに充分な状況にある。それはともかくとしてここが胡散臭い企業であることには違いない。
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